レビュー
極限のスピードの中で競い合うバイクレースゲームの決定版「RIDE」が登場
RIDE
「それは世界で初めて現実に追いついたバイクゲーム」と謳われているように,本作は操作性,タイヤの接地感,グラフィックスなど,あらゆる面でリアリティを追求したシミュレーション志向の強い作品だ。開発は「MotoGP」シリーズを手がけてきたイタリアのMilestoneが行っており,これまで培われてきたノウハウのすべてが本作に注ぎ込まれているといっても過言ではない。
なお,「こちら」の記事にあるとおり,本作のPS4版とXbox One版には,シリコンスタジオのポストエフェクトミドルウェア「YEBIS 3」が採用されており,よりリアルに再現されたグラフィックスでバイクレースの醍醐味を味わえる。ちなみに,今回のレビューでプレイしたのはPS4版だ。したがって,以下掲載している画像はすべてPS4で撮影したものになる。
「YEBIS 3」により,一段とリアリティが増したグラフィックスは必見 |
バイクのパーツやライダースーツの質感などが素晴らしい |
「RIDE」公式サイト
さまざまなレースに参戦して名声を手に入れ,ワールドランキングのトップを目指そう!
本作には世界各地の公道やサーキットでレースに挑みながらキャリアを積んでいく「ワールドツアー」,任意のコースを好きなバイクで走り回れる「クイックモード」,世界中のプレイヤーとオンライン対戦を楽しめる「オンライン」の3つのモードが用意されている。
なかでもメインとなるワールドツアーは,「ワールドツアーイベント」と「エリートトロフィー」の2つに分けられているのが特徴だ。
ワールドツアーイベントでは,世界各地にある公道やサーキットでレースに参戦し,獲得した賞金で新たなバイクを買って別のカテゴリのレースに参戦する,といった流れを繰り返すことになる。そして,レースで上位に入賞すると「名声値」が上がり,獲得した名声値によりワールドランキングの順位が変動する。プレイヤーの最終目標は,もちろんワールドランキングのトップだ。
なお,このモードでは以下のレースが用意されている。
- シングルレース:抜きつ抜かれつで表彰台を目指して競い合う
- タイムアタック:決められたラップ数内で規定のタイムを更新していく
- ヘッドトゥヘッド:先行するライバルを追い抜くまでのタイムを競う
- デイチャレンジ:規定時間内に何台のライバルを追い抜けるかで競う
- ドラッグレース:直線コースの勝ち抜きトーナメント戦
- チャンピオンシップ:複数のコースを転戦してポイント争いをする
- 耐久レース:規定の周回数をこなした時間を競う
- チームレース:チームメイトとレースを走り,その総獲得ポイントでチームごとの順位を競う
もちろん,レースイベントごとに使用できるバイクは決められており,手持ちに参戦できるバイクがなければ購入することになる。とはいえ,レースをこなしていればお金はたくさん手に入るので,資金稼ぎのために悪戦苦闘するようなことは一切なかった。
レースの条件に合ったバイクさえ手に入れば,初心者ライダーがいきなりスーパーバイクのレースに参加することも可能で,クリアする順番に縛られず自由にイベントを進めていけるところは好印象だ。
なお,どのレースにおいても,初めて三位以内でゴールできれば,初回ボーナスとして高額の賞金と名声が手に入る。もちろん,クリア済みのレースに繰り返し挑戦しても,賞金と名声はちゃんともらえるので,得意なレースで賞金や名声を稼げるのも嬉しいところだ。
ワールドツアーのもう1つの目玉となるエリートトロフィーは,シングルレースのみとなっており,ワンステップ上のレースが楽しめる。こちらは,上述のワールドツアーイベントでのランキングによって計8つのレースが開放され,それぞれのレースで優勝すると賞品として新しいバイクがもらえるので,挑戦しない手はないだろう。
次にワールドツアー以外のモードも見ていこう。クイックモードでは,好みのバイクやコースでライバルとのレースを楽しめる「クイックレース」,タイムアタックを楽しめる「タイムトライアル」のほか,コントローラを持ち寄って対戦できる「画面分割」が用意されている。
なお,クイックレースとタイムトライアルでは,すべてのコースが選択可能で,ワールドツアーで獲得しているバイクを使用すると,賞金が手に入る。また,所有していないバイクもレンタルという形で使用できるので,手持ちにないバイクを試したいときにも,クイックモードは便利だ。
そしてオンラインでは,自動でマッチングされたプレイヤーとレースに挑む「クイックマッチ」と,プレイヤー達が集まるロビーを選択してレースに参加する「カスタムマッチ」が用意されている。オンラインに入ると,初めにプレイヤーに1000ポイントが与えられ,レースの結果によってポイントが加算されていく。このポイントの累計によって,世界ランキングの順位が決定するというわけだ。
レースを途中で抜けたりするとポイントが大きく減算されるので,参戦したレースは最後まで走り抜こう。なお,オンラインでは基本的に自分が所有するバイクで走ることになるが,いちおうレンタルバイクも用意されている。ただ,多くのプレイヤーがカスタマイズを施したバイクを使っており,レンタルバイクではかなり不利となることは付け加えておきたい。
レースのロケーションとしては,世界各地の実在の都市や観光地をモチーフにした市街地コースが収録されており,イタリアのステルヴィオ国立公園やミラノ,アメリカのシエラネバダやマイアミのほか,北ウェールズ(イギリス),コート・ダジュール(フランス),そして日本も収録されており,郊外の峠道から都市部へと風景が変化する「関東神社巡り」に挑戦できる。
また,市街地コースだけでなく,日本のスポーツランドSUGOを筆頭に,ロード・アメリカ(アメリカ),イモラ(イタリア),ドニントン・パーク(イギリス),マニクール(フランス),アルメリア(スペイン),ポトレロ・デ・ロス・フネス(アルゼンチン)といった実在するグランプリサーキットも収録されている。
130台以上の実在するバイクを収録。ライダーを含めた充実のカスタマイズも魅力
レースに挑む前に最初にやることは,自分の分身となるライダーの作成だ。名前や性別のほか,顔,髪型,髪の色,ライダーギア(服装)を自由に設定でき,ライダーの見た目は「マイライダー」でいつでも変更可能だ。
ライダーの装備品は,ヘルメット,バイザー,グローブ,フットウェア(ブーツ),レーシングスーツ,ニースライダー(膝プロテクター)といった具合に,細かくカテゴライズされている。また,ヘルメットは,SHOEI,ARAI,AGV,レーシングスーツなどは,SIDI,ALPINESTARS,REV'IT!,DAINESEなど,世界の有名メーカーのものが収録されており,実際に自分が使用しているヘルメットやレーシングスーツを着せるなんてことも可能だ。
さらに,ライダーのライディングスタイルも微調整できる。コーナーリング中やスターティング時の姿勢から始まり,頭の角度(前後左右),肩の位置,肘の角度(イン側・アウト側),シートポジション(前後左右),膝の位置などが数段階で調整できるので,自分のライディングスタイルと合わせれば,没入度が高まるはずだ。
本作には,ホンダ,カワサキ,ヤマハ,スズキの国産メーカー,そしてAprilia,Bimota,BMW,Ducati,EBR,Energica Ego,KTM,Lightning,Triumph,MV AGUSTAといった海外メーカーの市販バイクおよびレース用バイクが,実名で合計135台収録されている。
どんなモデルが収録されているのかをすべて紹介するのは難しいので,以下のリストでは個人的な好みで国産バイクを中心にピックアップしてみた。
- NR750
- VTR1000 SP1
- VFR750R RC30
- CBR1000RR Fireblade SP
- ZX 7RR,Z1000
- Ninja ZX 10R Racing Version
- GSX-R 1000 K5
- GSR750
- GSX-R1000 Racing Version Team R2CL
- XJR1300
- FZR750R OW01
- YZF-R6
- Speed Triple 955i
- F4 Racing Version
- F800 R
- S1000 RR
- DB8
- RSV1000R
- Tesi 1D ES
一昔前のものから,今でも街中で見かけるもの,さらには日本では目にすることのない海外の市販バイク,そしてサーキットでプロのライダーしか乗り回せないレース仕様バイクまで,ファンにはたまらないラインナップになっている。今後もDLCで新たな車種が配信されるとのことで,追加されるモデルにも期待したいところだ。
それぞれのバイクには,最大出力,最大トルク,排気量,気筒数,重量のほか,加速力,ブレーキパワー,最高速度,操作性といったパラメータが割り当てられており,これを元に挙動特性の違いが生み出されている。
また,カスタマイズパーツを組み込むことで性能を上げることも可能だ。エンジン,トランスミッション,ブレーキ,サスペンション,外観,ホイール,タイヤなど,カスタマイズできるパーツは多岐にわたる。例えばエンジンでは,電子制御ユニット,エアフィルター,シリンダーヘッドポート,オイル,排気を,ブレーキとサスペンションでは,ブレーキパッド,ブレーキキャリパー,ブレーキホース,フロントフォークなどを,数種類のパーツから選択して組み込むことができる。さらに,これらのパーツは,BARRACUDA,ZARD,OZ,DYNOJET,ARROW,STARLANEなど13社の実在メーカーのものが収録されているというこだわりようだ。
タイヤの接地感を感じながら,リアルに再現されたバイク特有の挙動を体験しよう
挙動については,シミュレータ寄りの味付けにこそなっているが,ゲームパッドで操作するという性質上,コテコテの本格シミュレータといった感じではないので,バイクゲームになじみのない人でも遊びやすい印象だ。
本作はタイヤの接地感の再現が素晴らしく,元MotoGPレーシングライダーの中野真矢さんのコメントにもあるように,ブレーキング時のフロントの沈み込み,加速時のリアタイヤにかかる荷重,コーナーリング時のリアタイヤのスライド等がきちんと伝わってくる。
コーナーリング中に「このまま無理するとコケるかも……あぁ,やっぱりコケちゃったか」みたいなフィードバックがしっかりと感じられるのが面白い。
また,バイクの場合はブレーキがフロント(前)とリア(後)のそれぞれについており,このブレーキをどう使うかが重要な要素になる。バイクでは主にフロントブレーキを多用するが,コーナー進入前にフロントブレーキのみをガツンと踏み込んでしまうと,リアが浮き上がったり,反動でフロントタイヤが弾んで大きく挙動を乱したりすることになる。
フロントブレーキは初期設定で[L2]トリガーに割り当てられているので,ブレーキングの始めはそっと行い,フロントが沈み込むのを確認してからブレーキを強めにかけるといった,細かいテクニックも活かすことができる。また,コーナーリング中にフロントブレーキを軽く踏むことでバイクの向きを変えることも可能だ。
リアブレーキは初期設定で[×]ボタンに割り当てられており,フルブレーキング時にフロントブレーキと併用することで,フロントの沈み込みを減らしたり,最小限の制動距離で速度を落としたりできるほか,リアブレーキのみを使うことでタイヤを滑らせてバイクの向きを変えるといったテクニックも使用できる。
コーナーリング中はブレーキに頼らずとも,アクセルワークのみでリアタイヤを滑らせることもできるが,アクセルを戻してタイヤのグリップが回復した際に,滑った方向に車体を起こそうとしてバイクから投げ出されるハイサイドも再現されており,ゲームとはいえ,結構,ヒヤリとさせられるシーンも多い。
市販バイクは操作の難度が低めなので,最初は市販バイク用のレースで練習し,徐々にハイパワーなバイクやレース用バイクに挑戦するといいだろう。とくにレース用バイクは挙動が暴力的な部分もあるが,繊細なアクセルワークやブレーキコントロールを駆使して,ハイスピードでコーナーを走り抜けられると,自分が一流ライダーになった気分を味わえる。
以下に筆者の走りを収録したプレイムービーを掲載しているので,バイクの細かい挙動に注目してみてほしい。
良い走りを生み出すためには,前述したカスタマイズパーツを組み込んだうえで,さらにバイクのセッティングが重要だ。バイクのサスペンションは,プリロード,スプリングの固さ,縮み側と伸び側の減衰力などが調整可能で,ギアに関しても,1速から6速までのギア比を設定できる。
各項目はスライドバーで調整でき,それによる効果なども表示される。また,セッティングの保存・読み込みが可能なので,ベストなセッティングを見つけたら忘れずに保存しておきたい。
プレイヤーをサポートしてくれるアシスタントヘルプも充実しており,レース中に転倒しても,その手前まで時間を戻してくれるリワインドシステムがあるので,初めてバイクゲームをプレイする人でも安心して遊べるのが嬉しいところ。また,レース中のAI難易度(ライバルの速さ)をVery easyからRealisticまでの5段階で決められる。
さらに,バイクの挙動特性をスタンダード,セミプロ,プロの3段階で設定できるほか,自動でブレーキングしてくれるオートブレーキ機能や,加速時のフロントの浮きを抑えるアンチウィリー,ストレートなどで空気抵抗を減らす姿勢を取るタックイン,走行ラインの表示,トランスミッションの種類,リアタイヤの空転を抑えるトラクションコントロールなどの設定も用意されている。
筆者は最初のうちはアシスタントヘルプを使用してプレイしていたが,今ではトランスミッション以外のアシストをすべてオフにしている。とくに前後のブレーキコントロールに慣れてくると格段に面白くなるので,慣れてきたらオートブレーキをオフにしてレースに挑戦してみてほしい。
一つだけどうしても気になったのが,ロード時間の長さだ。本作では,レース前に約50秒ほどのロード時間がある。ライダーやバイクなどカスタマイズできる部分が多いため,読み込みに時間がかかるのは仕方がないのかもしれないが,毎回,レースを始めるたびに長い時間待たされるのは非常に残念だ。
さて,実のところ筆者は本格的なバイクレースゲームで遊ぶのはかなり久しぶりだったのだが,コーナーをハングオンで,車体に貼り付くように抜けていく快感は,やはりバイクならではのものだと,改めて感じることができた。それとフロントを少し浮かせながら立ち上がっていくところなどは,「カッコ良いなぁ」なんて思いながらプレイしている。
あらゆるテクニックを駆使して攻略したコーナーを,レース終了後のリプレイで眺めていると,ホントに猛烈にカッコ良くて,レースごとにリプレイ鑑賞をしている始末だ。
バイクレースが好きならば絶対オススメしたい一本であることは間違いないが,ドライブゲームが好きな人や,リプレイフェチな人も興味があればぜひ遊んでみてほしい。
「RIDE」公式サイト
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(C)2015 Published and Developed by Milestone s.r.l. All rights reserved. Licensed and published in Japan by Intergrow Inc. All manufacturers, accessory suppliers, names, tracks, sponsors, brands and associated imagery featured in this game are trademarks and/or copyrighted materials of their respective owners.
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