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Rift用VRシューター「Robo Recall」の開発を振り返る。操作やゲームデザイン,アートなどのさまざまな工夫が紹介されたセッションをレポート
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印刷2017/04/28 14:57

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Rift用VRシューター「Robo Recall」の開発を振り返る。操作やゲームデザイン,アートなどのさまざまな工夫が紹介されたセッションをレポート

 「Nexon Developers Conference 17」にて,VR HMD「Rift」向けシューター「Robo Recall」のセッションが行われた。

 本作は,Epic GamesがVRデモ「Bullet Train」のノウハウを生かしてリリースした,無料のシューターだ。無料とはいえ,高いグラフィックスクオリティや爽快なゲーム性を持つ,Oculus Touchのショーケース的なタイトルとして開発されており,Riftを所持しているならぜひ遊んでみてほしい作品だ。
 そんな本作の開発を振り返ったセッションの模様をお伝えしよう。


 今回登壇したのは,Epic Games Koreaのサポートチーム 次長である,シン・グァンソプ氏だ。シン氏によると,本作の開発期間は12か月で,開発メンバーは外注を含めて15人だったという。

シン・グァンソプ氏
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シン氏は講演の冒頭,聴講者の多くが興味を持っているであろうポイントとして,Robo Recallのレンダリングクオリティがどのようにして維持されているのかを説明した。背景は900DrawCalls(描画命令),180万Polys(ポリゴン),キャラクターは1200Draw Calls,220万Polys。アクターバジェット(背景以外で動いているキャラクターや,インタラクションが可能なオブジェクト)は250以下になるように設定しているとのこと
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 Robo Recallのゲームデザインにおいては,最初に「どのようなゲームが作りたいのか」「逆に,どのようなものにしたくないのか」の2つを明確にしたそうだ。これさえ決めておけば,どのようなアイデアが出てきても,2つの方針でフィルタリングし,軸をブレさせずにプロジェクトを進めていけるという。

 Robo Recallが目指したのは,まず「プレイヤーが世界最高の能力を持つヒーローになる」ということ。映画「マトリックス」のネオのような存在になれる,というコンセプトを打ち立てたそうだ。
 また,シリアスなストーリーが展開されるようなものではなく,アクション性や爽快なゲーム性に没入できる,アーケードゲームのようにするという目標もあった。
 もう1つの重要なコンセプトが,デバイスに最適化するということだ。これは,VRで最高の体験ができるグラフィックスクオリティや,Oculus Touchならではの体験などを指す。

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 こうしたコンセプトに従って開発が進んでいったわけだが,プレイヤーが没入できるリアルなVR環境というのは,どのように作ればいいのだろうか。シン氏によれば,我々が現実で住んでいるような世界をVR環境で見ると,そのリアリティが大きく増すと考え,実在する背景や場所をモデルにして,ゲーム内に落とし込んでいったという。

 没入感を増すために気をつけたのが,プレイ時間だ。VRゲームの場合,機材を装着して体を動かす負担があるので,あまり長くプレイさせるようでは,疲れから没入感が損なわれてしまう。そこで,1ステージのプレイ時間を15分程度にし,その中で約5分ごとに1つのウェーブが発生するようなレベルデザインを行ったそうだ。

 続いては,VRゲーム開発者の多くが頭を悩ませる,キャラクターの移動について。ジョイスティックなどで自由に移動できる仕組みをVRシューターで採用すると,非常に酔いやすい。これを解決するための手法として,戦闘機やロボットに乗り込んで戦うスタイルなどがあるが,Robo Recallでは,Bullet Trainから研究していたテレポーテーション方式を採用することにした。

 しかし,ただテレポーテーションするといっても,単純に指定した場所にキャラクターが移動するだけでは,プレイヤーが違和感を覚えてしまう。そこで,テレポーテーション時,一瞬画面がホワイトアウトするエフェクトを入れて,違和感を軽減するという工夫が取り入れられた。

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 また,テレポーテーションの場所を指定するポインタも工夫されている。単純にアナログスティックなどでポインタを動かし,その場所に移動する仕組みだと,どの程度スティックを動かすとどこ移動できるのか,マップのどこまで移動が可能なのかなどが分かりにくく,ストレスが発生してしまう。

 そこでRobo Recallでは,「Budget Cuts」というゲームを参考に,「手(Oculus Touch)から放物線を描く形でポインタが表示される」という仕組みが採用された。放物線を描く場合,遠くに移動しようと思ったら手を高く上げる必要がある。逆に言えば,「手が最も上がる位置が,移動できる距離の限界」と理解できるのだ。

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 移動の次に重要な課題となったのが,インタラクションである。トレイラーを見てもらえると分かりやすいが,Robo Recallにはロボットを捕まえて,腕を引きちぎったり頭を叩いたりといった要素が盛り込まれている。
 ただ,初見では「一体どこが掴めるのか」が分からない。また,掴めるという表示を出すにしても,上から掴むのか,横から掴むのか,それとも下から掴むのかは人によるので,すべての人が納得できる表示にしなければならない。

 そこで,「The Last of Us」を参考に,掴める場所には円を表示して認知させ,そこに手を近づけると色や大きさが変わって,掴めるタイミングも理解できる仕組みを取り入れたという。

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 シューターと言えばリロードが発生するものだが,Robo Recallのリロードの仕組みは面白い。マガジンを変えるなどの動作はなく,弾を撃ちつくしたら手を離して銃を落とし,腰のところに再出現する銃をつかむという感じだ。
 なぜこのような仕組みになったのかというと,「リロード中,見ているだけ」という時間を作りたくなかったからだという。そこで,マトリックスのネオの「銃がいくらでも出てきて,それを使っては捨てる」というアクションを参考に,“銃を捨てれば撃ち放題”という仕組みを考えたそうだ。

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 アートデザインについても言及された。Robo Recallの敵にロボットを採用したのは,VRの場合,人間を撃つことに抵抗を覚える人が多くなるからとのこと。同様の理由で,ロボットといってもロボコップやアイアンマンのような「中に人が入っている」と思えるような形状ではなく,完全に機械なのが分かるよう気を付けたという。
 また,先に述べたとおりアーケードゲームをイメージして開発しているので,色彩は原色を使ったカラフルなものにしたそうだ。

ロボットのデザインは,通常のディスプレイとVRでまったく印象が異なる場合がある。シン氏は,シンプルなイメージを作ってテストをしていくのが重要だと話していた。VRでプレイしているとき,最もプレイヤーの視線が集中するパーツは,プレイヤーの目の高さにある胸部なので,ここはディテールを際立たせるべきだという
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銃はリアルすぎず,おもちゃっぽくなりすぎず,というデザインを採用。バズーカなどの巨大な火器は,Oculus Touchのサイズと違いすぎて違和感が出るので,片手で扱える大きさの銃が良いそうだ
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 次は本作のマップ制作について。先の話にあったとおり,本作のマップは実在する場所をモデルに制作されているが,それだけではロボットと戦う世界観に合わないので,随所に近未来的なオブジェクトや建物を追加したとのこと。
 「VRで見たときにどういった印象になるか」が重要なのは,ロボットだけでなくマップも同様だ。Robo Recallの開発においては,フォトグラメトリーを活用し,現実の建物のテクスチャを手軽にテストプレイのマップに取り入れることで,ゲーム内の印象をチェックしていたという。

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外部委託で大変なのは,望んでいるものを作ってもらうためのコミュニケーションだ。Robo Recallでは,写真に基づいたアセットの作成のみを外部委託にすることで,混乱を避けられたという
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 技術的な面では,Forwardレンダリングの重要性を強調。近年のPCゲームやコンシューマゲームでは,より多くの光源が扱えるDeferredレンダリングが使われることが多いが,Robo RecallではVR環境で90フレームの動作を安定させるため,Forwardレンダリングを利用したと話していた。

レンダリング解像度2160×1200ピクセル,GeForce GTX 970の環境で,Forwardの場合は9.56ms,Deferredの場合は12.3msだったという
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 VRゲームならではの工夫が随所に凝らされているRobo Recall。実際にプレイしながら,このセッションで紹介されたポイントを確認してみるのも面白そうだ。

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