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  • dV Giochi
  • 発売日:2017年内
  • 価格:22.90ユーロ
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[SPIEL’17]世界最速のシティービルダーを名乗った「Minute Realm」は,サクサク遊べるカードゲームだった
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印刷2017/11/01 14:56

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[SPIEL’17]世界最速のシティービルダーを名乗った「Minute Realm」は,サクサク遊べるカードゲームだった

 シティビルダーは,ボードゲーム(ないしカードゲーム)において人気のあるジャンルのひとつだ。シンプルなシステムを持つ作品で言えば,「街コロ」はSPIELの会場でも売られていたし,複雑なルールを持つゲームは枚挙に暇がない。
 そんななか,「世界最速のシティビルダー」を謳う「Minute Realm」がSPIEL’17の会場で試遊できたので,その模様をレポートしよう。売り文句に違わずスピーディな展開をするゲームでありながら,ちゃんとシティビルダーを遊んだ感覚が得られるカードゲームである。

dV Giochiが2017年内のリリースを予定している「Minute Realm」。デザイナーはStefano Castelli氏で,価格は22.90ユーロとなる
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「Minute Realm」公式サイト



建物カードをトレードしながら街を作ろう


 「Minute Realm」においてプレイヤーは中世くらいのイメージの世界において,自分の街を作っていく。基本的には内政重視の展開となる(ほかのプレイヤーを能動的に攻撃することはできない)が,定期的に蛮族の襲撃もあるので,きちんとした防備も整えねばならない。

次々に建物を建てていく。シティービルダーですから
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 「Minute Realm」のルールはいたってシンプルだ。まず最初に全プレイヤー共通の山札を作ったら,そこから1枚ずつを各プレイヤーの手元に配る。カードはすべて,建物カードとなっている。それから山札から2枚を公開し,これを共通の場札とする。

 手番が来たプレイヤーは,まずこのターンにどの建物カードを建設するかを選択する。このときの選択肢は,大きく分けて2つだ。

(1)自分の手元にある建物カードを選ぶ

(2)それ以外の,このターンに場に出された建物カード(ほかのプレイヤーのものも含む)を選ぶ

自分の手元に来たカードを建設することにしてもいいし,他のプレイヤーないし中央の2枚とカードを交換して建設することにしてもよい
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 (2)を選んだ場合,自分の手元にある建物カードと,選んだ建物カードを交換する。そのうえで,このような交換が発生したときに限って,カードの右上に書かれた特殊効果が発生する。
 特殊効果には「ゴールドを得る」「ゴールドをトレード相手に譲渡する」といった効果のほかに,「蛮族の襲撃が準備される」効果(ターントラックの上に蛮族チットを置く)もある。詳しくは下の写真を見てほしい。

右上のシンボルに注目してほしい。緑の丸は,トレードでこのカードを獲得すると,緑丸1つごとに1ゴールドが得られる。赤い丸は,トレードでこのカードを獲得すると,このカードを持っていた人(ないし場)に1ゴールドを払わねばならない。剣を背負ったヒゲ男の顔は,蛮族の戦力が高まることを示す
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 さて,このようにして建設するカードを選んだなら,次は実際に建設を行う。ここにおいても選択肢は2つある。

(1)カードの左上に書かれた数に等しいゴールドを払って建物を建設する:この場合,建物はそのまま自分の持ち物になる(以降は交換の対象とはならない)。

(2)カードを裏返し,砦として建設する:2ゴールドを得る。砦は勝利点にはならないが,蛮族の襲撃に対する防御力2になる。ちなみに「砦として配置できないカード」もあるので注意が必要だ。

 建物を建設したら,手番は終了である。ほかのプレイヤーも同様の選択と建設を行っていき,全員が建物カードを1枚建設したら,ターンが終了する。


蛮族の襲撃にも備えるべし


 このようにしてゲームを進めていくと,4ターン目の終了時と8ターン目の終了時に,蛮族の襲撃が発生する。
 蛮族アイコンのある建設カードを交換すると,ターントラックが「蛮族の襲撃が準備された」状態になる。ターントラックの上に蓄えられた蛮族チットをすべて公開し,これを蛮族の攻撃力として合計するのだ。
 一方で各プレイヤーは,自分の街の防御力を合計する。建物カードを裏返しにして配置していたら1枚ごとに2ポイントが得られるほか,表向きに建設しても防御力を提供してくれる建物もある。

蛮族チット。右側が裏で,左側が表。蛮族の襲撃が準備されるたびに,蛮族チットを裏向きでターントラックに配置する。蛮族の戦力は,1枚あたり0〜2
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 いずれにしても,蛮族の攻撃力が都市の防御力以下であれば防御に成功したことになり,襲撃による損害は発生しない。
 しかしながら,蛮族の攻撃力が都市の防御力より大きかったら,そのプレイヤーの都市は略奪の被害を受ける。プレイヤーは自分の建てた砦以外の建物カードを1つ選び,裏返す(砦になる)。このとき,「裏返せないカード」を選ぶことはできない。また蛮族の襲撃によって建物カードを裏返した場合,砦を設置したことによる2ゴールドは得られない。

4ターン目の襲撃が終わった直後のターントラック。2ターン目と4ターン目に蛮族の襲撃準備があり,それぞれ1戦力だった。つまり4ターン目の終了時には2戦力の蛮族が攻めてきたことになる
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 8ターン目(最終ターン)における襲撃も同じように処理する。8ターン目での襲撃は,1〜4ターン目における蛮族の攻撃力に,5〜8ターン目に加わった蛮族の攻撃力を加算して,その攻撃力を求める。
 蛮族の襲撃を撃退できなかった場合,同様な被害を受ける。撃退できた場合,蛮族の攻撃力に等しい勝利点を得る。

 最終ターンの終わりに行われる蛮族の襲撃が解決したら,ゲームは終了だ。各プレイヤーは,自分が建てた建物カードの勝利点を合計し,蛮族による最後の襲撃が撃退できていたなら,そこに蛮族の戦力に等しい勝利点を加算する。そして,勝利点のもっとも高いプレイヤーが勝利する(ゴールドなどがタイブレーカーになる)。

ゴールドはプラスチックのトークンで管理する
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小さくても,ちゃんと「シティビルダー」ができる作品


 このように,「Minute Realm」はいたって平易なシティビルダーだ。最大で5人でプレイでき,2人で遊んでもとくに問題は起こらない(使用するカードの内容と枚数が変化する)。
 売り文句どおり,ゲームはサクサクと進行し,あっという間に8ターンが終了する。蛮族の襲撃がどれくらい脅威かはプレイヤーの人数によって変化し得るが,それよりも「どのようにプレイするか」の影響が大きい。

 多くのプレイヤーが「蛮族を出さない」ようにプレイすれば,蛮族の襲撃はほとんど脅威にならないのだ(無論,積極的に蛮族を呼び込むプレイをすれば話は別だが)。
 そのうえで,蛮族チット1枚あたりの戦力期待値は1を切っており,蛮族チットが2枚あるだけなら防御力が2あればだいたい間に合う。油断しすぎると足元を掬われることになるが,「必死で防衛しなくてはならない」というバランスではないと言える。

 建物カードごとに得られる勝利点には,特定のシンボルのある建物カードごとに点数が増えたり,建設した建物カードの種類が多ければ多いほど点数が増えたりといったパターンが,建物ごとに設定されている。
 とはいえ,そういったカードを建てられるかどうかは運次第なので,その手の建物を建てられてから,改めて都市の方向性を決めていくというくらいの計画性で十分と言えるだろう。このあたりも,わりと「手なり」でプレイしていけるゲームである。

このカードの場合,ダイヤマークがついたカード(マークはカードの右下を参照)1枚ごとに3勝利点が得られる。固め打ちが有利になるパターンだ
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 「Minute Realm」はサクサクとした進行をもっとも重視していることもあり,より複雑なビルダー系ゲーム(それこそ「ル・アーブル」であるとか)に比べると,いささか展開が淡白に感じることもあるだろう。
 しかし,セットアップが簡単なことまで含めて,本作の魅力は手軽さにある。それでいて内政(勝利点やゴールドの獲得)と防衛のバランスはそれなりに考えねばならないわけで,きっちりと要点が押さえられた作品になっていると言える。

 重たいゲームを連続でプレイして,ちょっとした気分転換をしたいときには,本作は良い選択肢になるだろう。その手の気楽なゲームでありつつも,「シティビルダー」を遊んだ気分にもなれるのは,なかなかにお得感がある作品である。

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