プレイレポート
食欲の秋こそゲームで遊ぼう! カロリーを気にせずPCで楽しめる,お料理ゲーム特集
今回は,そうした“料理をメインテーマにしたゲーム”から,「Overcooked! 2」「Mary Le Chef - Cooking Passion」「Battle Chef Brigade Deluxe」「Cook, Serve, Delicious! 2!!」という,PCでプレイできるお勧めの4本を選んでみた。基本的にカジュアルなものが多いので,ゲーム初心者からベテランまで楽しめるはずだ。
調理場は大騒ぎ! マルチプレイも楽しい「Overcooked! 2」
「Overcooked! 2」は,可愛らしいシェフがてんやわんやの大騒ぎを繰り広げるゲーム。前作「Overcooked!」が話題になったのを覚えている人も多いだろう。ゲームの基本は,お客の注文に合わせて料理を作っていくというもの。材料や道具はあちこちに置かれているため,シェフは調理場狭しと動き回らなければならないのだ。
例えば,お客から鉄火巻きの注文があったとしよう。まずはケースから米を出して鍋に入れ,鍋をコンロに掛けて炊きあがりを待つ。その間に魚を取り出し,まな板へ持っていき,包丁で刻む。鍋を火に掛けたままにしておくと,米が焦げてダメになってしまうため,ほどよいところでコンロから下ろす。炊けた飯と刻んだ魚,そして海苔を皿の上に載せれば鉄火巻きの完成で,これをお客に出せば料金をもらえる。
これだけを書くと簡単だが,実際にはいろんな注文が次々に来るため,調理場は大忙しになる。とくにマルチプレイでは,忙しさにかまけた緊急避難的な措置が積み重なってしまい,物事がどんどん遅滞していくのだ。
誰かが皿洗いをしていなかったので使える皿がない。お客の注文はカッパ巻きなのに,必要なキュウリが入ったケースの上に,誰かが魚を放置している。米を炊くのに必要な鍋を,誰かがどこか適当な場所に置き去りにした……。こんな風に忙しさが物事を少しずつ狂わせていき,飲食店や接客業を経験した人にとってはお馴染みの「これをやったのは誰だ!」感を味わえる。
本作ではマップがややこしくなっており,効率よく調理を進めようとしても,なかなかそうはいかない。材料置き場と調理場が2艘のイカダに分断されていたり,揺れ動く気球にキッチンがあって,落下するとしばらく戻って来られなかったり,いろいろな施設にアクセスするためにゴンドラを動かさなければならなかったりと,混乱を誘発するような構造になっている。この世界には労働基準法なんて言葉は存在していないに違いない。
一方,シェフ達は「投げる」という新技が使えるようになっている。皿や鍋,果ては材料までをブン投げるというもので,うまく使えば時間を短縮できる。こちらがフライパンをコンロに乗せ,ほかのプレイヤーが材料を投げてぶち込む。遠い場所にある調理場まで材料を投げてリレーする……といったコンビネーションも可能で,協力プレイでうまく決まると快哉を叫びたくなる。
材料が地面に落ちようと調理さえしてしまえば問題ないので,マップによっては誰かが「材料投げ役」になって,ひたすら調理場へ食べ物を投げ込み続けるのもアリ。どうやら,食品衛生法も存在していないようだ。
反射神経というよりは,想定外の出来事に対処する能力とチームワークを問われるあたりがユニークで,知り合いと一緒に遊べば楽しさが倍増するだろう。本作から可能となったオンラインでのマルチプレイを駆使して,みんなで楽しい料理地獄へダイブしてみてほしい。
「Overcooked! 2」公式サイト
「Overcooked! 2」Steamプロダクトページ
弁護士か,シェフか? 海外ドラマのようなシナリオが楽しい「Mary Le Chef - Cooking Passion」
弁護士とシェフ,2つの夢を追うキャリアウーマン・メアリーが活躍する料理ゲームが「Mary Le Chef - Cooking Passion」だ。見た目はレストラン経営シミュレーションっぽいが,実際にはお客の注文を次々に捌いていくゲームで,クリックだけで遊ぶことができるため,今回紹介する料理ゲームの中でもかなりカジュアルな部類に入る。
基本的なゲームの流れは,お客の注文に合わせて,店のあちこちに置かれている材料をクリックして料理を作るというもの。料理を早く提供したり,複数の料理をすべてを揃えて一度に出したりすると,もらえるチップも多額になる。連続でうまくこなすとコンボとなり,より多くのお金が手に入る仕組みだ。
ただし,お客をあまり長い間放置していると,怒って帰ってしまうので要注意。また,ベーコンを焼いたり,マカロンを温めたりといった加熱ものやコーヒーメーカーも,放っておくと焦げたりこぼれたりしてダメになってしまうので気を付けよう。
物語の展開に応じて,メアリーが働く店もレストランやスイーツショップなど,さまざまに変化する。お店によっては,お客の注文に臨機応変に対応するだけでなく,下準備も重要になる。クレープの皮やペッパーといった材料はストック数に限りがあるため,時間が空いているときに小まめに補充しておかなければならないのだ。
難度はノーマルでもそう高くないうえ,お金を貯めれば「お客の忍耐力がアップするシートセット」や「コーヒーがこぼれなくなるコーヒーメーカー」など,便利な器具を買えるので,ゲームに慣れていない人でも安心して楽しめるだろう。
本作でユニークなのが,海外ドラマを思わせるシナリオだ。主人公のメアリーは大物弁護士一家の娘。弁護士になることを望まれながらも,シェフになる夢を捨てきれず,弁護士修業の傍らでレストランに勤めている。
もちろん,こんな二重生活がスムーズに行くはずもなく,兼業がバレて弁護士事務所をクビになってしまう。失意のメアリーは叔母のスイーツショップを手伝いつつ,再び弁護士になるための勉強を始めるのだが……。
メアリーの進むべき道は,親の期待どおりの弁護士か,それともレストランのシェフなのか。ステージが終わるたび,こうした軽妙なシナリオが展開するため,ついつい止めどきを見失ってしまうのだ。
「Mary Le Chef - Cooking Passion」公式Facebook
「Mary Le Chef - Cooking Passion」Steamプロダクトページ
バトルとパズルで料理の鉄人に! 「Battle Chef Brigade Deluxe」
料理をテーマとしたアクションRPG+パズルゲームという,欲張りなゲームが「Battle Chef Brigade Deluxe」。本作は,2017年に発売された「Battle Chef Brigade」に無料アップデートを行い,自由に料理バトルをできる「フリープレイモード」や,ローカルマルチプレイなどを追加した作品だ。
舞台となるのは,剣と魔法の世界ヴィクタシア。主人公の少女・ミナは「バトルシェフ」を目指して登用試験に挑む。バトルシェフとは,人々の飢えを癒すべく,魔物を狩って食材とする,特別な料理人達のこと。魔物と戦う剣技と魔術,そして料理の技術が求められるのだ。
本作の見どころは,ほかのバトルシェフ候補生達との料理バトル。懐かしのTV番組「料理の鉄人」さながらにショーアップされており,審査員達の出すお題に沿った料理を,限られた時間内に提供しなければならない。
料理バトルの会場には魔物がいるフィールドが用意されており,魔物を倒して手に入れた食材をキッチンに持ち帰るのだ。もちろん,魔物も黙ってやられてくれるわけではない。とくにドラゴンなど大型の魔物は,返り討ちに遭いかねないくらいに危険だ。一定時間無敵になる回避で攻撃をかわし,剣のコンビネーションや,竜巻を設置する魔法,燃焼や凍結といった属性を持つダガーを駆使して攻撃しよう。
キッチンでは食材を鍋に放り込んで3マッチパズルを行う。食材は赤(火),緑(地),青(水)といった“うま味”のジェムで構成されており,回転させて同じ色を3つ揃えるとジェムが融合してうま味がレベルアップし,料理がおいしくなる。どんどん魔物を狩って食材にし,ジェムを揃えてうま味を凝縮していこう。ジェムが揃うと料理の見た目も豪華になっていくのが楽しい。
本作を面白くしているのが,審査員達がいろいろなお題を出すこと,料理バトルには制限時間が存在すること,そして魔物達が動物っぽい振る舞いをすることだ。
審査員のお題は“特定の魔物を食材に使う”“特定の色のジェム(うま味)を含める”などさまざまで,料理がお題に合致しているほど高評価となる。食材によってジェムの構成も異なるので,単にパズルがうまいだけでは料理バトルを勝ち抜けない。
制限時間のあいだはフィールドとキッチンを自由に行き来できる。うま味が足りない場合は食材を調達しに行ってもいいが,残り時間が少ない時などは,このまま妥協した料理を出してしまうか,速攻で狩りと調理を済ませられる可能性に賭けるかで心が揺れ,なかなかにスリリングだ。
魔物達は単なる障害物ではなく,動物っぽい振る舞いをする。互いに攻撃し合ったり,倒した相手(食材)を食べたりもするため,性質を理解すれば食材確保の効率も上がる。例えば鳥のような「チープッチ」は,食材を食べると満腹して卵を産む。つまり,卵が欲しい場合,魔物を倒して食材を放置しておけば,そのうちチープッチがやって来て食材を食べ,産卵してくれるというわけだ。
ゲームが進むと食材も複雑になり,“回転させすぎると壊れるひび割れジェム”や“料理の評価を下げる毒のジェム”が含まれるものも登場。ひび割れジェムは少ない回転数で揃え,毒は残さないようにうまく消すなど,さらに高度な対応が求められる。
オシャレ系アニメを思わせるアートがそのまま動くため,アニメ番組を見ているような気分になれる本作。一風変わったゲームを遊びたい人にお勧めだ。
「Battle Chef Brigade Deluxe」公式サイト
「Battle Chef Brigade Deluxe」Steamプロダクトページ
掃除にゴミ捨て,そして恐怖のラッシュアワー。リアルなワンオペ体験ができる「Cook, Serve, Delicious! 2!!」
たった一人で飲食店を切り回す,ワンオペの恐怖を存分に味わえるのが「Cook, Serve, Delicious! 2!!」。今回紹介する料理ゲームの中では唯一,日本語に対応していないが,ルール自体は簡単なので,本稿を読めば問題なく遊ぶことができるだろう。ややこしいオプションメニューへの対応や雑用の苦労など,リアルな店員体験がポイントだ。
店には腹を減らしたお客が次々とやって来るので,注文どおりの料理を作って出すのがプレイヤーの仕事だ。調理は料理ごとに決められたショートカットキーを押すことで行われる。例えば「French Ham」という簡単なメニューの場合,まずはお客に振られた番号のキーを押し,Hキーでハムを乗せ,Eキーで卵焼きを置き,Rキーでクロワッサンをトッピングすれば完成だ。
こう書くと,メニューごとに対応するキーを覚えてしまえば機械的にタイプするだけでうまくいくように思えるのだが,さにあらず。同じ料理でもオプションが違う場合があり,ショートカットキーの組み合わせも違ってくる。要するに,同じ牛丼でもノーマルと「ねぎ抜き」と「つゆだく」では,それぞれ調理法が異なってくるようなものだ。
例えば「Ice Cream Sundae」(アイスクリームサンデー)の場合,アイスだけでもバニラ(V),チョコレート(C),ミント(M),プラリネ(P),ロッキーロード(R),シャーベット(S),クッキー入り(C),バター(B)の8種類が存在。
さらにトッピングが,チョコシロップ(C),ストロベリーシロップ(S),バナナ(B),ハードキャンディ(H),グミ(G),ナッツ(N),スプリンクル(P)の7種あるうえ,イチゴ(S),砕いたクッキー(C),生クリーム(W)という飾りもあり,お客がどの組み合わせを頼んでくるかは分からない。
あるお客が「チョコレートアイスにストロベリーシロップとハードキャンディとグミを乗せて,生クリームもかけて!」とオーダーしたかと思えば,別のお客は「こっちはミントアイスにグミとナッツで!」と叫ぶ……といった具合で,同じアイスクリームサンデーでも押すべきキーの種類と数がまったく変わってくる。
プレイヤーが勤める店はファーストフード店からスタバ風のコーヒーショップ,ファミレスまでさまざまだが,多くの店にこうしたややこしいメニューが存在しており,店員を泣かせてくれる。普段は何気なく頼んでいるこうしたオプションだが,今度お店に行くときは素早く分かりやすく注文しよう……と思ってしまった。
逆に,店員にとってありがたいのはアメリカンドッグやプレッツェルなどの出来合いのメニューだ。本作にはこうしたメニューを作り置きしておける「HS(Holding Station)」という枠があり,あらかじめ材料をセットしておけば,あとはお客の注文に合わせて調味料をかけるだけでいい。作り置きが切れるとすぐには対応できないなど弱点もあるが,ややこしいオプションよりはずっとマシで,このあたりも店員体験としてリアルに感じられた。
こうして業務をこなしているうちに「ラッシュアワー」がやって来て,店員を恐怖のどん底に叩き込んでくれる。次から次へとお客がやって来て好き放題な注文をするうえ,「ゴミ捨て」「ドリンクサーバーの補充」「トイレ掃除」「強盗の撃退」「火事の消火」など,雑用が発生する頻度も上昇。これらをすべて1人でこなさなければならないため,ワンオペの過酷さを存分に味わうことができる。
とくにゴミ捨ては印象的で,ゴミを押し込むためにMキーでゴミ箱に蹴りを入れなければならない場合がある。お客の列がどんどん伸びる中で慌ててMキーを連打していると,本当のワンオペ店員になったような焦りが味わえるのだ。
料理の種類が非常に多いうえ,グラフィックスもおいしそう。また,揚げ物や焼き物など調理の音がリアルで,遊んでいるとお腹が空いてくる。店員さんの苦労を偲びつつ,レストランで何か食べたくなってくる,そんなゲームなのだ。
「Cook, Serve, Delicious! 2!!」公式サイト
「Cook, Serve, Delicious! 2!!」Steamプロダクトページ
料理ゲームはこれだけに留まらない。主観視点でリアルな料理体験ができる「Cooking Simulator」(2018年12月6日発売予定)や,森で見つけたキノコを調理する「Mushrooms: Forest Walker」(2018年予定)など,期待の新作も目白押しだ。ポテチやスナックなどのジャンクフードを食べつつゲームをするのもいいが,時には料理ゲームで食べ物のありがたさを再確認するのも面白いのではないだろうか。
「Cooking Simulator」Steamプロダクトページ
「Mushrooms: Forest Walker」Steamプロダクトページ
- 関連タイトル:
Overcooked 2 - オーバークック2
- 関連タイトル:
Overcooked 2 - オーバークック2
- この記事のURL:
キーワード
Overcooked 2. Developed by Team17 Digital Ltd and Ghost Town Games Ltd (C)2018. Published by Team17 Digital Ltd. Team17 is a trademarks or registered trademarks of Team17 Digital Limited.
All other trademarks, copyrights and logos are property of their respective owners.