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ASUS製「TUF-GTX1650S」レビュー。SUPERの名を冠する新型エントリー向けGPU「GeForce GTX 1650 SUPER」の立ち位置は?
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印刷2019/12/05 00:00

レビュー

SUPERの名を冠する新型エントリー向けGPU「GeForce GTX 1650 SUPER」の立ち位置は?

GeForce GTX 1650 SUPER
(ASUS TUF-GTX1650S-O4G-GAMING)

Text by 宮崎真一


 NVIDIAのエントリー向け新型GPU「GeForce GTX 1650 SUPER」(以下,GTX 1650 SUPER)を搭載したグラフィックスカードが,2019年11月22日に国内発売となった。GTX 1650 SUPERは,「GeForce GTX 1650」(以下,GTX 1650)と同じTuring世代のGPUであるが,GPUコアに上位モデルの「GeForce GTX 1660」(以下,GTX 1660)と同じ「TU116」を用いている点が最大の特徴だ。
 そんなGTX 1650 SUPERが持つ性能はどの程度なのだろうか。今回は,同GPUを搭載するASUSTeK Computer(以下,ASUS)製グラフィックスカード「TUF-GTX1650S-O4G-GAMING」(以下,TUF-GTX1650S)を使っていくつかのテストを行い,そのポテンシャルを明らかにしてみよう。

TUF-GTX1650S-O4G-GAMING
メーカー:ASUSTeK Computer
実勢価格:2万円台後半(税込,※2019年12月5日現在)
画像集 No.002のサムネイル画像 / ASUS製「TUF-GTX1650S」レビュー。SUPERの名を冠する新型エントリー向けGPU「GeForce GTX 1650 SUPER」の立ち位置は?


TU116のフルスペックからTPCを2基無効化

GDDR6をグラフィックスメモリとして高速化を実現


 GTX 1650 SUPERは,2019年10月発売の「GeForce GTX 1660 SUPER」と同時に発表となったので,概要やスペックもそのときに明らかにされている。とはいえ,覚えていないという人も多いと思うので,おさらいを兼ねてGTX 1650 SUPERがどのようなGPUなのかを説明しておこう。

 冒頭でも述べたとおり,GTX 1650 SUPERは,GPUコアにTU116を採用している。従来のGTX 1650は,「TU117」コアを採用していたので,同じモデルナンバーを冠してはいるものの,GTX 1650 SUPERとGTX 1650とは,実のところまったくの別物と言ってよさそうだ。
 GTX 1650 SUPERはTU116コアを採用しているため,32bit単精度浮動小数点数(FP32)の演算器と32bit整数(INT32)の演算器からなる「CUDA Core」を16基と,

  • Warpスケジューラ:1基
  • 命令発行ユニット:1基
  • ロード/ストアユニット:4基
  • 16bit半精度浮動小数点数演算器:32基

をまとめた1つのブロックとしたうえで,そのブロックを4基たばねて,L1キャッシュとテクスチャ演算ユニット4基と組み合わせることで「Streaming Multiprocessor」(以下,SM)を構成する仕様となる。
 このSMを2基まとめて,ラスタライズ実行単位となるクラスタ「Texture Processing Cluster」(以下,TPC)を構成。さらに,TPCを4基まとめてCPUコア的クラスタである「Graphics Processor Cluster」(以下,GPC)として,そのGPCを3基搭載することで,フルスペックのTU116を構成していた。

 GTX 1660では,TU116のフルスペックからTPCを1基分無効化していたが,GTX 1650 SUPERでは,さらにもう1基減らして,フルスペックのTU116から2基分のTPCを無効化したGPUとなる。そのため,TPCの総数は10基となり,CUDA Core数は1280基となる計算だ。GTX 1660は1408基だったので,GTX 1650はGTX 1660比で91%程度の規模と言えよう。

GTX 1650 SUPERのブロック構成を想定した図。あくまでもイメージではあるが,TPCを2基分無効化してある
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 そして,GTX 1650 SUPERでは,グラフィックスメモリにGDDR6を採用している点も見逃せないポイントだろう。GDDR6を採用したことで,GTX 1650のメモリクロックは12GHz相当まで向上し,メモリインタフェースこそ128bitと狭いものの,メモリバス帯域幅は192GB/sで,GTX 1660に匹敵するスペックとなった。

CUDA Toolkitに含まれる「DevQueryDrv.exe」を実行した結果。L2キャッシュ容量はGTX 1650と同じ1MBだった
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 GTX 1650 SUPERの主なスペックを,GTX 1650およびGTX 1660と合わせて表1にまとめたので参考にしてほしい。

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ブーストクロック1770MHzのクロックアップモデル

カード長は約205mmと短め


 ここからは,TUF-GTX1650Sのカードそのものについて見ていこう。まず,動作クロック設定は,ベースクロックが1530MHzで,ブーストクロックが1770MHzである。前者はリファレンス仕様と変わらないが,後者は45MHz引き上げられたクロックアップモデルとなっている。なお,メモリクロックはリファレンスと同じ12GHz相当だ。

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 付属アプリケーションの「GPU TweakII」(Version 2.1.1.0)を用いると,動作クロック設定が異なる「OC Mode」「Gaming Mode」「Silent Mode」の3つの動作モードを選択可能である。工場出荷時はGaming Modeで,前述のクロック設定はこのモードを選んだ状態だ。続くOC Modeでは,ブーストクロックが1800MHzに上がり,「Power Target」(電力目標,以下 日本語表記)もGaming modeの100%から110%へ上昇する。最後のSilent Modeは,ブーストクロックが1740MHzに,電力目標が90%にそれぞれ低下する。ちなみに,メモリクロックはどの動作モードでも変わらない。
 なお,工場出荷時設定のGaming Modeにおいて,後述するテスト環境でGPUコアのクロックがどこまで上昇するかGPU TweakIIで追ってみたところ,2010MHzに達していることを確認した。

付属アプリケーションのGPU TweakII(左)。後述するテスト環境で,GPU TweakIIでGPUコアクロックを追ってみると,最大クロックは2010MHzに達していた(右)
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カード長は実測で約205mm
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 さて,TUF-GTX1650Sのカード長は,実測で約205mm(※突起部除く)。今回は,比較対象のGTX 1650搭載カードとしてASUS製「ROG-STRIX-GTX1650-O4G-GAMING」を使用したのだが,そちらのカード長は約242mmだったので,それよりは40mmほど短い計算になる。ただし,基板自体は169mmほどしかなく,カード後方にGPUクーラーが約36mmはみ出た格好だ。

GPUクーラーは,2スロットよりやや厚い2.3スロット仕様だ
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 GPUクーラーは2.3スロット占有タイプで,短い代わりに厚さがある。80mm角相当のファンを2基搭載しているのだが,本製品でユニークなのは,GPU TweakIIからファンの回転数を1%刻みで24〜100%の範囲でファンごとに設定できる点だ。
 なお,ASUSによると,これらのファンで使っているベアリングには,航空宇宙用途で使われる高耐久性のものを採用しているのに加えて,防塵仕様でもあるとのこと。GPUクーラーのヒートシンクには,8mm径のヒートパイプが1本用いられており,ヒートパイプが直接GPUのダイ(※半導体本体)に触れる「DirectCU II」仕様である点も特徴として挙げられようか。

200mm強のサイズに2基のファンを搭載(左)。背面側に金属製の保護プレートを備えるのは今どきの仕様といったところ(右)
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 補助電源コネクタは6ピン×1仕様だが,リファレンススペックでは補助電源コネクタを必要としなかったGTX 1650と比べると,消費電力は確実に増えていると言ってよさそうだ。
 映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4,HDMI 2.0b,Dual-Link DVI-Dが各1基ずつという構成だ。DVI-Dを用意しているあたりは,エントリー向けを意識してのことだろう。

PCIe補助電源コネクタは6ピン×1(左)。ブラケット部分には左からDisplayPort,HDMI,DVI-Dの順で並んでいる(右)
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GTX 1660およびGTX 1650との比較を実施

ドライバはGeForce 441.20 Driverを利用


 それでは,テスト環境の構築に話を移そう。
 今回,比較対象には上位モデルであるGTX 1660搭載カードと,下位モデルとして先述のASUS製GTX 1650搭載カードを用意した。今回用意した比較対象は,いずれもクロックアップモデルであるため,GPU TweakIIでリファレンスと同じになるよう動作クロックを下げて使用している。また,TUF-GTX1650Sもクロックアップモデルであるため,素のクロックアップ状態とGPU TweakIIでリファレンスに動作クロックを下げた状態の2パターンでのテストを実施することにした。

 テストに用いたグラフィックスドライバは,「GeForce 441.20 Driver」。GTX 1650 SUPERのリリースに合わせて公開となった――正確には,リリース済みのドライバソフトを後から対応させた――ドライバソフトである。とくに断りがない限り,OSの「電源プラン」は「高パフォーマンス」で統一した。そのほかのテスト環境は表2に示しておく。

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 テスト内容は4Gamerのベンチマークレギュレーション22.1に準拠。ただし,レギュレーション23を先取りする形で,「Far Cry 5」の代わりに「Far Cry New Dawn」,「Middle-earth: Shadow of War」の代わりに「Borderlands 3」,「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」の代わりに,「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチ)を使用した。

 テスト方法は,GTX 1660 SUPERのレビュー記事と同じなのだが,簡単に説明するとFar Cry New Dawnは「最高」プリセット,「Borderlands 3」は「高」プリセットで,それぞれゲームに含まれるベンチマークモードを実行。FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチに関しては,「最高品質」を選択している。
 解像度は,NVIDIAがGTX 1650 SUPERについて,フルHDにおけるゲームプレイを想定していることから,2560×1440ドット,1920×1080ドットの2つを選択した。3840×2160ドットは,GTX 1650 SUPERにとっては描画負荷が大き過ぎて実用的ではないとの判断で省略している。


GTX 1650から4割弱の性能向上を実現

GTX 1660比では9割程度のパフォーマンスを発揮


 以下,文中とグラフ中ともに,TUF-GTX1650Sの動作クロックをリファレンスに落とした状態をGTX 1650 SUPER,製品本来のクロックアップ状態を「ASUS 1650 SUPER」と表記することを断りつつ,「3DMark」(Version 2.10.6799)の結果から順に見ていこう。

 グラフ1は「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものだ。GTX 1650 SUPERのスコアは,GTX 1660の81〜91%程度といったところ。しかし,GTX 1650を34〜35%程度引き離しており,かなりの性能向上を果たしている。
 なお,ASUS 1650 SUPERとGTX 1650 SUPERとの差は1%前後で,クロックアップの恩恵はあまり見られない。

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 続くグラフ2は,Fire StrikeにおけるGPUテスト「Graphics test」の結果を抜き出したものになるが,全体の傾向としては,総合スコアを踏襲している。GTX 1650 SUPERのスコアは,GTX 1660の80〜89%程度で,GTX 1650比では34〜35%程度上回った。
 また,ここでもクロックアップの恩恵は1〜2%ほどと,あまり目立った結果は得られていない。

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 同じくFire Strikeから,オープンソース物理演算エンジン「Bullet Physics」をソフトウェア実行する事実上のCPUテスト「Physics test」のスコアを抜き出したものがグラフ3だ。今回のテストではCPUを揃えているため,スコアはキレイな横並びとなっている。

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 CPUとGPU,両方の性能がスコアに影響する「Combined test」の結果がグラフ4だ。ここでもGTX 1650 SUPERのスコアは,GTX 1660の88〜89%程度であるが,総合スコアよりも若干だが差を詰めた。一方,GTX 1650との差が36〜39%程度である点は,総合スコアの傾向とあまり変わらない。

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 3DMarkのDirectX 12テスト「Time Spy」における総合スコアをまとめたものがグラフ5となる。GTX 1650 SUPERのスコアがGTX 1660の86〜89%程度である点はFire Strikeと変わらず,GTX 1650との差も31〜34%程度で,Fire Strikeと似た傾向だ。
 また,ASUS 1650 SUPERとGTX 1650 SUPERとの差はようやく1%というレベルで,クロックアップの恩恵はあまりない点も同様である。

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 グラフ6は,Time Spyの総合スコアからGPUテストの結果を抜き出したものである。GTX 1650 SUPERは,GTX 1660の84〜88%程度で,GTX 1650には34〜38%の差を付けているといった具合で,総合スコアを踏襲している。

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 グラフ7は,CPUテストの結果を抜き出したものだが,Fire Strikeがそうであったように,Time SpyでもCPUが揃っているため,横並びの結果となった。

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 続いては,実際のゲームアプリケーションにおける性能を検証していこう。
 グラフ8〜9はFar Cry New Dawnのテスト結果だが,GTX 1650 SUPERは,平均フレームレートにおてGTX 1660の95〜96%程度,GTX 1650には38〜42%程度の差を付けるといった具合で,上位モデルに肉薄するスコアを発揮している。
 また,ASUS 1650 SUPERはGTX 1650 SUPERから平均フレームレートを1%ほどしか伸ばせておらず,3DMarkと同様にクロックアップの効果は薄い。

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 「Overwatch」の結果がグラフ10〜11だが,GTX 1650 SUPERは,平均フレームレートでGTX 1650に37〜38%もの差を付けて,格の違いを見せつけた。GTX 1660比で92〜96%も立派の一言。一方,ASUS 1650 SUPERは,GTX 1650 SUPERに平均フレームレートで2〜3%の差を付け,クロックアップによる有意なフレームレートの向上を確認できた。

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 グラフ12〜13は「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)のテスト結果だ。GTX 1650 SUPERのスコアは,平均フレームレートでGTX 1660の91〜92%ほどと,これまでのテスト結果を踏襲している。一方,GTX 1650には30〜36%の差を付けており,1920×1080ドットであれば100fpsを超えている点は評価できるポイントだ。
 一方,ASUS 1650 SUPERとGTX 1650 SUPERとの差は,1920×1080ドットではスコアのブレによって平均フレームレートの順位が入れ替わってはいるが,その差は1fpsもなく,クロックアップの恩恵はほとんどない。

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 「Fortnite」の結果をまとめたのがグラフ14〜15だが,平均フレームレートにおけるGTX 1650 SUPERのスコアは,GTX 1660比で85〜89%といったところ。GTX 1650に対しては,34〜48%程度としっかり差を付けており,やはり上位モデルに近いパフォーマンスを発揮している。
 なお,ASUS 1650 SUPERはGTX 1650 SUPERに対して,1920×1080ドットにおいて平均フレームレートで約8%の差を付けており,ここではクロックアップの効果がハッキリと確認できた。

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 グラフ16〜17は,Borderlands 3の結果だが,ここでもGTX 1650 SUPERは,平均フレームレートでGTX 1650に39〜43%もの差を付ける一方で,GTX 1660の90〜92%のスコアを発揮し,上位モデルに迫る勢いを見せている。
 ASUS 1650 SUPERとGTX 1650 SUPERとの差は,平均フレームレートにおいて1fpsにも達しておらず,ここでもクロックアップの効果はあまりない。

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 グラフ18はFFXIV漆黒のヴィランズ ベンチの総合スコアをまとめたものだ。GTX 1650 SUPERは,GTX 1660比で93〜95%程度ものスコアを記録。一方,GTX 1650との差は36〜40%程度にも達した。とくに2560×1440ドットにおいては,スクウェア・エニックスが指標で最高評価とするスコア7000にGTX 1650は届いていないのに,GTX 1650 SUPERが優に上回った点は注目すべきポイントだ。

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 FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートをまとめたものがグラフ19〜20だ。平均フレームレートは,総合スコアを踏襲する形となっているが,見どころは最小フレームレートである。GTX 1650 SUPERは,最小フレームレートにおいてGTX 1650に40〜48%程度もの差を付けており,この点は評価に値しよう。

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 ゲームのテストで最後となる「PROJECT CARS 2」の結果をグラフ21〜22にまとめた。平均フレームレートを見ると,GTX 1650 SUPERはGTX 1660の89〜92%程度で,GTX 1650を39〜40%程度上回るといった具合に,上位モデルに迫るパフォーマンスを発揮している。

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消費電力はGTX 1660と同程度

コンパクトながらもGPUクーラーの冷却性能は十分


 さて,GTX 1650 SUPERの消費電力や発熱もチェックしておこう
 GTX 1650は,PCIe補助電源コネクタを必要としなかったのに対して,GTX 1650 SUPERでは6ピンが1つ必要となっており,消費電力の増加が気になるところだ。TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)も100Wと,GTX 1650の75Wから確実に上昇しているが,実際の消費電力はどの程度なのだろうか。
 今回は,「4Gamer GPU Power Checker」(Version 1.1)を用いて,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチ実行時におけるカード単体の消費電力推移を見てみることにしよう。

 グラフ23が消費電力推移の計測結果で,GTX 1650 SUPERは,おおむね90W付近を推移しており,GTX 1660とあまり大差ないように見受けられる。100Wを超えた回数をカウントしてみると,GTX 1650が29回であるのに対してGTX 1650 SUPERは127回であり,消費電力は確実に上昇しているようだ。
 なお,同様にGTX 1660では100Wを超える場面が158回あり,それに比べれば,GTX 1650 SUPERは消費電力が低いようにも捉えられる。

※グラフ画像をクリックすると,横に引き伸ばした拡大版を表示します
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 そんなグラフ23における中央値を求めたものがグラフ24だ。GTX 1650 SUPERは約89Wで,GTX 1660とあまり変わらない結果になった。GTX 1650比では20W以上もの開きがあり,消費電力はかなり増えていると言ってよさそうだ。

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 念のため,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いてシステム全体の最大消費電力も計測してみた。この計測にあたっては,Windowsの電源プランを「バランス」に設定。さらに,ゲーム用途を想定して無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点をタイトルごとの実行時,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」としている。その結果がグラフ25となる。
 見てのとおり,GTX 1650 SUPERはGTX 1660と比べて4〜23W程度低い結果を残しているが,このテストではピーク時の値をスコアとして採用するため,差が開きやすい。とはいえ,GTX 1650 SUPERは,GTX 1650と20〜26Wもの差が生じており,20Wほどの消費電力の増大は確実のようだ。

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 最後にGPUの温度もチェックしておきたい。ここでは,温度を約24℃に保った室内で,テストシステムをPCケースに組み込まず,いわゆるバラックに置いた状態から,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,「GPU-Z」(Version 2.27.0)から温度を取得することにした。
 その結果はグラフ26のとおり。GPUごとに温度センサーの位置は異なり,また,温度の制御方法やGPUクーラーも異なるため,横並びの評価に意味はない。それを踏まえたうえでスコアを見ていくわけだが,GTX 1650 SUPERは高負荷時でも67℃に留まり,70℃を下回っている点は評価できよう。非常にコンパクトにまとまったGPUクーラーではあるが,その冷却性能は十分と言ってよさそうだ。

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 筆者の主観であることを断りつつ,ASUS 1650 SUPERの動作音に触れると,静音性に優れているとは言えないまでも,かなり静かな印象を受けた。少なくとも,今回GTX 1660搭載カードとして使用したGeForce GTX 1660 GAMING X 6Gよりも,動作音が小さいことは間違いない。


最大のネックはやはり価格

現時点で最大のライバルは上位モデル


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 以上のテスト結果を踏まえるに,GTX 1650 SUPERは,GTX 1650から確実な性能向上を果たし,GTX 1660に次ぐパフォーマンスを発揮するGPUであると言ってよさそうだ。もちろん,エントリー向けGPUとしては,消費電力が増大している点はネックとなるが,それを考慮に入れてもGTX 1650 SUPERの性能の高さはなかなか魅力的であろう。

 しかし,最大のハードルとなるのは価格だ。たとえば,今回テストを行ったTUF-GTX1650Sの実勢価格は2万5000〜2万8000円程度で,2万6000〜3万円程度で販売中のGTX 1660とほとんど変わらないのである。価格が同じであるなら,わざわざGTX 1650 SUPERを選ぶ理由はまずない。
 TUF-GTX1650Sは,GTX 1650 SUPER搭載カードの中でも高価なほうなので,メーカーやブランドを選ばなければ,GTX 1650 SUPER搭載モデルでも税込2万2000円ほどで販売されている製品はある。しかし,わずか数千円足せばGTX 1660を購入できる以上,GTX 1650 SUPERの立ち位置はかなり微妙だ。GTX 1650は補助電源コネクタを必要としないというニッチな需要があったが,GTX 1650 SUPERにはそれがない。

 GTX 1650 SUPERが真価を発揮するのは,もう少し価格がこなれるのを待つ必要がありそうだ。少なくとも2万円を少し上回る程度にまで価格が下がれば,GXT 1650 SUPERのコストパフォーマンスは抜群によくなり,かなり魅力的なGPUになるのではないだろうか。

ASUSのTUF-GTX1650S製品情報ページ

NVIDIAのGeForce GTX 16シリーズ製品情報ページ

  • 関連タイトル:

    TUF Gaming

  • 関連タイトル:

    GeForce RTX 20,GeForce GTX 16

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