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「あんスタ!!」ストーリー紹介連載第12回。スカウト!スパイTHEミッション,羨望◆小さな翼のフェザータッチ,スカウト!ハロウィンBOX,Howl!魂を燃やす不夜城を語る

 Happy Elementsがサービス中のアイドル育成ゲーム「あんさんぶるスターズ!!BasicMusic」。そのストーリーを紹介する連載第12回では,「スカウト!スパイTHEミッション」「羨望◆小さな翼のフェザータッチ」「スカウト!ハロウィンBOX」「Howl!魂を燃やす不夜城」の4本を取りあげる。

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 本記事では,“知っているとストーリーがより楽しめるポイント”の解説と,各イベントやスカウトの感想,考察をお届けする。記事内では詳細なネタバレは控えているが,できるだけ各ストーリーの読了後に読むのがおすすめ

スト−リー紹介連載のバックナンバーはコチラ

「あんさんぶるスターズ!!」公式サイト



ストーリーピックアップ
「スカウト!スパイTHEミッション」

開催期間:2020年10月14日〜10月30日

――あらすじ――

 蓮巳敬人の同人誌をこっそり持ち出した天祥院英智。ひょんなことからその同人誌は三毛縞 斑の手に渡り,英智は鬼龍紅郎とともに斑を追いかけることになる。やがて事件は解決したかに見えたものの,一連の騒動には黒幕がいたことが判明し……。<全8話/シナリオ:木野誠太郎(Happy Elements株式会社)>

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◆ストーリーのここをチェック!

みんな大好きミズハノメ先生ふたたび

 本人の意思に反し,Twitterトレンドにまでなってしまったミズハノメ先生……。詳細についてはぜひ前回記事を参照されたい。

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火花を散らす三毛縞 斑と天祥院英智

 序盤から不穏な空気を醸し出す三毛縞 斑と天祥院英智。英智は言わずもがな一昨年度の“革命”の首謀者だ。彼は学院を大きく改革することには成功したものの,その過程で五奇人をはじめとした多数の犠牲を出した。その歴史のなかで心に傷を負ってしまったKnightsの月永レオや,五奇人だった深海奏汰は斑にとって大切な存在だったため,斑は英智に対して思うところがあったと見られる。時系列的には昨年の夏ごろ,レオが表舞台に復帰しようとしていた時期の「!」の【スカウト!コンチェルト】にて,英智と斑がとてつもなく緊張感のある会話を繰り広げる(蓮巳敬人もその場に居合わせている)場面を見られる。

「!」 【スカウト!コンチェルト】より
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黒縄地獄とは?

 同人誌(「D」)を盗み出された蓮巳敬人は,天祥院英智に「貴様は黒縄地獄行きだ」と言い放ち憤慨する。経典により異なる場合もあるが,仏教における地獄には8つの階層があり(八大地獄),生きている間に犯した悪事によって向かう先が決まっている。そのなかにある「黒縄地獄」は殺生と盗みを働いた者が堕ちるとされており,燃える黒縄で痛めつけられたうえ,熱鉄の斧またはノコギリで切り裂かれる……というのが10兆年以上続く恐ろしい場所である。ということで敬人の怒りは相当なものだと言えそうだが(もちろん幼馴染であるが故の発言なのだろうが),敬人の口からこういった言葉が出てくるのは,彼が寺の息子であることに由来する。

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鬼龍紅郎のドラマ出演について

 鬼龍紅郎は,高校生だった昨年度にもドラマに出たことがある。だが,紅郎はドラマや演技について詳しくなかったため,出演にあたって仲間たちに指導をしてほしいと相談を持ちかけた。その話が「!」の【スカウト!熱血硬派】である。ちなみにその話に登場したのは紅郎,南雲鉄虎,守沢千秋,明星スバル,衣更真緒,高峯 翠で,空手部+バスケ部というなんとも体育会系なノリが非常に楽しくておすすめなストーリーだ。

「!」 【スカウト!熱血硬派】より
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友情出演:天満 光と乙狩アドニス

 「D」をめぐる三毛縞 斑と天祥院英智の戦いに“助っ人”として登場した天満 光と乙狩アドニスは,夢ノ咲学院の陸上部メンバーだ。昨年度は斑が陸上部部長を務めていたため,この3人はそこそこの接点があった。とはいえ作中で話されているとおり,今年度の光とアドニスはサークル「スポーツサバイバー」で英智とともに活動をしていたりもする。ちなみに光は,「!」の【花吹雪*皐月の藤祭】で斑にライブ中担いでもらったことがあり,【挑戦!願いの七夕祭】では鬼龍紅郎に肩車をしてもらったことがある(う,羨ましい……)。

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◆筆者が選ぶ“心に残った言葉”とストーリー所感

 同じん……「D」をめぐる戦いを描いた,スリリングかつコミカルな物語である。アイドル活動の話から少し離れた,こういうウェルメイドなストーリーが出てくるのも「あんスタ!!」の面白さの1つだろう。そしてこの手の話には,蓮巳敬人がとてもよく似合っているような気がする(巻き込まれ型……)。

 ということで本作は,ESで繰り広げられる本筋とはまた別の楽しさがある話だ。だが,多くのストーリーと同様に,ほかの話を読んで登場人物の関係性をおさえておくと,ストーリーにより深みが出てくるのではないかと思う。例えば,火花を散らした三毛縞 斑と天祥院英智について解説したが,斑と鬼龍紅郎にもそうした緊張感あふれるやりとりを見せるストーリーがあったりする(「!」の【躍進!夜明けを告げる維新ライブ】)。斑と紅郎はこのときに本音を明かし合って,他にはないつながりができたようだ。

「!」 【躍進!夜明けを告げる維新ライブ】より
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 そして【スカウト!スパイTHEミッション】で注目すべきは,なんといってもこの騒動のそもそもの発端である英智と敬人の関係性だろう。彼らのつながりは2人が幼少期のころまで遡る。それが語られたものの1つに「!」の【決別!思い出と喧嘩祭】があるのだが,そこで英智が「天祥院家は身体が弱い一族のため葬儀が多く,そのなかで寺の息子の敬人と出会った」「仲良くなった敬人が,本を読んだり空想のお話を聞かせてくれたりした」と語っている。

「!」 【決別!思い出と喧嘩祭】より
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 大財閥の病弱な息子,という何かと特別扱いされてきた英智にとって,遠慮も屈託もなく,時に自分を激しく叱ってくれる敬人は,今も変わらず何ものにも代えがたい友だ。英智の悪ふざけや敬人の本気の怒りは,こういう絶対的なつながりがあるからこそのものなのだろう。お互いに揺るぎない信頼があるから,こういう軽口を叩けるのだ。それを踏まえて彼らのこうした騒動を見ると,なんとも微笑ましく思える(例えて言うなら「トムとジェリー」のような……)。

 ラストでは,敬人の「D」を元にして映画を作ろうかと英智が言うが,むしろ彼ら自身の歴史が,一番笑いあり涙ありのドラマチックな物語になるかもしれないな,などと感じたストーリーだった。

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ストーリーピックアップ
「羨望◆小さな翼のフェザータッチ」

開催期間:2020年10月15日〜10月24日(Basic)
     2020年10月15日〜10月23日(Music)


――あらすじ――

 【MDM】を無事に乗り越えたALKALOIDだが,白鳥藍良はメンバーとの実力差を感じて落ち込む日々を送っていた。そんな折,プロデューサーはALKALOIDの出演する企画の話を持ちかける。4人はそれぞれアイデアを考えてくることになり,風早 巽は藍良がアイドルとしての理想の自分を描いた企画に注目する。<全13話/シナリオ:日日日>

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◆ストーリーのここをチェック

ワッショイ祭ってなんですか?

 解説しよう! 本ストーリーで白鳥藍良が「トップアイドルたちが褌姿で御神輿を担ぐみたいなやつ」「都市伝説じゃなかったんだ」と話す“ワッショイ祭”とは,「!」の【決別!思い出と喧嘩祭】で初登場したキーワードである。当初の【喧嘩祭】は,プロデューサーがつけていた正式名称が「暑気払い☆猛暑を喧嘩神輿で吹き飛ばそう! 汗と汗、筋肉と筋肉、男と男のぶつかりあい! ワッショイワッショイ祭」というものだった(しかも最初の企画では,衣装が「ねじり鉢巻きに褌だけ」だったらしい)。結局その名前で開催されることはなかったものの,第二部としてプロデューサーは「汗と筋肉のフンドシ祭」を決行したようだ。なお,昨年の夢ノ咲学院には「こんにゃく祭」というイベントもあったようで,その内容は未だ謎に包まれている。

「!」 【決別!思い出と喧嘩祭】より
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ALKALOIDというユニット

 ALKALOIDは新章からの新ユニットのため,その歴史はまだ浅い。簡単に流れを説明すると,彼らはメインストーリー序盤ではESにおける“落ちこぼれ”と言われており,ES初年度の一大イベント【MDM】で結果を出すために天祥院英智の指示によってユニットが結成された。【MDM】本番までは三毛縞 斑をはじめとした先輩たちや,Switchによるサポート(【盂蘭盆会】への出演)などがあり,どうにか無事に【MDM】でステージを成功させることができた。そして夏休みのあとは,流星隊と【モーターショウ】(【交差する/モーターショウ】)への出演を果たしている。なお,4人は星奏館の旧館で共同生活を送っていたが,その後本館へ引っ越しをしたらしい。以下でメンバーについて補足する。

天城一彩

 故郷における次期“君主”の兄である天城燐音を連れ戻すため,都会にやってきたのが天城一彩である。天城兄弟の出身はやや特殊な土地らしいが,どこにあるのか,どのような文化であるかなどは明らかになっていない。だが,そうした特別な事情から,一彩は生まれながらにして自分自身を“兄(=君主)を補佐するための存在”だと思っているような節があった。とはいえ兄との関係性は,メインストーリーでの一連のできごとをきっかけに変化しているようだ。一彩は故郷での教えが根深く身に染み付いており,「正しい」ことにこだわる傾向も強い。

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白鳥藍良

 「あんスタ!!」にはアイドルが好きという理由でアイドルになった者も多く,白鳥藍良もその1人だ。なかでも彼はアイドルが好きというより,かなり強火なアイドルオタクだと言えるだろう。だが,彼はファンとしての礼儀をわきまえ,投資すべきところは投資し,現場にもきちんと足を運ぶオタクの鏡でもある。彼が周りと自分を比べて抱く劣等感は,大好きなアイドルたちへの深い尊敬からくるのかもしれない。ちなみに「ラブはん」とは,昔オンラインでつながりのあった桜河こはくによるもので,「ラブ」と名乗っていたころの藍良の呼び方だ。

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礼瀬マヨイ

 礼瀬マヨイはALKALOIDのなかでは歌やパフォーマンスのスキルが高く,メンバーを指導する立場でもある。以前ESには「夜な夜な夢中でレッスンをしている者の前に現れる,正体不明の名トレーナー“怪人”」がいるという噂があり,それがマヨイのことであったのがメインストーリーで語られている(【スカウト!デッドエンドランド】でもそうだったが,彼は「オペラ座の怪人」のファントムを思わせる描写が多い)。なぜ彼がそうした高い才能を持っているのか,どういった出自なのかなどはいまだ明らかになっていない。なお,本作【フェザータッチ】に「『ござる』と聞くと興奮する」というセリフがあるが,これは彼が所属する忍者同好会の“お頭”,仙石 忍の存在のことだろう。

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風早 巽

 風早 巽は元ソロアイドルで,事故により活動を休止していた期間があり(現在も足に爆弾を抱えている),ESにおいて当初“成果を上げられていない劣等生”という評価を受けていたのは,こうした事情によるものだろう。ソロとして活動していたのは現Crazy:BのHiMERUと同時期だったらしい。巽は実家が教会のため聖職者らしい話し方で,アイドルたちの悩みを聞くことも多い様子だ。だがその一方で,【交差する/モーターショウ】では車の運転で「新たな自分の一面を発見した」と語っており,同乗していた白鳥藍良から「昇天ドライブ」「PTSDになりそう」,マヨイからは「恐怖のあまり失神していた」と語られていた。星奏館では大神晃牙と同室らしいが,このあと解説する【Howl!魂を燃やす不夜城】で,晃牙が「あの変な先輩とは気が合う」と語っている。

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◆筆者が選ぶ“心に残った言葉”とストーリー所感

 小ネタ解説ではややふざけたネタに走ってしまったが,本作【フェザータッチ】は多くの人が共感できる,まだ羽ばたき始めたばかりのアイドルの成長が感動を呼ぶストーリーだ。

 「自分は醜い,つまらない」「それに比べてあの人は……」という劣等感は,おそらく大抵の人が感じたことのある気持ちではないかと思う。しかも,自分が尊敬している人の口から「私はまだまだです」なんて言葉が出ようものなら,「あなたがまだまだなら自分はチリ以下なのでは?」などと思ってしまうものだ。

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 突然注目され,気付けば時代の寵児のような扱いを受けるようになったALKALOIDは,昨年度の“革命児”Trickstarに近いところがあるように思う。【MDM】で図らずも有名になってしまった1人である白鳥藍良は,周囲から「調子に乗るなよ」「おまえだけずるい」と嫉妬心を向けられていると感じている。なぜなら,かつての自分がそうだったからと。Trickstarも当時,「何者でもない存在」でなくなってしまったことに戸惑っていたのを思い出す。

 だが,藍良が「あんスタ!!」に登場してから,たびたび筆者が気になっていたのは,彼がメインストーリーで明星スバルや遊木 真を「天才」「大物」と呼んだり,本作【フェザータッチ】で「(先輩たちは)映画なんて新しいことも簡単にやってのけちゃう」と言ったり,「すごい人たちは,なんでも簡単にこなせてしまう」という意味の発言をしていたことだ。決していつもそうというわけではないが,他人の努力にまで目が向けられないのは,そこまで視野が広げられていない=考え方が成熟していないということかもしれない。だが,そうした彼の“幼さ”にすぐそばで気付いてあげられるのが,風早 巽という存在だ

 巽はかなり円熟している“大人”に見える。けれどそれは「なんでもできてしまう」ということではなく,自分ができることとできないことを理解していて,不可能なものは受け入れ,その上で仲間とともに前へ進む覚悟を持っているように感じられる。彼が藍良に“羽ばたくきっかけ”を与える一連の会話の中で,筆者がとりわけ気に入っているのがこの言葉だ。

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 「たとえ神が実在していなくても,それを信じるものたちによって世界の在り方は塗り替えられる」「世界を変えるPowerそのものを神と呼ぶのだと思う」――筆者はこの言葉の「世界」を,「自分」にも置き換えられると解釈した。神を信じて叶えられた願いの多くは,自分の底力を信じ,それを発揮できたということだと思うからだ。だから【フェザータッチ】のラスト,巽が得た「かつての仲間の支え」という予期せぬ喜びは,“神”=過去の自分の努力によってもたらされた贈り物だったのではないかと思う。

 【フェザータッチ】で,ステージの真ん中に立った藍良は過去の自分に向かって語りかける。もし,「落ちこぼれ」だった過去の藍良が今の藍良を見たら「羨ましい」と思うかもしれない。けれど彼は,ここに至るまでに自分が頑張ってきた軌跡や努力の日々を知っているはずだ。“気付き”というのは他人からきっかけを与えられることはあっても,本当の意味で自分を助けられるのは自分しかいない。“みにくいあひるのこ”も,最後は自分自身の翼で空を飛ぶのだ。

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 藍良は過去の自分だけでなく,ステージにいる自分に羨望の眼差しを向けているであろう誰かにも「追いかけてきて,一緒に飛ぼう」と言う。この言葉を聞いて筆者は,「!」の【太神楽!祝いのニューイヤーライブ】で衣更真緒が全校生徒の前で言った「夢が叶った俺たちが羨ましいって思ったら,まずは俺を目指してくれ」と語る一連の言葉を思い出した。自分は何者でもなかった存在だったけれど,希望はあると信じていたからこそ,夢を叶えられたのだと。

 小さな翼を広げ,懸命に空を飛ぶ藍良。その景色は夢見ていたよりも広く,けれど今いるその場所こそが現実だ。藍良が,そして歩み始めたばかりの“兵隊たち”が,ここからどれだけの羽ばたきを見せてくれるのかを考えるだけで心が弾む。彼らの活躍を,これからも楽しみに見守っていきたい。

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ストーリーピックアップ
「スカウト!ハロウィンBOX」

開催期間:2020年10月30日〜11月14日

――あらすじ――

 喧嘩をしてしまった葵 ゆうたと仲直りしたい葵 ひなたは,仲直りの方法を南雲鉄虎と天城一彩に相談する。そして椎名ニキの指導のもと,ひなたはゆうた好みのお菓子を作ってプレゼントをすることに。<全8話/シナリオ:木野誠太郎(Happy Elements)>

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葵 ひなたと葵 ゆうたのいざこざ

 正直このテーマで書き始めると,悪い意味ではなく記事1本分を余裕で超えてしまう気がするので,詳しくはぜひ以前のユニット記事を参照していただきたい。2人はユニットの仲間である前に,生まれる前から一緒にいる双子の兄弟であり,彼らのぶつかり合いは極めて近い肉親同士だからこそ必要な通過儀礼だと筆者は考えている。
 なお,本作【ハロウィンBOX】で出てくるひなたのセリフ「天城燐音と『Beehive』に行ったことをゆうたに誤解された」については,【召しませ/ナイトクラブ】で確認できる。【ナイトクラブ】は,ES所属のアイドルとなった2winkの新たな一歩が示された重要なストーリーだ。

【召しませ/ナイトクラブ】より
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 2019年4月にリリース4周年を迎え,アプリ内外でさまざまな展開を続ける「あんさんぶるスターズ!」。その膨大なストーリーの中から,各ユニットの歴史や魅力を知るために筆者が重要だと思うものを選び,紹介していきます。1回目となる今回は,fine,2wink,Valkyrie編をお届けします。

[2019/04/26 12:00]

南雲鉄虎が椎名ニキを「兄貴」と呼ぶ理由

 南雲鉄虎は椎名ニキを「兄貴」と呼び,尊敬の眼差しを向ける。その由来は,【椎名ニキのアイドルストーリー第三話】にて語られている。実は鉄虎は,ニキが子供のころに出演していた料理番組の大ファンであり,このアイドルストーリーではなぜその番組が好きだったかを熱く語っているのだ。
 鉄虎と料理についてはこれまでたくさんのストーリーで語られているが,本人のやる気に反し,どうも火の扱いが苦手なようである。【ハロウィンBOX】では,昨年度にバレンタインデーのお菓子作りに挑戦したと語られているが,その模様は「!」の【マーブル♥心を込めたショコラフェス】で読むことができる。そこではValkyrieと流星隊が一緒にお菓子作りに奮闘するのだが,なんと鉄虎はオーブンを爆発させている

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天城一彩が訪れたショッピングモール

 葵 ひなたと天城一彩がお菓子の材料を買いに訪れたショッピングモール。一彩が「初めて見るものばかりだ」と感激するこの場所は,昨年度のストーリーに何度も登場した建物と見て間違いないだろう。ちなみにここでは,夢ノ咲学院3年生の卒業後の春休み,進級前の1年生メンバー(紫之 創,真白友也,天満 光,南雲鉄虎,高峯 翠,朱桜 司)がライブをしたことがある(「!」の【弾む!心と花咲くモールライブ】より)。また,【SS】前にEdenもライブを行っており,遊木 真と瀬名 泉,衣更真緒と朔間凛月が訪れていた(「!」の【奇跡☆決勝戦のウインターライブ】より)。

「!」 【弾む!心と花咲くモールライブ】より
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ESアイドルたちのきょうだいについて

 ESには一人っ子もいるが,きょうだいがいるアイドルも多い。兄弟揃ってアイドルなのは葵 ひなたと葵 ゆうた,天城燐音と天城一彩,朔間 零と朔間凛月の3組だが,それを含めて,家族間で兄または弟であるアイドルをあらためて紹介しよう(※なお,ALKALOIDとCrazy:Bは現時点で家族構成が公表されていないため,天城兄弟以外は含まれていない)。

<家族のなかで「兄」である人物(カッコ内は存在するきょうだい)

姫宮桃李(妹),衣更真緒(妹),乱 凪砂(妹,弟),葵 ひなた(弟),天城燐音(弟),朔間 零(弟),真白友也(妹),紫之 創(弟,妹),鬼龍紅郎(妹),神崎颯馬(弟),月永レオ(妹),春川 宙(妹),三毛縞 斑(妹)



<家族のなかで「弟」である人物>

高峯 翠(兄),天城一彩(兄),巴 日和(兄),斎宮 宗(姉,兄),葵 ゆうた(兄),羽風 薫(兄,姉),乙狩アドニス(姉3人),天満 光(兄,姉),蓮巳敬人(兄),朔間凛月(兄),鳴上 嵐(兄),青葉つむぎ(兄)

※2020年11月時点のもの。

◆筆者が選ぶ“心に残った言葉”とストーリー所感

 先ほど「ESアイドルにおける兄・弟について」をまとめたが,あらためて見て思うのは,きょうだいにはさまざまな形があって,一概に「兄らしい」「弟らしい」という評価はあまりあてにならないなということだ。これまでの記事でも解説しているが,本作のメインである葵兄弟は,今ではお互いを「アニキ」「おにいちゃん」と呼ぶことがある。それは「兄」と「弟」という役割をいったん置いておいて,個人と個人で向き合った結果がそうした呼称に現れているのではないかと筆者は解釈している。

 今回,筆者が最初に心を打たれたのはこのセリフだ。

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 これは,葵 ひなたに「兄と喧嘩したことがあるか?」と聞かれた天城一彩が,「自分が兄と喧嘩しなかったのは,自分の頭で考えなかったからだ」と言い,お互いに意見をぶつけあうからこそ発展していけると答えたときの言葉だ。一彩の言うとおり,ひなたとゆうたはただお互いの行動が気に入らないからぶつかっているわけではなくて,2人の関係性がいいものでありたい,あるいはアイドルとしてより成長していきたいと考えているからこそ衝突してしまうのだと思う。それは,昨年度の彼らのストーリーを見てもよく伝わってくる事実だ。

 ひなたとゆうたがこれまでに一番大きくこじれたのは,やはり「!」の【招福*鬼と兄弟の節分祭】だと思う。その中でひなたは,自分たちを「周りの人たちとは違う生き物」に例える。あの流れは,何度読んでも胸が苦しくなる。

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 そして今回の【ハロウィンBOX】のラストで,ゆうたと仲直りできたひなたが言う「これからも何度もすれ違ったり喧嘩したりするかもしれないけど……その『人間』らしさが心地良い」というモノローグが,強く印象に残った。彼らが幼いころから「人とは違う生き物」と感じていた痛みを抱え,そのうえお互いにぶつかりあって何度も血を流してきたことを思うと,ひなたが自分たちを「人間」と言うこのセリフに,とてつもなく深みが生まれる気がするのだ。

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 余談ではあるが,このセリフを聞いたとき筆者は「!」の【追憶*それぞれのクロスロード】で描かれた【返礼祭】で,“吸血鬼”だった朔間 零が「人間として生きる」と言ったことを思い出した。幼いころから別の意味で周囲に「普通とは違う」と思われていた零は,言うまでもなく葵兄弟をずっと見守ってきた,彼らの大切な先輩でもある。

 抱えるものが重いからこそ,ひなたとゆうたが仲良く楽しそうにしていると,読んでいるこちらもうれしくなる。ひなたの言うとおり,彼らはこれからもぶつかることがあるかもしれない。けれど,彼らを仲間として手を差し伸べてくれる人がこれだけたくさんいるのだから,2人は人間としても,兄弟の絆も,今よりずっと強くなれるのではないかと思う。


ストーリーピックアップ
「Howl!魂を燃やす不夜城」

開催期間:2020年10月31日〜11月9日(Basic)
     2020年10月31日〜11月8日(Music)


――あらすじ――

 羽風 薫は,何かを隠している様子の大神晃牙に気付いて声をかけたものの,先輩には関係ないと一蹴されてしまう。そこで朔間 零とともに乙狩アドニスを呼び出し,晃牙から話を聞き出してもらうよう頼んでみることに。一方,羽風一族が経営している地下ライブハウスの運営が上手くいっておらず,薫と零はある策を練る。<全17話/シナリオ:日日日>

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読んでおきたい過去ストーリー

 ここでは【Howl!魂を燃やす不夜城】に登場したキーワードや,流れを理解する手助けとなるストーリーをいくつか紹介しよう。

<「!」でのストーリー>

 まずおすすめしたいのは,UNDEADの原点である「デッドマンズ」について描かれた「!」の【追憶*それぞれのクロスロード】だ。この話は時系列的に昨年度よりさらに前,朔間 零が乙狩アドニスを日本に連れてきたくだりや,羽風 薫が地下ライブハウスを経営している様子,大神晃牙がアマチュアバンドのメンバーとして活動していたころの姿などを見られる(過去の彼らについては「!」の【生け贄◆不死者たちの復活祭】でも確認できる)。また,零と薫が卒業する昨年春の【衝突!思い還しの返礼祭】は,零と晃牙による関係性の昇華や,アドニスの心のこもった先輩たちへの返礼,薫の将来に対する覚悟など見どころが多く,UNDEADの1年間を締めくくるにふさわしい1つの区切りだった。とはいえ本人たちも言うとおり,返礼祭は「今生の別れ」くらいの感動的なものではあったものの,そのあとすぐにまた一緒に仕事をすることになるわけだが……。

「!」 【生け贄◆不死者たちの復活祭】より
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<「あんスタ!!」(新章)のストーリー>

 【不夜城】のストーリーによく出てくる【アイドルロワイヤル】とは,新章のメインストーリーで描かれた,Crazy:Bが開催したドリフェスのことだ。Crazy:Bは既存の多くのユニットに勝負を仕掛け,ときに卑劣な手段を取ることもあった。UNDEADはCrazy:Bにステージに乱入されたことがあるが,終盤で巻き返した流れはぜひおさえておきたいところだ。
 また,【不夜城】後半で薫が語る「シャッフルユニット」のエピソードは,【SHUFFLE×恋の√はAtoZ】で読むことができる。ここでは,ESの選抜メンバーによるシャッフルユニットのリーダーを務めることになった薫の奮闘が見どころだ。それから,【不夜城ライブ】に大きく関わることになる「音楽特区」や「新吸血鬼将軍」については,【温故知新/継承の御前試合】を読んでおくとより理解できるだろう。

UNDEADというユニット

 メンバーについて補足する。

朔間 零

 本作【不夜城】では,「なんでもできてしまう存在」から一歩引いた姿を見せる朔間 零。彼が幼少のころからそうした類まれなる才能と知識を持っているのは,前述した「!」の【追憶*それぞれのクロスロード】などで知ることができる。零は「あんスタ!!」に登場するアイドルたちの中でも極めて高い能力を持ち,(物語のなかの役割的に)重要な存在だが,気を許した仲間には非常にくだけた様子を見せるところがある。また,彼はある時期から自分を「我輩」と呼ぶようになったが,過去の一人称は「俺」だった。

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羽風 薫

 昨年度のストーリーをあらためて読むと,とくに序盤の薫は“チャラいサーファー”というイメージが強い。だがそうしたイメージとは裏腹に,実はかなり厳しい家庭環境で育った,いいところのお坊ちゃんであることが明らかになっていった。彼には“波”や“風”といったイメージがあり,当初はそれが「掴みどころがない」雰囲気につながっていたように思う。だが本来の彼はとても優しく,実に周りをよく見ている人だ。個人的におすすめしたいのは,彼が話す姉とのやりとりが泣ける「!」の【スカウト!ガンマン】,ユニットメンバーへの良き先輩ぶりが見られる「!」の【スカウト!千夜一夜】,あとは海洋生物部絡みの一連のストーリーも推しておきたい。

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大神晃牙

 「あんスタ!」に登場したばかりのころは,プロデューサーを踏んづけたり,他の仲間に紐なしバンジーをさせたり(!)と,大神晃牙はかなりおっかない感じの人に見えた(どちらも「!」の【メインストーリー第一部】で読める)。だが,さまざまなストーリーで彼を観察していくと,乱暴なのは言葉づかいだけで,まともな感性を持ち,空気も読める「筋の通った人」だということが分かってくる。あと動物好きなので間違いなくいい人である。前述の【追憶*それぞれのクロスロード】では彼の夢ノ咲学院1年生時の姿が見られるが,同じくそのころの彼が登場するのが「!」の【追憶*春待ち桜と出会いの夜】である。

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乙狩アドニス

 筆者はよく「乙狩アドニスを嫌いな人なんてこの世にいないのでは?」と感じる。優しくて美しくて礼儀正しくて強い。正直,欠点らしい欠点があまり見つからないアイドルだ。【不夜城】のストーリーでは彼が姉について語る場面が多いが,彼の出自や家族との関係性についてはこれまでに何度かおすすめしているが,「!」の【灼熱!南国景色とサマーバカンス】を挙げておきたい。この話は,そんな心優しいアドニスの「覚醒」の物語と言っていいのではないだろうか。

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◆筆者が選ぶ“心に残った言葉”とストーリー所感

 「アイドルの理想郷たるESができたあおりで経営に影響が出てしまった地下ライブハウスやバンド」という流れ,なんというか「近所に巨大なスーパーができてしまったおかげで経営が危ぶまれる商店街の話」みたいだな……と思ってしまった。当たらずといえども遠からずではあると思うが,こうした問題を“誰も悲しまない未来にするためロックで解決する”というあたり,非常にUNDEADらしくてとても格好いい。過激で背徳的なコンセプトとは裏腹のコミカルな一面と,でもやっぱり最高にクールな唯一無二のカリスマ性を持つユニット――【不夜城】は,UNDEADの良さを堪能できる,一粒で何度でもおいしいストーリーと言えるだろう。

 物語の中心は,“先輩組”の羽風 薫と“後輩組”の大神晃牙だ。作中で薫も言っているとおり,なにか問題が起きたとき,いつもなら4人のなかで解決に導く役は朔間 零が担うことが多いように思う。だが今回は,薫が「先輩らしく」,彼らしい誠実なやり方で後輩たちを導いてやるさまに胸が熱くなった。そして,この話をとおしてずっと鳴り響いていたように感じる“ロック”をこよなく愛する大神晃牙は,相変わらず少し不器用ではあるけれど,以前よりもずっと素直に仲間と向き合い,けれど変わらずに前を向いて吠える姿がとてもいい。

 ストーリー後半,晃牙たち後輩が地下ライブハウスのステージにいる先輩たちを見つけるくだりは,まさにあの【返礼祭】ステージでの流れを思い出した。けれどここで,また自分たちは蚊帳の外か? という後輩たちに「それが嫌なら上がっておいでよ」と言うのが薫であるところが今作のキモだ。風のように付かず離れずのようでいて,そのくせしっかりと周りを見て仲間たちの気持ちを推し量れる,彼がその言葉を言うところが。

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 このストーリーでは,「ロックとはなにか?」が語られる場面が多い。この話から読み取れる「大神晃牙にとってのロック」とは,「生きた証を残すための“存在証明”」なのだと思う。今ここに自分という人間が生きていること,冴えない存在だった自分がロックという手段を得て夢に手が届いたこと,“ぼんくら”共に希望を与える叫びを届けられるのが,彼にとってのロックと言えるのではないだろうか。

 かつての自分を「しみったれた『その他大勢』だった」という晃牙は,今では自分も成長したことを認識しつつも,「先輩たちはやっぱりすごい」とため息をつく。でもそれは先輩たちも同じで,薫は「お互いにないものねだりをしているだけ」だと言う。【不夜城】で晃牙は,やる気のないアイドルたちを「あいつら何なんだ,赤ちゃんか? あぁいうのが普通なのか?」と怒りをあらわにする。余談だが,このセリフは「!」の【追憶*モノクロのチェックメイト】における月永レオの,理解できない周囲の人間への「何なんだあいつら? 本当にアイドルなのか? 何のために生きてるんだ?」という叫びを思い出す。とてつもなく高い壁を前にしたとき,それを見て諦めるのか,どうにか乗り越えようと必死で拳をぶつけるのか。そこでがむしゃらに立ち向かう姿が,見る人の目に輝いて映るのではないかと思う。だからこそ,何度でも蘇るUNDEADの歌は見るものの魂を震わせるのだろう。

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 そして本ストーリーの見せ場はやはり,ラストの晃牙オンステージだろう。ここでの彼の言葉はモノローグなので,オーディエンスに向けたセリフではない。けれどその想いや叫びは,彼らの奏でる音や歌によって,聴いた者の心にしっかりと深く刻みつけられたはずだ。そして,その叫びを受け止めた者がどうするかは自由だ。晃牙が言うとおり,自由こそがUNDEADであり,“Rock'n'roll”でもあるから。
 【不夜城】は,UNDEADがもはやロックそのもののように「何よりも強く,何よりも優しい」ユニットではないかと痛感させられたストーリーだった。参りました。

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 第13回記事もお楽しみに!

■たまお(ライター)■

 エンタメ系フリーライター。音楽・ゲーム業界などでの社会人生活を経て,作品やキャラの素晴らしさを文章で伝えるためにライターへ転向。現在4Gamerにて「あんさんぶるスターズ!!」のストーリー解説記事を連載中。このほか追いかけ中のタイトルは「アルゴナビス」「スタマイ」「ツイステ」「ヒプマイ」「パラライ」「刀剣乱舞」「A3!」「まほやく」「ブラスタ」など。

Twitter(@tamao_writer)


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