レビュー
「ピオフィオーレの晩鐘 -Episodio1926-」は後日談3本を収録した人気作の続編。マフィア達と共に困難に立ち向かう恋愛ADV
2020年11月12日にアイディアファクトリーから発売されたNintendo Switch用ソフト「ピオフィオーレの晩鐘 -Episodio1926-」。本作では,PS Vita用ソフト「ピオフィオーレの晩鐘」およびNintendo Switch用ソフト「ピオフィオーレの晩鐘 -ricordo-」のその後が,大きく分けて3つの物語で描かれます。
舞台となるのは,前作に引き続き,南イタリアの街「ブルローネ」。
ブルローネマフィアと呼ばれる複数の組織が支配する街で,主人公であるリリアーナ・アドルナート(※名前変更可能)はマフィアが絡む騒動に巻き込まれたのですが……本作でも彼らの騒動に関わることに。
今回は,さまざまな形で前作の1年後を描いた本作を紹介します。
なお本稿には,前作のネタバレが多く含まれますので,前作を未プレイの人は注意してくださいね。
〜メインキャラクター〜
リリアーナ・アドルナート
※名前変更可能
「……もしもファントムが、あの人なら……止めたいって思う」
主人公。物心ついた頃から教会で育ち、自身の家族のことや、生まれについてなどは一切知らない。普段は教会の手伝いをしている。
今作では、再び激動の日々へと身を投じることに。
ダンテ・ファルツォーネ
CV:石川界人
「グラッツィエ。俺のことを想ってくれた、おまえの気持ちがうれしい」
ファルツォーネファミリーのカポ。
まだ年若いが、幼少より英才教育を施された正統な後継者。5年前に父親を亡くし、カポを引き継いだ。冷徹に見られることが多いが、一度懐に入れた人間に対しては情が深く、面倒見もいい。血筋と伝統を何より重んじる。
Episodio1926 -BURLONE- では
老鼠の壊滅後、マフィア排斥が進む時勢の中で再び揺れ動くブルローネでヴィスコンティと連携を取りながら抗争で荒れた地区の統率などを進めている。
ギルバート・レッドフォード
CV:森久保祥太郎
「シニョリーナ。あんたの時間を――少しでいい、あんたに心を奪われた憐れな男に与えてくれ」
ヴィスコンティ一家のボス。
俺様で派手好き、自信家という面もあるが、人当たりはよく誰に対しても気さく。ファルツォーネとは考え方の違いから対立している。慣習に縛られない革新的な思考を持ち、自由を愛する。
Episodio1926 -BURLONE- では
3組織による協定は保たれたまま、ブルローネは3組織台頭以来の平和な時代を迎えた。近頃は禁酒法下のシカゴマフィアとの取引など一層商売に力を入れるように。
楊
CV:岡本信彦
「……おまえがもっと俺を構いさえすれば、余所に遊びを求めずに済むかもしれんぞ?」
【老鼠】と名乗り、組織化している中国人集団の首領。
常に薄ら笑いを浮かべている感情の読めない謎の多い男。相手の感情を逆なでするのが趣味。『楊』は通り名であり、誰も本当の名を知らない。気分屋で刹那主義。自身の享楽の為なら他の誰の犠牲も厭わない。
Episodio1926 -BURLONE- では
ファルツォーネ、ヴィスコンティの2組織を排除後、六凰会からロンドン行きの指令を受けるもとある理由から、いまだブルローネにとどまっている。
ニコラ・フランチェスカ
CV:木村良平
「僕は後悔していない。……君を助けるためなら、誰だろうと。何度だって、僕は殺すよ」
ファルツォーネファミリーのNO.2。
おおよそマフィアらしく見えない、人の良さそうな風貌の優男。典型的なイタリア男で、女性慣れしている。ダンテとは従兄弟同士。息をするように嘘をつく。
Episodio1926 -BURLONE- では
老鼠の壊滅後、ヴィスコンティと連携を取りながら抗争で荒れた地区の統率などを進めていたが……。
オルロック
CV:豊永利行
「……あなたのことが、大好きだから。一緒には、行けない」
それぞれの組織に出入りしている情報屋。
口数が少なく、素性は誰も知らない。仕事を離れたところではやや一般常識に欠ける一面も。正体は教国の使徒。
Episodio1926 -BURLONE- では
右腕を失ったことで、静養も兼ねて教国で穏やかな日々を送っていたが――
アンリ・ランベール
CV:立花慎之介
「君はいつも私の思い通りにならない。……最初に出逢った頃から、ずっと」
とある理由からファルツォーネファミリー、ひいてはブルローネの街全体を憎んでいた。
今作では、とある事件に巻き込まれ、主人公と共に再びブルローネへと赴くことになる。
「Episodio 1926 −BURLONE−」では,恋人同士になった2人のその後が描かれる
はじめに紹介する「Episodio 1926 −BURLONE−」は,前作で特定の誰かと恋人同士になったエンディングのその後が楽しめる物語です。
恋人同士になった相手によって,ブルローネマフィアの状況も異なっており,それぞれのキャラクターで異なる展開が待ち受けています。
そのなかでも今回は,ニコラのルートを簡単に紹介します。
ニコラのルートでは,ブルローネマフィアの1つ「老鼠」が壊滅し,残る2つの組織「ファルツォーネファミリー」と「ヴィスコンティ」が連携し,活動しています。まったく異なる組織でありながらも,1年前に起きた事件で協力し合った仲ということもあり,関係は良好です。
しかし,1年前の事件をきっかけに警察との関係が悪くなったことや,政府がマフィア弾圧の方針を固めたことによって,これまでのようにはいかなくなってしまい,ダンテもニコラも日々忙しいようです。
一方主人公は,誰かに狙われることがなくなったため,マフィアに匿われることもなく,教会とファルツォーネファミリーを行き来するような生活をおくっています。
恋人同士になったものの,ブルローネマフィアの置かれている状況もあり,忙しないニコラとなかなか会えない日々を過ごしていた主人公ですが,ある日,教会でオッドアイの青年――テオ(CV:中島ヨシキ)と出会います。教国の聖職者である彼は,主人公のことを「鍵の乙女」と呼びます。
市警への影響力を失ったことで,構成員が軽犯罪で頻繁に逮捕されるようになり,さらには構成員の家族を人質にし,自白を強要するようなことが起きているらしいのです。そして主人公は,ファルツォーネファミリーのアンダーボスであるニコラの恋人。ほかの構成員の家族と同様,市警に狙われてもおかしくない立ち場にあります。
ニコラからの提案もあり,主人公は再びファルツォーネファミリーに匿われる生活へと戻ることに……。
前作にもあった「MSシステム」は,本作でも登場します。物語の合間に発生し,主人公とは離れた場所で起きている出来事を垣間見られるMSシステムでは,さまざまな思惑で動く登場人物達の様子が確認できます。
さらに本作から登場した新システム「ARIA」では,前作のシーンを攻略キャラクターの視点で確認できます。
大団円エンドの1年後に起きる事件とは? 「Episodio 1926 −ALTERNATIVA−」
「Episodio 1926 −ALTERNATIVA−」では,まず1926年1月から8月までの出来事を描いた「ショートストーリーパート」が楽しめます。最初から好きな月が選べるので,順番通りに読んでも良いですし,好きな順番で読んでも大丈夫です。
ショートストーリーでは,メインキャラクターはもちろんですが,前作にも登場したサブキャラクター達のちょっとした日常が描かれています。サブキャラクターメインのイベントCGもこのパートで確認できますよ。
ブルローネでの日常が楽しめるパート……と思いきや,裏で暗躍する人々の様子も描かれています。ほのぼのとした日常と,このあと起きる事件へとつながるであろう怪しげな雰囲気が合わせて楽しめるようになっています。
すべてのショートストーリーを遊び終えると,今度は1926年9月以降を描く「メインパート」が始まります。
こちらの物語でも「Episodio 1926 −BURLONE−」と同様,マフィアと警察の関係は悪化しており,マフィア達は段々と苦しい立ち場になっています。そのため,彼らは積極的に行動しており,ブルローネから離れていることも多いようです。
そのレコードには,ファントムと名乗る人物からの,聖遺物の1つである「鉄王冠」を盗んだこと,鉄王冠と引き換えにブルローネに眠る聖遺物がほしいというメッセージが残されていました。
エミリオは,ブルローネのマフィア達に正式な要請として「ファントムから鉄王冠を取り戻して欲しい」と告げます。
この報酬に魅力を感じたマフィア達は,教国側の提案を受け入れ,ファントムと名乗る人物を探し,鉄王冠を取り戻すために動き始めます。
想い合う2人が恋人になるまでを描いた「Episodio 1926 −HENRI−」
最後に紹介する「Episodio 1926 −HENRI−」は,ゲーム内で条件をクリアすることで解放される物語です。
1年前は国営カジノの支配人(ディレットーレ)として主人公達の前に現れていたアンリですが,それは仮の姿。支配人として過ごしつつも,ファルツォーネファミリーとブルローネを憎み,裏で暗躍していました。
そんな彼ですが,最終的に主人公に助けられ,現在はフランスで主人公と身寄りのいない3人の子供と共に穏やかな日々を過ごしています。
ところがある日,アンリと主人公が外に出ている間にある事件は起きます。その事件をきっかけに,2人は半年住んでいた家を捨てることになります。
アンリは,主人公だけでも安全な場所に……と考えます。エミリオから何かあれば教国を頼るように言われていましたが,アンリはエミリオのことを信じきれず,主人公をマフィア達が待つブルローネへと連れて行くことにします。
ブルローネから脱出した際に使用した地下通路を利用して,再びブルローネに足を踏み入れた2人。そんな2人に声をかけたのは,エミリオで……。
本作では,前作と同様,血なまぐさい事件が描かれています。
もちろん恋人同士になった相手との甘い時間や,想い合う2人の微笑ましいやりとりもあるのですが,ときには厳しい出来事に直面することも。しかし,そういった甘いだけではないところが「ピオフィオーレの晩鐘」シリーズの魅力でもあります。
前作から1年が経っていることで,さまざまな変化が起きているブルローネを舞台にした物語が楽しめる本作。前作をプレイした人に刺さる内容になっているので,ぜひプレイしてください。
「ピオフィオーレの晩鐘 -Episodio1926-」公式サイト
(C)IDEA FACTORY/DESIGN FACTORY