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「三國志 覇道」は“真のNo.1”に挑んでもらうゲーム。伊藤幸紀氏へのプロデューサーインタビュー
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印刷2020/08/12 14:14

インタビュー

「三國志 覇道」は“真のNo.1”に挑んでもらうゲーム。伊藤幸紀氏へのプロデューサーインタビュー

 コーエーテクモゲームスが本日2020年8月12日に事前登録を開始した,新作スマホゲーム「三國志 覇道」iOS / Android)について話を聞くべく,プロデューサーの伊藤幸紀氏にインタビューを試みた。

 2万人の君主たちがひとつのサーバーで覇権を争う,MMO型の戦略シミュレーションだという本作は,どこまで「三國志」しているのか。
 そして,本作が目指すのは“真のNo.1”に挑んでもらうゲームだというが,その言葉に込められた想いとは? ここから迫っていこう。

コーエーテクモゲームス「三國志 覇道」プロデューサーの伊藤幸紀氏
画像集#001のサムネイル/「三國志 覇道」は“真のNo.1”に挑んでもらうゲーム。伊藤幸紀氏へのプロデューサーインタビュー
画像集#002のサムネイル/「三國志 覇道」は“真のNo.1”に挑んでもらうゲーム。伊藤幸紀氏へのプロデューサーインタビュー


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 コーエーテクモゲームスの新作スマホゲーム「三國志 新作(仮)」の真相は,自身が君主となり,1枚の3D大陸マップで,あらゆる奪い合いをしながら中華統一を目指す,MMO型の戦略シミュレーションだった。スマホナイズしつつも三國志らしいその装いを見てほしい。

[2020/04/02 12:00]

「三國志 覇道」公式サイト

「三國志 覇道」ダウンロードページ

「三國志 覇道」ダウンロードページ



遊び方に迷わないように


4Gamer:
 本日はよろしくお願いいたします。今回は「三國志 覇道」についてお話をうかがっていきますが,まずは自己紹介をお願いできますか。

伊藤幸紀(以下,伊藤氏):
 伊藤幸紀と申します。2004年に新卒でコーエー(旧名)に入社しまして,それからPC用ソフト「三國志X」と「三國志11」に携わりました。
 そのあとニンテンドーDS用ソフト「ポケモン+ノブナガの野望」などをやり,直近ではニンテンドー3DS用ソフト「妖怪三国志」,スマホゲーム「妖怪三国志 国盗りウォーズ」でディレクターを務めていました。

4Gamer:
 伊藤さんは,今回が初のプロデューサー作品になるとのことで。

伊藤氏:
 そうです。新卒入社から数えると16年越しです。

4Gamer:
 もともと志望されていたのですか。

伊藤氏:
 やりたかったです。今は人それぞれの時代なので,若くしてプロデューサーになる方々もいらっしゃいますが,私にとっては念願でした。

4Gamer:
 念願かつ「三國志」シリーズ35周年ともなると,重みはありますか。

伊藤氏:
 プレッシャーはあります。私は“光栄(コーエー)の三國志”が好きでこの会社に入った身ですし,なにより35周年という重みですよね。
 おそらくコアなファンの方々は,41歳の私よりもさらに「三國志」シリーズとの付き合いが深いでしょうから。人によっては「16年めの若造が!」と言われてしまう可能性もないわけではないので。

4Gamer:
 「どの三國志が好き?」だけでも戦乱の幕開けですしね。

伊藤氏:
 ええ(笑)。ですから,本作がファンの方々に認めていただける作品になるよう,より一層気合を入れてやらねばと意気込んでまいりました。

4Gamer:
 ちなみに伊藤さん的には,どの「三國志」でしょう?

伊藤氏:
 「三國志III」ですね。スーパーファミコンの。最初は三国志のことなんてなにも知りませんでしたが,兄がやっている姿を見て,面白そうだなあと思い遊ばせてもらったら,見事にハマってしまいました。
 思い出補正かもしれませんが,私にとっては今でも「三國志III」が一番です。私の父なんて,未だに「三國志III」をやっていますし。

4Gamer:
 私の出会いにしろ「三國志V」なので,やはり分かれますよね。

伊藤氏:
 「三國志V」は私も大好きですよ! それからも「三國志VI」「三國志VII」と続けて遊び,武将列伝を読み込んでは「周瑜ってこんな人だったのか」と深入りして,吉川英治さんの小説を読んで,横山光輝さんの漫画を読んで,気づけば中国史にもズブズブのめり込んでいってと。

画像集#003のサムネイル/「三國志 覇道」は“真のNo.1”に挑んでもらうゲーム。伊藤幸紀氏へのプロデューサーインタビュー

4Gamer:
 そこから「三國志を作りたい!」となったのは?

伊藤氏:
 大学の就職活動のときです。学生時代はまったく別の専攻でしたが,東横線で通学しているとですね,毎日見えるんです。車窓からコーエーの建物が。そこで思いきって「一回,受けてみようかな」となりまして。

4Gamer:
 少し気になるのですが,御社……いえ「三國志 覇道」のスタッフとしておきましょう。シリーズが35周年も続くと,開発陣には「三國志をまったく知らないスタッフ」もいるのでしょうか?

伊藤氏:
 いますね。私の新人時代には「三國志やってないの……?」的な空気がなきにしもあらずでしたが,昨今はコーエーテクモゲームスの作品群も増えていますし,単純に「三國志」を含む“三国志”に触れずに生きてきた社員も少なからず増えていると感じます。

4Gamer:
 最低限が「ガチャキャラで見たことある」とかですかね。

伊藤氏:
 だと思います。それともうひとつ大きいのは「真・三國無双」シリーズが大ヒットしたことです。ちょうど私の入社当時もそうでしたが,無双シリーズの登場以降は同じ“三國志好き”でも出自が分かれ,時期によっては「無双を作りたい!」という新卒のほうが多かったくらいで。
 おかげで,当時は希望者が割合少なかった三國志側に行けたんです。

4Gamer:
 無双は今でも一大コンテンツですものね。

伊藤氏:
 世代の分かれ目ですよね。三國志から真・三國無双,その逆が導線になる人も少なくはないかと思いますが,ゲームシステムやキャラクター性を考えると,ファン層は決して同じというわけではありません。
 なにより,無双アクションは遊んでいて気持ちいいですもん。シミュレーションのプレイの快感とはスパンも違っていますから。

4Gamer:
 「商業が+27」の快感は,やはり人を選びますか。

伊藤氏:
 そうです(笑)。良し悪しではなく,SLGならではの数値変動の楽しさは別軸にあるものなのかなと思います。

4Gamer:
 その結果,上の世代もああだこうだとは言わなくなってきたと。

伊藤氏:
 もはや社内で「三國志」を遊んでいるかと聞く人は少ないですね。
 むしろ,長年のファンの方々から「三國志のあの作品やってないの!?」と言われることのほうが多いと思うので,近年の「三國志」シリーズ開発陣はより一層気合を入れなきゃですね。

4Gamer:
 そういう理由なら,たしかに気合が入りますね。

伊藤氏:
 もちろん,本作はそのような歴代シリーズ作品のファンの方々も含めて,幅広い「三國志」ファンに遊んでいただきたいと思っています。
 スマホゲームならではの「三國志」として。

画像集#004のサムネイル/「三國志 覇道」は“真のNo.1”に挑んでもらうゲーム。伊藤幸紀氏へのプロデューサーインタビュー

4Gamer:
 「三國志」をスマホゲームにするため,どんな議論をされましたか。

伊藤氏:
 歴代作品には,自身が君主となって中国大陸を制覇する「君主制」と,自身が武将などになってさまざまな生き様を体験する「武将制」とがありますが,今回は君主制を採用しています。
 本作はスマホゲームでなじみのある“村ゲー”の構造でもあるので,自身が君主になるほうが親しみやすいだろうと考えてのことです。そもそも武将制にすると「私が孔明です」という人が多数現れてしまうので。

4Gamer:
 なるほど。武将制だとなりきり的な空気が漂ってしまいそう。

伊藤氏:
 ええ。その様子が想像できてしまうので,君主制としたわけです。

4Gamer:
 市場で考えると,御社が監修している先駆者「新三國志」や,IPをライセンスアウトしている(中国で)大ヒット中の「三国志・戦略版」など,MMO型の戦略シミュレーションの競合作はどのように見ていますか。

伊藤氏:
 実際に遊んで,本作の参考にさせていただいています。これらはある種,現代のスマホ向けSLGとして完成されたゲームデザインですし,プレイヤーの皆さんがなじんでいる仕組みということも大きいです。
 いかに挑戦的なゲーム内容に仕上げても,既存ジャンルのコアデザインを変えすぎると遊び方で迷わせてしまいます。なので基礎的な部分は前例を踏襲しようと,企画当初から考えていました。

4Gamer:
 そうして作って,やってみたCBT。反応はどうでしょう。

伊藤氏:
 正直ホッとしました。良い評価はもちろん「ここはこうしてほしい」という改善案もたくさんいただき,反響自体がとても大きかったです。
 なかでも戦場での自由度が好意的に受け入れられたので,そこが間違っていなかったと確信できたことに一番安心しました。

4Gamer:
 ならここから,それらを詳しく聞いていきましょう。


成熟したプレイヤーが外交を作る


4Gamer:
 あらためて「三國志 覇道」のゲーム説明をお願いします。

伊藤氏:
 本作はMMO型の戦略シミュレーションということで,プレイヤーの皆さんにはそれぞれ一国の君主となってもらい,中国大陸の1枚マップで拠点や資源を奪い合いながら,中華統一を目指してもらいます。
 基本は既存のスマホ向けSLGを踏襲しつつ,拠点の内政,武将の育成,軍事の拡張,プレイヤー同士の「軍団(ギルド)」によるぶつかり合い,それらに「三國志」シリーズならではのエッセンスを投入しました。

画像集#005のサムネイル/「三國志 覇道」は“真のNo.1”に挑んでもらうゲーム。伊藤幸紀氏へのプロデューサーインタビュー
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4Gamer:
 MMOとのことですが,1サーバーの最大人数はいかほどに?

伊藤氏:
 配信前後にも調整するつもりですが,現在は1サーバーあたり2万人を予定しています。皆さんにはぜひとも,友人同士やゲーム上の知人と軍団を作って,最終目標である洛陽の陥落を狙っていただきたいです。

4Gamer:
 やはり,本作の魅力は軍団ですか。

伊藤氏:
 そうですね。軍団に入り,仲間と交流することで,MMOらしいゲームの広がりが生まれていきます。醸成した環境では,周囲の敵がいつ戦争を仕掛けてくるか分からない,そんな緊張感も味わえます。
 戦場となるマップ上はすべて可視化されているので,場合によっては大人数同士のリアルタイムな戦争を目撃することだってありえます。

4Gamer:
 CBTで戦場での自由度が評価されたように,それこそ「三國志14」の兵站切りなど,部隊進路を任意で決められるのが大きな特徴ですよね。

伊藤氏:
 「三國志14」の戦闘システムは,実は私も起案段階で関わっていたものでしたので,完成品も含めて参考にしました。
 決められた目的地をタッチするだけではない,拠点と拠点を線でつなぐだけの侵攻でもないので,旧来の「三國志」ファンならあの手この手の用兵術で,伏兵や奇襲などの戦術を試せると思います。

4Gamer:
 全体のゲームサイクルはどうですか。数か月ごとのシーズン制など。

伊藤氏:
 今のところリセットは考えていませんが,内政や武将の成長により,時間が経つほどにサーバー内の状況が飽和していくのは避けられないので,配信以降は状況を見て,サーバー増減とともに検討するつもりです。

4Gamer:
 となると,どこかの軍団が洛陽を取ったら,彼らを狙うゲームに?

伊藤氏:
 それもまた調整中ではありますが,まず本作ではCランク拠点を確保したらBランク拠点に挑める,それをSSランクの洛陽まで繰り返していきます。そのうえで長安や許昌などのSランク拠点は,条件を満たした軍団だけが争奪戦に挑める,イベント方式にしようと検討しています。
 イメージ的には,じっくり進行するトーナメント戦と言いますか。

画像集#008のサムネイル/「三國志 覇道」は“真のNo.1”に挑んでもらうゲーム。伊藤幸紀氏へのプロデューサーインタビュー

4Gamer:
 なるほど。最初から開放していると,とんでもない速度でやり込む先行者によって,いきなり洛陽を取られている可能性もありますしね。

伊藤氏:
 ありえますね。なので全プレイヤーの成長具合をチェックしつつ,同じくらいの戦力を持つ軍団がいくつも生まれてきたタイミングで,イベント的な提供ができればと考えたんです。
 同時にレベルデザインの課題として,遊び続けた人は納得がいく,新しくはじめた人にもチャンスがある,なるべくそういう構造を目指していきます。最優先は「お互いが気持ちよく遊べるゲーム」の維持です。

4Gamer:
 高ランク拠点を落としたとき,名誉以外の恩恵はあるのでしょうか。

伊藤氏:
 占拠した各都市からの税金徴収など,メリットを用意しています。

4Gamer:
 あと,プレイサイクルはどうでしょう。

伊藤氏:
 ある程度プレイしたあとは,時間経過でたまる資源を回収し,部隊を賊退治や採集,武将が手に入る酒家に向かわせるなど,数時間おきのプレイを繰り返してもらうのが基本サイクルとなります。
 ただし,軍団内で計画する戦争ともなると「何時にどこを攻めましょう」といった,軍団単位の時間が求められるかと思います。

4Gamer:
 そこで「私講義です」「私バイトが」といった人間模様が出てきて。

伊藤氏:
 ありますね(笑)。それも含めて,楽しんでいただきたいです。
 一応,本作はマップオブジェクトが攻略対象となるPvEの面が色濃く,PvPはあくまで間接的な攻撃手段と言えます。プレイヤーの城を陥落させても自分のものにはできず,多少の資源を奪い,少しだけ田舎に飛ばせるといったものですので。壊滅的なことにはなりません。

4Gamer:
 昔は丸裸にされたから引退,というMMO型のSLGも少なくありませんでしたしね。ちなみに少しだけ田舎に飛ぶというのは,どういう意味で?

伊藤氏:
 本作のマップは中央に寄るほど,AIが操る高レベルの山賊や高ランクの都市,採集ポイントが増え,攻略の恩恵が高まっていくので,自城をやられると1歩後退とでも言うように中央地帯から離されるわけです。
 城を任意の場所に移せるアイテムもありますが,全体の動向としては“覇権を狙う人たちが徐々に大陸中央に集まる”ようになっています。

4Gamer:
 たしかに。CBTの呉越周辺は,CランクやDランクだらけでした。

伊藤氏:
 それも洛陽を中心に,一定ラインごとに各地域の強弱をコントロールしているからです。そのため,プレイヤーの城を狙うというのは「相手軍団が集結しないよう,田舎に飛ばしてから拠点を狙おう」など,攻城戦に向けたアドバンテージを取るための攻撃手段になっているわけです。

4Gamer:
 それなら過度なプレッシャーもなく,戦略的な競争も過熱しそう。次にビジュアル面に関して,歴代作品との差別化は意識しましたか。

伊藤氏:
 根本的な差別化はしていません。むしろ「三國志」シリーズとしての“らしさ”を失わないことのほうが大切なので。「三國志ってこうだよね」というイメージを損なわないよう,逸脱しないことを意識しました。

4Gamer:
 どのナンバリングの関羽を見ても,関羽だと分かる。みたいな?

伊藤氏:
 そうです。当然,武将イラストは本作用に描き下ろしていますが,違いすぎない範囲で装飾や動きをアレンジするといった考え方です。
 そうしないと「三國志」らしさがパッと伝わらないですからね。

4Gamer:
 そこですよね。私も遊んでみて「三國志」らしすぎて驚いたんです。

伊藤氏:
 おっ,どんなところが?

4Gamer:
 スマホゲームといったら数えきれないほどの美少女が定番ですが,本作は笑顔がかわいいおじさんだらけで。

画像集#009のサムネイル/「三國志 覇道」は“真のNo.1”に挑んでもらうゲーム。伊藤幸紀氏へのプロデューサーインタビュー

伊藤氏:
 いやあ,ほんとそのとおりで。企画時も「三國志じゃなかったら間違いなく美少女推しにするべきだよね」と話していました。
 ただ当社の「三國志」である以上,おじさんは欠かせませんから。髭に筋肉にと漢らしさを受け付けない人もいるかもしれませんが,ここは「三國志」シリーズらしく,おじさん推しでいかねばとなりまして。

4Gamer:
 ファンには逸話も含めてなじみ深い反面,知らない人が見たら。

伊藤氏:
 求人(ガチャ)で「おじさんしか出てこない!」と思われるでしょうね……。それもまた「三國志」っぽい入り口ではあると思うので,気になるおじさんがいたら列伝を読み,その魅力を感じ取ってほしいです。
 それに歴代シリーズとは違い,本作では各武将に有名な声優さんによるキャラクターボイスをつけているので,声を聞くのも面白いですよ!

4Gamer:
 そういえば,なぜチュートリアルキャラクターが「張遼」に。

伊藤氏:
 いろいろチュートリアル的に考えなければいけないことから,私が張遼好きというところまで含めての抜擢でしたが,最大の理由は「勢力の色が強すぎない人気武将」だからですね。
 まず,本作の舞台は「菫卓死後にはじまった群雄割拠時代」と位置づけています。張遼は菫卓,呂布,最終的に曹操のもとに身を寄せましたが,中立的というか中庸的というか,そういう印象も強いと思いまして。

4Gamer:
 趙雲だと蜀すぎて,自分も蜀勢力な気がしてしまう,といった。

伊藤氏:
 ええ。プレイヤーはその人自身ないし軍団が勢力と言えますが,初期武将の勢力色が強すぎると,慣れないうちに変に思わせてしまうので。

4Gamer:
 まあ,プレイヤーから「張遼は変」って声も聞きませんでしたが。

伊藤氏:
 幸いなことに,納得していただけるプレイヤーは多かったようです。
 とはいえ,なかには張遼のことを「曹操旗下の印象が強い」と思う人もおられるはずですので,配信後は魏呉蜀などにちなんだ武将を獲得できる施策を提供したりと,ここもバランスを考えていく予定です。

4Gamer:
 張遼の人気って,やっぱり「真・三國無双」発ですよね? それ以前は私の不勉強を踏まえても,今ほど認知してはいませんでしたし。

伊藤氏:
 今でこそ日本でも有数の人気武将と言えますが,そこに「真・三國無双」シリーズの影響は少なくないかと思っています。

画像集#010のサムネイル/「三國志 覇道」は“真のNo.1”に挑んでもらうゲーム。伊藤幸紀氏へのプロデューサーインタビュー

4Gamer:
 無双キャラクター化の強みをうかがえます。続いて開発面で苦労していたこと。あるいは懸念していたことを教えてください。

伊藤氏:
 とにもかくにも,リアルタイム進行の3Dマップの構築です。
 CBTではご不便をおかけすることもありましたが,マップ上の全部隊がリアルタイムで動いている様子が見えることは不可欠だと思っていたので,サーバーとアプリとの情報量のやり取り,それでいて処理が重くならず,不具合もないようにと念入りに調整しているところです。

4Gamer:
 出撃部隊が亜空間に消えた,みたいなこともありましたね。

伊藤氏:
 なので,第2回CBTではそういうことが起きないよう対策を試みました。また,プレイヤーの皆さんの端末に負荷をかけないよう表示限界も考えてと,全方向で試行錯誤している最中です。
 なにぶん,これが成立しないことには臨機応変に部隊を動かして「あいつの資源奪ってやろう」と横やりをする気になれませんからね。

4Gamer:
 本作で遊びの幅を膨らますには,やはり軍団への加入が必須かと思います。ただ,私はなんだかんだソロしがちなタイプでして。

伊藤氏:
 分かります。どこの軍団に入ればいいだろうか? といった葛藤はあると思いますので。だから本作ではチュートリアルを進めていくと,軍団の設立もしくは加入を促すミッションが発生するようにしています。
 もちろんソロプレイも可能ですが,このゲームを最大限に楽しむためには,最初のうちに思いきってコミュニティを形成してください!

4Gamer:
 それらコミュニティを,内外問わず活性化させるフォローなどは。

伊藤氏:
 今は相談段階ではありますが,ゲーム外でも団員を募集できる仕組みを考えています。やはり,ゲーム内チャットだけで完結させるには難しいところもありますので,あわせてサポートしていきたいと思います。

4Gamer:
 ゲーム内にあっても,そこで謀略戦がはじまりそうですしね。

伊藤氏:
 そうなっちゃうと思います。

画像集#011のサムネイル/「三國志 覇道」は“真のNo.1”に挑んでもらうゲーム。伊藤幸紀氏へのプロデューサーインタビュー

4Gamer:
 あと,プレイヤーの想像力はどれだけ生かせるのか。例えば「三國志」では「外交」コマンドで離間を狙ったり,埋伏の計を行ったりと,1人用ゲームだからこそのシステムを利用できますよね。

伊藤氏:
 はい,そうですね。

4Gamer:
 なので「三國志」らしい権謀術数がシステムではなく個々人に依存する以上,プレイヤーが発想しなければ成立しない。あるいは仕組み的にやろうと思いたくなる,そういう設計が求められるのかなと想像しており。

伊藤氏:
 おっしゃるとおり,そういったプレイングは機能ではなく人によるところが大きいため,誰も彼もができるとは言いがたいです。
 しかし,そういった懸念もあったからこそ,これまでにたくさんの前例があるスマホ向けSLGのコアデザインを踏襲しているんです。

4Gamer:
 というと?

伊藤氏:
 ほかのゲームではよくあることなんですが,軍団的なものに入ろうとすると,大体「初めての軍団ですか?」と聞かれるんです。

4Gamer:
 あー,プレイヤーがすでに盤外戦を熟知していると。

伊藤氏:
 そうです。本当に初めてですか? どこかからの移籍ですか? などと,外部からのスパイを探すのは言ってしまえば恒例行事ですね。SNSなどに軍団の内部情報が流れていたら「誰だ!」となったりも。
 つまり本作が連なるゲームジャンルでは,すでにプレイヤーの皆さんがさまざまなノウハウを培っておりますので,自然と警戒し,意識して謀略しと,外交に相当するプレイヤースキルを身につけているわけです。

4Gamer:
 なめておりました。それなら本気のいがみ合いも期待できますね。

伊藤氏:
 それは期待したくないです(笑)。まあ事実として,ほかのゲームのプレイヤーコミュニティ間では,それくらいの熱量が生まれていることも多々ありますので,外交面は自然と機能してくれる気がします。
 最初は一部の人たちだけでも,その方々から思考法が共有されたり,遊んでいるうちに二虎競食の計にたどり着いたりと,昨日の友は明日の敵といった,リアルな「三國志」生活に突入してもらえると思います。

4Gamer:
 ついでに,軍団同士の駆け引きはなにがキモになるのでしょう。

伊藤氏:
 そこは「兵器」ですね。部隊同士でのぶつかり合いも大事ではありますが,目的がマップオブジェクトの占拠となる以上,攻城戦で優位に立てる兵器をどれだけ所持し,運用できるかが重要になります。
 兵器は製造コストも高く,やられるとロストしますので,武将の手持ちとはまた違う意味でプレイヤーの資産となっていきます。

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4Gamer:
 CBTでも兵器は高コストでしたが,そういう事情で。

伊藤氏:
 兵器に関しては,見た目や能力を変える“カスタマイズ要素”も考えていますから。それくらい重要度の高いものと捉えておいてください。

4Gamer:
 ならコンシューマ版と同様,部隊操作がカギになりそうですね。

伊藤氏:
 兵器を潰されないよう,別の部隊を一緒に行動させたり,敵を陽動したりと,部隊同士の殲滅戦とはまた違う思考が求められるでしょうね。

4Gamer:
 しかし破城槌で攻城戦中,ジャーンジャーンと敵軍が背後からきて。

伊藤氏:
 そういう展開が生まれるとうれしいですね。


“真のNo.1”を目指してもらいたい


4Gamer:
 CBTでもらった反応については想定内でしたか,想定外でしたか。

伊藤氏:
 多くは「あー,気づかなかった……」という意見でした。よくない,足りない,便利じゃないと。言われたことはなるべく真摯に受け止めて,正式配信までにできるだけ取り入れたいと考えています。
 本作で掲げる“プレイヤーに寄り添う運営”の第一歩としたいです。

4Gamer:
 改善に関して,具体的な変更点はありますか。

画像集#013のサムネイル/「三國志 覇道」は“真のNo.1”に挑んでもらうゲーム。伊藤幸紀氏へのプロデューサーインタビュー
伊藤氏:
 多くは公式サイトにまとめていますが,「ゲームに張りつく時間が長い」との意見もいただきました。こちらは短期間なCBTゆえのバランスでしたが,本番ではもう少しゆったりと遊べるように調整しています。

 あと「城を攻められないための休戦時間が短すぎる」のもごもっともでしたので,皆さんが安心して毎日8時間は寝られるようします!

4Gamer:
 城が攻められているから夜中起きる,なんてのは嫌ですもんね。

伊藤氏:
 開発メンバーもがんばってデバッグして,各所でクオリティアップを図っていますのでご期待ください。

4Gamer:
 それでは配信以降について。追加要素はどのようになりますか。

伊藤氏:
 武将とゲーム内アイテムの追加提供を予定しています。もちろん,武将が手に入るイベントなども同じく企画していきます。
 ちなみにイベント特攻武将などの実装は考えていないので,短いスパンでの流行り廃りが生まれないような運営を心がけます。

4Gamer:
 そういえば武将数って,サービス開始時はどれくらいなんでしょう。

伊藤氏:
 配信直後は100人くらいですかね。最初に多くの武将を出しすぎても,すぐには使い分けられないこともあるでしょうし。集めきれないと不安になるという真理も出てくるのは分かりますので。

4Gamer:
 あれ,たしか「三國志14」で武将1000人くらいでしたか?

伊藤氏:
 1000人以上いますね。

4Gamer:
 多数派のファン層って,一般的に何人くらい認知できるんですかね。

伊藤氏:
 それがまさに100人以内らしいんです。無双シリーズでプレイアブル化している武将も90人ですし。
 深いファンの方々は「それじゃ少ないよ!」と思われるかもしれませんが,大多数の方々にとっては100人どころか50人が山になるようです。

4Gamer:
 人物の背景を知らないと,知らないおじさんばかりですねえ……。

伊藤氏:
 歴代の「三國志」もファン以外の人が見れば,知らないおじさんばっかりですしね。あまり有名ではない武将が「三國志 覇道」でいきなり出ても,プレイヤーの皆さんも愛着が湧かないでしょうから。

4Gamer:
 それもレアリティの低いおじさん。

伊藤氏:
 名を知られている人気武将なら,SSRおじさんでも構わない人は多いと思いますが,ノーマルレアのおじさんが増えてもコアなファンの方々以外には厳しいのが現実ですよね……。
 ゲームとしては初期100人という数字は十分なんですけど,三国志の歴史的には少ないと思ってしまうのがジレンマですね。

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4Gamer:
 ときに,コラボの予定などは?

伊藤氏:
 将来的には行っていきたいです。一応,歴代「三國志」シリーズ作品からドット絵の孔明や曹操など,ネット上で人気の顔グラフィックスはチャット用スタンプとして搭載していきますのでご期待ください。

4Gamer:
 海外展開についてはいかがでしょう。

伊藤氏:
 視野に入れている……入れたいというのが本音ですが,まずは日本です。国内でしっかりと仕上げて,運営もきちんとできて,反響もいただけてと。とにかく日本運営に全力を注いでからの話と思っています。

4Gamer:
 そして,この記事が載るころに事前登録も開始されるとのことで。

伊藤氏:
 はい。事前登録者数に応じて特典を付与できればと考えているので,お手数ですが皆さん,ぜひとも登録していただければと思います!

4Gamer:
 最後の余談ですが,今年はなんでもコーエーテクモゲームスのスマホゲーム展開もだいぶ加速するとのことで?

伊藤氏:
 現時点では本作のみの発表となりますが,今年からさらなる注力を目指しています。とくにコーエーテクモゲームスのさまざまな作品のファンの方々には,これからも期待していただきたいと思っております。

4Gamer:
 期待しておきます。それでは最後に,本作がスマホ向けSLGとしてどのような立ち位置を目指すのか。一言いただけますか。

伊藤氏:
 これはいつも口にしているのですが,同じスマホ向けSLGのゲームを遊んでいる軍団やギルドの人たちに,「三國志 覇道で真のNo.1軍団を目指したい」と思ってもらえる作品を目指しています。
 コーエーテクモゲームスの「三國志」で頂点を取れたのなら,スマホ向けSLGの頂点を豪語できる。そんな共通認識が生まれたり,指標になれたりするようなゲームをと考え,ここまで制作してきました。

4Gamer:
 スマホ向けSLGのリーディングタイトルになるぞ,と。

伊藤氏:
 もちろんビジョンは壮大ですが,それはそれとして,まったくこのジャンルに触れたことのない方々,「三國志」を知らない方々にもぜひ遊んでいただきたいと思っています。
 上級者のみならず,そういう方々にも歩み寄れる運営をしようと思い,公式サポートやTwitterでもできるだけ早い反応で,返答や共有をしていきたいと考えております。配信予定も近々お伝えできるはずですので,皆さん今後とも「三國志 覇道」をよろしくお願いいたします。

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