プレイレポート
ターン制ストラテジーなのに“ギアーズ”っぽい。アップテンポでハードな戦いが楽しめる「Gears Tactics」プレイレポート
「Gears Tactics」公式サイト
「Gears of War」(ギアーズ オブ ウォー)シリーズは,2006年から展開されている三人称視点のアクションシューティングゲームだ。惑星セラを舞台に,人類と謎の種族との終わりなき戦いが描かれてきた。熊のような大男がチェーンソーの刃が付いたアサルトライフルを軽々と操り,異形の怪物を処刑していく。衝撃的なビジュアルが深く印象に残っているゲーマーは多いだろう。
最新作「Gears Tactics」は前述のとおり,ターン制ストラテジーである。異なるジャンルのスピンオフタイトルだが,アグレッシブな立ち回りが求められるシステムに,お馴染みの処刑演出やボスキャラといった要素を盛り込むことで,ギアーズっぽさを感じつつ,テンポよく遊べるようになっている。
「Gears Tactics」の舞台は,第1作「Gears of War」の12年前。主人公は「Gears 5」のヒロイン,ケイト・ディアスの父であり,統一連合政府・COGの軍隊に所属するゲイブ・ディアスだ。相棒である隻眼の男,シド・レッドバーンと共に,人類を脅かすローカストの科学者・オーコンを倒す任務を帯び,故郷を失った難民達を兵士として訓練しつつ,戦いに赴くことになる。
臨機応変かつアグレッシブな戦略で
ローカストを蹴散らせ
「Gears Tactics」のシステムには遮蔽物を利用した戦いや,敵を迎え撃つ「オーバーウォッチ(監視射撃)」など,「XCOM」シリーズに近い要素が見られる。その一方で,リソースをやりくりしつつ,自軍の施設を拡張したり,人材を育成してマネジメントしたりする要素は存在しない。また,キャラクターが負傷するとしばらく出撃できない,ということも起こらない。
戦闘では「アクションポイント」と引き換えにキャラクターを動かし,遮蔽物を利用しながら数に勝るローカストの殲滅を目指す。アクションポイントはキャラクター達の行動力にあたり,3点が与えられる。移動や射撃,スキルを使う,といった行動のたびに1点を消費する仕組みだ。
ギアーズシリーズと言えば,遮蔽物に身を隠す(カバー)アクションが重要だが,これは「Gears Tactics」でも同様だ。建物や植え込み,車止めなどに身を寄せれば,その陰に隠れて,敵から攻撃されても命中率を引き下げることができる。逆に,視界が開けたところでターンを終えようものなら,ハチの巣にされてしまうだろう。
もちろん,ローカスト達もカバーを駆使してくる。とくに背の高い障害物に隠れた相手には,射撃が当たりにくくて仕方ない。そんなときは側面へと回り込めばカバーを無効化できるので,臨機応変に移動していくことが必要だ。アクションポイント3点を駆使すれば,障害物を渡り歩きつつ射撃することも可能になり,慎重かつアグレッシブな立ち回りがギアーズっぽい。移動の際にはローディーラン(屈みダッシュ)をしてくれるのも,シリーズファンには嬉しいポイントだ。
自軍は最大4人に対し,ローカストは数が多いうえにどんどん増援が湧いてくるため,無闇に突っ込むのは危険すぎる。ここでポイントになるのが,オーバーウォッチ。自分の持ち場を監視した状態でターンを終えると,敵に動きがあり次第,射撃するというコマンドだ。つまり,“敵のターンに割り込んで射撃できる”というわけである。
敵の攻撃を封じることもできるし,敵が障害物から障害物へと移動しようとする際の無防備な状態も狙い撃てる。同じエリアを複数のキャラクターで監視することができ,うまくハマればノコノコとやってきた敵に集中砲火を浴びせられる。なかなかに爽快だ。
このように説明すると,仲間4人を障害物の陰に固めて配置し,動かずにオーバーウォッチを続けていればよさそうだが,さすがに万能ではない。捕らえられた味方の救助や物資の回収といった任務にはターン制限が設けられており,ずっと籠もりっぱなしというわけにはいかない。
また,オーバーウォッチの監視エリアは扇状になっており,それ以外のエリアから襲われると無力。敵の数があまりに多いときには,どちらの方向からやって来るのか,ヤマを張って範囲を決めるしかない。
ローカストの増援が這い出てくる地面の穴「ローカストホール」も,障害物の防御がおよばない側面や背後に出現することが多く,同じポイントに籠もっていると危険だ。
そして,何より恐ろしいのが仲間を撃ってしまう“誤射”だ。オーバーウォッチの範囲内に味方がいると,敵を撃とうとして仲間に当たってしまう場合がある。もちろん通常と同じくダメージを受けるため,これはさすがに洒落にならない。
味方同士を固めて配置するというのはシミュレーションRPGの定石だが,かえって危険になることがあるのだ(ちなみに,味方を誤射した際の実績が用意されているので,余裕のあるときに試してみよう)。
敵もオーバーウォッチを使ってくる。オーバーウォッチを妨害するスキルもあるが,オーバーウォッチの範囲外から使わなければならないうえに,クールタイムが長いのがネックだ。
幸い監視エリアは表示されるので,うまく回り込んで対応すればいい。このようにプレイヤーは,常に状況に合わせた対応が求められる。
こうした戦いに勝利を収めるには,「グレネード」や「銃剣突撃」による処刑,そしてダウンした敵への「とどめ」が鍵になる。
敵は群れて前進してくることが多いため,その中心にグレネードを放り込めば,一気に3〜4体を倒せることも珍しくない。残弾制ではなくクールタイム制なので,気兼ねなく使えるのも嬉しいところだ。ただし,グレネードはローカストホールを塞ぐ際にも必要になるので,むやみに放っていると「いざというときに使えない」なんてことにもなりかねない。
COG兵士のアサルトライフルにはチェーンソーや銃剣が取り付けられており,相手が移動範囲内にいる,かつ障害物に遮られていなければ,「銃剣突撃」によって一撃で仕留められる。いわば,一撃必殺の突進技である。
「障害物の陰からコソコソと撃ってくる相手の側面に回り込み,唸るチェーンソーでぶった切る」「敵の増援が体制を整える前に銃剣で突き倒して強行突破する」といったアクションゲームのような立ち回りも可能だ。グレネードと同様にクールタイムは必要だが,一気に状況をひっくり返す切り札となりえる。もちろん,ゴア表現もしっかりと描写されるので,シリーズファンは必見だ。
また,敵のHPを削ると行動不能のダウン状態になる。このまま放置しておくと仲間が蘇生してしまうため,しっかりと息の根を止めなければならない。銃撃でケリをつけてもいいが,接近してとどめコマンドを使って倒すと,仲間全員のアクションポイントが1増加する。
つまり,「仲間が1回多く行動できるようになる」というわけで,アグレッシブに戦うと報酬が用意されているのだ。
ローカストの特徴を知ることも,この戦いを制するために欠かせない。アサルトライフルを装備した「ドローン」は,カバーを駆使して粘り強く銃撃戦を行う。小柄な「レッチ」は数を頼みに接近戦を仕掛けてくる。巨体の「ブーマー」を倒すと,爆発物を発射する「ブームショット」を落とすので,これを奪えば逆転のチャンスが訪れる。
ジャンルは違えども,ギアーズシリーズの雰囲気に違いはない。四方八方からローカストの大群に襲われつつ,カバーや処刑を駆使して臨機応変に立ち回る戦いは,まるで「Horde」モードのようだ。アグレッシブな立ち回りが求められることもあり,戦いはテンポ良く進んでいく。
ステージを進めていくと,巨大なボスが登場する。もちろん,通常の敵とは違った立ち回りが必要だ。
「ブルマック」戦では両手のチェーンガンを潰した後,背中のタンクを狙うという流れになる。しかし,タンクは後方からしか攻撃できないばかりか,ブルマックは撃たれるたびに向きを変えてタンクを庇おうとする。どこを向いていてもタンクを狙えるように,包囲した状態で攻撃したいところだが,カバー無効の範囲攻撃や即死のミサイルをひっきりなしに撃ってくるうえ,ローカストホールからレッチの群れが湧いてくるという有様だ。通常のセオリーがまったく通用せず,頭を悩ませることになるだろう。
自分だけのキャラクターを育成する
敵を倒して得た経験値やアイテムと引き換えに,キャラクターや銃器を強化していくのも攻略には欠かせない。
COG兵士にはタフな「前衛兵」,回復スキルを持つ「支援兵」,遠距離から敵を撃つ「狙撃兵」,ショットガンでの近距離戦を得意とする「斥候」,ミニガンで仲間をサポートする「重装兵」が存在する。経験値が一定値に達するとレベルが上がり,スキルポイントを4系列のスキルに振り分けられる。
例えば,支援兵の場合は持続回復スキルを持つ「サージャン」,仲間のアクションポイントを増やせる「メディック」,全体回復スキルを使う「コンバットメディック」,攻撃に特化した「ストラテジスト」という系列が存在。プレイヤー次第でキャラクターの得意な分野が決まるというわけだ。
また,マップ内に配された「ケース」には,さまざまな特性を持つ銃のパーツやアーマーが入っている。前衛兵にHPが増えるアーマーを装備させたり,重装兵のミニガンの弾倉を装着したりと,こちらもカスタマイズに役立つ。ケースのなかには少し危険を冒さないと手に入らないものもあり,戦いのモチベーションを喚起してくれるのだ。
物語が進むと,ゲイブの部隊には故郷を失った難民達が合流し,彼らを「兵士」として採用できる。ゲイブやシドといった主役級は「ヒーロー」と呼ばれ,力尽きるとゲームオーバーになってしまうが,兵士はそうではない。極端な話,彼らを見捨ててもクリアすることは可能だ。ただし,死亡した兵士を復活させる手段は存在しないようだ。
手塩にかけて育てたとしても,すべて無に帰すため,心が痛むことは避けられない。一方,採用の際に兵士の兵科は自由に選べるため,前衛兵を揃えた“攻撃的パーティ”を編成するといった柔軟な運用ができるのが面白い。
「Gears Tactics」はナンバリングとはまったく異なるジャンルでありながらも,随所に“ギアーズらしさ”が感じられるタイトルだ。ローカストの大群,イヤなタイミングで危険な場所にやってくる増援,そしてアグレッシブな立ち回りが推奨されるシステムによって,小気味のいいテンポでスリリングな戦いが続いていく。シリーズファンはもちろんだが,骨太のターン制ストラテジーを探しているゲーマーにも,ぜひ遊んでみてほしい。
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