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「アイアンサーガVS」&「レゾナンス:無限号列車」インタビュー。開発のGAMEDUCHYはどっちにも“ガチの好き”がこもってる[TGS2024]
2009年に設立された同社は,2018年配信のスマホ向けアクションRPG「機動戦隊アイアンサーガ」で世界的に名を上げた。
もともとはインディーのいちゲームスタジオであったが(6年前のインタビュー),今では一流入りを果たしたと言える。
そんな同社がTGS2024に,趣旨の異なる2作品を出展していた。ロボ格ゲーに鉄道SLG。どちらも濃ゆ〜い沼なジャンルだが,話を聞く前からどっちにも“ガチの好き”がこもっているのは分かった。
無限の列車がまいりま〜す。災変後の世界で美しい車窓を味わう,鉄道SLG+RPG「レゾナンス:無限号列車」[TGS2024]
東京ゲームショウ2024で,GAMEDUCHYが鉄道シミュレーションRPG「レゾナンス:無限号列車」の試遊を出展した。日本のアニメファンだったら漢字の字面にピクッとさせられるが,アイサガ開発らしく,中身も期待どおりの本格派だ。
EVOに出展したくらいだから――
4Gamer:
まず,アイアンサーガVSを開発したきっかけはなんでしょう。
アイサガVS プロデューサー:
ロボットが好きだから作りました。
4Gamer:
分かりやすい。
アイサガVS プロデューサー:
それと,私は対戦格闘ゲームも大好きで,これまでたくさんプレイしてきましたが,「ロボ×格ゲーは存在するのか?」と探したところ,現代の市場にはなかったので自分たちで作ることにしたんです。
4Gamer:
お好きな格ゲーはどれなんですか。
アイサガVS プロデューサー:
「ストリートファイター」シリーズです。
それと「ザ・キング・オブ・ファイターズ」シリーズです
4Gamer:
なるほど。アイサガVSからも“っぽさ”を感じます。
そのうえで本作は,どんな格ゲーを目指したのでしょう。
アイサガVS プロデューサー:
私たちは,ロボットが好きだけど格ゲーは不慣れな人と,コアな格ゲーファンの両方が,それぞれ異なる体験で楽しめる格闘ゲームを制作したいと考えてきました。
格ゲーが不慣れな人には,対戦よりも遊びやすいPvEコンテンツを。コアな格ゲーファンには,骨太な対戦環境を提供します。
4Gamer:
格ゲーは現状,間口がせまいとされているので,これ以上にない方向性かと思います。アイサガVSの作りもシンプルかつオーソドックスな路線を,高い品質でこなしている印象ですし。
ただ,日本のこれまでの格ゲー事情のことを踏まえると,どれだけ優しい操作にしても,一部システムに関しては操作方法も用途も難しく受け取られてしまう気もしています。
アイサガVS プロデューサー:
それは,どのシステムを指していますか?
4Gamer:
例えば,初心者向けだと思われる「簡単コンボシステム」。こちらは日本の格ゲー界が歩んできたボタン連打で簡単コンボ,ではなく攻撃ボタン入力後に“レバーをすばやく倒す”ことで,2発目,3発目,フィニッシュの必殺技と連携技が続いていきます。
この操作が,初心者には少し難しいのではないかなと思っています。
アイサガVS プロデューサー:
どのようなところがでしょう?
4Gamer:
攻撃ヒット後にボタン入力をホールドしながらレバガチャする,という操作の前例が少ないからですね。また,攻撃が当たっていないときは追撃が発動せず,無防備にレバガチャするリスクも生じます。
レバガチャを要求する試みはとてもおもしろいと思うのですが,格ゲーの歴史を見ると,レバガチャ操作は最近淘汰されつつありますし。
簡易的すぎるかもしれませんが,ボタン連打で簡単コンボできるほうがオーソドックスなのではないでしょうか?
アイサガVS プロデューサー:
なるほど。おっしゃることは分かります。このゲームは伝統的な格ゲーに似せようとしてきましたが,コンボについては,やはり同じボタンを連続入力するだけで発動するようだと簡単すぎると考えています。
ですので,今以上に簡易にするのは避けたいですね。
4Gamer:
例えば「自身で入力すれば高火力」「ボタン連打コンボは低火力」といった,2つの操作モードを用意する考えはありませんでしたか? それこそ,いろいろとリスペクトが垣間見えるスト6のように。
アイサガVS プロデューサー:
そうですね。本作はスト6を参考にさせてもらっています。
あちらは「モダンモード」により,6ボタン操作を4ボタンに減らしましたが,本作はもともと4ボタン操作です。それに簡単コンボシステムは“自身で入力するよりもコンボ火力が低い”という仕様ですので,今おっしゃられた要素はすでに導入できていると言えます。
また,複雑なコマンド入力(昇龍や低空ジャンプ・ダッシュ)は控えめにして,コントローラーやキーボードのプレイヤーが,高価なアーケードスティックを使うプレイヤーとも同じ舞台で競えるようにと調整してきたので,操作モードの追加は考えていません。
4Gamer:
駆け引きの面については,高速で接近する手段はあるものの,2段ジャンプや空中ダッシュは(基本)ないため,「攻撃の慎重な差し合い・読み合い」を重視していると考えてよいでしょうか。
アイサガVS プロデューサー:
そうですね。本作が目指す駆け引きは「相手の技を見破ること」です。反応神経よりも“知識と対策”を重視しています。
4Gamer:
「攻撃のリーチ」についてはどうでしょう。
現時点でも絶妙なバランスに感じていますが,もう一回り豪快になっても,それはそれでロボットらしいダイナミックさになるのかなあと。
アイサガVS プロデューサー:
長いリーチの攻撃は,本作においては立ち回りの価値を下げるため,動画の表現よりも格ゲーとしての納得感を重視しています。
4Gamer:
格ゲーではキャラクター間の強さのバランスも重要ですが,そのあたりはどのように考えていますか。
アイサガVS プロデューサー:
原則,対戦ゲームなので平均的な調整を心がけています。開発チームには格闘ゲームのプロ選手もいて,数値面の調整を担当してもらっているので,バランス面はわりと均等になっているはずです。
それに,開発チームには“EVOに参加して世界25位になった猛者”もいるんですよ。みんな格闘ゲームが大好きなんです。
4Gamer:
信頼できそうですね。ついでにリリース後に「この機体が強すぎる」といった意見が出たとき,バランス修正はどのように対応しますか。
アイサガVS プロデューサー:
対戦環境を調査し,「勝率」で判断して調整していくことで,ゲーム全体の競技性を保っていくつもりです。
4Gamer:
競技性という言葉が出るとなると,大会開催の展望も?
アイサガVS プロデューサー:
やりたいと思っています。本作はすでに「EVO Japan 2024」に出展していましたし,今後も別のイベントに出展する予定があります。そうして格闘ゲーム好きに広めていって,ゆくゆくは大会をやりたいです。
4Gamer:
そういえば,本作には原作「機動戦隊アイアンサーガ」のスタッフは関わっているのでしょうか?
アイサガVS プロデューサー:
はい。僕がアイサガのプロデューサーの1人です(笑)。
4Gamer:
おっと,それは失礼を。なら内部的な問題はなさそうですね。
ところで,マジンガーZやゲッターロボ,ダンクーガの参戦はどのような基準で選ばれたのでしょう。
アイサガVS プロデューサー:
それはとても簡単です。私は「スーパーロボット大戦」が大好きなんです。マジンガーZはいつも序盤から頼りになる仲間で,私はそこにゲッターロボやダンクーガを伴ってクリアまで遊んでいました。
4Gamer:
それもいろんな意味で納得です(笑)。
となると,さらなる新機体も期待していいんでしょうか。
アイサガVS プロデューサー:
もちろんです。まずはローンチ前までに「12機体」と「25武装」を用意して,リリース後もDLCで随時追加できればと思っています。
4Gamer:
プラットフォームに関しては現状,PC(Steam)のみの発表ですが,他機種での展開も考えていますか。
アイサガVS プロデューサー:
はい。本作は年内までにPCのほか,Switchでもリリースできるように動いています。そのあともPlayStationやXboxなどで配信できるかどうか,がんばって調整していきます。
4Gamer:
目標はやっぱり,EVOのメインタイトル入りですか?
アイサガVS プロデューサー:
(笑顔でサムズアップ)
アニメスタジオをフル活用
4Gamer:
それでは「レゾナンス:無限号列車」の話へ。
こちらはどんなゲームなのでしょう。
レゾナンス プロデューサー:
レゾナンスは“鉄道”を主題にしたストーリーと,経営シミュレーション要素を合わせたスマホ向けRPGとなります。
プレイヤーはポストアポカリプスの世界で鉄道列車の車掌となり,列車を運転して,近未来の舞台を冒険していきます。ここにはいくつもの勢力が存在していて,プレイヤーはさまざまな登場人物と出会いながら,列車の運用やカードバトルを体験していきます。
4Gamer:
鉄道をテーマにした理由はなんでしょう。
レゾナンス プロデューサー:
私たちは当初“ロードムービーのような物語”を生み出したいと考えていて,旅をする手段を考えたとき,鉄道が最も似合うと考えたんです。飛行機だと速すぎてしまう。車だと遅すぎてしまう。だけど列車の速度感なら,旅情のイメージも雰囲気もピッタリだと思えました。
それと,ほかのゲームとの差別化という観点もあります。自分で列車を操作して鉄道を走っていく遊びは珍しいはずですし。
4Gamer:
ここまで本格的な鉄道要素に踏み入るのは,日本の老舗な鉄道系ゲームを含めても少数例ですしね。開発陣は鉄道好きが多いですか?
レゾナンス プロデューサー:
はい。鉄道好きの人たちが多いです。
4Gamer:
実際,列車自体の外装や内装,貨客や貨物の運用など,細かなアップグレード要素がたくさん散りばめられていますものね。
狙いとしては,鉄道好きの人たちがターゲットなのでしょうか。
レゾナンス プロデューサー:
鉄道愛好家の皆さまを特別狙っている,ということはなく,一般的なゲーマー向けを想定して開発してきました。
ただ結果として,鉄道愛にあふれる要素が多く盛り込まれていったので,二次元ゲーム好きな方々に鉄道列車の魅力に気付いてもらえたり,好きになってもらえたりしたらうれしいですね。そして鉄道好きの方々にもいいと思ってもらえたなら,さらにうれしく思います。
4Gamer:
あと,アニメーションを多く取り入れていますよね。
レゾナンス プロデューサー:
はい。アニメーションスタジオもありますので。
4Gamer:
それは,自社のスタジオという意味で?
レゾナンス プロデューサー:
そうです。レゾナンスのアニメの大部分は自社スタジオで制作してるため,創作の自由度がすごく高いんです。作画監督や原画,演出などのスタッフもとても盛り上がって制作してくれています。
そのおかげでアニメーションの画質も安定していて,描画の種類も多種多様です。それと伝統的な2Dアニメーションだけでなく,「ハードコア」た「ドリームコア」など新しいスタイルにも挑戦しています。
4Gamer:
内製のアニメでこのレベルとは。コンテンツ開発全般の技術力の高さがうかがえます。ちなみにGAMEDUCHYは当面,新作としてアイサガVSとレゾナンスを押し出していくのでしょうか。
レゾナンス プロデューサー:
そうなります。ただ,弊社ではこのほかのゲーム開発も進めている最中ですので,この2作だけということではありません。
4Gamer:
なるほど。この2作以外にも期待していいわけですね。
レゾナンス プロデューサー:
そうです!
4Gamer:
では,GAMEDUCHYの次と,次の次も楽しみにしています。
「レゾナンス:無限号列車」公式サイト
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