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だが「腐敗」と呼ばれる第四の力がじわじわと盤面を侵し,禁じられた力で指を動かすよう囁いてくる。
永遠は,指先にある。果たしてその手は,重みに耐えうるのか。
本日は,58BLADESが手掛ける「Handmancers」を紹介しよう。本作は手の魔法が司るファンタジー世界を舞台にしたローグライトデッキビルダーだ。
プレイヤーはParchment(紙)・Stone(岩)・Blades(鋏)の三派閥から一人を選び,腐敗に侵されゆく領域の奥へと潜っていく。
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本作の特徴は,誰もが知るじゃんけんの三すくみをそのまま戦闘の土台に据えている点である。
プレイヤーが手に握るカードはすべてグー・チョキ・パーいずれかの「サイン」を持ち,敵の出すサインに対して有利なものを叩き込めば一方的に攻撃が通り,不利を引けば反撃を食らう。ルールはこれだけだ。
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各カードにはGemと呼ばれる特性を最大3つまで装着でき,同じチョキでも振る舞いがまったく異なるカードへ姿を変えていく。
じゃんけんが戦術になる瞬間
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本作の戦闘はターンとなっており,プレイヤーは後出し側だ。敵が次に繰り出すサインは事前に開示されており,敵のどのサインに対して手札のどのカードをぶつけるかを考えていく。
どこで勝ちを取りに行き,どこで最小の被害に抑えて耐え凌ぐか。シンプルな三すくみの上に,限られた手札で行動を最適化していくパズルのような思考が乗ってくる。
手札が育ち,シナジーが噛み合い始めると,一手の重みは加速度的に増していき,初手では想像もつかなかった連鎖が局面を覆していく。
Sprintが生む手札マネジメントの駆け引き
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本作にはターンごとのドローが存在しない。代わりに「Sprint」と呼ばれる行動があり,これを使うと現在の手札を破棄して上限までカードを引き直すことができる。
ただしSprintを行うと,手札に「Cramp」という使えば必ず負けが確定する妨害カードが混入してしまう。例外として,手札を完全に使い切った状態でSprintをすると,このときに限りCrampは入らない。
つまりプレイヤーは,弱い手札を負け覚悟で消化してクリーンに引き直すか,それともCrampの混入を許容してでも早めに札を回すかの判断を,毎ターン迫られることになる。
これが後出しじゃんけんの構造とも噛み合っており,あえて負けるカードをぶつけるなら,被害が最小になる相手の手にどう割り当てるかという二段構えの読みが要求される。
Crampを抱え込みすぎれば手札が腐って事故るが,使い切りに固執しすぎても展開が遅れる。この絶妙なリスク管理こそが,本作を単なるじゃんけんではない代物に押し上げている。
13枠もあるアーティファクト
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ラン中のビルド構築を支えるのが,パッシブ効果を持つアーティファクトの存在だ。装備スロットはなんと13枠も用意されており,道中で拾い集めたアーティファクトを組み合わせることで,毎ランの方向性は大きく変化していく。
さらに本作にはMani(マニ)と呼ばれるメタ進行リソースがあり,ランをまたいで永続的に蓄積していく。
これを消費するスキルツリー型のシステムでは,新キャラクターやそのバリアントの開放はもちろん,戦利品取得時に選べるジェムの種類が4つ増える「Gems Pack I」,戦利品の選択枠そのものを拡張する「Open Mind」,アーティファクト報酬を1つ追加する効果など,ラン中の選択肢を底上げする恒久バフが並んでいる。
アンロックを進めるほど次のランの組み合わせの幅が広がっていくため,繰り返すたびに新しいビルドの可能性が見えてくる構造になっているのだ。
「Handmancers」は,じゃんけんという誰もが知る土台を,後出しの読み合い,Sprintによる手札マネジメント,13枠のアーティファクトとMani進行が支える組み合わせの広がりで何層にも肉付けしたローグライトカードゲームだ。
ルールが極端に単純だからこそ,育った手札が力を発揮する瞬間の手応えはひとしおである。
短時間でも遊べてリプレイ性も高いので,「Slay the Spire」系のデッキ構築に手応えを感じるプレイヤーや,シンプルなルールから戦術が立ち上がるゲームが好きな人に,ぜひ遊んでもらいたい。
























