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ゲーマー視点での「iPhone 7 Plus」レビュー。高性能で安定したゲーム環境を実現した新iPhoneの魅力とは?
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印刷2016/10/29 00:00

レビュー

高性能で安定したゲーム環境を実現した新iPhoneの魅力とは

Apple iPhone 7 Plus

Text by 林 佑樹


iPhone 7 Plus
メーカー:Apple
問い合わせ先:Apple サポート
直販価格:8万5800円から(税別,2016年10月29日現在)
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 Appleの新世代スマートフォンであるiPhone 7シリーズが発売されて,1か月半ほどが経った。10月25日には,目玉機能の1つであった決済サービス「Apple Pay」もスタートし,いろいろトラブルはあるようだが,電子マネーサービス「Suica」による決済や鉄道への乗車も可能になっている。
 そんなiPhone 7シリーズのレビューを,なぜか4Gamerではやっていなかったので,筆者の私物であるKDDI版の「iPhone 7 Plus」を,ゲーマーの視点でチェックしてみることにした。

 発売から多少時間が経ってしまったので,いささか今更感もないわけではないが,冬のボーナス商戦での購入を考えている人もいるだろうし,ゲームアプリの「iOS 10」への対応待ちで様子見をしていた人もいるだろうから,頃合いとしては悪くないだろう。入手難が続いていた店頭在庫も改善されてきたようなので,予約をしなくても購入できる状態になりつつある。
 数世代前のiPhoneから機種変更を考えていたり,製品バリエーションの豊富なAndroid端末と,バリエーションは少ないが安牌なiOS端末のどちらを選ぶべきか迷っている読者の参考になれば幸いだ。

筆者が購入したiPhone 7 Plus。内蔵ストレージ容量128GBで,ローズゴールドのモデルを選択した。iPhone 7シリーズは,新色としてブラックとジェットブラックが追加されたが,カバンの中で探しにくいという理由からスルーした
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見た目はiPhone 6世代と同じだが変更点はある


 おさらいを兼ねて説明しておくと,iPhone 7シリーズは,4.7インチ液晶パネルを採用する「iPhone 7」と,5.5インチ液晶パネルを採用するiPhone 7 Plusの2本立てとなっている。サイズや搭載カメラには違いがあるものの,スペックはほぼ同一だ。

 まずは,iPhone 7 Plusの外観を見ていこう。
 細かい部分での変更はあるが,パッと見の見た目は,前世代に当たる「iPhone 6s Plus」と大きくは変わっていない。
 軽く突出したアウトカメラユニット以外は,本体の前面,背面ともにフラットだ。左右側面はほぼ半円を描いており,グリップはしやすいのだが,手からすっぽ抜けやすくもあるため,滑り止めとなるジャケットやバンパーを組み合わせる必要があるだろう。iPhone 7 Plus向けのジャケットやバンパーは豊富に出回っているので,自分に合ったものを選べるのは利点だ。

前面(左):見た目はいつものiPhoneといったところ。上部の受話口はスピーカーも兼ねている
背面(右):iPhone 7 Plusは,アウトカメラがデュアルレンズなので,iPhone 7より見た目のインパクトは強い
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上側面(左):上側には何もナシ
下側面(右):左からマイク孔,Lightning端子,マイク孔兼スピーカー
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左側面:消音スイッチと音量調整ボタンが並ぶ
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右側面:トレイ式のSIMカードスロットと電源/スリープボタンがある
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 iPhone 7 Plusでの大きな変更点を見ていこう。
 まずはホームボタンだ。従来はボタン式だったが,これが静電容量センサーに変更された。ホームボタンを押すと,ボタン部に内蔵された振動機能「Taptic Engine」によるフィードバックが発生して,ボタンを押したような感覚を得られるようになっている。
 従来どおり,指紋認証センサー「Touch ID」も搭載しており,ロックの解除やApp Storeでの購入時におけるユーザー認証に使える仕組みだ。指紋認証の読み取り精度は良好で,筆者が経験した認証エラーは,指先が濡れたまま触ったときくらいだ。

静電容量式センサーに変わったホームボタン(左)。指紋認証センサー「Touch ID」も備えている。ちなみに,X線非破壊検査装置で内部を透視してみると,ホームボタン裏にTaptic Engineを構成する横長の物体が見える(右,関連記事
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 もう1つの特徴はスピーカーだ。iPhoneシリーズでは初めて,受話口と下側面にステレオスピーカーを搭載している。Android端末では,ソニーモバイルコミュニケーションズ製のXperiaシリーズやHTC製端末が,ずいぶん前からステレオスピーカーを採用していたため,「やっとか」という印象は否めない。

 ステレオスピーカーの採用は,ゲームプレイ時のサウンド再生にもメリットがある。以前は下側面にしかスピーカーがなかったので,プレイ中に指でスピーカーを塞いでしまうこともあったのだが,ステレオになったことで,両方同時に塞いでしまうことはまずなくなった。
 ただ,受話口と下側スピーカーとでは,音質には差があるのが気になるところ。低音域が分かりやすく,受話口に寄っていると急にバランス悪く聞こえてしまうといった具合だ。
 また,スクリーンショットやカメラのシャッターの音量が,騒音と言っていいほど強烈に大きくなっているのも悩ましい。

iPhone 7 Plusに付属のヘッドフォンジャックアダプタを取り付けたところ。超小型DACで変換していると思われ,音質はあまりよくない。充電時には外す必要があるので,亡くしやすいのも困りもの。筆者は写真のアダプタで通算3個めである
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 サウンドに関わる大きな変更点は,3.5mmミニピンのヘッドフォン端子を廃止したことだ。これにより,アナログ接続ヘッドフォンを直接つなげることはできなくなり,付属の「Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ」(以下,ヘッドフォンジャックアダプタ)という変換アダプタを使ってアナログ接続ヘッドフォンを使うか,Lightning端子に直接つなぐ付属ヘッドフォン「EarPods with Lightning Connector」(以下,EarPods)を使うか,それともワイヤレスのBluetooth接続のヘッドフォンを使うしかなくなった。
 ただ,Bluetooth接続のヘッドフォンでゲームの音楽を聴く場合,どうしても遅延の問題が障害になってくる。とくに,タイミング重視のゲームでは,遅延は致命的な要素となるので,Bluetooth接続ヘッドフォンを使うのは避けたい。そうなると,付属ヘッドフォンか変換アダプタを利用する必要が出てくるだろう。

「Audio Video Sync Test」の画面。左から流れくる白いバーと,中央で上下に弾む白い円の接触はサウンドと同期している。つまり,音が遅延しているのであれば,映像と音のタイミングがずれることで把握できるという理屈だ。iPhone 7 Plusとヘッドフォンジャックアダプタを組み合わせた場合,10秒ほど見続けるとズレ具合が明確になってくる
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 Lightning端子からの出力を変換することで,サウンド再生に遅延は生じないのだろうか。そこで,「Audio Video Sync Test」(関連リンク)という計測用コンテンツを使って,簡単なチェックしてみた。すると,ヘッドフォンジャックアダプタ,EarPodsのどちらも,ごくわずかに遅延は存在しているが,プレイへの影響は少ない程度であることを確認できた。
 実際,筆者がスマートフォンでのゲームプレイにおけるさまざまな要素をテストできるツールとして使っている「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(iOS / Android,以下 デレステ)のプレイでも,遅延は気にならない程度だ。

個人差はあるだろうが,ヘッドフォンジャックアダプタかEarPodsを使用する場合,「+4」前後に設定するのがいい
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 デレステなどのリズムゲームでには,遅延を考慮してタイミングを調整する機能を備えている場合がある。デレステの場合,iPhone 6s Plusでは遅延を調整をする必要がなかったものの,iPhone 7 Plusとヘッドフォンジャックアダプタの組み合わせでは,タイミング調整を「+24」程度にするのがちょうどいい印象だ。

 ゲームにはあまり関係ないが,アウトカメラについても簡単に触れておこう。
 iPhone 7 Plusは,35mm換算で28mm相当の広角レンズと,57mm相当の望遠レンズ(いずれもEXIFでの値)を備えており,一応は任意に切り換えて使用できる。57mm側を選ぶと光学2倍ズームになるため,遠方の被写体をよりきれいに撮影できるようになるのが利点だが,一方で,57mm側には光学手ぶれ補正機能がないのに加えて,室内程度の明るさで撮影する場合や30cm以内の被写体を狙う場合にはデジタルズームが優先されてしまうなど,いろいろとクセがある。
 また,57mm側ではISO感度が高めになるため,ディティールが崩れがちなのも気になるところだ。使うのは,明るい日中に限定したほうがいいかもしれない。

iPhone 7 Plusのアウトカメラ(左)。左側が28mm相当の広角レンズで,右側が57mm相当の望遠レンズだ。デジタルカメラの望遠レンズほどではないので,期待しすぎないように。ちなみにPokémon GOは,28mm側で動作する(右)
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A10 Fusion SoCは2コアCPUの最大2.34GHz

GPUコアは詳細不明だがベンチマークスコアは高い


 iPhone 7 Plusのスペックをチェックしていこう。
 iPhone 7 Plusは,搭載SoC(System-on-a-Chip)に,Apple独自設計の「A10 Fusion」を採用。液晶パネルの解像度は1080×1920ドットで,メインメモリ容量は3GB(※公式には未公表,以下同),内蔵ストレージ容量は32GBか128GB,もしくは256GBとなっている。内蔵バッテリー容量は約2900mAh(※公式には未公表,以下同)だ。
 ちなみにiPhone 7は,SoCとストレージ容量は同じだが,解像度が750×1334ドット,メインメモリ容量は2GB,バッテリー容量は1960mAhと,それぞれ低めになっている。ゲームにおいて,両製品の間に決定的な性能差があるというほどでもないので,好きなほうを選べばいいと思う。

 SoCであるA10 Fusionについて,Appleは詳細な仕様を公表していない。後段のテストでも使用するベンチマークアプリの「GeekBench 4」で確認してみると,最大動作クロックは2.34GHz,L1キャッシュ容量は64KBで,L2キャッシュ容量3MBといった部分が分かる程度。SoCに統合されたGPUコアについては,まったく情報がない。
 しかも,CPUコア数は「2基」と表示されているが,実際のA10 FusionはCPUコアを4基搭載しているなど,SoCの仕様を正確に取得できていない面がある。A10 Fusionは,CPUコアを2コアで1セットとしたbig.LITTLE的な仕組みで扱っているようで,そのため誤認識しているのだろうか。

※2016年10月31日11:20頃追記:掲載当初,CPUコア数を2基と記載しておりましたが,正しくは4基でした。訂正してお詫びいたします。

 海外メディアが報じた分解記事によると,SoCはTSMCの16nm FinFETプロセスで製造されていることが判明している(すべてのA10 Fusionが,TSMC製とは限らないが)。また,X線写真では,GPUコア(※正確にはシェーダプロセッサのクラスタ)が6基あるというのも分かっているそうだが,それ以上の詳しい仕様は不明だ。

 分からないことだらけとはいえ,従来のiPhoneよりも性能が向上しているのは確かで,iPhone 6以前の世代から機種変更するのであれば,十分快適になるはずだ。一方,直前の世代であるiPhone 6sシリーズからの移行だと,プレイするゲーム次第というのが正直なところか。

 それでは,実際の性能をベンチマークテストやゲームのプレイで確認していこう。
 今回ベンチマークテストに用いたのは,Android端末とのクロスプラットフォームで結果を比較できるグラフィックスベンチマークアプリの「3DMark」と,iOS用のCPUベンチマークアプリである「GeekBench 4」,そして総合ベンチマークアプリ「AnTuTu Benchmark」の3本だ。検証時点のOSバージョンは「iOS 10.0.3」。10月25日には,最新版である「iOS 10.1」へのアップデートが行われたが,とくにスコアに変動はなかったため,結果はそのまま採用することにした。

iPhone 7 Plusにおける3DMark Ice Storm Unlimitedの「Monitoring data」グラフだが,「FPS」の値がやたらと高く,正常に取得できているのか疑問を感じる(※クリックすると細目も含めた全体を表示します)
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 まずは3DMark Ice Storm Unlimitedのスコアを,SoCに「Snapdragon 821」(CPUコア:Krait×4,最大動作クロック2.4GHz)を搭載するハイエンドスマートフォン「ZenFone 3 Deluxe」(型番:ZS570KL,以下 型番表記)と比較したのがグラフ1となる。念のために3回ほど計測してみたが,平均して「35000」を超えていた。
 Snapdragon 820搭載機も30000前後ということからすると,iPhone 7 Plusのスコアは,現行のスマートフォンで最も高いといえる。とはいえ,スコアの大半はGraphic testで稼いだもので,しかも「Monitoring data」でグラフを見ると,フレームレートの値がやたらと高い状態で,本当に正しく計測できているのか,少し不安になるほどだ。その一方で,Physics testのスコアはZS570KLを大きく下回っていた。
 GPU性能で優れる一方で,CPU性能は,Snapdragon 821に差を付けられているという傾向が表れたといえよう。

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 次なるGeekBench 4は,3回計測しての平均値をチェックしてみた。
 シングルコアでのCPU演算性能を測る「Single-Core Score」が「3353」,マルチコアでの演算性能を測る「Multi-Core Score」という結果だった「5342」。このスコアを,アプリ内で参照できる従来のiPhoneシリーズで計測されたものと比較してみると,iPhone 6s PlusのMulti-Core Scoreが「4030」で,iPhone 6 Plusは同じく「2472」とのこと。着実な性能向上を実現していることが分かった。
 ちなみに,メモリアクセス性能を測る「Memory Copy」や「Memory Bandwidth」の値を見ると,メインメモリはLPDDR4タイプのようだ。

GeekBench 4の測定結果。現行世代のiPad Proよりもやや高速で,iPhone 6s世代からすると,約2倍のスコアになっている(左)。Memory Copyは「9.58GB/s」,Memory Bandwidthは「12.9GB/s」となった(右)
(※クリックすると全体を表示します)
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AnTuTu Benchmark。スコアのブレが大きいので,常用するベンチマークテストにするには少々問題ありとみている
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 3つめのAnTuTu Benchmarkだが,3回計測して総合スコアである「Total Score」の値が,最大で「183858」,最小では「158489」と,変動が激しすぎる結果となってしまった。そのため,あまり信頼できる結果ではない。ただ,12回ほど連続でテストを繰り返してみたところ,おおむね「155000」前後が平均的なスコアであるようだった。
 2015年9月に掲載したiPhone 6sおよびiPhone 6s Plusのレビュー記事に,AnTuTu Benchmarkで計測したiPhoneシリーズでのスコアが掲載されていたので,iPhone 7 Plusのスコアとまとめたグラフ2を作成してみた。OSやアプリのバージョンが異なるので,あくまでも参考レベルになるが,iPhone 7 Plusの性能向上ぶりがよく分かると思う。

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World of Tanks Blitzは最高設定でも60fps弱をキープ


 ゲームでのテストは,デレステと「World of Tanks Blitz」(iOS / Android)で行なった。

描写についての問題はない。楓さんがお美しい
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 まずはデレステからだが,チュートリアル時の判定は「3D標準」。連続でプレイしても入力取得漏れを起こすようなことはなく,同時押し,ドラッグ操作の取得も良好だ。描写のもたつきもナシといい動作を見せていた。
 それ以外にプレイ中に気になったことといえば,ヘッドフォンでプレイするときに,ケーブルの位置が邪魔だというくらいだろうか。

 ところが,10月24日時点でのクライアントでは,3D標準だとプレイ曲の冒頭付近で描写がもたつくことが増えたのだ。どうやらアプリ側の問題であるようで,改善を期待したい。


 続いてはWorld of Tanks Blitz(以下,WoT Blitz)でチェックしてみよう。
 WoT Blitzは,PCゲーム並みに柔軟なグラフィックス設定が用意されているという,ある意味ベンチマーク向きのアプリだ。デフォルトでは,すべてのグラフィックス設定が「中」になっており,この状態でのフレームレートは59〜60fpsと高いものだった(※上限は60fps)。そこで,すべて「高」にしてみたが,それでもフレームレートは58〜60fpsと,ステキな結果になった。

デフォルトのグラフィック設定は「中」(左)。処理負荷の高い「HDサウンド」もオンになっていた(右)
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グラフィックス設定にある「新規レンダー」なる項目は,iOSのグラフィックスAPI「Metal」を利用する設定だ。iPhone 7 Plusではデフォルトでオンだった
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 以前に筆者がテストした2016年夏モデルのAndroid端末「Galaxy S7 edge」の場合,WoT Blitzのフレームレートが48fps前後であった。それに比べると,iPhone 7 PlusのGPU性能は明らかに高い。WoT Blitzのフレームレートが60fps付近で安定するのは,2017年のハイエンド端末が出てきてからだろうと予想していたので,この結果はまさに驚きである。
 プレイ中も,仮想タッチパッドの反応が悪くなるようなことはなく,まっすぐ前進し続けるような操作も問題なかった。iPhone 7 Plusは,ゲームプレイにも優れた端末だといえる。

グラフィックス設定をすべて「高」にする最高品質の設定状態でも,58〜60fpsでプレイできた
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防水・防塵対応で放熱はどうなった


 iPhone 7シリーズは,iOS端末としては初めて,防水・防塵に対応したスマートフォンとなった。ユーザーにとってはありがたい特徴ではあるが,防水端末はどうしても内部の熱が逃げにくくなりがちなので,高負荷なゲーム連続でプレイしたときなど,熱の影響が気になるところだ。

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 iPhone 7 Plusの場合,背面のカメラユニット周辺や右側面が熱を持つ傾向がある。ゲームのプレイを続けると,ここらから次第に全体へと熱が拡がっていく感じだ。側面や背面はアルミニウム合金製の素材であるため,金属筐体を放熱に生かしているのだろう。
 ちなみに,最も温度が長時間上昇した状態になるのは,ゲームではなく,初回セットアップ時やOSアップデート時である。

 iPhone用赤外線カメラ「FLIR ONE」を使って筐体の温度計測をしてみた。以下に掲載した写真は3DMarkのSling Shot Extremeプリセットを,デモをオンにした状態で10回連続で実行した状態を撮影したものだ。
 見てのとおり,正面から見て右上が高い熱を持っており,右側面全体で放熱している様子が分かる。

FLIR ONEで温度計測をしている様子。ちなみに,全体を包むジャケットよりも,側面だけを覆うバンパーのほうが,放熱性能を維持しながら本体を保護するのに適している
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 iPhone 7 PlusでWorld of Tanks Blitzを長時間プレイし続けても,高温になることでSoCの動作クロックが落ちるサーマルスロットリングに遭遇する様子がない。そこで,筆者所有の「Apple Watch Series 2」(以下,Apple Watch)と,Apple Watchでのモニタリングに対応するiOS用のシステム監視アプリ「System Guard」を使用して,動作中のCPU使用率をチェックしてみることにした。

System Guardとは,iOSデバイスの動作状況をApple Watchで遠隔監視できる監視アプリである。ほぼリアルタイムで,CPU使用率や空きメモリ容量,通信状況を把握できる。なお,残念ながらGPU使用率は確認できない
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 System Guardでチェックしたところ,3DMarkのPhysics testで,CPU使用率がほぼ100%になった程度。デレステでは50〜60%,World of Tanks Blitzでは45〜65%と,だいぶ余力があることが分かった。この程度のCPU負荷率であれば,熱ダレを生じるほどではないのだろう。

3DMark Ice Storm Unlimitedを実行中のCPU動作状況を確認すると,Graphic test 1では,CPU 1が38%,CPU 2が9%あたりをウロウロしていた(左)。しかし,CPUで物理演算を行うPhysics testになると,CPU 1が95%,CPU 2が94%前後と,劇的に使用率が跳ね上がる(右)
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ゲーム用スマートフォンとしては無難で安定した端末

Androidからの乗換はケースバイケース


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 iPhone 7 Plusのテストは以上のとおりとなる。
 ゲーム用スマートフォンとして見たiPhone 7 Plusは,とても安定して高い性能で動作する端末といったところか。ただ,現時点では,ゲーム画面のスクリーンショット撮影を実行したときに鳴るサウンドが,騒音レベルにうるさいことが最大の懸念材料である。
 とはいえ,iPhoneシリーズを選んできた人で,とくにiPhone 6以前の端末を使い続けてきたという場合は,機種変更する価値のある製品といえよう。

 一方で,Android端末からの以降となると,まず有料アプリがすべて買い直しになるのがネックとなる。幸い,ゲームは無料のものが多いし,機種変更をしてもデータ移行が可能なものが大半なので,これまでAndroid端末でプレイしていたタイトルが,iPhone 7 Plusへの移行で遊べなくなるような問題は少ない(※ないわけではないが)。
 ただ,Androidと違ってiOSでは,細かいOSのカスタマイズはできないので,そのあたりにこだわる人であれば,Android端末のままでいいだろう。

 また,ヘッドフォン端子がなく,Lightning端子からの変換では,どうしてもサウンド出力に遅延が生じる点が,ネックになる読者もいそうだ。ヘッドフォンを使ってゲームのサウンドを楽しみながらプレイするという人は,慎重に検討してから買うかどうか決めることをお勧めする。

●iPhone 7 Plusの主なスペック
  • メーカー:Apple
  • OS:iOS 10
  • ディスプレイパネル:約5.5インチIPS液晶,解像度1080×1920ドット
  • プロセッサ:Apple製「A10 Fusion」(詳細仕様は未公表)
  • メインメモリ容量:未公表(3GB)
  • ストレージ:内蔵(容量32,128,256GB)
  • アウトカメラ:有効画素数約1200万画素+約1200万画素(デュアルカメラ)
  • インカメラ:有効画素数約700万画素
  • バッテリー容量:未公表(約2900mAh)
  • 待受時間:最大16日間
  • 連続通話時間:最大21時間(3G)
  • LTE通信周波数帯:FDD-LTE Band 1/2/3/4/5/7/8/11/12/13/17/18/19/20/21/25/26/27/28/29/30,TD-LTE Band 38/39/40/41
  • 無線LAN対応:IEEE 802.11ac
  • Bluetooth対応:4.2
  • 公称本体サイズ:約77.9(W)×約158.2(D)×約7.3(H)mm
  • 公称本体重量:188g
  • 本体カラー:ローズゴールド,ゴールド,シルバー,ブラック,ジェットブラック

iPhone 7シリーズ 製品情報ページ

  • 関連タイトル:

    iPhone本体

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