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「スペースチャンネル5」は20周年! 今もなお,ぎゅんぎゅん愛される名作ミュージカルアクションゲームへの想いを4Gamerライター陣が綴ります
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印刷2019/12/16 21:00

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「スペースチャンネル5」は20周年! 今もなお,ぎゅんぎゅん愛される名作ミュージカルアクションゲームへの想いを4Gamerライター陣が綴ります

画像(036)「スペースチャンネル5」は20周年! 今もなお,ぎゅんぎゅん愛される名作ミュージカルアクションゲームへの想いを4Gamerライター陣が綴ります
 1999年12月16日はドリームキャスト用ソフト「スペースチャンネル5」の発売日である。セガ(現セガゲームス)が生み出した同作はそれまでに誰も見たことがない音楽ゲームであり,アクションゲームであり,ポップカルチャーのシンボルとなった。そのデビューは鮮烈な印象を残し,多数のファンを虜にするとともに今もなお,全宇宙から無数の愛が注がれている。

 そして本日(2019年12月16日),「スペースチャンネル5」は20周年を迎えた。この機会にあらためて,名作ミュージカルアクションゲームの軌跡を振り返ってみたい。
 ただ,「スペースチャンネル5」の魅力は多岐にわたり,それぞれの思い,愛の形はさまざまだ。というわけで,今回は特別にライター3名によるコラムをお届けする。

スペースチャンネル5 公式ポータルサイト




セガにあるまじきオシャレ感がギュンギュンします!

“楽しい”を引き出す,音とダンスとゲームの高次元融合

Report by 本地健太郎

画像(001)「スペースチャンネル5」は20周年! 今もなお,ぎゅんぎゅん愛される名作ミュージカルアクションゲームへの想いを4Gamerライター陣が綴ります
 「スペースチャンネル5」は当時ブームになりつつあった音ゲー/リズムゲー界に対し,セガらしい殴り込みをかけた作品だ。セガと言えば,「硬派」「コアゲーマー以外,お断り」「ヘンなゲームが多い」というイメージが筆者にはあった。だが,「スペースチャンネル5」は“オシャレ”で“キャッチー”,そして“普段ゲームを遊ばない人でも楽しめる”ゲームだった(確かにヘンなゲームではあるが)。それまでのセガのイメージがとことん覆されたのだ。

唐突に始まるダンスバトル。プレイヤーがやるべきことがニュース速報風に表示されることで,プレイヤーは慌ててコントローラを構えることになり,「な,なぜダンスを?」という違和感を薄めている
画像(002)「スペースチャンネル5」は20周年! 今もなお,ぎゅんぎゅん愛される名作ミュージカルアクションゲームへの想いを4Gamerライター陣が綴ります 画像(003)「スペースチャンネル5」は20周年! 今もなお,ぎゅんぎゅん愛される名作ミュージカルアクションゲームへの想いを4Gamerライター陣が綴ります

 「謎の宇宙人によって,一般人が踊らされている騒動をリポートする」という体裁で始まったはずなのに,主人公である新人リポーター・うららは宇宙人に対してダンスで対抗していく。踊っている一般人を救出したと思ったら,みんなが後ろからついてきて,結局は一緒に踊る。こんな感じなので,よくよく考えるとおかしな箇所があるのだが,ダンスの魔力なのか,いろいろなことをうやむやにしてしまう勢いがある。

 テンポが良く,オシャレで洗練されている。内容はヘンだが,構成がまとまっている。いや,できすぎている。得体の知れない満足感と共に,「き,貴様ッ! 俺の知っているセガじゃないなッ!」という動揺が隠せなくなる。そんなスマートさがあった。

救出した人は基本的に後ろからついてきて一緒に踊ってくれるだけだが,ダンスには“数の迫力”がある。謎の頼もしさがたまらない
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 とはいえ,冷静に見ると,セガらしさはそこかしこに存在していた。たとえば,ダンスバトルに勝つと始まる行進だ。先頭を歩くうららは救出した人々を引き連れ,パリコレのモデルもかくやとばかりに優雅な歩みを披露する。しかし,一般人は時々,こちらの想像していた「いつもの行進」とは違う行進をして,調子をハズしてくる。

 また,プレイヤーがミスをしないで進められると「シチョーリツ」が高くなるのだが,それに合わせて,ダンスバトル勝利後のうららの動きや行進のパターンが変化する。これがどんどんスタイリッシュになっていくなら分かるが,高シチョーリツのときの動きは明らかにおかしい。頑張って高シチョーリツを叩き出し,プレイヤーに達成感が満ちているはずの場面なのに「えっ,頑張ったのに……これ?」という戸惑いが生じる。だが,その奇妙な動きにどことなくセガらしさを感じて,ホッとする自分もいるのだ。

ダンスバトル中のうららの動きがカッコ良いだけに,この落差のインパクトは大きい。シチョーリツが高くなると,ディレクターの“天の声”がどんどんオネエっぽくなってくるのもいい
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 強烈なキャラクターと世界観に意識を持っていかれがちだが,音ゲー/リズムゲーとしても非常に秀逸だ。次に押すべきボタンが画面に一切表示されない,言わば「目で見ず,マネするQTE」なので,画面の表示を目で見てから機械的にボタンを押すといったプレイは許されない。ちゃんとリズムにノッていないと,パターンを覚えるのも難しい。これこそ,真のリズムゲーだ。

 プレイヤーのノリノリ感を損なわない演出も見事だ。音ゲー/リズムゲーのなかには,タイミングが合っていたかどうかの判定がシビアなものがある。たとえば「GOOD」の上に「GREAT」判定があったとして,「えー,GOOD? 今のタイミングはGREATだったでしょ〜」と,自分のノリノリ感に水を差された経験はないだろうか。
 その点,「スペースチャンネル5」はそこまで判定がシビアではないため,おおむね合っていれば問題ない。この微妙なアバウトさがいい。「正確なタイミングでボタンを押すことが目的じゃない。リズムゲーって……こういうことだろ?」というセガなりのアンサーが聞こえてくるようだ。

「わりと命中しました」「怪しい気配がギュンギュンします」など,リポーターなのに単語のチョイスがアレな主人公のうらら。ダンスをするのに厚底ブーツ,そして素人っぽいボイスが心に引っかかる……。しかし,プレイヤーは次第に,このボイスでなければダメな体になっていくはずだ
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 「スペースチャンネル5」を遊んだ後に残るのは,ただただ「楽しかった」という感情だ。これはあらゆるゲームが目指すべき,理想的なゴールだと思う。吐き気を催すような悪は存在せず,敵味方の誰もが憎めないキャラクターだ。ゲームとしても難しすぎず,子供から大人まで楽しめる。だが,だからこそ,「どうしたんだ,セガ!?」と思ったのはココだけの話だ。もちろん,良い意味で。

 メインテーマである「メキシカン・フライヤー」は1960年代の楽曲だ。ヘンテコな近未来感との組み合わせから生まれた,“セガ流レトロフューチャー”とも言える「スペースチャンネル5」の不思議な世界は,ちょっとやそっとの時代の流れにまったく左右されず,“どんな時代に遊んでも楽しいゲームであること”に一役買っている。

 ……などと理屈っぽいことを考える一方,今日も筆者は風呂場でこの動きをやってしまう。もう,言葉は要らない。無意識にこの動きをやってしまう──これが,このゲームに対する答えだ。

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宇宙の果てまで「スペチャン」ラブ!

ファン歴20年のゲーマーが受けた衝撃

Report by 本丸猫左衛門

 「スペースチャンネル5」(以下,「スペチャン」)が20周年ですって……? 発売当時からのファンとしては,めでたく思うと同時に「もう20年経ったの!?」と驚愕するばかり(お歳がバレちゃう……!)。
 そういえば「スペチャン」を初めてプレイしたときも驚かされましたね。「この音ゲー,ノーツ(目印)がないんだ」と。それまで音ゲー/リズムアクションゲームと言えば,画面を流れるノーツがバーに重なったときにボタンを押す,というシステムが主流でした。
 それが「スペチャン」は,耳とリズム感で勝負するスタイル。ボタンを押すタイミングを示すものは,画面のどこにもなく,相手のお手本どおりにボタンを入力するという形です。例えば相手が「ライト! レフト!」と言ったあと,同じように方向キーの右,左と押すわけですが,いつ押すかは自分の内で刻むカウントを信じるしかありません。

相手のダンスを見て聴いて覚えて,うららのターンになったらそっくりそのまま“踊り返し”ちゃいましょう。そしてモロ星人に踊らされている人々を救出だ〜!
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 だからこそ,ピタッとハマった瞬間はカ・イ・カ・ン……。映画の字幕がないほうが映像に集中できるように,視覚からの情報が過多にならないからこそ,ダイレクトに音楽を感じられるのかもしれません。しっかりと楽曲を聴いて,全身でリズムを感じる。「これぞ真の音楽ゲームだ」と思ったものです。

 音が頼りとはいえ,プレイヤーの記憶力や感覚に丸投げというわけでなく,楽しい演出でサポートされているのも「スペチャン」のニクいところ。楽曲のクライマックスともなると,長いフレーズが出てきてパニックになりがちですが,相手の踊りなどから,入力する方向やボタンを押す回数が分かるようになっています。音を聴くこと,見て楽しむことのバランスが絶妙ゆえに,この世界と音楽に深く入り込める。そう,あらためて思います。

画像(023)「スペースチャンネル5」は20周年! 今もなお,ぎゅんぎゅん愛される名作ミュージカルアクションゲームへの想いを4Gamerライター陣が綴ります
「スペチャン」に出会って,もうひとつ衝撃だったのが,すっごくオシャレなのにヌケていること。メインテーマ「Mexican Flyer」に代表されるビッグバンドのジャズ,スタイリッシュなファンクナンバー,そしてマットカラーのシルエットを多用したメニュー画面……。「こんなオシャレなゲーム見たことない!」と色めきだったのを覚えています。
 そこはかとなく漂うレトロさがまた新鮮だったんですよね。うららのファッションや市民の皆さんの服などからも,1960年代チックなテイストが感じられます。その年代と言えば,アポロ11号が有人月面着陸を実現して宇宙ブームが起きた時代で,宇宙を意識したファッションも生み出されました。宇宙つながりの「スペチャン」が,60年代のテイストを取り入れたのもうなずけますね。

ステージによって,うららの衣装が変わります。ホットパンツやベルボトムがレトロだけどステキ。露出が多い服でもイヤラシク見えないのは,オシャレさが先に立っているからかな?
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 そんなオシャレ感を醸し出しておきながら,トボけた場面がちょいちょい挟まれるんです。最たる例は,うららのリポート。「あやしい気配がぎゅんぎゅんします」とか「あらかたキューシュツしました」といった独特の言い回しがポロッと出るんです。最初は「んんっ!?」と引っかかりを覚えつつも,いつしかクセになり,うららボイスを求めている自分がいました。

「ぬるぬるします! ハゲシクぬるぬるします」なんて名(迷?)台詞も
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 また,うららを陰でサポートする番組ディレクター・ヒューズのツッコミも忘れてはいけません。声だけの出演ですが,「シチョーリツ上がってる!」なんて裏声になるところとか,人間味が溢れていて親近感が湧きます。
 リポート番組のシチョーリツ,つまりうららのダンスがどれだけ成功したかによって,ヒューズのセリフが異なるわけですが,いろいろなバリエーションを聴くためにパーフェクトを目指したり,逆に間違えてみたりも。ちなみに,ヒューズの声はディレクターを務めた湯田高志氏が担当されています。続編「スペースチャンネル5 Part2」では歌ったりして,さらにはっちゃけているのも注目です。

 「スペチャン」がプレイヤーの心をガッと掴んで離さないのは,こういったヌケ感の塩梅がいいからでしょう。音楽やダンスは文句なしにかっこよくて,ビジュアルもセンス抜群。スタイリッシュに突き詰めた作品にもできたはずなのに,そうはせず,クスッと笑えるシーンをついつい散りばめてしまう……。どこかセガらしさを感じる作品でもありますね(もちろん,いい意味で)。

 驚きとセガらしさの象徴と言えるポイントが,もうひとつあります。それは「スペースマイケル(本人)」というテロップ。「スペチャン」にマイケル・ジャクソンが出演していることは有名ですが,登場シーンに(本人)って! 知らなかった人には,あのキング・オブ・ポップがまさか本人役として声を当てているとは,にわかには信じがたいことかもしれません。でも,潔く(本人)って書いちゃうところ,ジワジワ来ますね。

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 そんなマイケル,「Part2」ではうららの務める宇宙放送局・スペースチャンネル5の局長に就任。さらにボイスも増えて,たっぷりと踊ってくれます。うららは踊らされてしまったマイケルを救うことになるわけですが,このステージの楽曲がめちゃくちゃカッコイイ。その名も「スペースマイケル局長を救え!」。うーん,まんま!
 マイケルリスペクトがぎゅんぎゅんで,とってもクールなんですよ。マイケルの楽曲で言うと「Smooth Criminal」や「Bad」に雰囲気が近いでしょうか。曲中にはヒューズの「今夜はビートイット!」(「Beat It」もマイケルの代表曲ですね)なんて掛け声が出てきたり,ダンスモーションには「Thriller」のゾンビダンス,マイケルの代名詞である「Billie Jean」のムーンウォークなどが見られます。
 何よりもマイケル局長を救出した後,うららと一緒に踊るシーンがたまりません。あのスーパースターと我らのうららが肩を並べて……! ゲームファンとしても感無量です。

 実は私,最初からマイケルのファンだったわけではありませんでした。もちろん有名な曲は知っていましたが,当時はそこまで詳しくなく……。それが「スペースマイケル局長を救え!」を聴いてからというもの,ずっと耳に残って離れないし,気づけば「ダダンダーン♪」と口ずさんでしまうことに。もっとマイケル成分を欲するようになった私は,彼のアルバムを買い,ミュージックビデオをマネながら踊り,それから涙ながらに映画館へ「THIS IS IT」を観に行き,アトラクション「キャプテンEO」が終了とあらば東京ディズニーランドに駆け込むようになりました。どれもあの時,「もっとマイケルを知りたい」と思わなければ体験しなかったことです。その機会をくれた「スペースマイケル局長を救え!」と「スペチャン」に伝えたい,心からありがとう! 

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 「スペチャン」シリーズを愛し続けて20年,その間にたくさんのゲームをプレイしてきましたが,こんなにウキウキとさせてくれる作品を他に知りません。少しプレイしただけで,自分の内側から元気が湧いてくるような……。音楽とダンス,そしてゲームの力を実感します。大げさかもしれませんが,「スペチャン」のある世界,時代に生まれてラッキーだったとつくづく思います。本当はもっともっと語りたいことがありますが……,とにかく30周年もまた「スペチャン」を祝えることを願っております!

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20年の間にグッズもあらかた集めました。プロデューサー・水口哲也氏のサイン入りMIL CD,モロ星人のぬいぐるみなどなど……。最近は出来のいいフィギュアがお気に入りです
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私の人生に少なからず影響を与えた

20年前の「スペースチャンネル5」での体験

Report by 稲元徹也

 筆者が「スペースチャンネル5」と初めて出会ったのは,1999年当時,渋谷にあったセガ第9ソフトウェア開発部のスタジオだった。
 それまでにライターとして,いくつかの作品を取材させてもらっていたプロデューサーの水口哲也氏に「面白いゲームを作っているんだけど,見に来ない?」と誘われて,ゲーム誌の編集者と共に足を運んだところ,(なぜか鮮やかなオレンジ色に塗装された)開発用ドリームキャストで動いていたのが,まだ世に出る前の「スペースチャンネル5」である。

 レトロフューチャー感が満載のスペーシーな舞台で,手足の長いCGの女の子が踊るシーンがディスプレイに映っていた。踊るといっても,本作でフィーチャーされているのはダンスではなくミュージカル。謎の宇宙人に踊らされた人達を,新人のスペースリポーター・うららが踊りで対抗して救出するというブッ飛んだ設定でありながら,ノリのいいサウンドに乗せたストーリー仕立てのリズムアクションゲームとして大真面目に構築しているゲームデザインは,1人のドリームキャストユーザーとしても本当にワクワクさせられた。
 そのときの取材記事は普段の構成から趣を変え,ビジュアルのインパクトを優先することで,ゲームの斬新さをアピールする誌面にしたことをはっきりと覚えている。

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東京ゲームショウ2019の「スペースチャンネル5 VR あらかた★ダンシングショー」ブースに現れたモロ星人。実は20年前に制作されたプロモーション用の着ぐるみだった
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1999年当時,セガ第9ソフトウェア開発部(分社後はユナイテッド・ゲーム・アーティスツ)が入っていた「カレイド渋谷宮益坂」。現在は商業ビルとして,VR施設などが営業中

 スタジオにはその後も何度となく足を運び,取材を行っているが,ゲームの内容だけでなくプロモーションも斬新だった。とりわけ,スタジオがあった渋谷を起点とする一般層に向けた展開に積極的で,東急百貨店東横店の壁面に掲出された巨大広告や,旧東横線ホームの柱に設置されたうららの等身大広告が印象深い。さらに商店街とのコラボにより,道玄坂にモロ星人のフラッグがはためいたりして,当時は渋谷に通っていた筆者の目にも止まり,なんとなくいい気分であった。

解像度が低くて申しわけないが,上段は筆者が撮影した渋谷でのプロモーションの様子。下段は1999年の東京ゲームショウ会場で撮影したスナップ写真。水口氏をはじめ,アシスタントプロデューサーの岡村峰子氏,モーションアクターのNAHOさんの姿も
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 なかでも,ハチ公前交差点の商業ビル「Q-FRONT」の大型ビジョン「Q'S EYE」を使った試遊イベントは,前例のない画期的な催しだった。東急東横店のショーウィンドウ前に試遊台が設置され,Q'S EYEをディスプレイとして「スペースチャンネル5」のデモプレイを体験することができたのだ。
 当時の“渋谷の顔”と言える超大画面でのゲームプレイは,「おそらく一生に一度の体験だ」と心が躍った。ただ,実際にはQ'S EYEまでの距離が意外に遠く,昼間の明るさによって画面が見づらかった……という記憶が強く残っていたりする。しかし,今となっては,かけがえのない思い出だ。

Q'S EYEで試遊をする筆者。写真は開発陣に撮ってもらった
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 「スペースチャンネル5」にまつわる出来事のなかでは,TV番組と連動して実施された主人公・うらら役の声優オーディションも思い出に残っている。セガ社屋のロビーに数百人の応募者を集め,なんとその場で全員同時にダンスの一次審査を行い,二次審査ではマスクを被った状態でセリフをしゃべるという,独自のスタイルでオーディションを行ったのだ。TV的な演出が濃すぎた感はあるが,オーディションはもちろん,TVの収録現場を取材するのも初めてだったので,ライターとしていい経験を積ませてもらった。
 ちなみにオーディションを勝ち抜いた飯田佳愛さん(なんと当時は主婦だった)は開発の事情により,うららのライバルであるプリン役に変更となったが,味わいのある声で好演していることはファンならご存じのとおりだ。

オーディション会場で撮影した写真。バラエティ番組「チャンスの殿堂!」の企画として放送され,リポーターは浅草キッド,ゲストには声優の鈴置洋孝さん(故人)が出演していた
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ゲーム誌の記事が掲載された際,第9ソフトウェア開発部の皆様よりいただいたお礼の色紙。本当に感激しました
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 「スペースチャンネル5」では開発陣が積極的に近い関係を築いてくれた。取材する側と取材される側が互いに手を取り合って,面白おかしく記事を作ってきた経験は,20年が経過した現在も筆者の中に生きている。
 20周年の節目を迎え,VRタイトルとしてまさかの復活を遂げる「スペースチャンネル5 VR あらかた★ダンシングショー」PlayStation 4 / PC)をはじめ,ベストセレクションアルバムの発売,さまざまなグッズ展開といった“新しい波”がやって来ている。あのときに経験させてもらったことを何かしらの形で還元して,スペチャンの盛り上がりにつながればと思う。

スペースチャンネル5 公式ポータルサイト

「スペースチャンネル5 VR あらかた★ダンシングショー」公式サイト

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    スペースチャンネル5 パート2

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