［CJ 2008＃47］インターネット小説から生まれた墓掘りRPG「鬼吹灯外伝Online」

　盛大で展示されていた「鬼吹灯外伝Online」は，墓荒しというか盗掘を専門で行う盗賊達を描いたサイドビューのアクションMORPGである。原作は墓荒しのインターネット小説としては中国初の作品だそうだ。
　画面構成は奥行きのあるサイドビューで，古くはファイナルファイト系というか，最近だと「アラド戦記」などに似ている。背景は2D画像で，キャラクターを3Dで描画している。全体に中国的な雰囲気で武侠系ではあるのだろうが，西部劇ぽい拳銃も使用されるなど，独特の世界観だ。戦闘では，KOF（King of Fighters）のような格闘アクションを意識しているという。

　プレイヤーキャラクターとして用意されているのは男女二人ずつの計4人。固有名詞の漢字表記は難しいのでざっと説明すると，風水使いのおじさん，暴力でなんでも解決する女，道具など仕掛けモノに強い男，魔術系の女という取り合わせだ。それぞれ盗賊団のボスといった位置付けである。
　ゲームは，街でミッションを受け，4人パーティないし8人までのPvPでマップに出かけて，宝を探すというのが主な流れとなる。マップは難易度選択も可能だ。マップの最後にはボスキャラがいて，かなりいいアイテムを落とすこともあるようだ。ザコキャラは生産用の素材をドロップするという。
　PvPモードは3種類あり，互いに死ぬまで，時間制限付き，団体戦となる。団体戦の設定は最大8人まで自由に行える。1対7のような構成も可能だ。

街の中はMMO，マップはMO空間となっている

　完美時空の「誅仙 ONLINE」が大人気で，その要因の一つが，原作として人気インターネット小説を取り上げたことだと話していたことはすでに紹介した。
　中国では，インターネット小説というジャンルが確立しており，人気を博している。プロ作家ないしプロを目指す人も多く作品を公開しているので，日本のケータイ小説などよりはクオリティが高いと思われる。ただゲームを出すよりも，そういったものの人気にあやかってゲーム展開を行うほうが楽だというのは誰にでも分かる理屈であろう。
　今回，会場を回ってみると，インターネット小説を原作としているというゲームをみつけた。単に2匹目のドジョウを狙ったものかもしれないが，中国におけるインターネット小説の位置付けを考えると，今後も原作として登用されることが増えてきそうだ。
　また，会場では数年前よりは，「三国志」であるとか「西遊記」といった原典名をタイトルに出す作品も増えたように思われる。ある意味，これまで独自路線の「なんとなく武侠系」というゲームが多かった中国産オンラインゲームで，IP（知的所有権）を指向したブランド型のゲーム展開がどんどん出てくるようになってきたと推測される。これが進むと，（きわめて資本主義的な展開ではあるが）日本でも蔓延したような続編ゲームの連発みたいになるのかもしれない。