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ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン公式サイトへ
  • スクウェア・エニックス
  • 発売日:2012/08/02
  • 価格:通常版:3800円(税抜),Wii USBメモリー同梱版:8980円(税込)/ オンラインサービスは月額課金制
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オンラインゲームの常識に“ドラクエ流”で挑む取り組み――「ドラゴンクエストX」運営開発のキーパーソンにその思想を聞いてみた
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印刷2013/03/25 00:00

インタビュー

オンラインゲームの常識に“ドラクエ流”で挑む取り組み――「ドラゴンクエストX」運営開発のキーパーソンにその思想を聞いてみた

えげつないと言われるようなことをやらない


4Gamer:
 しかし「ドラゴンクエストX」は,オンラインゲームでありながらも「一人で遊べる」「コンシューマRPGライク」なところが大きな特徴ですよね。

画像集#025のサムネイル/オンラインゲームの常識に“ドラクエ流”で挑む取り組み――「ドラゴンクエストX」運営開発のキーパーソンにその思想を聞いてみた
藤澤氏:
 順を追ってお話すると,僕達は,ずっと「いつもの『ドラゴンクエスト』と同じように遊べます」と公言してきました。でも,実はこれ,ものすごく怖い言葉なんですよね。「いつもと同じ」ということは,50〜60時間もプレイすればエンディングに到達できるという意味を含んでいますから,長く遊んでいただくオンラインゲームのビジネスとは相反します。
 しかし,ずっと「遊び続けなければいけない」ゲームと思われてしまうことは避けたかったので,あえて最初からこう言っていました。レベル50くらいになるとラスボスと戦えて,勝てばエンディングを観られて,「ああ,楽しかった。次回作も楽しみだな」と思っていただけるような内容を目指しました。

4Gamer:
 オンラインゲームとして継続的にプレイされることを,そこまで前提としては考えていなかったということですか?

藤澤氏:
 ええ。「ドラゴンクエスト」である以上,エンディングを観たら,そこでやめてしまう人も多いだろうと覚悟をしていました。ところが,思ったよりも継続してくださるプレイヤーさんが多くて。これは嬉しい誤算でしたね。

齊藤氏:
 月額料金を払ってくださるプレイヤーさんのうち,1日1回以上ログインしてくださる方の割合はかなり高いですね。今でも1日に数十万人単位でログインしていただいています。

藤澤氏:
 長く遊ぼうと考えてくださる方が予想以上に多くて,ビックリしています。

齊藤氏:
 あと特徴的なのが同時接続者数のピークですね。一般的なオンラインRPGだと深夜23:00から1:00頃にピークが来るのですが,「ドラゴンクエストX」の場合,16:00と22:00くらいに大きな山があるんですよ。前者は主婦の方が夕食の支度をする前に,後者は社会人や学生の方が帰宅したり,お子さんが眠ったりしたあとに遊んでいると分析しています。

藤澤氏:
 面白いのが,元気チャージがあるおかげで,皆さん,こまめにログアウトするんですよね。お昼や夕食の時間は,きちんと酒場にキャラクターを預けてからログアウト。まあ僕自身も,休日にプレイするときはそうしていますけど(笑)。

4Gamer:
 ちなみにプレイヤーの年齢層はどうなっていますか?

齊藤氏:
 アンケートとかを取ると,やはり30代の方が多いですね。男女比は,ドラゴンクエストの黄金比とでも言うべき比率があって,男性が75%,女性が25%くらいになっています。

藤澤氏:
 「ドラゴンクエストIII」から25年,“ドラクエ”世代が多数を占めているのは確実です。

齊藤氏:
 実際「ドラゴンクエストIV」の戦闘BGMを入れたら,大きな反響がありましたしね(笑)。

4Gamer:
 あの曲を聴くと,僕もテンションが上がってしまいます(笑)。

齊藤氏:
 ただ,「ドラゴンクエストX」の場合,ゲーム内で作れる「ミニアカウント」でも遊べるんですよ。これはプレイヤーさんがメールアドレスを持っていなくても遊べるよう,ハードルを下げるために用意した施策なんですが,その代わり,利用者がどういうステータスなのかを完全には把握できません。比較的,若いプレイヤーさんがミニアカウントを利用しているんじゃないかという予想は立てていますが,正確なところは確認できないというのが実情です。

4Gamer:
 体感的なものですが,一般的なオンラインRPGより,明らかに小学生であったり初心者と思われるプレイヤーの比率も多いと思います。明らかに幼い/不慣れな感じのプレイヤーに遭遇することもよくあるので。

齊藤氏:
 確かにそうですね。私達としては,若いプレイヤーさんには「ドラゴンクエストX」でオンラインRPGに入門してもらって,またほかのタイトルに移ってもらうのもいいと思っています。弊社でも,もうすぐ「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」がスタートしますし。

4Gamer:
 というか,「エンディングを見たらやめてもよい」「別のタイトルに移ってもよい」というのも,普通のオンラインゲームでは“あり得ない発言”ですよね。それに2013年の今,パッケージ代と月額1000円だけでサービスを提供するのも,言葉は悪いんですが「古くて」「儲からない」ことは,業界ではよく知られたことだったりするわけじゃないですか。

齊藤氏:
 そこは,採算度外視で,安心・安全を追求した結果なんです。もちろん,私はプロデューサーとしてビジネス面も考えなきゃいけませんから,もう少しいただけたら……とも考えました。でも,そこはもう割り切って。

4Gamer:
 Free to Playという選択肢は考えなかったんですか?

齊藤氏:
 もちろん,検討はしました。しかし,まずインフラの面から考えて無理だと判断しました。と言うのは,シリーズの認知度を踏まえると,Free to Playのモデルを採用したとき,プレイヤーさんの数にサーバーの性能が追いつかない可能性があったからです。まぁ,やってみないと分からないところもありましたが,コストとリスクの両面から考えて,今のパッケージ&月額課金というモデルに至りました。

4Gamer:
 キッズタイムの導入に関しては,社内で揉めたりしなかったんですか?

画像集#017のサムネイル/オンラインゲームの常識に“ドラクエ流”で挑む取り組み――「ドラゴンクエストX」運営開発のキーパーソンにその思想を聞いてみた
齊藤氏:
 お子さん達のために,月額無料で遊べる時間を設けたいと会社に掛け合ったところ,何だかんだで承認が降りましたね。これは,キッズタイムを利用されるお子さん達が,今は月に1000円払うことは無理でも,オンラインゲームの面白さを理解してさえくれれば,いずれお小遣いで料金を払ってくださるようになるだろう,という期待を込めての決断です。また土日コースや従量課金も案としてはありましたし,実現不可能ではなかったのですが,分かりやすさにつながるものではありませんから。

4Gamer:
 ただ,プレイヤーの全員とまではいかなくとも,大半がキッズタイムばかり利用するかもしれないという危惧はあったわけですよね。

齊藤氏:
 もちろん,そのリスクは覚悟していました。

藤澤氏:
 仮に,パッケージの売り上げ見込みが5万本というタイトルであれば,こんなやり方はできなかったでしょうね。

齊藤氏:
 また,2年でサービスを終わらせてもいいタイトルにも,こんな方法は使わないですよね。それなら2年間でいかに効率的に稼ぐかを考えることになるでしょう。10年間サービスを続けようと考えるからこそ,採用した手段だと言えます。

藤澤氏:
 とにかく,「オンラインゲームは避けてきたけれども,“ドラクエ”だからやってみようか」というプレイヤーさんの数が,一定以上,見込めたというのが大きいですよね。たとえプレイヤーさんの定着率が低くても,最終的な絶対値は大きくなるだろうという見込みがあったからこそ可能な冒険だと思います。

4Gamer:
 なるほど。

藤澤氏:
 そのうえで,ゲームデザインでも,絶望されたり,えげつないと思われたりするような高い障壁は作らないようにするとしています。オンラインゲームということで,従来シリーズよりも少し難易度が高めだったり,抽選率が低めだったりという調整はありますが,クリアするために人生がおかしくなってしまうような要素は,絶対に入れません。

齊藤氏:
 えげつないと言われるようなことをやらないことが,堀井流というか,「ドラゴンクエスト」だと捉えています。

画像集#007のサムネイル/オンラインゲームの常識に“ドラクエ流”で挑む取り組み――「ドラゴンクエストX」運営開発のキーパーソンにその思想を聞いてみた


オンラインゲームの“正しい遊ばせ方”とは


4Gamer:
 よく「オンラインゲームの適切なプレイ時間」ってなんだろうと考えるんです。スタンドアロンのRPGであれば40〜50時間,アクションゲームなら10〜20時間とか,ある程度の目安ってあると思うんですけど,例えばオンラインRPGなら,どの程度が“適切”なんだろうと。

齊藤氏:
 ああ,それは私もよく考えますよ。命題ですよね。

4Gamer:
 そもそも,オンラインゲームって,そのビジネス的な構造が理由で,ずっと「遊ばせ続ける」ってゲームデザインを強いられるじゃないですか。

藤澤氏:
 おっしゃる通りですね。

4Gamer:
 だけど,その方向性だけだと,結局遊ぶ人って限られてしまうと思うんですよね。だからたとえば,月に5〜6時間しか遊ばないけど,みんな喜んで1000円払う。そういうオンラインゲームがもっとあっていいのにと,いつも思うんですよ。

藤澤氏:
 開発期間中,「ゲーム中毒」が社会的に話題になった時期があったんですよね。「オンラインゲームにハマッて,リアル社会に復帰できなくなった」みたいな話がどんどん出てきて。これは堀井さんも気にされていた部分で,「『ドラゴンクエスト』が社会悪になってはいけない」「リアルの私生活がゲームに支配されるようでは問題である」とおっしゃっていたんです。ゲームデザインにも,適度なプレイで楽しめるものを,繰り返し求められました。

4Gamer:
 ただ,その「適度なプレイで楽しめるもの」という考え方が,皮肉にも,コアゲーマーから批判されている要因になっているとも感じるんですよ。「物足りない」「オワコンだ」みたいな。

齊藤氏:
 それはもう,我々は仕方のないことだと考えています。

藤澤氏:
 まあでも,そうした堀井さんとのやりとりの過程で生まれたのが,ほかのプレイヤーにレベル上げをしてもらえる「サポート仲間」であり,休んでいる時間を「元気玉」に変える「元気チャージ」ですからね。プレイできない時間を,いかにして無駄と感じさせず,「そんなに頑張らなくてもいいんだ」と思っていただけるか。そういったシステムを目指したつもりですし,そこのコンセプトは間違ってないと思っていますよ。
 もちろん,それでもずっとプレイし続けるプレイヤーさんはいらっしゃいますけれど,それでも「そうしなければ遊べない」ようなものにはなっていないんじゃないでしょうか。

齊藤氏:
 プレイ時間をあえて制限する仕様って意味では,元気タイムの代わりに「ヘロヘロタイム」みたいなものを入れようかという案もあったんですよね。

4Gamer:
 ああ,一定時間以上プレイすると,経験値が半減するような仕組みですか。

齊藤氏:
 しかし,それだと「遊びたい」というプレイヤーさんにとっては苦痛でしかありません。そこで一般的なオンラインRPGで言うところのレストボーナスを,元気玉という形に昇華したわけです。この形式なら,平日に元気玉を溜めてもらって,週末まとめて使ってもらうこともできますから。

4Gamer:
 遊び込みたい人とマイペースで遊びたい人,両方にとっての落としどころを考えたわけですね。

画像集#027のサムネイル/オンラインゲームの常識に“ドラクエ流”で挑む取り組み――「ドラゴンクエストX」運営開発のキーパーソンにその思想を聞いてみた
藤澤氏:
 はい。あとは,操作系をこれまでのシリーズと同じにしたことも,毎日一生懸命遊ばなくていいことを前提にした選択です。たとえば,社会人の方なら仕事が忙しい時期に入った,学生さんならテスト期間に入ったという具合に,一定の期間,遊べなくなることが往々にしてあります。そして,ゲームの場合,一度プレイ期間が途切れて,なかなか操作感を取り戻すことができないと,復帰への動機付けが難しいので。

4Gamer:
 少し脱線しますが,黎明期のオンラインゲームは「オンラインを通じて世界中の人と遊べる」というところが大きなウリでした。また,マルチプレイなんだから他人と遊ぶべきという志向が強く,システム的にマルチプレイを強制される作品も少なくなかったと思います。

齊藤氏:
 「EverQuest」などは代表的な例ですよね。パーティプレイがほぼ必須という。

4Gamer:
 しかし,オンラインゲームそのものがメジャーになっていくにつれ,一人で遊べることが逆にウリとなっていったり,非同期的なつながりで「雰囲気としてのオンライン要素」を楽しむ作品が増えてきました。こうした時代の変遷を,長年オンラインゲーム開発に従事されてきた齊藤さんたちは,どう感じていらっしゃるんですか?

齊藤氏:
 単純に,皆,忙しくなったんだと思います。さっきも話しましたが,時間の流れ方,使い方が「早くなった」んじゃないでしょうか。遊びの選択肢が増えて,一つのことに長く時間を割けなくなっていますから。また幸か不幸か,今は移動中にモバイル端末でオンラインゲームを遊べてしまう時代です。そんな時代に,自宅のテレビの前で長い時間をかけてパーティメンバーを探し,30分かけてモンスターの棲息場所まで移動し,いざ着いてみたら即全滅,そこからサルベージに1時間……なんて,無理な話でしょう。時代に合わせて,あるべき姿になっているんだと思いますよ。

藤澤氏:
 初期のオンラインゲームは,乗り物に乗ると目的地に着くまでにリアルの時間で20分かかったり,MPがなくなったら座って5分回復したりとかありましたよね。

齊藤氏:
 ああ,そこも藤澤が「ドラゴンクエストX」で“やりたくない”とこだわった部分ですね。

藤澤氏:
 プレイヤーが何もできない時間を作りたくないんですよ。移動のための乗り物に乗っている時間,チャットをするのは確かに楽しいですが,齊藤の言うとおり,今の忙しい時代には合いません。あるいは蘇生後,一定時間ステータスが下がるといったような仕様も,他のオンラインゲームではたびたび見かけると思いますが,「ドラゴンクエストX」では,そういった時間的な縛りは可能な限り排除しました。

齊藤氏:
 プレイヤーさんのプレイスタイルが変わっている以上,制作側も考え方を変えざるをえないですよね。時代の変化もありますが,年を取って大人になれば,子供の頃のようにずっとゲームを遊んだりはできなくなりますし。私自身,以前はガチガチのコアなオンラインゲーマーだったわけですが,今また昔のようにプレイできるかというと,やっぱりできないんですよ。

4Gamer:
 よく分かります。だからこそ,「ドラゴンクエストX」のような,適度な時間でちゃんと楽しめるオンラインゲームというアプローチは,とても重要なんですよね。

Wii U版では,グラフィックスがHD画質に,BGMもオーケストラの生音と,より豪華になっている
画像集#011のサムネイル/オンラインゲームの常識に“ドラクエ流”で挑む取り組み――「ドラゴンクエストX」運営開発のキーパーソンにその思想を聞いてみた


日本にオンラインRPGを広める最後のチャンス


4Gamer:
 実際に半年ほど運営をしてみて,手応えというか,感触はどうなんですか?

齊藤氏:
 まだまだ志半ばではありますが,これまでオンラインRPGを遊んだことのない方にプレイしてもらう,という当初の目標はある程度達成できているのかな,とは思っています。

藤澤氏:
 プレイヤーさんからいろいろな意見を頂いて,僕ら自身が勉強させてもらっているのと同時に,プレイヤーさんのほうでも認識が深まってきているって感覚はありますね。

4Gamer:
 というと?

齊藤氏:
 最初はそれこそ,「何でカジノの建物があるのに,中に入れないんだ」「未完成のものをリリースするとは何ごとだ」と,心の底から本気で怒っているプレイヤーさんもいたんです。それがこうして半年経ってみると,徐々に認識が変わってきていてるという感触があって。

4Gamer:
 ああ,そもそも「未実装ってなに?」みたいな話ですか。

藤澤氏:
 はい。他にも,問題が生じたらメンテナンスをするのはオンラインゲームにとっては常識かもしれませんが,プレイヤーさんにとっては「料金を払っているのに遊べない時間があるのか」となるんですよね。今では,メンテナンスの理由を明確にお知らせするようにしていますが,オンラインゲームとしては常識でも,プレイヤーさんにとってはそうではないという,理解や認識の違いはまだまだあることに,改めて気づかされたりして。新しいものを多くの人に伝えることの大変さを今さらながら感じました。

齊藤氏:
 ただ,開発/運営チームの努力の甲斐もあって,最近では,オンラインゲームとは時の経過とともに少しずつ問題点が改善され,新しい要素が追加されていくものと理解してくださる方が増えていると感じています。

4Gamer:
 そういう部分は,地道にやっていくしかないんでしょうね。

画像集#016のサムネイル/オンラインゲームの常識に“ドラクエ流”で挑む取り組み――「ドラゴンクエストX」運営開発のキーパーソンにその思想を聞いてみた
齊藤氏:
 繰り返しになりますが,もっとオンラインRPGが一般化していれば,「ドラゴンクエストX」もまた違った形になったかもしれません。しかし残念ながら,オンラインRPGはまだそれほどメジャーではないですから,ドラクエファンをはじめ,より多くの方にマッチする形を模索しているわけです。

藤澤氏:
 これも繰り返しになってしまいますが,今の多くのオンラインRPGは,長く遊ぶゲームであるがゆえに,ゲームデザインが先鋭化していると思うんです。だけど,それでは新しいプレイヤーさんがついて来れられませんし,さらには市場の拡大余地もなくなります。なので,「ドラゴンクエストX」は,そっちではない道に行こうということをテーマとして掲げています。今後もその軸をブレさせるつもりはありません。

4Gamer:
 「ドラゴンクエストX」が,真の意味で日本にオンラインRPGを広める作品になることを期待しています。
 それでは最後に,まだ「ドラゴンクエストX」をプレイしていない人や,オンラインRPGに興味はあるけれど一歩踏み出せないといった人に向けて,メッセージをお願いします。

藤澤氏:
 7か月間運営してきて思うことですが,オンラインゲームの最大の利点は,“人と遊ぶこと”以上に,“プレイヤーの皆さんと一緒に世界が成長していく”ことだと思います。これは,みんなで遊びたい人にも,一人で遊びたい人にも,等しく楽しんでいただけるオンラインゲームの特徴で,「ドラゴンクエストX」は,世界が進化し続ける新しいドラゴンクエストです。
 これまでもアップデートを続けていますが,これから遊び始める方がより快適に楽しんでいただける要素もどんどん追加しています。Wii U版のサービスも始まりますので,ドラゴンクエストは好きだけど,オンラインゲームはちょっと……と躊躇されていた方は,この機会に,ぜひ遊んでみてください。ドラゴンクエスト本編の第10作目として,納得していただける出来になっていると思います。

齊藤氏:
 私としては,今回の取り組みが,日本のプレイヤーの皆さんにオンラインRPGの面白さを知ってもらう“最後のチャンス”だと思っています。「ドラゴンクエストX」で駄目なら,もう次はないと。そのくらいの覚悟で取り組んでいます。
 ですから,これから始めてくださる方はもちろん,プレイをお休みしている方も,ぜひ今の「ドラゴンクエストX」を遊んでみてください。バージョン1.3では,さらにゲームに磨きがかかりますし,きっと満足して頂けると思います。
 また,ずっと一人で遊んでいるという方にとって,Wii U版は,お友達を誘ういいタイミングになると思います。リアルのお友達と,会社帰りに一杯飲みに行ったり,学校帰りにどこかに寄ったりするような気持ちで遊んでいただけるとうれしいです。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

――2月8日収録

画像集#024のサムネイル/オンラインゲームの常識に“ドラクエ流”で挑む取り組み――「ドラゴンクエストX」運営開発のキーパーソンにその思想を聞いてみた


 これはインタビュー中でも触れたことだが,筆者が「ドラゴンクエストX」でなによりも素晴らしいと思うのは,オンラインゲームの常識を見直し,リスクを覚悟のうえで,あえて常識から外れる決断を行っているところである。安易な方向に向かうことなく,じっくりとプレイヤーと市場を育てていこうとする姿勢は,もっと評価されてもよいのではないかと思う次第だ。

 本稿を最後まで読んでくれた読者にはお伝えできたと思うが,「ドラゴンクエストX」は,MMORPGというシステムにドラゴンクエストの皮を被せただけの作品では断じてない。MMORPGとしてあるべき要素はなにか,不必要な要素はなにか。一つ一つを丁寧に考えて,初心者(≒多くの日本人)に合う,初心者が遊びやすい形を追求して作られた,国産ならではのオンラインゲームである。
 このアプローチは,堀井雄二氏が初代「ドラゴンクエスト」で,RPGの面白さを日本に広めんとしたやり方とまったく同じであり,奇しくも……というより,いわば必然として,明確な意図と意思をもって行われている。今回の取材では,開発チームがその使命感を引き継ぎ取り組んでいることをうかがい知れたのが,一番の収穫であったように思う。
 職業柄,日本のゲーム産業に必要なものとはなんだろうか,と考えることがある。新しいビジネスモデルなのか,それとも先進的な技術力なのか……。
 もちろん,どちらも大事だし,欠かせないものだとは思う。しかし今回,「ドラゴンクエストX」の開発チーム,ひいては堀井氏のこだわりにまつわる話を聞いて,今こそ,プレイヤーのことを真剣に考える“おもてなしの心”がより大切なのではないか,という気がした次第だ。

 ともあれ。「ドラゴンクエストX」は,はじめてオンラインRPGを遊ぶ人に自信をもって勧められる作品である。大型アップデートが実施され,Wii U版が3月30日に控えている今,新たに参加するにはちょうどよいタイミングでもあるだろう。本作がより発展し,彼らの掲げる“使命”が達成できることを期待したい。

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「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」公式サイト

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    ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン

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