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大阪・なんばにオープンした“ボードゲームホテル”ってどんな場所? ボドゲファンの夢が詰まったその内側を写真と共に紹介
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印刷2022/08/30 18:00

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大阪・なんばにオープンした“ボードゲームホテル”ってどんな場所? ボドゲファンの夢が詰まったその内側を写真と共に紹介

画像集 No.001のサムネイル画像 / 大阪・なんばにオープンした“ボードゲームホテル”ってどんな場所? ボドゲファンの夢が詰まったその内側を写真と共に紹介
 ヨフカシプロジェクトの新作マーダーミステリー「キルタイム・キラーズ 絶泉館の殺人」が,2022年7月28日に発売された。4Gamerでは,この発売に先駆けて開催された先行体験会の模様を掲載しているが,その会場となった「MIMARU大阪 難波STATION」については,先の記事ではあまり触れていなかった。

 “一晩中、みんなで遊べるホテル“をコンセプトに置く同ホテルは,ボードゲームをはじめとして館内中に遊びを散りばめた宿泊型の施設だ。人狼ゲームやマーダーミステリーといったアナログゲームが存分に遊べることは,開業時にTwitterで話題を呼んだので,その名前を聞いた人も多いのではないだろうか。
 「キルタイム・キラーズ 絶泉館の殺人」体験会に合わせて,このボードゲームホテルについても詳しく取材を行ったので,本稿ではその部分にフォーカスした記事をお届けする。雰囲気をお伝えすべく,写真多めで紹介しているので気になっている人はぜひご一読いただきたい。
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 KONAMIとアニメイトグループ,ドロッセルマイヤーズの共同によるアナログゲームブランド・ヨフカシプロジェクトの新作タイトル「キルタイム・キラーズ 絶泉館の殺人」が2022年7月28日に発売となる。その体験会が7月2〜3日に開催されたのでレポートをお届けする。もちろんネタバレはなしなので,マダミスファンはぜひチェックしてほしい。

[2022/07/21 12:00]
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一晩中みんなで遊べる「ボードゲームホテル」,大阪・なんばに6月2日オープン。人狼・マダミス部屋などの特殊部屋やホテル専用ゲームなどを用意

 ブルーパドルは本日,一晩中,みんなで遊べる“ボードゲームホテル”ことMIMARU大阪 難波STATION(大阪市浪速区日本橋)が,2022年6月2日にオープンすることを発表した。遊び放題の130種以上のボードゲーム,人狼・マダミス部屋を始めとした特殊部屋,宿泊者限定の専用ゲームなどを用意したホテルだ。

[2022/05/26 13:44]

「MIMARU大阪 難波STATION」スペシャルサイト



ボドゲファンの夢がつまった“ボードゲームホテル”


 今回の体験会の会場となった「MIMARU大阪 難波STATION」は,御堂筋線なんば駅から徒歩8分に位置する,2022年6月2日にオープンしたばかりの施設だ。大阪・日本橋の電気街にもほど近く,近隣にはアニメショップやカードショップ,ゲームセンターやメイド喫茶などが立ち並ぶ,“西の秋葉原”といった雰囲気の立地となっている。

なんば駅から徒歩8分の好立地
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入口の暖簾をくぐると,ホテルをイメージしたボードゲームのボックスがお出迎え。フォトスポットになっていて,ボックス内に入ることも可能
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2階に上がるとフロント。背景は花札の絵柄で,毎月変化するとか
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 ホテル内の共用スペースには,130種類以上のボードゲームが常備されており,ホテル利用者は遊び放題なほか,「人狼・マーダーミステリーの部屋」「こども向けボードゲームの部屋」といったコンセプトルームも4部屋用意。さらにはここでしか遊べない,宿泊者限定のオリジナルゲーム「HOTEL GAMES」も8タイトルあって,時間を忘れてボードゲームに没頭できる,ファン垂涎のホテルとなっている。

フロント横はボードゲームが遊べる共有スペースだ。「JELLY JELLY CAFE」心斎橋店からコンシェルジュが出張してきており(金〜日のみ),ゲーム選びのアドバイスやルールのインストをしてくれる
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共有スペースの奥は「遊べる縁側」と題された和風エリア。飲み放題のコーヒー&ソフトドリンクもあって,チェックアウト後にここでくつろいで遊んでいる人も多いとか
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共有スペースに用意された,プレイ時間ごとに軽〜重量級に分類されたボドゲ棚。幅広いジャンルが揃っているが,いわゆる超ヘビー級のゲーマーズゲームはないという。持ち込みは可とのことなので,ないものは自分で調達していくといい
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共用スペースのゲームは同時に2つまで客室に持ち込める。貸し出しの手続きは備え付けのiPadで行う仕組み
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「カタン3D」や「サイズ - 大鎌戦役 -」など,高価でかさばるタイプのゲームがとくに人気だとか
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今回筆者が宿泊させてもらった客室がこちら。ベッド2台に2段ベッドがある4人部屋で,新築なのでどこもピカピカだった
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テーブルとソファ,テレビを備えたリビングのほか,トイレと広いバスルーム(バス・トイレ・洗面別)が用意されている
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アパートメントタイプのホテルなので,冷凍庫もついた大きな冷蔵庫,電子レンジ,鍋や食器などを備えたキッチンも(写真は一部を取り出した状態)。調味料も貸し出してくれるとか。なおホテルに食事はつかないが,近隣の飲食店には困らない
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なお筆者が宿泊した部屋はワンルームタイプだったが,寝室とリビングが分かれた客室も多いとのこと。大人数で宿泊してゲーム会を開くには,こちらのほうが便利かも?
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部屋内の装飾や,ドア脇の部屋番号プレートにもこだわりが見てとれる
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アメニティはフロント前に用意されているほか,サイコロやチップといったゲーム用具も貸し出してくれる
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 ホテル内のゲームコンテンツ制作や,内装の監修にも関わったというTANSANの朝戸一聖氏によれば,「既存のホテルや施設にボードゲームを置くので見繕ってほしい」という依頼はよくあるが,設計段階から関われる機会はこれまでになく,2020年冬頃に計画がスタートしたときには,非常にうれしかったとか。
 また氏は,ボードゲームに適したテーブルといった客室の内装へのこだわりや,後述するオリジナルゲーム「HOTEL GAMES」制作エピソードなどを語りつつ,ボードゲームホテルの利点をアピール。曰く,宿泊料金は部屋ごとの値段なので,利用者で割り勘すればかなりお得であること。近隣にはゲームショップもあるので,ホテルにないゲームも買って持ち込めば遊べること。週末に連泊し,ボードゲームを遊んだ後は大阪観光にも繰り出せるといった点を挙げ,多くの人に泊まりに来てほしいと話していた。

体験会に合わせて催されたトークショーで,ボードゲームホテルへの思いを語ったTANSAN代表の朝戸氏(右)とドロッセルマイヤーズの渡辺範明氏(左)。朝戸氏はこれまで200以上のボードゲームを手がけてきたグラフィック&ゲームデザイナーで,ヨフカシプロジェクトにも深く関わっている
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日常を特別なものに変えるオリジナルゲーム「HOTEL GAMES」


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 ここからは宿泊者向けのホテルオリジナルゲーム「HOTEL GAMES」について,少し掘り下げて紹介していこう。8タイトルもあるので駆け足にはなるが,ちょっとしたものから本格的な謎解きまで,幅広いラインナップが揃っていた。客室のテーブルに置かれたバインダーにも案内があるので,宿泊したときにはそちらも参考にしてほしい。

「HOTEL GAMES」その1,「一泊いたずら人狼」。宿泊する全員が“いたずらミッションカード”を引き,朝までに他の人にバレないよう,部屋にいたずらをしかけるゲーム。泊まらないとできない,ホテルならではの遊びと言える
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「HOTEL GAMES」その2,「小さな金貨」。ホテル内のすべての客室には,各20枚のコインが隠されている。リアル脱出ゲームで鍛えた筆者なら余裕だろうと思っていたら,さんざん探し回っても半分ほどしか発見できなかった。「難度はサイゼリヤの間違い探し並み」との噂
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「HOTEL GAMES」その3,「ピクトのかくれんぼ」。看板に描かれた“ピクトさん”が看板を抜け出しているので,それを探すというゲーム。写真はフィットネスルームのマシンスピードを上げすぎたピクトさんが,向かいの壁に激突してしまった現場である
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「HOTEL GAMES」その4,「エレベーターギャンブル」。エレベーターから何人降りてくるかを予想して,その場所に立つというゲーム。待ち時間をワクワクする時間に変えてくれるうえ,エレベーターに乗る自分もゲームの一部になる不思議な体験ができる
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「HOTEL GAMES」その5,「自販機パズル」。論理パズルを解いて,謎の飲み物が何かを当てる。答えが合っているかどうかは,買えば分かるという仕組み
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「HOTEL GAMES」その6,「ダイスチャレンジ」。受付で金・銀・銅のゾロ目を出すと賞品がもらえる。さらに金賞を諦めれば巨大20面ダイスのスペシャルチャレンジにも挑めるという。ただし挑戦できるのは1人1回のみだ
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「HOTEL GAMES」その7,「旅の追加ルール」。街歩きをするときに,指令カードに書かれた追加ミッションを実行するゲーム。散歩や買い物が探索ゲームに一変し,見知った街に新たな発見をもたらしてくれる
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「HOTEL GAMES」その8,「秘密の部屋」。制限時間30分の間に,ホテルのどこかに隠された秘密の財宝部屋を探す謎解きゲーム。フロントで「あなたには私のスパイになってもらいます」と言われ,マップや謎シートなどを渡されてゲームスタート
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30分だし,そんなに重いものではないだろうとたかをくくってプレイしたら,「まさか!」という驚きに出くわした。秘密の財宝部屋に辿り着き,超テンションが上がる
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 なおドロッセルマイヤーズの渡辺氏は,こうしたホテルオリジナルゲームを「日常をちょっと特別な経験に変える」効用があると解説した。
 デジタルゲームに比べ,ボードゲームは“世界への没入感”が弱いとされるが,それは逆に,普段の生活や街中に溶け込めるということでもある。例えば「旅の追加ルール」は買い物を探索ゲームに変え,「エレベーターギャンブル」は偶然隣り合わせた他人と,ちょっとした対戦ゲームの雰囲気が味わえる。そんな非日常感や遊び心がほかのホテルにはない,ボードゲームホテルの魅力とのことだった。

渡辺氏は,ボードゲームホテルのことを知って「ぜひここで体験会をやりたい!」と思ったという
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ホテルの企画担当者に聞く,ボードゲームホテルが生まれたワケ


 ここまで紹介してきたとおり,ボドゲファンにとっては夢の場所と思える施設だが,いったいどうしてこんな企画が実現したのか。ホテルの運営会社であるコスモスホテルマネジメントのマネージャー山内和史氏と,同マーケティング課課長の田中一如氏に話を聞いてみた。

コスモスホテルマネジメント MIMARU大阪難波STATION ホテルマネージャー 山内氏(左)と,同マーケティング部デジタルマーケティング課 課長の田中氏(右)
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4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。Twiiterなどでも話題を呼んだボードゲームホテルですが,どういう経緯で生まれたのでしょうか。

田中一如氏(以下,田中氏):
 大阪なんば,日本橋というサブカルチャーが根付いたこの地域の特色を,ホテルのコンセプトに活かせないか,という狙いがありました。
 2022年8月現在,MIMARUでは東京と京都,大阪合わせて20棟を運営していますが,それぞれの施設で滞在を楽しんでいただくための企画を進めています。そんな中で,“一晩中,みんなで遊べるホテル”といったコンセプトに行きつき,ゲームをホテル運営に取り込むアイデアが生まれました。

4Gamer:
 ホテルとしては,主にどういった層をターゲットと考えているんですか。

山内和史氏(以下,山内氏):
 現在はコロナ禍において国内のお客様が主ですが,MIMARUはご家族・グループなど多人数の方に宿泊いただけるのが強みです。将来的にはインバウンドのお客様がメインターゲットとなると考えています。

4Gamer:
 なるほど。今は噂を聞きつけたボードゲーマーの皆さんが詰めかけているような状況ですか?

田中氏:
 そうですね。当ホテルの立ち上げにもご協力をいただいた朝戸さんのTweetがバズったこともあり,そうしたお客様が多いです。あのTweetで,ここだけでなくMIMARU全体の認知度が上がったので,大変ありがたかったです。

山内氏:
 すごい反響で,驚きました。とくに週末はコアなボードゲームファンのお客様が多くて,我々がゲームについての質問に答えられないようなこともあるくらいです(苦笑)。

田中氏:
 とはいえ,ライトなボードゲームファンやファミリー層のお客様も少なくありません。それと,女性のお客様が思っていたよりずっと多いですね。データ的にも,割合としては女性のほうが多いと思います。

4Gamer:
 今日の体験会も,確かに女性が多かったですね。

田中氏:
 恐らくですが,ボードゲームカフェなどとも違う需要なんじゃないかと思っています。弊社でも推しているんですが,泊まりがけの誕生日会や,いわゆる“推し活”をする女子会プランというのがありまして,それがすごく人気なんですね。そのため軽めのゲームを遊びながら,時間を気にせずおしゃべりする,そういう場が女性に求められているのかもしれません。

山内氏:
 実際,じっくり2泊される方が多いですね。この1か月で,全体の約20%が2泊されていますし。

田中氏:
 4種類あるコンセプトルームは人気で,予約がすぐに埋まってしまう状況です。とくに土曜日は,すでに2か月先まで予約が埋まっています。

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「人狼・マーダーミステリーの部屋」。薄暗い照明が雰囲気たっぷりにゲームを盛り上げる。リビングと寝室に仕切りがあるので,マーダーミステリーの密談部屋や人狼の天国部屋として利用できる仕組み。棚には各種人狼ゲームも備え付けられている
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こちらは「こども向けボードゲームの部屋」。備え付けのすべり台やたくさんのおもちゃ,子どもと一緒に遊べるゲーム類が用意されているほか,キッチンも広いのが特徴。今回は取材出来なかったが,このほかにもガチ勢向けの「夜通しボードゲームの部屋」「スカイテラスとボードゲームの部屋」があるとのこと
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4Gamer:
 コンセプトルームの話がありましたので,ボードゲームホテルならでは部分について,もう少し聞かせてください。
 まず共用スペースに用意された130種類以上のボードゲームですが,これは「JELLY JELLY CAFE」のオーナーである白坂 翔氏が監修されたとのこと。選定に際して,何かコンセプトのようなものはありましたか?

田中氏:
 当ホテルは多人数グループのお客様をメインの対象にしていますので,そうした要件をお伝えしたうえでアドバイスしていただきました。滞在を楽しんでいただきたいので,「あれもこれも遊びたい」という要望にお応えすべく,ゲームのジャンルもバランスよく揃えています。

山内氏:
 あとは受賞歴なども参考にしたうえで,なるべく多言語対応のものを揃えるように心掛けています。結果的に日本語のみのものも含まれていますが,当ホテルオリジナルのゲームにも,英語と中国語を併記するようにしています。

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4Gamer:
 ホテルのオリジナルゲームは,全部で8タイトルあるとか。これも本職のボードゲームクリエイターとの共同開発なんですね。

田中氏:
 はい。先ほども名前の挙がった朝戸さんや,HAFT DESIGNの秋山乃佑さんといったプロの皆さんにゲームデザインをお願いしました。またコンセプト・デザインワークではBlue Puddleさんに,プランニングではBASSDRUMさんに,イラストデザインではママダユースケさんにご協力をいただき,皆さんにアイデアを出してもらいつつ,我々も参加して内容を詰めていった感じです。

4Gamer:
 内容を詰めていくというのは,具体的にはどういう作業なんでしょうか。

田中氏:
 主に運用面ですね。例えば“部屋にコインを隠す”というアイデアがあったとして,それを実際にどう実現するかは,我々で考えなくてはなりません。清掃のときに毎回隠し直すのは難しいですし,なら貼り付けておく形にしようか,といった具合ですね。

4Gamer:
 ああ,なるほど。こうしたボードゲームに特化した取り組みは,今後も増えていくと考えていいのでしょうか。何かアイデアがあったりしますか?

山内氏:
 遊んだボードゲームを買って帰りたいという要望が多いので,販売もできるようにしたいですね。あとはマーダーミステリーや人狼ゲームをホテル側で主催して,常設イベントにできたらなと。ハードルは高いですが,チャレンジしてみたいです。

4Gamer:
 先日はボドゲ合宿的なイベントの募集も行われていました。

田中氏:
 そうですね。「ボドゲ合宿」ってワクワクするワードなので,夏休みに向けてブームになったらいいなと。

4Gamer:
 ところでホテルのスタッフの皆さんは,元からボドゲ好きというわけではないのですよね。ボードゲーマーにとっては夢のような職場ですけど。

エレベーター内に貼ってあったスタッフのプロフィール
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山内氏:
 僕はどちらかというとアウトドア派でしたので,配属が決まってから休みの日にボードゲームカフェに通って勉強したクチです。スタッフにも「あらゆるゲームを覚える必要はないが,自分のベスト10くらいは語れるようになってほしい」と伝えています。

田中氏:
 とはいえ,スタッフはあくまでホテルのスタッフですので,お客様と一緒にゲームを遊ぶとか,そういう役割ではないと思っています。そうしたコンシェルジュ的な部分は,その道のプロにお願いすべき仕事ですので。
 でもスタッフは皆,このホテルの特色を楽しみながら働いてくれていますし,お客様に楽しんでもらうという意味では,信頼して任せられるスタッフだと自負しています。

4Gamer:
 確かに,皆さんすごくフレンドリーでした。

田中氏:
 もともとインバウンドを見据えていることもあり,2018年の開業以来,MIMARUのスタッフはほとんどが海外出身なんですよ。そういう面もあってか,お客様に楽しんでいただこうという思いが強いのかもしれません。
 この2年間,ホテルとしてはひたすら「安心・安全」をテーマにサービス提供を続けてきましたが,これからは「楽しむ」部分にフォーカスして,ホテル側がどう関わって行くかを考える時期に来ているんじゃないかと感じています。

4Gamer:
 ここ以外にもボードゲームホテルを増やす予定はないんでしょうか。

田中氏:
 ご要望はよくいただくのですが開発計画などもありまして……。東京や京都などの系列ホテルで,サテライト的にやれたらとは考えています。

4Gamer:
 分かりました。個人的にも,次はボドゲ合宿で利用したいと思います。本日はありがとうございました。



 そんなわけで話題のボードゲームホテルをざっとレポートしてみたが,いかがだっただろうか。ボードゲームと謎解き好きの筆者としては,当初「一般客向けのゆるい感じなのでは」と疑っていたが,それはまったくの杞憂であった。内装へのこだわりやオリジナルゲームの作り込み,さらには遊びやすさを提供するホテルのサービスまで,細かな部分にも配慮が感じられ,これならコアなファンも納得だろう。
 体験会に訪れた人達もボードゲームホテルをすっかり気に入った様子で,「ぜひ東京にもこういうホテルが欲しい!」「オフ会に利用したい」「温泉宿にもこういう設備があったら」といった声が挙がっていたくらいだ。
 この記事を読んでいるボドゲファンの読者も,複数人で大阪に行く機会があるなら,宿泊先としてボードゲームホテルを選択肢に入れてみてはいかがだろうか。

 なおインタビューでも話を聞いたお二方によれば,10月29日と30日に開催されるゲームマーケット2022秋にもボードゲームホテルとして出展を予定しているという。どのようなブースになるかはまだ未定とのことだが,参加予定の人は足を運んでみよう。

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