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川口総合文化センター リリアはなぜゲーム音楽のコンサートを主催するのか。「リリア・ゲームミュージック・セレクション vol.1 feat.伊藤賢治」の仕掛け人に聞く
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印刷2022/11/11 15:30

インタビュー

川口総合文化センター リリアはなぜゲーム音楽のコンサートを主催するのか。「リリア・ゲームミュージック・セレクション vol.1 feat.伊藤賢治」の仕掛け人に聞く

 作曲家・伊藤賢治氏をフィーチャーしたゲーム音楽コンサート,「リリア・ゲームミュージック・セレクション vol.1 feat.伊藤賢治」が,2023年3月11日に埼玉県の川口総合文化センター リリア 音楽ホールで開催される。
 この公演は,これまでに伊藤氏が手がけてきたゲーム音楽を中心に,伊藤氏が影響を受けてきた名曲の数々を伊藤氏(ピアノ),土屋玲子さん(ヴァイオリン),川村 竜さん(ベース),井谷享志さん(パーカッション),そして岸川恭子さん(ボーカル)というアコースティック編成で演奏するというもの。前売り券は6000円(税込)で,11月13日10:00に発売される。

画像集 No.001のサムネイル画像 / 川口総合文化センター リリアはなぜゲーム音楽のコンサートを主催するのか。「リリア・ゲームミュージック・セレクション vol.1 feat.伊藤賢治」の仕掛け人に聞く 画像集 No.002のサムネイル画像 / 川口総合文化センター リリアはなぜゲーム音楽のコンサートを主催するのか。「リリア・ゲームミュージック・セレクション vol.1 feat.伊藤賢治」の仕掛け人に聞く

 昨今,ゲーム音楽を取り上げるコンサートは各地で行われているが,自治体系のホールがこうした公演を主催するのは,比較的レアなケースだろう。そこで今回,“仕掛け人”である公益財団法人 川口総合文化センター 事業課 主査の柴田彰久氏に企画意図などについて聞いてみた。

「リリア・ゲームミュージック・セレクション vol.1 feat. 伊藤賢治」イベント情報



5年越しの執念で実現したゲーム音楽コンサート


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 まずは,コンサートが開かれる川口総合文化センター リリア(以下,リリア)がどういう施設なのか教えてください。

公益財団法人 川口総合文化センター 事業課 主査 柴田彰久氏
画像集 No.003のサムネイル画像 / 川口総合文化センター リリアはなぜゲーム音楽のコンサートを主催するのか。「リリア・ゲームミュージック・セレクション vol.1 feat.伊藤賢治」の仕掛け人に聞く
柴田彰久氏(以下,柴田氏):
 リリアは2002名収容の多目的ホール,600席のクラシック専用音楽ホール,そのほかにも大小のホールに会議室,スタジオなどがある多目的施設です。普段はポピュラーやクラシック,演劇にミュージカル,歌舞伎や能,狂言,落語に至るまで幅広いジャンルの公演が行われています(川口総合文化センター・リリア公式サイト)。
 中でも音楽ホールは音の響きも良く,専門家からも高い評価を得ており,年間30〜40公演が行われています。そこにはスイスのクーン製パイプオルガンも設置しています。ゲーム音楽CDのPV撮影に使われたこともあるんですよ。

4Gamer:
 音楽ホールの音響が優れているという噂は,たびたび聞いていましたが,ゲームとの意外な接点もあるということで驚きました。
 ところで,柴田さんが所属される公益財団法人 川口総合文化センターというのは何をする組織なのでしょう?

柴田氏:
 川口市から委託を受け,文化振興のためにリリアを管理運営する指定管理者となります。川口市から支出される指定管理料の枠内で,主催公演の計画を立てることなども行っています。

4Gamer:
 いわゆる貸館(※民間の事業者などにホールを貸し出す公演)以外の主催公演は,どのように計画されるのでしょう?

柴田氏:
 リリア主催のものは,1〜2年をかけて準備を進めています。予算のほか,リリアの方針も鑑みて,どんな公演を行うかを決めていく形です。

4Gamer:
 実は今回取材を申し込んだのも,ホールの指定管理業者がゲーム音楽のコンサートを主催することが,現在ではまだまだレアケースだと思ったからなんです。なぜ今回,こうした公演を企画したのか,経緯を教えていただけますか?

柴田氏:
 実は最初に私がゲーム音楽コンサートの企画を考えたのは,5年程前のことだったんです。内部で新規事業……まあ企画ですね,その募集があって,個人的にもファンだった伊藤賢治さんの公演をやりたいと提案しました。でもそのときは採用には至らずでした。
 その後,2022年度の事業を決めるタイミングで再度企画を提出し,今度は「じゃあ,やってみたら」と許可が出たんです。そして,伊藤さんに熱意を伝えて,出演をご快諾いただきました。
 伊藤さんご自身も埼玉県で育たれたということもあって,スターダストレビューのコンサートなどでリリアに来られたことがあったそうなんですね。そうしたご縁もあって,伊藤さんにとても前向きに相談に乗っていただくことができたのは,とても幸運でしたね。

4Gamer:
 なるほど,5年越しの執念が実ったわけですね。
 近年開催されるゲーム音楽のコンサートは,子供の頃にゲームが好きだった方が企画されることが多いという話を聞くことが多いのですが……柴田さんもゲームが好きだったんですか?

画像集 No.004のサムネイル画像 / 川口総合文化センター リリアはなぜゲーム音楽のコンサートを主催するのか。「リリア・ゲームミュージック・セレクション vol.1 feat.伊藤賢治」の仕掛け人に聞く
柴田氏:
 ええ,もちろんです。私は幼い頃からゲームが好きで,いろいろな作品を遊びつつ育ち,さまざまなゲーム音楽に触れてきました。その中でも伊藤さんの音楽が心に残っていたので,ぜひコンサートをやりたかったんです。
 とくに好きな「熱情の律動」(「ロマンシング サガ -ミンストレルソング-」のボス戦で使われた,フラメンコ風の曲)を生で演奏していただきたいと思い,今回の公演の選曲にあたって強くリクエストしました。そしてこの曲を演奏するのであれば,ボーカルの岸川恭子さんも欠かせない……ということでお願いしたんです。

4Gamer:
 熱意とゲームへの思い入れがあったからこそ,実現にこぎ着けることができたわけですね。では,柴田さんが考えられる,ゲーム音楽の魅力とは?

柴田氏:
 ゲーム音楽のいいところは,曲を聴けばプレイしていた当時の思い出が甦るところにあると思います。友達と一緒に遊んだとか,クリアして達成感を得たとか,そういう記憶が一瞬で再生される。素晴らしいジャンルだと思っています。
 個人的には「神宮寺三郎」シリーズも好きですね。当時配布された缶コーヒーもすべて持っていますし(笑)。

4Gamer:
 それはなかなかというか,完璧にこちら側ですね!
 ところで,公益財団法人としてゲーム音楽のコンサートを主催するにあたって,財団内ですぐに理解は得られましたか?

柴田氏:
 実はゲーム音楽についての理解は,すでにあったんですよ。我々が主催したわけではないのですが,リリアのメインホールでは数年前に「ドラゴンクエスト」の吹奏楽コンサートが行われていますし。ホールの用途に合ったものであれば,クラシックでもゲーム音楽でもとくに問題はないんです。

4Gamer:
 ゲーム音楽も文化の一つですからね。

柴田氏:
 ただもちろん,収益化できるかどうかという視点での疑問は上がっていました。事業として実施するわけですから,文化のためだから赤字でもなんでもいいという訳にはいきません。

4Gamer:
 ですよね……。

柴田氏:
 私達は公益財団法人なので,大きく利益を上げることを目指しているわけではないのですが,かといって大きな赤字を出すわけにはいきません。そこで採算性や損益分岐点についてもしっかり計算する必要がありますし,各方面との調整を含め,皆さんが想像される以上にたいへんな部分はありますね。

4Gamer:
 バランスはむしろ普通の企業より難しそうですね……。
 ところで今回の公演は「vol.1」というタイトルが付いていますが,今後も同様のコンサートを主催される予定はあるのでしょうか?

柴田氏:
 はい。伊藤さんに監修していただく形での「vol.2」も視野には入っています。その後も「vol.3」「vol.4」と続けていきたいという希望は持っています。

4Gamer:
 「vol.1」という形にしたのは,柴田さんと伊藤さん,どちらの提案でしょう?

柴田氏:
 我々からの提案です。今回使用するクラシック専用の音楽ホールはPA(拡声器)のような電気的手段で音を増幅しないことを前提とした会場なんですが,その音響環境についてアーティストや専門家の方々から高い評価を得ています。
 この音響的にも優れたホールを使ってゲーム音楽を発信していきたいという我々の案に,伊藤さんが賛同してくださいました。

4Gamer:
 つまり「vol.1」も完全にアンプラグド(電気を用いた楽器を使わない)編成ということですね?

柴田氏:
 そうです。伊藤さんからはアンプラグド編成で演奏できるもの,ということで楽曲をご提案いただきました。エレキギターを使った音楽もカッコイイですが,アンプラグドな楽器による公演も情緒があって素晴らしいので,ぜひ聴いていただきたいですね。

4Gamer:
 先日,この公演についてTwitterで告知をされていましたが,反響はいかがでしたか?



柴田氏:
 おかげさまで良好です。Twitterでもバズりましたし,ぜひ行きたいというご意見もたくさん見られました。生音はとても良いものなので,多くの方に会場へお越しいただきたいですね。
 実は伊藤さんには打ち合わせのときにピアノの試し弾きをしていただいたんです。私はその場でもう感動してしまったのですが,本当にあれを皆さんと共有したいと思いましたから。

4Gamer:
 今回の公演を映像化,あるいは音源化する予定はありますか?

柴田氏:
 今のところはありません。

4Gamer:
 会場に行かないと聴けないコンサートということですね。


ジャンルにこだわらず,文化を広く振興していくリリアのミッション


4Gamer:
 リリアではさまざまなジャンルの公演が行われていますが,どのあたりの年齢層がメインなのでしょう?

画像集 No.005のサムネイル画像 / 川口総合文化センター リリアはなぜゲーム音楽のコンサートを主催するのか。「リリア・ゲームミュージック・セレクション vol.1 feat.伊藤賢治」の仕掛け人に聞く
柴田氏:
 クラシックですと年齢層は高く,チケットの優先予約などができる「リリアメンバーズ」の会員は,ここ数年60代以上の方が多くなっています。
 とはいえ,内容によっては若い方が多くいらっしゃいますし,そこは公演次第でまちまちですね。

4Gamer:
 ゲーム音楽のコンサートを開くことで,利用者の平均年齢を引き下げたり,若年層を呼び込むという狙いはあるのでしょうか?

柴田氏:
 どちらかというと,ゲーム音楽は年齢層に関係なく楽しんでいただけるジャンルだと思っています。
 もちろん,若年層の開拓は我々の課題です。リリアの役目は文化を振興することですから,無料やワンコイン,親子を対象としたものなど,さまざまなコンサートを開いています。小さい頃から音楽を聴いていただき,大人になってもリリアや音楽に親しんでいただきたいという願いがあるんです。

4Gamer:
 総合文化センターとしての,文化を振興するミッションは,どんな公演にせよ外せないということですね。

柴田氏:
 ええ。今回の公演も,年齢を引き下げるより,リリアでの公演に幅を持たせたいという狙いもあります。クラシック音楽だけといった形ですと,どうしてもお客様が固定となりがちですし。
 我々はあくまでも,多くの人々に向けてリリアや音楽の魅力を発信していきたいと考えています。そうした中で,ゲーム音楽をはじめとした,これまで手を伸ばせていなかったポップカルチャーのジャンルを幅広く紹介することで,「リリアっていいホールだね」というファン層を広げていきたいと考えています。

4Gamer:
 新旧問わず,人々に親しまれる文化を発信することに意義がある,と。

柴田氏:
 はい。とくにゲーム音楽は,クラシックや歌謡曲など,さまざまなジャンルがクロスオーバーした音楽だと思っていますし,そういう意味では理解を得やすいジャンルだとも考えています。
 例えば,「vol.1」のチラシを見たご年配の方から「ゲーム音楽のコンサートだけど,『アヴェ・マリア』を演るなら聴きに行こうかな」という反応もありました。そこから原作のゲームを遊ぶようなことがあっても面白いですね。

4Gamer:
 最近だとゲーム音楽をきっかけにしてクラシックに関心を持つようになった方もいるでしょうし,そうした入り口においてゲーム音楽はちょうどい良いのかも知れませんね。

画像集 No.007のサムネイル画像 / 川口総合文化センター リリアはなぜゲーム音楽のコンサートを主催するのか。「リリア・ゲームミュージック・セレクション vol.1 feat.伊藤賢治」の仕掛け人に聞く
柴田氏:
 それこそ,「カッチーニのアヴェ・マリア」はアレンジされてゲームに使われていることもありますし,「ピアソラのリベルタンゴ」は「熱情の律動」に通じるところがあるなど,クラシックの延長線上のゲーム音楽もあると思うんです。そう考えると,両者は決して無関係ではないんですよね。
 今度の「vol.1」で演奏予定のクラシックも,ゲーム音楽の礎となった音楽ということで楽しんでいただきたいですね。

4Gamer:
 ところで,リリアではアマチュアの方がゲーム音楽のコンサートを開くこともあるようですね。

柴田氏:
 ある公演では,リリアで開催ということもあり「イースII」の「リリアのテーマ」という曲を演奏されていたんですが,偶然にも開演前にお客様の入場をうながす「予ベル」の音が「イースII」に出てくる鐘撞堂の鐘の音とそっくりで,演出としてうまく活用していてびっくりしました(笑)。

4Gamer:
 “リリア”つながりなわけですね(笑)。
 最後になりますが,クラシック専用の音楽ホールでゲーム音楽を楽しむ体験について,セールスポイントのようなものがあれば教えてください。

柴田氏:
 音楽ってスピーカーを通して聴くと1方向からのみの音なんですが,ホールだといろいろな方向から音が届きます。人体って音を吸収しますから,入場されているお客様の人数によっても音の響きが変わってくるんです。リリアは満席の時に最高の音が出るよう設計されています。いわば“お客様が入ることで完成される芸術”であり,スピーカーやイヤフォンでは絶対に味わえない音を体験できます。これまでコンサートに足を運んだことのない方も,ぜひ満席の公演で,音を身体で受け止める心地良さを体験してほしいですね。

4Gamer:
 どんなにアンプやスピーカーで音響環境を整えても,全身で音を浴びる経験は,ホールに行かなければ味わえませんから。

柴田氏:
 はい。リリアの音楽ホールはとことん音響にこだわり抜いて作られています。「vol.1」が満員御礼となれば,新たな企画も通りやすくなります。皆様にご来場いただくことが今後につながっていきますので,ぜひ足をお運びください。
 日本のゲーム音楽は海外のファンも多いので,将来的には海外からのファンに来ていただくことも考えていきたいです。

4Gamer:
 川口駅からのアクセスも抜群に良いので,実は足を運びやすいホールなんですよね。今後どんなゲーム音楽のコンサートが開催されるのか,楽しみにしています。


 「リリア・ゲームミュージック・セレクション vol.1 feat.伊藤賢治」は,2023年3月11日に川口リリア・音楽ホールにて開催予定だ。「七英雄バトル」(「ロマンシング サ・ガ2」),「熱情の律動」(「ロマンシング サ・ガ -ミンストレルソング-」),「再生の絆〜 Re;univerSe 〜」(「ロマンシング サガ リ・ユニバース」),「Departure」(「パズル&ドラゴンズ」)といったゲームミュージックに加え,伊藤氏の音楽的ルーツとなった「カッチーニ:アヴェ・マリア」「ピアソラ:リベルタンゴ」といった曲も演奏されるとのこと。生音の響きにこだわった音楽ホールで,“あの曲”を堪能したい人は,ぜひ足を運んでほしい。

「リリア・ゲームミュージック・セレクション vol.1 feat. 伊藤賢治」イベント情報

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