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効果音のために14種の資格を取り,2000坪の土地を買ったゲームオーディオ専門会社AZSTOKEのブースをレポート[TGS2026]
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印刷2026/09/25 20:35

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効果音のために14種の資格を取り,2000坪の土地を買ったゲームオーディオ専門会社AZSTOKEのブースをレポート[TGS2026]

 東京ゲームショウ2026(以下,TGS 2026)の会場を歩いていると,球形のオブジェが目に留まった。表面にトゲが生えたり,厚手のスポンジをかぶせることができたりと,何に使うものかまったく予想できない。

TGS 2026で見かけた不思議な展示
画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / 効果音のために14種の資格を取り,2000坪の土地を買ったゲームオーディオ専門会社AZSTOKEのブースをレポート[TGS2026] 画像ギャラリー No.002のサムネイル画像 / 効果音のために14種の資格を取り,2000坪の土地を買ったゲームオーディオ専門会社AZSTOKEのブースをレポート[TGS2026]

 ボードゲームに使うアイテムや特殊な入力機器かと思ってお話を聞いたところ,ゲーム関連はゲーム関連でも,フォーリー(効果音)を録音するためのマイク用「防雨カバー」とのこと。しかも自作であるというのだ。

AZSTOKEブース
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 これを展示していたブースは,ゲームの効果音を制作するAZSTOKEのものである。2019年に設立された同社はゲームオーディオの専門会社であり,これまで「GRANBLUE FANTASY: Relink」「GRANBLUE FANTASY: Relink - Endless Ragnarok」の効果音作成に携わってきた。
 これらのタイトルにおいては,効果音の素材を収録するため,気球に乗って上空1000mに赴いたというエピソードも公開されている(関連リンク)。リアルな音を伝えるためにさまざまな取り組みが行われているのだ。


効果音のために14種の資格を取り,2000坪の土地を買ったゲームオーディオ専門会社


AZSTOKEの代表取締役社長 中島健太郎氏
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 AZSTOKEは,かつてカプコンで「バイオハザード RE:2」や「戦国BASARA宴」などの作品に携わった中島健太郎氏が,よりリアルなフォーリーを大規模に収録したいということで立ち上げた会社だ。
 設立のきっかけの1つは,中島氏が大きな物体をぶつけた音を欲しいと考えたときの出来事だったという。
 関連業者に「重機を使って大きな物体をぶつけてもらえないか」と打診しても,必要になる資格を持つ者がいないなどの理由で対応してもらえなかったそうだ。
 常々,このような「デカいフォーリー」(中島氏)を録りたいと考えていた同氏は一念発起し,独立してAZSTOKEを設立した。

 そして大型免許やけん引免許,車両系建設機械,高所作業車,アーク溶接など14種もの資格を取得。さらには山梨に2000坪の土地を購入して日本初の大規模フォーリー収録専用フィールド「SKYSQUARE」をスタートさせるに至ったというから驚きだ。

 SKYSQUAREでのフォーリー収録は,とにかくリアルな音を志向している。足音が欲しい場合はイメージに合った地面を実際に歩き,ハンマーや斧で本当に素材を叩いたり,チェーンソーやドリルで音を出したりすることも可能だという。

 ゲームでは巨大な敵が大質量の武器を叩きつけて地面を揺らすようなシーンも多いが,ここでは本当に地面を揺らす音が録れる。トン単位の鉄骨や岩石を重機で持ち上げ,地面に落としたり,岩肌にぶつけたりできるのだ。

安全対策をしつつ,重機を使ってフォーリーを収録できる
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 なお,収録時はノイズが入らないように重機のエンジンを切り,持ち上げた素材を手動で落下させるという。この辺りはゲームオーディオ専門会社ならではのノウハウといえるだろう。

 魔法や攻撃などに使う炎や氷の音も,大きなスケールで収録できる。3mもの高さに炎を吹き上げたり,火炎放射器で素材を焼いたりというのは,通常のスタジオではなかなか難しいだろう。
 氷もゲームには頻出するが,スタジオ収録では冷蔵庫の氷を使うなど,どうしてもできることが限られてしまう。SKYSQUAREでは,標高1250mという高地にあることを利用し,水を張った桶を放置して分厚い氷を作り,これを砕くなどして収録することも可能だという。


 そして,自然のなかで収録するフィールドレコーディングで活躍するのが,冒頭で紹介した球体,防雨カバーである。たとえば,ゲームのボス戦などでは,降りしきる雨が演出として使われることも多い。

根気よく悪天候を待つことも
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 リアルさを追求するなら,実際に雨が降る中にマイクを置くのが一番だが,精密機器を雨ざらしにするわけにもいかず,水から保護するためのアイテムが必要となる。しかし,防風用のマイクカバーはあるものの,防雨となると市場には見当たらない。そこで中島氏はマイクを中に配置できる球形のカバーを考案,改良を重ね続けているそうだ。

防雨カバーを開いたところ。中にマイクを設置する
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 この防雨カバーは,沖縄の環境音を収録するという仕事で活躍したという。当初は森林にマイクをそのまま設置したが,短時間に激しいスコールが降るという現地特有の事情から防雨カバーの出番がやってきた。
 雨を気にしなくて良くなったおかげで,収録機器のバッテリーが持続するギリギリの12時間ほど放置できたのだから,効果はてきめんだ。

オレンジのトゲは,傘の役割を果たすスポンジを固定するためのもの
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トゲにスポンジを突き刺して固定する。マイクを雨から守りつつ,雨音を録音できるという
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 収録した音声のなかには,森林のごく一部にだけ生息する鳥の鳴き声もあったという。中島氏いわく「人間が近くにいないことで動物たちの警戒心が薄れたからではないか」ということで,こだわりと工夫がもたらした成果といえるだろう。

現在の形になる前に制作した防雨カバーの旧バージョン。自然な音を録るためには,マイクを密閉するのではなく,カバー側に開口部が必要になる。この旧バージョンでは強度不足から開口部の梁が欠けてしまい,新バージョンで改良が行われた
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 話を聞いてとくに印象的だったのが,欲しいものがなければ自分で何とかするという中島氏のDIY精神だ。「聞いたことのない,新たな音の価値を創造できるようになりたい」と中島氏は語る。
 自然と「探してもないなら,自分で作るしかない」という発想に至ったそうだが,その行動力には驚かされるばかりだ。
 なお,同社の公式YouTubeでは,SKYSQUAREで収録された音のみを使ったテックデモ「GRAVITY」を公開中だ。実際に1トンクラスの鉄骨を落とし,本当の雨や雷を待ち続けて収録した迫力の作品となっているので,収録風景を想像しつつ見てみるのも楽しいだろう。


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    音楽/サウンド/シチュエーションCD

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