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[AGDC 2007]Blizzard社長が語る「成功するゲーム企業への十戒」
Morhaime氏の講演タイトルは,「How to Rule the World (of Warcraft): Ten Lessons」。カッコ書きで「WoWの」と断ってはいるものの,アカウント総数900万という世界最大規模のMMORPGを世に送り出した自信からか,「世界征服の方法」という,なかなか挑戦的なものになった。
ただ,今回のテーマはむしろ副題の「10の教訓」のほう。BlizzardがWoWを初めとする作品群をリリースするなかで,学んでいったことを紹介するという内容だった。
というわけで,以下,Morhaime氏の語った10の教訓を,順に紹介したいと思う。
1.市場のニーズを知れ
これは昨年,Pardo氏も話していたことだ。コアゲーマーとカジュアルゲーマーを取り込める方法を練り上げ,奨励システムを低くめに設定しつつ,遊び甲斐のあるゲームというのが,Blizzardにおけるゲーム企画のスタート地点なのだという。
「Warcraft Adventures」や「StarCraft: Ghost」など,100万本売れそうにないと,開発が終わりかけていてもプロジェクトを中止させるBlizzardの執念は凄まじい。それほどまでに,Blizzardという看板に恥じない,高い品質のゲーム作りだけをモットーにする。
3.早めにゲームをリリースしてしまおうなんて思うな
アメリカでは「クリスマスシーズンに売り上げが伸びる」という業界神話のようなものがあるが,Morhaime氏はこれを真っ向から否定。大ヒットとなった「Diablo」や,初日で240万本を売った「WoW: Burning Crusade」という2本の1月発売タイトルを引き合いに出し,「バグのあるゲームを出すくらいなら,何としてでもパブリッシャに発売延期を認めさせるべき」と主張する。
作り込み過ぎは,企画の訂正やリリースの遅延の原因となる。ゲームに新しいアイデアを盛り込むのは否定しないが,“既存のアイデアばかり”を利用して成功した例が「World of Warcraft」である。
5.需要を考えよう
月額制の「World of Warcraft」は,初日で30万本を売った「Warcraft III」ほどは成功しないと思っていた。ところが60万本も売れてしまったことから,サーバーの拡張やサポートの充実など急激な拡張が必要となり大きな混乱が生じてしまったと,氏は自戒気味に振り返る。
6.人材確保をないがしろにしてはならない
それまで,各部門のディレクターやプロデューサーが個別に人を雇うという方式をとっていたBlizzardだが,World of Warcraftではその方法だと人材確保がまったく追いつかなかった。MMORPGで成功したいなら,専門の人事係が必要だとMorhaime氏は述懐する。
MMORPGのローンチ後は,「グローバルなサービス企業」になったと意識すること。24時間体制のカスタマーサポートやコミュニティ管理を行い,国内と海外のサービスも統一させること。
8.意思伝達を怠るな
ゲームコミュニティや海外スタッフはすべて同等に,リアルタイムで扱うことが必要。何か問題が起これば,世界各国に存在するすべてのサポートチームが内容と対策を理解しておかなければならない。情報伝達を迅速に行えるシステムを作るべきだ。
9.金儲けを企む輩は排除せよ
ゴールドファーマー,アカウント詐欺,クレジットカード詐欺などは法を使って晒し上げ,徹底的に排除するのがBlizzard方式。公平さもゲームの魅力の一つなのである。
10.ゲームテストは余裕を持って
ゲームをしないビジネス系の雇用者だろうと何だろうと,とにかく社内にいるすべての人間にゲームをテストさせる。パブリックβもうまく利用すべきだが,World of Warcraftのローンチ時にテストサーバーを設置していなかったのは,長い目で見ると失敗だった。
近い将来にBlizzardは「StarCraft II」をリリースすることになるわけだが,Morhaime氏の十戒が,同タイトルにどのような形で活かされていくのか,非常に興味深い。
- 関連タイトル:
World of Warcraft
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World of Warcraft(Macintosh)
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(C)2005 Blizzard Entertainment. All rights reserved.
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