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ゲームポット,フェニックスソフト,スクウェア・エニックスが語る2008年の「ファンタジーアース ゼロ」と2009年の展望
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印刷2008/12/26 18:33

インタビュー

ゲームポット,フェニックスソフト,スクウェア・エニックスが語る2008年の「ファンタジーアース ゼロ」と2009年の展望

 2008年12月14日にGamepot Festa 2008で開催された「バンクェット 〜Decisive Battle 2008〜」の決勝大会が盛り上がり,相変わらずの人気の高さを見せたオンラインアクションRPG「ファンタジーアース ゼロ」(以下,FEZ)。その一方で,6月に発表されたフェニックスソフトへの開発業務移管,10月はスクウェア・エニックス メンバーズでのチャネリング開始と,ゲームの中身以外の動きも多かった。2008年後半,FEZに何が起きていたのだろうか。そして2009年以降の展開は,どうなっていくのだろうか。 
 ゲームポットで運営チームリーダーを務める和賀 潤氏,フェニクスソフトで開発ディレクターを務める藤本哲哉氏,そしてスクウェア・エニックスでプロデューサーを務める小山博典氏とアシスタントプロデューサーの李 潤玉氏に疑問をぶつけてみた。

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毎週長時間におよぶ三社会議を開催しコンセンサスを図る


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。さっそくですが,FEZは10月にスクウェア・エニックス メンバーズでのチャネリングが開始されました。その経緯を聞かせください。

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スクウェア・エニックス 小山博典氏
小山博典氏(以下,小山氏):
 勘違いされている方もいるようなのですが,最初に説明しておくと,運営移管後もFEZがスクウェア・エニックスの手を離れたというわけではないんですよ。

4Gamer:
 では,あらためてスクウェア・エニックスとゲームポット,そしてフェニックスソフトの役割を教えていただけますか。

小山氏:
 まず,フェニックスソフトは開発ですから分かりやすいですよね。スクウェア・エニックスとゲームポットの関係は,東京ディズニーランドにおけるウォルト・ディズニーとオリエンタルランドのそれに近いかもしれません。
つまり,コンテンツホルダーがスクウェア・エニックスです。そして現場でイベントの企画や運営を行ったり,ゲストを起用したり,あるいはキャストとしてGMを配置したりするのがゲームポットさんというわけです。

4Gamer:
 なるほど。ただそれですと,具体的にスクウェア・エニックスが何をやっているのか分からない,あるいは結局コンテンツホルダーであるスクウェア・エニックスの最終判断がないと,何も進行できないのではないか,という穿った見方もできると思うのですが。

李 潤玉氏(以下,李氏):
 毎週,三社で4〜5時間程度の定例会議を行い,そこで三社合意のうえで,さまざまな決定をしているといっていいでしょう。例えばスクウェア・エニックスの「これがやりたい!」という独断が,そのまま採用されることはまずありません。

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フェニックスソフト 藤本哲哉氏
和賀 潤氏(以下,和賀氏):
 プレイヤーから寄せられている要望等に触れる機会は,ゲームポットが一番多いため,現場で判断するケースもあります。もちろん,スクウェア・エニックスの確認をいただいたうえで,という形になりますが。
 ただ,2008年になってスクウェア・エニックスが前面に出る機会が増えたので,「アレ?」と思った人達が多かったかもしれません。

小山氏:
 実は,ゲームポットに運営を任せた時点で,スクウェア・エニックスを前面に出すのは止めようと決めたんです。ゲームポットからは,もっと当社のロゴを目立たせようという提案もあったのですが,コピーライトなどで小さく表記するだけに留めることにしました。

李氏:
 私は2008年の4月からFEZに携わったのですが,そうした事情を掴みきれていなかった面もあり,FEZでも,それまで担当していたスクウェア・エニックスのゲームタイトルと同じような感覚でプロモーションを企画しました。その一環が東京ゲームショウにおける当社ブースでのムービー上映であり,「ヴァルキリープロファイル -咎を背負う者-」とのタイアップだったのですが,そのあたりでスクウェア・エニックスが前面に出ているように見えてしまったのかなと思います。

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4Gamer:
 4月から進行してきた企画が,10月以降に表面化した結果,一気にスクウェア・エニックス色が強くなってしまったわけですね。こうしてお話を聞いていると,相乗効果を狙うのはプロモーションの定石ですから,非常に納得がいきます。
 しかし実際のところその時期は,9月末/10月末のアップデートで散見された不具合などが重なっていました。そのため「裏で何か起きているのではないか?」「開発を滞らせるような動きがあるのでは?」という深読みをしてしまった人もいたようです。

小山氏:
 もちろんそんな動きはなかったのですが,必ずしもプレイヤーが望まれていたアップデートになっていなかったのは事実ですね。

4Gamer:
 例えばチュートリアルに関しては,今は改善されていますけれども,進行上必要なNPCが表示されないといった不具合があったり,あるいは本当の初心者が戦争に参加するための導線として十分に機能する内容ではなかったり。
 内容的には,むしろ既存プレイヤーが別キャラクターの育成を促成するためのシステムのような印象を受けました。チュートリアルという言葉から想像できる内容であれば,チャネリング開始と合わせてタイミング的にもっと盛り上がってもおかしくなかったと思います。


藤本哲哉氏(以下,藤本氏):
 チュートリアルにキャラクター育成を促進する内容を含めたのには,新規で始めたプレイヤーに,より早く戦争を楽しんでいただこうという意図があります。FEZは,以前から新規プレイヤーが定着しないという問題を抱えていました。つまり戦争が面白いという評価を受けて新規に始めたはずなのに,戦争を楽しめるレベルに達する前に止めてしまう方が多いんです。
 であれば,チュートリアルを通して戦争に参加しやすいレベルまで上げてしまえばいいだろう,と。

4Gamer:
 意図は理解できます。

藤本氏:
 本来的なチュートリアルという意味においては,戦争についての内容を十分に提供できているかというと,そうではないと感じています。
 ただ,基本的なシステムの解説はともかくとして,一番難しいのはFEZのプレイに必要なゲーム中の立ち回りなどをどうレクチャーするかということです。それはプレイヤー間でやりとりされる,いわばローカルルール的な部分ですから。

4Gamer:
 今後,そうした部分をどうにかフォローしていくお考えはありますか?

藤本氏:
 ローカルルールは,時間の経過やプレイヤーの入れ替わりといった要因で変化します。また,開発で当初意図していなかったテクニックなども生まれていますし,今後もそうなることが予想できます。どこまで説明するべきか,どこで線引きするかの判断は難しいところですね。

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和賀 潤氏
和賀氏:
 ローカルルールは,プレイヤーが作り上げていくものですから,必ずしもチュートリアルで説明すべきものではないと思います。そこで運営側で特設サイトを設置して解説する,あるいは現在プレイヤーが独自に行っている講習会をサポートするようなイベントの企画を検討しています。
 チュートリアルでは,現状で不親切になっている部分,例えばリスタートしたときにどこを向いているのか分からないといったような部分を順次調整していければと考えています。

4Gamer:
 なるほど。ところで,初心者を戦争に向かわせる策として,例えばレベル帯を制限したマッチングシステムなどを導入するといった計画はないのですしょうか。

藤本氏:
 バンクェットのような少人数での戦争などの案はあるのですが,それを実行すると今度はそこに入れないプレイヤーが出てくる可能性があります。いろいろと考えているのですが,すぐに実現するのは難しい状態です。

小山氏:
 会議をする中で,常に出てくる話題ではあるんですよ。

4Gamer:
 まあFEZというゲームの性質上,どこを基準にプレイヤーを制限するかがまず難しいですよね。単純にレベルやスコアだけから判別するわけにもいかない。

和賀氏:
 プレイヤー自身の熟練度に左右されるゲームですからね。

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スクウェア・エニックス 李 潤玉氏
藤本氏:
 ドミニオン時代には,ランク制もあったんです。勝ち続けているプレイヤーは星の数が増えていき,その数によって入れる戦場が制限されます。
 ただ,やっぱりうまく機能していたとはいえません。ともかく,いろいろ考えている部分です。


新クラス実装の遅延とwaiting問題は2009年の早期解決を目指す


4Gamer:
 もう一つ,プレイヤーが不満に思っていたり疑問を抱いているだろうと思われる点として,新クラス実装の遅延が挙げられます。先日のGamepot Festa 2008で,ようやく「フェンサー」の実装と公開テストの実施が発表されましたが。

和賀氏:
 6月のインタビューでは,いわゆる補助魔法系のバフクラスを第一弾として入れるという話でしたが,これは企画を詰めて行く中でより慎重な調整が必要であると判断したからです。

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藤本氏:
 第一弾として実装するフェンサーは,アタッカー系のクラスになります。スキルは比較的ダメージの大きいものと手数の多いもの,そして回避行動系で構成されています。一撃で大ダメージを与えたり,あるいは発動が早かったりする一方で,その後の硬直が長いというデメリットがあります。
 戦争時には周囲の状況を把握して,スキルを使用する必要が出てきます。それをサポートするのが回避行動系のスキルです。武器や防具等も専用のものを用意します。

4Gamer:
 既存の3クラスは,三すくみという位置付けにありましたが,フェンサーはどこに組み込まれるのでしょうか。

藤本氏:
 三すくみの中ではなく,基本的にどのクラスに対しても大きなダメージを与えられます。その代わり,相手から与えられるダメージも大きい。どのクラスに対しても,ダメージ補正のないハイリスクハイリターンな存在ですね。

和賀氏:
 既存の3クラス間にあったダメージ補正は,フェンサーに関してありません。

4Gamer:
 新職業実装の発表からだいぶ時間が経ちました。現在は,調整中とのことですが,どのようなことを具体的に行っているのかを説明してください。

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藤本氏:
 いろいろとありますが,一番は,バフクラスで回復スキルをどう扱うか検討しています。以前,プレイヤーにアンケートを取ったところ,「回復系スキルは入れないでほしい」という意見が多かったこともありますので。

小山氏:
 あとはクラス間のバランス調整を踏まえた順序の問題もあります。全体のバランスを考えるなら,アタッカーが揃ってからバフクラスを入れたほうが調整しやすいですし。

4Gamer:
 そういったクラス間のバランスを調整する場合に,プレイヤーの意見はどの程度参考にされるのでしょうか。

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和賀氏:
 プレイヤーの意見は一様ではないですから,どうしてもすべてを反映するわけにいきません。ただ,もちろんすべての意見に目を通していますよ。
 バランス調整においては,ゲーム内でのクラス比率が重要かもしれません。ウォリアーが5割くらいいたら,バランスが取れているとはいえませんからね。

4Gamer:
 なるほど。対人系ゲームの常として,クラスが増えるとどんどんバランスが取りにくくなっていきます。今後,クラスが増えるに従い,FEZも同じ状態に陥る懸念があると思います。

藤本氏:
 たくさんあったクラスを,三つに減らしてバランスを取ったという経緯もありますし。

小山氏:
 「対人」を考えると,実は個人的には3クラスくらいが一番いいと思っているんですけどね。

画像集#021のサムネイル/ゲームポット,フェニックスソフト,スクウェア・エニックスが語る2008年の「ファンタジーアース ゼロ」と2009年の展望
李氏:
 そうはいっても新クラスの実装に期待している方も多いですしね。

和賀氏:
 新クラス以外にも,既存クラスには新スキルを順次追加していきますよ。まずはウォリアーの「大剣」です。

4Gamer:
 フェンサーと大剣の発表から数日経ちましたが,プレイヤーの反響はどうですか。

和賀氏:
 期待している人が大勢いる半面,今までの経緯を踏まえて,予定通り進まないのではないかと危惧している人もいるようです。

李氏:
 Gamepot Festa終了時にも,「今度は大丈夫ですか?」と聞かれました。

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和賀氏:
 まだイメージイラストと概要を公開したばかりですので,今後情報を出していくとコミュニティも盛り上がっていくでしょう。1月末予定の公開テストの日程等も順次発表していきます。

4Gamer:
 公開テストはどういった形で行われるのですか。

和賀氏:
 詳細はまだ確定していませんが,参加者を募り期間を限定してプレイしてもらう形式になります。そのあと,アンケートを実施して意見をいただくという流れです。

藤本氏:
 人数を絞った,いわゆるクローズド形式です。

4Gamer:
 専用クライアントを用意するのでしょうか。

和賀氏:
 そうなります。1月中旬には,詳しいことを発表します。

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4Gamer:
 準備は着々と進んでいるということですね。楽しみにしています。
 それでは2009年に行う,アップデートのおおまかな予定をお聞かせください。

藤本氏:
 2009年は新クラスと新スキルの実装,全体のバランス調整,そしてサーバー負荷の解消といったところでしょうか。

小山氏:
 まず解消しなければならない大きな問題が,いわゆるwaiting問題ですね。

4Gamer:
 これはサーバーに何か障害が発生しているのでしょうか。

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和賀氏:
 いえ,プレイヤー数の増加に伴う,データ容量の問題です。プレイヤーから見えない部分では負荷軽減のために随時試行錯誤をしているんですよ。ハードウェアを交換したり,処理で生じた不要なデータを削除したりは当然のように行っているのですが,あまり目立った効果が出ていないのが現状で,データベースのプログラムに手を入れるしかないという状態になっています。
 そこでまずは,キャラクターデータの移住サービスを検討しています。プレイヤー過多となっているワールドのプレイヤーに,ほかのワールドに移住していただいて,そのあと本格的なてこ入れを図ろうということですね。

4Gamer:
 なるほど。全体的に当初の想定を上回るプレイヤー数になってしまったと考えればいいですかね。

藤本氏:
 というよりは,特定のワールドに偏って集中している感じです。あとは無料でアカウントが作れるので,使われていないデータが残っているという問題もあります。以前,1年間使われていないアカウントを消したのですが,それでもプレイヤーが集中してしまうと,どうしてもwaiting状態が発生してしまいます。

和賀氏:
 移住に関しては,事前に望まれる方がどの程度いるのかなど,2009年1月の早い段階でアンケートを実施する予定です。

4Gamer:
 でも実際には,人が集中するのはそれだけの理由があるわけですから,そこを「ほかに移住してほしい」というのは難しい話ではないでしょうか。

藤本氏:
 部隊をはじめ,そのワールドで培ってきたものをどう移住させるのかという問題が生じますね。

小山氏:
 大きなところとして,FEZのSNSに構築されたサーバーごとのデータをどう扱うかという問題もあります。

4Gamer:
 聞けば聞くほど難しい問題であるような気もしますが,うまく行く方向で進んでいると考えていいでしょうか。

和賀氏:
 それはもちろんです。プレイヤーのモチベーションを阻害する最大の要因となっていますので,早期に改善しなければなりません。

プレイヤー定着に貢献するSNS。将来的には新規プレイヤー獲得手段としても活用



4Gamer:
 それでは,ちょうどSNSの話が出ましたので,関連してお話をうかがいます。FEZのSNSは,プレイヤーの参加率が非常に高いですが,具体的にどういった場になっているのでしょうか。

小山氏:
 FEZはシステム的にコミュニティ要素が弱いゲームです。そこで外部にSNS機能を持たせることで,コミュニティをサポートしようとしました。匿名性を高くしてしまっては面白くありませんから,ゲーム内の要素と融合した場になっています。

4Gamer:
 具体的にコミュニティが強化されているという手応えはありますか。

小山氏:
 実際に,導入後のプレイヤー数の推移を分析したところ,かなりの効果が出ています。

4Gamer:
 プレイヤー数増加に加えて,定着率も向上していると。

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和賀氏:
 具体的な使われ方の例としては,プレイヤー主催イベントの告知などですね。ゲーム内のモチベーションを喚起する導線的な役割を果たしているといえます。

李氏:
 またSNSでは,言いっ放しではない意見を聞けますので,参考になるものが多いですね。

和賀氏:
 SNSを介したアンケートを行って,意見を集めることもあります。SNSですと,プレイヤーが実際にどういったキャラクターを使っているのか参照できるので,非常に分かりやすい場合が多いですね。

小山氏:
 導入前は,SNSに対して賛否両論があったのですが,今は入れてよかったという意見で一致しています。

李氏:
 携帯電話からFEZのSNSにアクセスしているプレイヤーの率も非常に高いんですよ。つまり学校や職場の休憩時間など,ゲームができない環境でもFEZとつながっている。そういった部分もSNSの魅力なんじゃないかと思います。

4Gamer:
 なるほど。ところで先ほど,新規プレイヤーの定着率が悪いというお話がありました。例えば,SNSを使うことで定着を促すような施策はお考えでしょうか。

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和賀氏:
新規プレイヤーの定着という部分では,ゲーム自体が若干難しい部類に入りますから,すでにプレイヤーとなっている方にお友達を誘っていただいて,コミュニティに参加しやすくなるようなキャンペーンは随時行っていまして,SNSの存在はその一環となっている感じでしょうか。SNSは新規獲得向けというよりも,既存プレイヤーの定着を促すコンテンツですね。

小山氏:
 今はSNSに参加しないとコンテンツを確認できませんが,今後,外部からも一部が見えるようにする構想があります。実現すれば新規プレイヤーの獲得手段の一つになると考えているのですが,サーバー負荷の問題を解消しなければなりませんので,優先順位を低くしている状態ですね。

李氏:
 日記を書かれている方はお気づきだと思うのですが,すでに現状で「オフィシャルページに公開する」というボタンがあったり,クリスタルをクリックすると追加される機能があったりします。

小山氏:
 要は公開設定になっている記事を,オフィシャルページから参照できる仕様となるわけです。

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4Gamer:
 なるほど。準備はしているけれども,先ほどのデータベース問題との関係で,安易に進めるわけにも行かないという状態なわけですか。
 ところでFEZに限らず,対人をメインに据えたゲームのコミュニティは,いざこざが起こりがちという話を聞きます。FEZのSNSではどうでしょう。

和賀氏:
 SNSはゲーム内のキャラクターと紐づいていますので,皆さん責任を持った発言をされています。ただ,公式サイトの掲示板は匿名性が高いので荒れ気味ですね……。
 当社に対する意見の表れと捉えていますので,一方的に削除するようなことはしませんが,規約に抵触するような発言が含まれている場合は,やむなく削除する場合もあります。

4Gamer:
 公式掲示板については,現状やや問題があるという認識なわけですね。

和賀氏:
 はい。単純な言い争いなどはそれほど危惧していないのですが,プレイヤーが提案したイベントの構想や雑談などに,水をかけるようなコメントがついてしまう状況が実際に発生しています。そういった雰囲気をなくそうと検討しているところです。


プレイヤースキル向上を掲げモチベーションを高めるバンクェット大会



4Gamer:
 さてGamepot Festaで決勝大会をやるなど,バンクェットに力を入れてらっしゃいますよね。

和賀氏:
 FEZはゲームの性質上,よくも悪くもやり込み要素が薄くなっています。そこで日々皆さんにプレイヤースキルを磨いてもらい,バンクェットなどの大会イベントを通じ競ってもらうことでモチベーションを維持してもらおうと考えています。

4Gamer:
 その中で,例えば皆から憧れられるようなトッププレイヤーを生み出したいといったような狙いはありますか。

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Gamepot Festaでのバンクェット決勝大会
和賀氏:
 ないわけではないのですが,個人戦ではなくチーム戦ですから,むしろバンクェットという大会の存在に価値を持たせたいですね。現状,やはり問題も発生していますので,次回以降はまた少し形を変えてより多くの人に参加していただけるコンテンツにしていきたいと考えています。
 今年優勝したチームは,非常に優れたプレイヤースキルを駆使してオフライン決勝では1試合も落とさずに優勝したんですよね。ゲームポットとしても彼らのゲーム内でのプレイをムービーとして公開するなどして,ほかのプレイヤーが参考にしたり,モチベーションを保つ糧にできるようにしたいですね。

4Gamer:
 先日のGamepot Festaは,最近見たオンラインゲームの国内大会ではトップクラスの盛り上がりだったように個人的に感じました。応援している観客も多くて,ここまで盛り上がるのはあまりないなあ,と。

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和賀氏:
 試合の内容が面白かったですしね。FEZは的確な判断力が重要で,プレイヤースキルの差が目に見えて出るようなゲームではないはずでした。ところが今回決勝に進出したチームは,明らかにほかのチームとプレイヤースキルが違うんですよ。

藤本氏:
 凄い微妙なところを回避したり(笑)。

和賀氏:
 絶妙なタイミングでコンボをつなげたり,連携で確実に動きを合わせたりもしてますしね。

李氏:
 優勝チームをはじめとしたリーダーの方々の指示や動きを直に見ると,凄いなあと思いますよね。

4Gamer:
 なるほど。今後,2009年以降も同様の形でバンクェットを盛り上げていくのでしょうか。

和賀氏:
 今後,Gamepot Festaがどうなっていくかは未定ですが,何かしらの形で同じような大会は行う予定です。今年はワールドごとに代表を選出しましたが,それだけでなく地域/国単位,あるいはそうした区分に捉われない7人がチームを組むといった複数のカテゴリーがあるような大会にしていきたいとも考えています。

4Gamer:
 それでは2009年の展開を踏まえて,FEZのプレイヤーと4Gamerの読者にメッセージをお願いします。

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和賀氏:
 ゲームポットとしては,まずwaiting問題をはじめとするプレイ環境の改善に努めます。プレイヤーの意見を直に受け取る立場ですから,それをきちんとフェニックスソフトに伝えるためにアンケートを実施したり,あるいはデザインコンテストなどを企画して,プレイヤーの望んでいるものをきちんとゲーム内に取り込めたりできるような企画を進めていきます。
 またバンクェット大会は確かに盛り上がりましたが,少々ハードルが高くなってしまった感があります。なるべく多くの方が楽しめるようなイベントをできるよう心がけていきます。

藤本氏:
 2008年は,どちらかというと新規プレイヤー向けのコンテンツ開発の比重が高かったように思います。2009年は新クラス実装をはじめ,既存プレイヤーの方にも楽しんでいただけるコンテンツを提供していきたいと考えています。

李氏:
 今年1年は,どちらかというと次の展開への土台作りだったと考えております。今後も3社で協力し,またスクウェア・エニックスとしては,弊社でしかできないことなどを中心に,周辺展開等に力をいれていきたいと思います。

小山氏:
 ファンタジーアースが生まれて,約3年が経とうとしています。まだまだ展開の余地が残っていますので,積極的にプレイヤーを受け入れていきたいと思います。今後のFEZにご期待ください。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。


 実は運営移管後,スクウェア・エニックスが4GamerにおけるFEZのインタビューに登場するのは今回が初めてとなる。公式サイトや起動画面などに控えめに表示されるロゴやコピーライトを見て,今ではどこまで関与しているのだろうかと思っていた矢先に,2008年10月にスクウェア・エニックス メンバーズでFEZのチャネリングが始まり,新規にパッケージも販売されるなど,何が起きているのか疑問に思った読者も少なからずいるだろう。このインタビューで解答を得ていただければ幸いである。
 また,今回の内容からは,運営/開発に携わる三社がFEZの抱えている問題──すなわちゲームそのものが初心者を阻害しがちである点,データベース容量に起因するwaiting問題,そして荒れてしまいがちな公式掲示板など──をきちんと受け止め,改善に向けて試行錯誤している段階であることも明確になった。順次実装されるであろう新クラス/新スキルとも,2009年におけるFEZのさらなる飛躍に期待したい。


  • 関連タイトル:

    ファンタジーアース ゼロ

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