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10周年を迎えた「FEZ」。2017年のアップデート予定やこれまでの振り返りなど,さまざまな話題が飛び出したキーマンインタビューをお届けしよう
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印刷2017/01/28 00:00

インタビュー

10周年を迎えた「FEZ」。2017年のアップデート予定やこれまでの振り返りなど,さまざまな話題が飛び出したキーマンインタビューをお届けしよう

 スクウェア・エニックスのオンラインアクションゲーム「ファンタジーアース ゼロ」(以下,FEZ)が,2016年12月に10周年を迎えた。

 MMORPG全盛期に「50対50のPvP」「プレイヤースキル重視」「歩兵として戦うだけでなく,建築や召喚で貢献できるバトルシステム」を提唱したFEZ。2度の運営移管を乗り越えて,10周年を迎え,これからの10年をどのように切り回していくのだろうか。
 これまでの10年とこれからのアップデート,これまでの振り返り,そしてリアル交流イベント「FEZコン」の真相など,さまざまなテーマに関して,このタイミングで本作の前プロデューサーのリー・ユノ氏,ディレクターの竹添佳博氏,GMの内山スグル氏,に話を聞いてきたので,お届けしよう。

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「ファンタジーアース ゼロ」公式サイト



10年愛された理由は「オンリーワンのルールと骨太なゲーム性」


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。2016年12月に10周年を迎えたFEZですが,この10年間でオンラインゲームのトレンドは移り変わっていると思います。その中で,FEZがプレイヤーに愛され続けてきた理由は,どういった部分にあると思いますか?

GMの内山スグル氏
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内山スグル氏(以下,内山氏):
 やはり50人対50人の大規模戦争で,初心者とベテランが混じってもバランスよく遊べるところではないでしょうか。10年前だと,長い時間をかけて強力なアイテムを手に入れるMMORPGや,少人数の上級者が固まって常勝するようなPvPが主流でした。
 しかしFEZでは,あくまで自分のプレイスキルが重要で,立ち回り次第では初心者が玄人を倒せますし,戦闘が苦手でも建築や召喚獣で貢献することができます。また,戦いに参加する人数が多いため,毎回状況に揺らぎが発生し,特定の人が勝ち続けるのも容易ではないあたりもポイントでしょう。

リー・ユノ氏(以下,リー氏):
 見た目は可愛いけれど,ゲームとしては骨太だからというところもあるでしょうね。もともとは月額制からスタートしたタイトルですが,GMOゲームポットさんに運営移管したときに,しっかりバランスを取っていただいたうえで,基本プレイを無料化できたことも大きかったと思います。

竹添佳博氏(以下,竹添氏):
 “課金額=強さ”ではないため,ゲームを一度中断された方も戻りやすいんです。この気楽さも,人気の秘密かもしれませんね。

4Gamer:
 10年前というと,多くのMMORPGで大規模PvPと言えば「勝てば,領地を得て 税金を徴収できる」というゲーム内での実利を追求したスタイルが主流だったと思います。そこに,50人対50人のPvPをメインとしたタイトルを打ち出したところで,注目を集めたのではと,個人的に思うのですが。

内山氏:
 そうですね。当時は毎週金曜日の22:00に集まって戦う……というような,ある種のイベント扱いがほとんどでしたし。一方で,FEZではPvPの醍醐味をいつでも楽しめるところが受けたのかもしれません。

4Gamer:
 以前のインタビューで,皆さんはFEZに長く関わられているとおっしゃっていましたが,その中で思い出深いできごとがあれば教えてください。

竹添氏:
 2008年にボイスが実装されたときは嬉しかったですね。当時,僕はQA(品質管理)を務めていたんですが,「王様がしゃべり出したうえに,自分のキャラクターの声も変えられる!」ということでとても印象深かったです。

リー氏:
 ボイスはのちに課金対象にもなり,売上的にも一つの大きな山になりました。実はこうしたビジネスモデルを採用したのはFEZが初めてらしく,特許を申請しておけば良かったと思いましたよ(笑)。

4Gamer:
 今となっては当たり前のビジネスモデルになってますからね。

前プロデューサーのリー・ユノ氏。現在は育児休業中
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リー氏:
 私が個人的に楽しかったのは,2012年にやった,当時のゲームポットさんとスクウェア・エニックスのスタッフによる対戦ですね(関連記事)。このときの試合では内山を1キルできましたし(笑)。

内山氏:
 スタッフ対戦のときは,僕はゲームポットチームで出場していました。大会に先だって,プレイヤーさんが練習に誘ってくださったんですが……行ってみたら,「バンクェット」(FEZの大会)の歴代優勝者が教官として集まっていて,お叱りを受けながら特訓しました(笑)。

4Gamer:
 それは,豪華というか,もう実力差が大きすぎなのでは(笑)。

リー氏:
 あと,スクウェア・エニックス側のメンバーが大会当日にノロウイルスで倒れてしまったのも思い出深いです。

4Gamer:
 思い出……なんですか(笑)。

リー氏:
 それで急遽参加してくれたのが,弊社の当時の部長だったんですが,片手(ウォリアー)歴3日という状態だったため,クラス編成もすべて変える必要があって,大変でしたね。

内山氏:
 ゲームポット側としては「ヤバイよ! 部長だ。接待プレイする?」というところで混乱しましたが,やはりマジメにやらなければいけないだろうと(笑)。

4Gamer:
 立場としては,緊張しますよねぇ……。

リー氏:
 2016年のアップデートで衝撃的だったのは,ふんどし(「漢の嗜みセット」)の実装ですね。私自身は(2016年の)2月から育児休業中でFEZの運営には関わっていないのですが,真夏に自宅で子供を抱えながら「つ,ついに……」と思ったのはよく覚えてます。

内山氏:
 会議のときに「ふんどし以上に,お客様から受け入れられる装備案があったら出してくれ」と,強行突破しました(笑)。一部のお客様からは「どこがファンタジーなんだ!」というお叱りをいただきましたが,それでも反応はとても良かったんです。武器がバナナになっているのは,ふんどしを入れるなら,夏の時期しかないだろう……ということで,時間のない中で試行錯誤した結果でした。でも,今後もこうした面白い装備をたまに入れていきたいですね。

4Gamer:
 逆に,これまでFEZを運営してきて,辛かったことってありますか?

内山氏:
 遊園地で家族サービス中にサーバーが落ちてしまったことですかね。

4Gamer:
 うわあ……。

内山氏:
 妻から怒られつつ,乗り物からお詫びのコメントを書き込んでいて涙が出てきました。

4Gamer:
 トラブルに備えて常にパソコンを持ち歩いているんですか?

内山氏:
 ええ。ノートパソコンと常に一緒にいる生活が6年間を越えましたね。スノーボードをしているときも,クッションを入れて,ノートパソコンを背負っていますから。

4Gamer:
 オンラインゲームのサーバー運営となると,迅速な対応が重要ですから……なかなか気持ちが休まる時間がなさそうというか。

内山氏:
 でも,私の場合はストレス解消法もFEZを遊ぶことだったりしますから。お客様と比べると,プレイ歴6年じゃまだまだ新参ですけど(笑)。

4Gamer:
 6年って普通に考えれば相当だと思うんですが(笑)。

内山氏:
 あと,自分がまだプレイヤー側でMMORPGを遊んでいたときに,「どんな人が運営をしているんだろう」という興味を抱いたこともあり,できるだけ前に出るようにしていたんです。お客様と関わる中で,良いことも厳しいこともひっくるめて,FEZの楽しさを伝えたいという思いで突っ走ってきました。

リー氏:
 私もいろいろな話が周囲で一人歩きしたりしましたね。とくに「フェンサー」実装時には,いろいろな話が出回りました。

4Gamer:
 「ブレイド」「アサルト」「リリクト」という3つの新クラスが発表されたものの,白紙撤回されてフェンサーが実装されたというものですね。

リー氏:
 一度発表されたものがきちんと実装できないということで,お客様にご迷惑をおかけしてしまいました。理由は調整不足にあるのですが,単に実装を白紙撤回するだけでは済まない事情があったんです。

4Gamer:
 その事情というのは?

リー氏:
 ゲームの寿命的に,いま何らかの新クラスを追加する必要がある,という状態だったということですね。私個人としてはブレイドを支持していましたが,当時のプロデューサーはフェンサーを支持していたので対立してしまい……最終的に「今日はもう実装を決定するから,会議にも出なくてよい」と言われたりと,さまざまなことがありました。

ディレクターの竹添佳博氏
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竹添氏:
 私が辛かったのは,50人対50人の対戦ゲームにおける品質管理ですね。というのも,複数人で同時にスキルを発動するとサーバーが落ちるなど,不具合の発生条件が多岐にわたっていました。ですから,まずは“サーバーを落とす”ことから始めたんです。思いっきり負荷を掛けたり,“パーティを組みながらフィールドから離脱”してみたり,予想外の動作をいろいろ組み合わせて。

4Gamer:
 確かに,合計100人ものプレイヤーが動くわけですから。

竹添氏:
 ええ。かなり試行錯誤しました。また,フェンサーや「セスタス」を調整するうえで,方向性を決めていくのが大変でした。みんなが前線で戦えるようにしつつ,ほかと差別化していかなければならなかったので。

4Gamer:
 PvPメインのゲームですから,クラス間のバランスは重要ですし,差別化となると難しいでしょうね……。ちなみに運営チームとして,実際にFEZをプレイしているんですか?

内山氏:
 ええ。FEZ運営チームは,メンバーみんながプライベートのキャラクターでゲームを遊んでいます。私自身も先ほど話したように,複数のプライベートキャラクターを使っていろいろなやり方で遊ぶようにしています。

4Gamer:
 イベントなどもプライベートキャラクターで参加していたんですか?

内山氏:
 ええ。それでイベントの翌日などは,それぞれがゲーム内で体感した「感覚値」とでもいうべき感想と,サーバーに記録された数値データを突き合わせています。

4Gamer:
 プレイヤー目線で,ということですか。

内山氏:
 FEZは熱いお客様が多いですから,その目線がないと納得していただけません。お問い合わせフォームからいただくご意見の中には,かなり「キツい」言葉で書かれているものもありますが,厳しく熱い,そういうご意見こそ大切にしなければいけないと思っています。

4Gamer:
 イベントでいうと,(2016年)11月22日から実施中(※2017年1月11日で終了)の10周年記念企画のひとつで,サービス初期に「ウォリアー」「スカウト」「ソーサラー」だけが存在した時代を再現した“三職戦争”が開催されましたね。
 これまでのインタビューなどで語られていた「昔のバランスを再現したサーバーを作りたい」という構想が実現化したわけですが,プレイヤーの反応はどうでしたか?

内山氏:
 かなり好評でしたね。この時代はセスタスがいないため,建造物の耐久力を回復する手段がありません。そのため,守備側が互いに声を掛け合ったり,攻撃側は決死の覚悟で建造物に特攻するなど,緊張感溢れるスピーディな展開になったのが印象的です。

竹添氏:
 チャットの量が増えて盛り上がっていましたね。

内山氏:
 大剣などの,カウンターで高火力を出せるといったスキルもありませんから,FEZらしい,皆が攻め込む混戦も多かったです。

竹添氏:
 “三職戦争”は職業だけを制限したものに加えて,2008年7月時点のスキル,パラメーターまで完全再現したバージョンも行いましたが,結果としては,前者のほうが反応は良かったですね。

4Gamer:
 では,“三職戦争”を常設する可能性はあるのでしょうか?

内山氏:
 常設や定期的に開催するかどうかについては,現在検討中です。

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挑戦的なオフラインイベント「FEZコン」開催の真相とは?


4Gamer:
 話は変わりますが,2016年10月にリアルの交流イベント「FEZコン」が行われて話題となりました(関連記事)。なんとも挑戦的な企画だな……と思ったのですが。

内山氏:
 あれは,イベント会社さんが弊社に企画を持ち込んだのが発端なんですよね。もともとはFEZではなく,ほかのコンテンツでリアル交流イベントができないか……というものでした。

4Gamer:
 それがどういった経緯でFEZコンに?

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内山氏:
 持ち込まれた企画が難航する中で,マーケティング部から“もし,FEZでリアル交流イベントをやるなら,どうするのかアイデアを出してくれ”という打診があったんですよ。そこでFEZらしい案をいろいろと提示したところ,それがいつの間にかFEZの企画として通ってしまっていて。

4Gamer:
 でも,まだFEZでやるとは決まっていなかったんですよね?

内山氏:
 ええ。ですが,当時はサーバー統合を行ったタイミングで,派手なコストをかけずに,「こんなことをやっているんだ」と,FEZの名前を知っていただける機会として活用できると考えたんです。

4Gamer:
 ただ,オフ会というならともかく,“コンパ”という名称になると,参加者のハードルが高いですよね……?

内山氏:
 おっしゃるとおりです。ですが,既婚者は参加NGという規約もある中でも参加してくださる方がいて,この方達を,どうおもてなしするかに全力を注ぐことにしたんです。

4Gamer:
 どのようなおもてなしを?

内山氏:
 運営チームと交渉して,過去のイベントで出したレアなシリアルコードを出したんです。それも前日に徹夜して,コピー機が故障するくらい……具体的に言うと2500枚ほど印刷し,とにかくいろいろなシリアルコードを持って帰っていただけるようにしました。

4Gamer:
 参加者100人に対してシリアルコードが2500枚ですか。イベントはスムーズに進行したんですか?

内山氏:
 それが……開場5分前まで女性が来ないので,トークで間を持たせたりと苦労しました。

4Gamer:
 それは,胃が痛くなる……。でも,そういう話なら,女性もちゃんと参加していたわけですね。

内山氏:
 はい。そこからも,会話が弾むだろうかという懸念があったので,「武器の使用率」「マップ毎の勝率」など,普段は外に出さない数値を使ったクイズ大会を開いたところ,皆さん盛り上がってくださいました。

4Gamer:
 やはりFEZプレイヤーだけに,ゲーム中にある共通の話題だと盛り上がりますよね。

内山氏:
 ええ。結局,イベント中にあぶれるような人もいなかったですし,ここで知り合った方々は,今でも連絡を取り合っておられるようです。

4Gamer:
 男女の出会いだけでなく,“FEZ友を探せる”という謳い文句どおりの内容になったと。

内山氏:
 そうですね。さらに,ほとんどの方が2次会に参加されていました。2次会では男女そろった席だけでなく,男性だけの“男性ブロック”もできていましたけど(笑)。それで,男女向かい合わせになっている席の男性が席を外したら,そこにすかさず“男性ブロック”から人員を派遣して,戻ってきた男性はもちろん,“男性ブロック”に来ることになって……「地獄へようこそ」と(笑)。

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4Gamer:
 油断したばっかりに……。ともあれ,参加者も満足のイベントになったわけですね。

内山氏:
 なってくれたと思います。Twitterで熱いレビューを書いてくださった方までいましたし。

4Gamer:
 第2回を実施する予定か,それを検討する可能性はありますか?

内山氏:
 もしやるとすれば,今回のフィードバックを受けて,いろいろなところを改善したうえで開催してみたいですね。今度は,コンパと言うよりも,FEZ友を作る公式オフ会的な集まりを,コンパクトな形でやりたいです。


勝利への目標づけ,そしてスキル調整など,様々なアップデートで次なる10年を目指す


4Gamer:
 2016年までを振り返ってきましたが,2017年のアップデートに関して,お話できることはありますか?

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竹添氏:
 2016年はサーバー統合を行いましたが,勝利することへの目標づけができていなかったのが反省点でした。ですので,2017年はこうした点への取り込みを行っていく予定です。

内山氏:
 発表したアップデートを実現できなかったことも2016年の反省点ですね。2017年は,どんなアップデートがあると嬉しいだろうか……という原点に立ち返り,しっかりとお客様のお声をいただいたうえで調整していきます。

4Gamer:
 以前のインタビューや発表会では,戦争の勝利について新たなモチベーションを加える……というテーマを話されていましたが。

内山氏:
 はい。FEZには,皆が協力して自軍の勝利を目指したり,個人が自分のプレイスキルを磨いたりと,多方面な楽しみ方があります。個人技の競い合いも楽しいですが,そればかりでは50人対50人の戦争というFEZならではの側面が薄くなってしまいかねません。
 そこで,2017年の2月中旬に,特定の週を「国家総力戦」と名付け,“国家単位での勝利を目指す期間”という位置づけで,戦争の勝敗で報酬を出す予定です。個々の報酬でお客様を呼ぶのではなく,集団戦で勝ちを狙う場を定期的に,短いスパンでご用意するというものになります。

4Gamer:
 戦争にフォーカスするとなると,人数の多い国家が有利になってしまいませんか?

内山氏:
 そうした点に関しても想定していまして,2位以下の国が自然と連合したり,裏切ったりしながら戦っていくようなルールを予定しています。具体的には,1位の国に勝利すると,通常よりも多くのポイントがもらえるといった措置を行う予定です。

竹添氏:
 もちろん,スキルについての調整も行っていきます。いきなり適用するのではなく,テストサーバーを用意して実際にプレイされた声を集めて調整していく予定です。
 一方で,昨年にテストを行った「レデュースエンチャント」の実装は延期することになりました。

4Gamer:
 延期の理由を教えてください。

内山氏:
 これは,すでに実装されている「デバフ軽減のエンチャント」が使われない要因として,“デバフを軽減する効果を持ちつつ,同時に多数装着できない”というものでした。ただ,効果が強すぎるとバランスの問題になり,弱すぎると使われない,というジレンマがあったんです。

竹添氏:
 デバフをかける側としては,今までどおりの立ち回りができなくなるわけで,反対意見も少なからずありました。

内山氏:
 戦況を変えるような,多大な影響が出るわけではないのですが,想像やIFの話で討論されることも多くて。それを無理矢理実装してしまうのも良くないので,2017年は先に,ほかのところへと注力することに決めました。

4Gamer:
 分かりました。では最後に,10周年を迎えたFEZで,次の10年を見据えてどういった取り組みを行っていきたいかを,聞かせてください。

竹添氏:
 次の10年ですか。やはり,これからも50人対50人の戦争ゲームであるということを大切にしつつ,スキル調整や戦争へのモチベーションづけをしっかり行っていく,だと思います。

内山氏:
 そうですね。広く受け入れていただいている通常ルールを無理矢理に変えていくのではなく,マップを入れ換えたり,昔のマップを復活させたりといった方法で取り組んでいきたいです。

4Gamer:
 FEZのキモである戦争部分は崩さないように,新しい遊び方を提供しようと。

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内山氏:
 もちろん利便性も積極的に向上させていきたいです。サービス開始から10年が経っており,変えるべきところなのか,そうでないところなのかを判断するのは難しいですが,いろいろな取り組みをしていきたいです。
 個人的には新武器や新クラス,新スキルも実装していくべきだと思っているのですが,まずは土台を定めるためのテストをしっかりしてから,新しいことにチャレンジしたいですね。

竹添氏:
 いきなり調整を適用するのではなく,しっかりと情報を開示していきたいですね。

内山氏:
 導入したけれど不評だったフィーチャーを差し戻すことも検討しなければいけないと思っています。差し戻すと新たな問題が出てくるかもしれませんので,対策を考えつつ取り組んでいければ。

竹添氏:
 逆に,過去に一度は消したけれど,プレイヤーさんに望まれているフィーチャーを復活させてもいきたいですね。

4Gamer:
 ちなみに,2010年末のインタビューでも言及されつつ,未だ実装されていない「温泉」がありますよね?

リー氏:
 私がFEZのプロジェクトに入ったころから存在しているものですね。実はモデルも完成していて,あとは実装を待つばかりなのですが……今のところ実装の予定はないんですよ。

4Gamer:
 もったいない気がしますけど,その理由は?

竹添氏:
 温泉に入ってどうするのか,というゲーム的な部分が現在も決まらない状態なんです。なにがしかのメリットがあってもいいとは思うのですが,それが戦争における強さに直結するものだと,温泉が必須になってしまう。あくまで楽しみの一つとしたいですから。

4Gamer:
 なるほど。なかなか難しいところですね。ネットカフェでの大会も今後続けていかれるのでしょうか。

竹添氏:
 ええ,続けていく予定です。

内山氏:
 地方で大会を開いたときも,参加者の皆さんと一晩中,FEZをプレイしていたりしますからね。そういう時はネットカフェのオープンシートに泊まるので,出張の費用が安すぎて怒られることがあります。

リー氏:
  「ホテルに泊まれるくらいの費用を出してやれ」って,私が役員に言われましたからね。いやいや,予算は取ってますから。ちゃんと(笑)。

内山氏:
 費用は出るんですけれど,皆さんとのFEZ大会が楽しくてネットカフェに泊まってしまうんですよ(笑)。ほかのタイトルだと,ここまでお客様との距離の近い運営もなかなか難しいと思うんです。こうしたFEZならではの文化を崩すことがないようにしたいですね。
 そうして,FEZというタイトルを盛りあげて,しっかり生き残らせていきたいです。10年続いている国産オンラインゲームというのもそうはありませんし,個人的にはこの世で一番面白いゲームだと思っているので,新規の方に魅力を伝えると同時に,いつでも戻ってこられるゲームにしたいと思います。

リー氏:
 そうですね。プレイヤーさんが戻ってこられるような取り組みをしていきたいです。私の立場としては,運営スタッフがしっかり仕事をできるように,復帰後は上との調整をしていけたらと思います。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

「ファンタジーアース ゼロ」公式サイト

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    ファンタジーアース ゼロ

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