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[GDC 2009#10]ゲームの未来を変えるかもしれない革命的技術「OnLive」が,GDC会場で作動中!
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印刷2009/03/26 20:31

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[GDC 2009#10]ゲームの未来を変えるかもしれない革命的技術「OnLive」が,GDC会場で作動中!

画像集#001のサムネイル/[GDC 2009#10]ゲームの未来を変えるかもしれない革命的技術「OnLive」が,GDC会場で作動中!
 2009年1月,AMDがラスベガスで開催されたCES(Consumer Electronic Show)において,「クラウド・コンピューティング」というコンセプトをゲーム流通で実用化しようという計画を発表したのは,以前にもお伝えしたとおり。ゲームのあり方そのものを変革する可能性のある発表だったのだが,さらに具体的に,「2009年内にもクラウド・コンピューティングを実現しちゃいましょう」とGDC会場で旗を振ったのが,「OnLive」(社名/サービス名共通)である。

 OnLiveを簡単に説明すると,ブロードバンドを介したオン・デマンド式のゲームサービスである。ゲームのすべての演算やレンダリングがサーバー側で行われ,それが“ビデオ映像化”されてクライアント機に転送される。
 そのデータと,プレイヤーのゲームコントローラから伝わる情報を一秒間に何往復もやり取りすることで,3DグラフィックスカードのないノートPCやテレビ上であっても,3Dゲームを気軽にプレイできるのである。
 驚いたのは,これがただの発表ではなく,会場で実際にデモが行われていて,誰でも自由に遊べるようになっていたということだ。

転送速度の物理的な障壁のために,サーバーから1000マイル(1600km)の地域に限定されるとのこと。ディスクをドライブに入れたり,ハードウェアにソフトをダウンロードしたりする時代は,終わりを告げることになるのだろうか?
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 OnLiveのサーバーは,現在のところサンフランシスコから70kmほど離れたカリフォルニア州サンホゼ市に設置されており, 720pという解像度で非常にスムースなゲームプレイを実現していた。
 デモ用に用意されていたゲームも,「Crysis Warhead」や「F.E.A.R.2: Project Origin」「Prince of Persia」,そして「Company of Heroes: Opposing Front」や「Mirror's Edge」など,グラフィックスに比重が置かれたタイトルが多かったのだが,それらがビジネス向けのDell製ノートPCやMac Book Airなどで難なく稼働していた。
 しかもクライアント側で必要なのは,1MBほどのブラウザ・プラグインをダウンロードすることだけ。これで,420pもしくは720pの解像度のあるモニターに,ゲームを出力できるようになるのだ。

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 テレビ向けには,「OnLive Micro Device」という,ルータほどの大きさのデバイスを利用するだけでいい。理論的には,携帯用の小型デバイスにもゲームを配信することは可能らしいが,解像度やサポートの関係で,当初はPC(Mac)とテレビを対象にしたサービスを行うとのことである。
 ちなみに,OnLive Micro Deviceのハードウェアを開発したリードエンジニアは,Shinya Suzuki氏という日本人技術者だ。同氏は,「OnLive Micro Deviceは,開発コストが低いので無料配布することになるかもしれない」とコメント。また,これとは別にワイヤレスのゲームコントローラも試作されていた。

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OnLiveのスクリーン。Friendsでは,友人がどんなゲームで遊んでいるのかをリアルタイムで見られる。BragClipsで自分のプレイ録画を公開することも可能
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 OnLiveという会社は,もともとビデオ・オン・デマンドサービス用のソフトウェア圧縮/リアルタイム解凍技術に,7年ほど前から携わってきた。しかしここ数年のニーズの変化に応えるべく,ゲームのオン・デマンドサービスに方向転換したという。
 実際,テレビに目を近づけると,Adobe Photoshopの加工処理時に現れるような“滲み”を確認できたが,少し離れた位置でプレイするにはまったく支障はない。ただ,60fpsで作動していると説明されたが,実際にはそれよりは遅く感じられた(カクカクするようなことはなかった)。

Dellのビジネス用ノートPCで,「Crysis Warhead」をプレイ中
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 さて,このサービスを利用するにあたってハードルとなるのは,やはりレイテンシの問題。利用可能なユーザーは,サーバー設置箇所から1000マイル(約1600km)の地域に限定することになるそうだ。
 そしてこのエリア内で,回線速度が1.5Mbps程度なら420pの解像度,5Mbps以上なら720pでプレイできるオプションが増えるとのこと。つまりOnLiveは,北米市場だけを対象としたサービスとして計画されているため,残念ながら日本から利用することはできないのだ。
 とはいえ,マーケティング担当者は「ニーズがあれば日本でも運用したい」と話してくれた。

 ハードウェアに依存せず,モニタさえあればプレイできるというのは,ゲーム業界がこれまで経験したことのない新しい流通形態である。
 ゲームプログラムのすべてがサーバー側で処理されるということは,違法コピーやチート問題の解消も期待できるため,実際にElectronic Arts,THQ,Rockstar Games,Ubisoft,Epic Games,そしてWB Interactiveといった欧米の大手パブリッシャが,OnLiveとの提携に名乗りを上げている。ここにActivision Blizzardの名前は含まれていないが,サービスの運営にあたっては十分な面々の協力を取り付けているといえるだろう。

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 このサービス,夏ごろにはβテストが開始され,2009年内には本格的なサービスも始まる予定。ビジネスモデルは現在のところ,OnLiveに接続するための月額固定料金を徴収するというものが想定されているそうだが,ここにメーカーからのソフト購入費なり,利用費なりが上乗せされてくるはず。
 これらすべてが,消費者にとって魅力的な価格帯に抑えられるのであれば,ゲームビジネスの新時代が幕開けするといっても過言ではない。


現在(3/23)までにOnLiveとパートナーシップを結んだメーカー

2D Boy
Atari
Codemasters
Eidos Interactive
Electronic Arts
Epic Games
Rockstar Games
THQ
Warner Bros. Interactive


ローンチ時にサービス予定のゲームタイトル

Bioshock
Burnout: Paradise
Crysis Warhead
F.E.A.R.2: Project Origin
Frontline: Fuels of War
GRiD
LEGO Batman
Major League Baseball: 2K9
Mirror's Edge
Prince of Persia
The Chronicle of Riddick: Assault of Dark Athena
The Wheelman
Tom Clancy's H.A.W.X
Tomb Raider: Underground
Unreal Tournament 3
World of Goo
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