連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第254回「想像を超えられることの悔しさと嬉しさ」
高をくくるというか,こんなもんだろってこっちが勝手に思っていたのに,それを軽く超える面白さだった時の敗北感たるや。もちろんゲイムの話なんだけど,エンターテイメント全般にも当てはまることかもしれないわね。
誰が言ったのかは分からないけど,プロレスにはこういう言葉があるの。「プロレスは観客との戦いだ」って。対戦相手はもちろんいるわよ。もちろん勝負だから対戦相手には勝たなきゃいけない。でも,プロレスは変態性のある見世物だから,ただ勝つだけじゃ許してもらえないのよ。見ている人にどれだけ満足感を与えられるか。それが大事。勝つことっていうのは,そんな顧客満足度の一部でしかないわけ。なんとややこしいことか。でも,それはゲイムでもなんでも,エンターテイメントであれば当然のことなのよね。顧客との戦い。
この連載って週に一度の更新だから,原稿を書くタイミングっていうのがある程度,決まっているのね。で,今回は日本シリーズも終わったことだし,買ったまま遊んでいなかったPlayStation 3版パワプロ2013の原稿でも書こうかと思って,軽い気持ちで遊び始めたのね。それが先週の土曜日のこと。
時と場合によって違うんだけど,原稿の締め切りはだいたい月曜日。今までのシリーズだと,サクセスは2時間くらいで1選手ができるから,いくつか選手を作ってからゲイムの感想を書いてやろう,と。そう思っていたわけですよ。日曜日は名古屋で試合があったから遊べないとしても,土曜日の半日あれば,まあ差し当たってのものは書けるだろう,と。甘かったね。面白いんだコレ。
細かいゲイム内容については後述するとして,たった半日でヤった気になれるほど甘くなかったわ,パワプロ2013。ケツ論だけ言ってしまうと,めちゃくちゃ面白い。今までのシリーズとは全然違うわ。KONAMIとの戦いで言えば,完全にKONAMI勝利。なぜもっと早く遊び始めなかったんだ,と軽く悔いるぐらい面白い。半日のプレイ時間で楽しんだ分しか,この連載で伝えられないのが口惜しいわ。ちなみに,この原稿を書いているのは火曜日だけど。
「パワプロ」シリーズの売りって,ファンタジーだと思うの。パワプロって,決してリアルなビジュアルではないじゃない。だからこそ嘘みたいな,文字通りゲイムのような展開が許されるわけで。それこそがパワプロの強みよね。私は,同じくKONAMIから出ている「プロ野球スピリッツ」(以下,プロスピ)シリーズは総合格闘技みたいなもんで,パワプロシリーズはプロレスだと思っているの。
初期のパワプロは,二頭身キャラにせざるを得なかった部分があると私は推測していて,選手をリアルに再現できるだけの表現力が当時のゲイム環境にはなかったんじゃないかと思っているの。それだったらいっそ,選手の見た目をリアルとは程遠い二頭身にして,キャラのかわいげを出した。
パワプロの顔である育成ミニゲイム,サクセスがバッチリハマったのも,二頭身キャラだったからって点があると思う。それと同時に,それまでの野球ゲイムとは違って,野球のだいご味である投手と打者との駆け引きを実現させた。結果,可愛げあるキャラクターと駆け引きの面白さがバッチリハマって,パワプロは野球ゲイムの頂点に立った……こう思っていたの。
でも,最近ではゲイムの表現力が上がって,プロスピシリーズがリアルな野球をゲイムとして提供するようになった。これは,昔のゲイム環境ではできなかったことよね。
野球というスポーツをリアルにゲイム化しているのがプロスピなら,野球というスポーツを通して人生やストーリーを描いているのがパワプロ。戦いをスポーツ化したものが総合格闘技なら,戦いを通して人間関係や人生を描くのがプロレス。やはりちょっと似てると思うのよ。興味が無い人から見れば,その違いは大して重要ではないという点も含めて。
もちろん,どっちが優れているってわけじゃないんだけど,見る側やプレイする側からすると,その違いはけっこう大きいわけで。ま,今回の趣旨とは違うんでここは掘り下げないけど,プロスピとパワプロでは,楽しさのアプローチが違いますよってことだけ覚えておいてもらえるとこれ幸い。
そもそも私,サクセスって,面白いんだけど基本的に不毛なものだと思っているのね。凄くいい選手ができたら嬉しい。けど,それだけ。まあ,それを言い出したらゲイムという存在自体が不毛ではあるんだけど,それにしてもサクセスでいい選手を作るのって自己満足の極みなわけ。ところがパワプロ2013では,その不毛さの行き先ができたのよ。それがパワチャレ。
前述の通り,サクセスで作ったチームによるオンラインゲイムなんだけど,これがもう楽しいのなんの。そもそも今回のサクセスは,ずるいの。今までのパワプロシリーズのキャラがカード化されていて,プレイヤーがそのカードをサクセスに組み込むことでイベントをある程度コントロールできる仕様になっているのね。
そうは言ってもそこは“運と実力のサクセス”だから,いい選手ができる時もありゃ,そうでない時もある。それでいて今回は1時間もかけずに1選手ができちゃうから,ついつい何度もプレイしちゃうわけね。
まとめると,カードを集める→サクセスでいい選手を作れる→パワチャレでいい成績を残せる→新たなカードが手に入る→サクセスでさらに有利に……というサイクルが生まれているの。
簡単に言ってしまうと,要はサクセスに明確な目的ができたわけ。頑張れば頑張るほどいいチームができていく。パワチャレの試合はオートだから,腕前は関係ない。しかし,サクセスではうまいほうがいい選手ができやすい。でも,ヘタでも運が良ければいい選手ができることがある。だから,どんどんサクセスをプレイしたくなる。
イヤ,本当にいいサイクルを生み出しおったんですよパワプロ2013は。オンラインゲイムならではの人参のぶら下げ方も,うまいったらありゃしない。「奪三振数」とか,今週だと「ホームラン数」とか,週変わりでお題が設定されて,一定数をクリアすることによってご褒美がもらえたりするわけ。ホント,もっと早くからプレイしなかった自分が腹立たしいわ。もしちょっとでも気になってる人がいるんだったら,早目にプレイしたほうがいいわよ。
ちなみに,私のチームは火曜日の今現在で内野手6人,投手4人を育成完了。これだとランクはDで,まだまだ先は長いわ。早く選手を揃えたほうが有利だからね。
そんなわけで,プロ野球好きもそうなんだけど,むしろ野球ゲイム,もっと言うと育成シミュレーションゲイム好きにオススメかしらね。ゲイムとして面白い。ヘタすると,これ以外のモードでは遊ばないかもしれない。それはそれでどうなんだ? と思ってしまう部分もあるけど,それくらい面白いわよ。
余談だけど,パワプロはKONAMIが別で配信してるオンライン専用ソーシャルゲイム「パワプロスタジアム」(PlayStation 3 / PlayStation Vita)との連動も行っていて,パワプロスタジアムのチュートリアルが終わったらパワプロ2013のサクセスで使える選手のレアカードがもらえるの。私もダウンロードしちゃったわ。パワプロスタジアムは無料だし,ぜひこちらもプレイしてみるといいわ。
「想像を超えられることの悔しさと嬉しさ」。やっぱり,ゲイムって,これがあるからやめられないのよね。今回ははからずも,パワプロ2013に大切なものを教えてもらった気がするわ。予想に沿う面白さ,予想しなかった面白さ。ゲイムっていうかエンターテイメントには,そういう楽しさがある。
私も人の前に出る職業である以上,予想内と予想外をうまく操って,観客との戦いに臨んでいきたいなあと,心から思った週末でした。また来週。
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「実況パワフルプロ野球2013」
PlayStation Vita:「サカつく プロサッカークラブをつくろう!」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「The Wonderful 101」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「モンスターハンター4」
Xbox 360:「Minecraft:Xbox 360 Edition」
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- 関連タイトル:
実況パワフルプロ野球2013
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パワプロスタジアム
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日本野球機構承認 NPB BIS プロ野球公式記録使用 プロ野球フランチャイズ球場公認 ゲーム内に再現された球場内看板は、原則として2012年プロ野球ペナントシーズン中のデータを基に制作しています。 (C)Konami Digital Entertainment
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