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[E3 2008#05]サイコ軍曹,かく戦えり。「Crysis Warhead」は2008年内の発売を目指して開発順調
偵察衛星がフィリピン海に浮かぶ孤島,リンシャン島における北朝鮮軍の不審な動きを察知する。それと同時に,現地で発掘調査をしていたローゼンタール博士らIAFリサーチチームが連絡を絶つ。NASA(アメリカ航空宇宙局)からも島での電波異常を報告されていた陸軍は,偵察のため特殊部隊「ラプターチーム」の派遣を決定し,バーンズ少佐以下5名の隊員が島に降下する。KPA(北朝鮮人民軍)は大規模な部隊を展開させていたが,ラプターチームの隊員であるノーマッド中尉は敵地深くに侵入し,IAFが人類誕生以前の遺物を掘り当てたこと,そして現在,KPAが得体の知れない相手と交戦中であることを報告した。事態を重く見たアメリカ軍は全面攻勢に出ることを決定し,かくして,リンシャン島を舞台にアメリカ軍とKPA,そして人智を越えた謎の存在の,三つ巴になった戦いが幕を開けるのである。
E3 Business and Media SummitやドイツのGames ConventionなどでBest PC Gameアワードを受賞したが,事前の予想に比べて販売実績は下回ったようであり,リリース後にCrytekのCEOであるCevat Yerli氏が「(不正コピーが横行しているため)PC専用ゲームは難しい」と発言したと報道されるなど,PCゲーム市場の規模縮小の象徴として取り上げられる事が多かった。Cevat氏の言うように,プレイするためにハイエンドPCが必要だったことや,不正コピー問題が売り上げに影響したのかどうかはよく分からないが,いずれにせよPCゲーマーにとって,「コンシューマ機では不可能なゲームをプレイする」というお楽しみをまた一つ失ってしまったような気がして残念なのは間違いないだろう(ただし,同氏の発言は必ずしも「もうPC専用ゲームを作らない」というわけではなく,収益を考えるとマルチプラットフォームを視野に入れざるを得ないといったニュアンスであり,依然としてPCは最も優秀なプラットフォームだとはしている)。
そんなわけで,欧州時間の6月5日に続編Crysis Warhead(以下,Warhead)がアナウンスされたときには,かなり“突然”という印象が強かったのも事実。もっとも,もともと三部作が予定されていたCrysisの開発中から続編の話はあれこれ取りざたされており,“Crysis War”とか“Crysis Annihilations”とかいった,それらしい名前が飛び交っていた。
制作はCrytekのハンガリースタジオが担当しており,現在のところ2008年秋の発売が予定されている。プレイ時間は8〜10時間程度が見込まれており,Crysisに比べると短めだが,その分,北米での販売予定価格は29.99ドルに抑えられている。また,Warheadは拡張パックではなく,スタンドアロンでの起動が可能だ。
Warheadでは,ラプターチームの一人である“サイコ”ことサイクス軍曹を主人公としたアナザーストーリーが描かれる。すなわち,Crysisの主人公だったノーマッド中尉がジャングルで戦ったり,エイリアンの宇宙船に潜り込んだりしている間,サイコは何をしていたのかという話だ。Crysisのエンディングがいささか中途半端だったため,その後日談が描かれるのかと思っていたが,そうではないようだ。空母の上でノーマッドを出迎えたサイコが自慢げに見せる生け捕りされたエイリアン。あのエイリアンをどうやって捕まえたのか。あるいは,ノーマッドを助けに埠頭に向かう途中で何があったのかなど,前作のプレイヤーなら興味が尽きないはずだ。
そのためWarheadでは,全編にわたってテンションを維持しつつプレイを進められることが開発の眼目の一つになっている。Crysisの後半はもっぱら物語の謎を解きつつクライマックスに向かう展開に充てられており,自由度の高さとはあまり噛み合わない。しかるべき場所でしかるべき話を聞かないとストーリーが破綻してしまうからだ。だが,Warheadではすでにストーリーの全体像がはっきりしているため(あくまでCrysisをプレイしていればの話だが),そうした制限はなく,今回はシューター部分のアクションをひたすら追求してもかまわないという判断だろう。
サイコのナノスーツはノーマッドのそれより高性能で,ジャンプ力や破壊力が格段に向上している。また,高性能ハンドガンやグレネードランチャーなど「そんなの持っているなら,なぜ前作で使わなかったのだ?」と問い詰めたくなるような新兵器が使用可能になる。試してみたところ,連発式のグレネードランチャーは,装弾にやたらと時間がかかるものの破壊力は抜群。軽車両なら軽くしとめられる。両手持ちの高性能ハンドガンは単位時間内に送り込める弾薬数がめちゃくちゃ多いため,対人戦闘で威力を発揮するだろう。ちなみに高性能ハンドガンはライフル扱いのため,SCARやFY71とのリプレースになる。長物武器を最大2種類しか持てないという制限に変化はない。
ナノスーツの「ストレングス」や「アーマー」といった基本機能はCrysisと同じだが,詳細は教えてもらえなかったものの,新機能がゲームの途中から追加される可能性もあるようだ。
WarheadにはCrysisと同じCryENGINE 2が使用されているが,グローバルアンビエントライトの実装や,より戦略的になったAIなど,さまざまな改良が施されている。パフォーマンスも見直され,標準的なスペックのPCでも(グラフィックス設定は落とす必要があるだろうが)プレイが可能とのことだ。デモ版をプレイして,「こりゃ重いや」とあきらめた人も多いのではないかという気がするので,これは正しい判断だろう。
登場する敵の数も増え,それぞれがさらに手強くなっているとのこと。掲載したプレイシーンの直撮りムービーを見てもお分かりのように,実際にプレイした感じでも実に派手になっている。武器の威力も向上し,破壊可能なオブジェクトも増え,アクション,アクション,アクション,そして爆発また爆発という感じで遊んでいて気持ちがいい。
それ以外の情報については割と小出しにするという方針になったようで,今回聞けたのはそれくらい。マルチプレイについては,現在の「Power Struggle」に似た感じだが,あれほど難しくないモードが追加されるというウワサもあるが,詳細は「夏以降」ということだった。発売日も今のところ「2008年のホリデーシーズン」としか分かっていない。
デモプレイを見る限り開発はかなり順調そうなので,日本全国のナノスーツ野郎は続報を期待していよう(含筆者)。
※7月15日18:00頃,販売予定価格に誤りがありましたので,修正しました。
- 関連タイトル:
クライシス ウォーヘッド 完全日本語版
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