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イシイジロウ氏ら第一線で活躍するクリエイターがアドベンチャーゲームを語り尽くす!――「弟切草」「かまいたちの夜」から始まった僕らのアドベンチャーゲーム開発史(後編)
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印刷2013/11/11 00:00

インタビュー

イシイジロウ氏ら第一線で活躍するクリエイターがアドベンチャーゲームを語り尽くす!――「弟切草」「かまいたちの夜」から始まった僕らのアドベンチャーゲーム開発史(後編)

イシイ氏がチュンソフトに持ち込んだ「幻の企画」


イシイ氏:
 そういえば,これ,打越さんに見せたことありますっけ。僕がチュンソフトに持ち込んだ企画書なんですけど。

打越氏:
 見てないですね。

イシイ氏がチュンソフトに持ち込んだ「THE END OF THE WORLD」の企画書
画像集 No.046のサムネイル画像 / イシイジロウ氏ら第一線で活躍するクリエイターがアドベンチャーゲームを語り尽くす!――「弟切草」「かまいたちの夜」から始まった僕らのアドベンチャーゲーム開発史(後編)

一同:
 おおおっ。

4Gamer:
 これは一体……?

イシイ氏:
 これは,1997年に僕がチュンソフトに持ち込んだ企画で,「THE END OF THE WORLD」というものなんです。世界が終わる7日間前に,主人公が自分の人生を見つめるために故郷に帰るって話で。電車に乗りながら,ヒロインから送られてきた手紙を読んでいって,そこに選択肢がある,みたいな企画でした。
 全部で3人のヒロインがいるんですけど,最初の2人めまでは,クリアしても悲劇で終わっちゃうんだけど,実は最後の3人めのヒロインが,主人公と彼女たちがくっつくのを邪魔している――そういうシナリオで。

下倉氏:
 なるほど。

4Gamer:
 なんか,凄く面白そうなんですけど(笑)。

画像集 No.065のサムネイル画像 / イシイジロウ氏ら第一線で活躍するクリエイターがアドベンチャーゲームを語り尽くす!――「弟切草」「かまいたちの夜」から始まった僕らのアドベンチャーゲーム開発史(後編)
イシイ氏:
 今となっては,そういう話ももうベタなものでしかないんだけど,あの頃(1997年),こういうゲームを作りたい!って思っていて。この企画には,今日の話に出てきた,メタ的な仕掛けとか,入口に出口があるって部分だとかが,ほとんど盛り込まれているんです。
 で,最終的には,悲劇を起こさせないために,物語そのものを止めてしまうってオチなんですよ。物語中で語られている「世界が終わる」っていうのは,実は「あなたが求めてるから世界が終わるんだ」ってゲーム中で言われて。だから,「世界を終わらせないためには,このゲームを終わらせてくれ。セーブデータさえ消せば,ヒロイン達は死ぬこともない。ただ,あなたとの美しい思い出は全部捨てることになるけど」という。世界の終わりそのものがが無くなるっていう物語構成。1997年にね,こんなことを考えていたんですよ。

4Gamer:
 興味深いです。

イシイ氏:
 これ,凄くやりたくて。1997年では通らなかったけど,2000年にチュンソフトが「やりたい」って話になって。その頃は,携帯電話が普及してた頃で,手紙の代わりに携帯メールを使うってアイデアに直して,いろいろ頑張っていたんです。

林氏:
 へえー!

イシイ氏:
 まぁ結果的に出来なくて,打越さんとかに先にやられちゃうんですけど。後日,打越さんに「僕もこんなことを考えていたんです」って話をしたら,「はあ,そうですか」みたいな素っ気ない反応で。僕はとても傷ついた(笑)。

一同:
 ええーっ(笑)。

打越氏:
 いやいやいやいや。

イシイ氏:
 「あ,あまり興味ないのかな。すいませんでした」みたいな。

打越氏:
 そんなことないですって(苦笑)。

画像集 No.063のサムネイル画像 / イシイジロウ氏ら第一線で活躍するクリエイターがアドベンチャーゲームを語り尽くす!――「弟切草」「かまいたちの夜」から始まった僕らのアドベンチャーゲーム開発史(後編)

4Gamer:
 なんか,企画書を見てるだけでも情景が浮かんでくるんですけど,プレイヤーと主人公の一体感みたいなものを求めるうえで,やっぱり舞台を現代にしたかったとか,そういう考え方はあったんですか?

イシイ氏:
 ああ,それはかなりありました。一体感というか現実感。というのも,これは1999年に出したかったんですね。なんでかっていうと,「ノストラダムスの大予言」ってあったじゃないですか。だから,世界の終わりが1999年の7月に来るっていうところにつなげたかったんです。

中澤氏:
 ああ,タイムリーですね。

イシイ氏:
 僕らの世代って,世界が終わる終わるって言われ続けていたので,世界の終わりがきましたよと。そして「さよなら銀河鉄道999」みたいに,ボロボロになった東京駅から発車する最後の列車に乗って,自分の故郷に向かっていく。そこにあった思い出はなんなのかを調べていくっていうね。そんなギャルゲーを作りたくて。

4Gamer:
 いやぁ,面白そうです。

イシイ氏:
 まぁでも,これを作っていたら「金八先生」も「428」もなかっただろうから,どっちが良かったのかはわからないけどね(苦笑)。

4Gamer:
 というか,アドベンチャーゲームの企画書って,ここまで詳しい設定とかフローチャートを作るものなんですか?

打越氏:
 作る場合もありますし,作らない場合もあります。僕は適当ですね。

一同:
 (笑)。

打越氏:
 だって,どうせ作っていくうちに変わっちゃうんで。

中澤氏:
 僕も最初はざっくりしたものだけですね。シナリオは大体こんな感じで,エンディングをこのぐらい用意します――みたいな。

イシイ氏:
 ああでも,これ(THE END OF THE WORLD)は企画書とは書いてあるけど,ほとんどシナリオのプロットの段階になっているものだから,またちょっと特殊かもしれません。

下倉氏:
 いやぁ,しかし。この企画書の90年代って感じが……(笑)。

4Gamer:
 “匂い”がしますよねぇ。

下倉氏:
 実は僕,今回の座談会にのぞむにあたって,「雫」や「痕」をやり直してみたんですけど,主人公の行動意識が90年代!って感じがして。ああ,こんな時代だったんだなぁと。

イシイ氏:
 あの頃って,「終末感」とか「自分探し感」みたいなものが凄くあったじゃないですか。

下倉氏:
 ありましたねぇ。

イシイ氏:
 僕自身,ときメモやエヴァンゲリオンがはやっていた時代って,もう20代だったので,割と客観的に見られた気がするんですけど,エヴァやときメモには,なんていうか,ドラッグ的な“抜け出せない感覚”みたいなものを凄く感じていて。
 あの頃って,地下鉄サリン事件や淡路阪神大震災みたいな出来事があって,世の中的にも“世紀末(滅亡)”みたいな空気があった時代じゃないですか。

4Gamer:
 「ノストラダムスの大予言」もその一つですよね。

イシイ氏:
 そうそう。そうした中で,視聴者を虚構の世界にどっぷりと浸からせながらも,最後は「現実に戻れ!」みたいな話を「エヴァンゲリオン」がやって。その時代的には,そこに納得感もあったんですよ。だから,「THE END OF THE WORLD」もこういうストーリーになっているんですけど。

中澤氏:
 時代性ってやっぱりありますよね。

イシイ氏:
 うん。物語って,そこを抜きにしては作れないでしょう。

4Gamer:
 「THE END OF THE WORLD」もそうですけれど,こういうゲーム特有のシナリオって,どうやって考えるものなんですか?

イシイ氏:
 いや,そういう「分岐ってどうやって作るんですか?」みたいな質問って,他の業界のシナリオライターさんとかからもよくされるんですけど,“分岐とお話が同時に出てくる”んですよね。こういう構造があって,「だからこういうお話になる!」みたいな物がドーンと落ちてくる。アドベンチャーゲームでは,逆にそうじゃないものはボツです。

中澤氏:
 普通に感動的なお話ってだけなら,それは映画とかの方がいいですしね。

イシイ氏:
 そう。別にゲームである必要がない。お話と分岐(構造)が一緒に出て来ないと,なかなか面白い形にはまとまらないんですよ。このへんは,他のジャンルのゲームだってそうなんじゃないかなって思います。

4Gamer:
 うーん,なるほど。

イシイ氏:
 だから,話はまた戻るんですけど,「Ever17」にしろ「428」にしろ,「かまいたちの夜」型のフォーマットから発生した物語というのは,あのフローチャート構造を頭の中でシミュレーションすることで,初めて生まれてきたものだと僕は思っているんですよ。プレイヤーと主人公の一体化の概念だったり,メタ的な仕掛けだったりみたいな発想って,小説や映画からはなかなか出てこないものでしょうし。

林氏:
 そうだと思います。

イシイ氏:
 「小説よりも,テレビよりも,映画よりも,ゲームこそが最も新しい物語を作れる最先端なんじゃないか?」――そう感じたときの,僕の中の盛り上がりはもの凄かったんですよ。もうこれしかない!みたいな(笑)。

一同:
 (笑)。

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まだ誰も登ったことがない山へ


イシイ氏:
 正直言うとさ。僕,最初の頃(1990年頃まで)は「ゲームの物語」について,ちょっとバカにしていたんですよ。やっぱり,映画やアニメ,小説とかと比べると,“一歩落ちる”感覚っていうのがあって。

打越氏:
 ……。

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イシイ氏:
 だから,ゲームって体験としての感覚は凄く面白いんだけど,物語部分に関しては別に優位性はないのかなと。むしろ,お話を「ゲームで邪魔してるし」みたいに,ちょっとネガティブにすら捉えていた時期がありました。

4Gamer:
 なるほど。

イシイ氏:
 だけど,「弟切草」や「かまいたちの夜」が出て,ループって概念や,プレイヤーと主人公の一体化の概念に触れて。「ああ,こんな考え方をしてる人間は,世界の中でゲームクリエイターだけだ!」って感じたんですね。ここは物語を表現する現場の最先端なのではないか?という感覚。90年代後半のあの熱気というか,あの衝撃が,僕がアドベンチャーゲームってものに傾倒した原点なんです。

4Gamer:
 なるほど。そういう“根っこの部分の熱”みたいなものって,クリエイターさんは持っているんですかね。ほかのみなさんも,やっぱりそういう原体験というか,衝撃を受けたことはあったんですか?

イシイ氏:
 僕はそうですけど……皆さんはどうなんでしょう。打越さん?

打越氏:
 はい?

イシイ氏:
 今,寝てましたね!!

一同:
 (爆笑)。

4Gamer:
 もう5時間近くずっと話しっぱなしですから,皆さんお疲れだとは思いますけど……。

打越氏:
 えーと,なんの話でしたっけ?

イシイ氏:
 「ダンガンロンパ」を世界に売らなきゃいけないって話ですよ!

打越氏:
 絶対違うでしょ!

画像集 No.008のサムネイル画像 / イシイジロウ氏ら第一線で活躍するクリエイターがアドベンチャーゲームを語り尽くす!――「弟切草」「かまいたちの夜」から始まった僕らのアドベンチャーゲーム開発史(後編)
林氏:
 いや,あの。僕はやっぱり,「Ever17」を最初にプレイした時は本当に衝撃を受けましたよ。こんなことを考えてる人いるんだって,びっくりして。

打越氏:
 ありがとうございます……。

中澤氏:
 僕も,「弟切草」を初めてプレイした時はパニックを起こしました。「弟切草」のシステムそのものはゲームブックとかにもありましたが,あれも基本的には障害を乗り越えていくものでしかなかったと思うんです。だけど「弟切草」はどんどん話が変わっていって,「なんだこりゃ?」という感覚を受けて。

イシイ氏:
 うんうん。端的に言うなら“感動”したんだよね。「かまいたちの夜」にしても,プレイヤーが手探りで真相に近づいていく独特の感覚や,あの芸術的なゲームバランスとか。ゲームでしか表現し得ない物語が,そこにはあったと思うんです。一時期,頭オカシイんじゃないかってくらい,そういう話で騒いでいた時期が僕にはあって(苦笑)。「これは,ゲームにしかできないんだっ!」って。

下倉氏:
 やっぱり,画面から突然ガっとこっち側に来るみたいな,そういう演出って凄く衝撃があるんですよね。だから,その意味で最近よく考えているのは,「ととの。」もそうだったんですけど,アドベンチャーゲーム(物語)に主人公はいなくてもいいんじゃないかってところなんですよ。「ラブプラス」とかもそっち側に寄っていますし,いろいろ可能性を感じますよね。

中澤氏:
 他の媒体では,物語で主人公無しっていうのは成り立たないけど,ゲームではそれも可能ですからね。

イシイ氏:
 そこはね。僕も,まだまだ可能性がある分野だと思っているんです。商品として売れる売れないとか,あと作るのがもの凄く大変だとか,いろいろと課題は多いんですけれど,「実時間」と「主人公を無くす」ということ自体の可能性って,僕はもの凄く感じていて。

下倉氏:
 そうですよね。

イシイ氏:
 まぁただ,一方で「ラブプラス」が示したように,ちゃんと作ろうとすると,もの凄い物量(作るリソース)を必要とする方向性でもあるじゃないですか。アドベンチャーゲームの市場規模からすると,その辺のビジネスとしての難しさがあって,なかなかやりづらいんです。
 でも,「あなた」と付き合う世界観っていうものをもっと突き詰めれば,物語の新しい形を切り拓けるんじゃないかなって思うんですよね。だから「タイムトラベラーズ」でも,「TTフォン()」ってモードをおまけで付けてみたんですけど。

※本編クリア後に遊べるようになるおまけ。過去につながる電話を使って,ヒロインと親交を深めていく。ゲーム機本体の時間と連動しているのが大きな特徴

下倉氏:
 あれは,よくおまけでこんなことやるな!って思ってましたよ。

イシイ氏:
 ですよねぇ(苦笑)。

下倉氏:
 でも,「あなた」と付き合う世界観って,プレイヤーさん固有の体験が重要になるから,この時間のイベントは一回だけみたいな,そういう作り方にしないといけないじゃないですか。そうなると,あらゆる可能性に対応したイベントを用意しつつも,他はある種の使い捨て(プレイヤーが選ばなかった選択肢は二度と体験できない)になるというか,ならざるを得ない。だからやっぱり,物量がいるんですよね。

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イシイ氏:
 うん。あと,体験って意味でいうと,モニタ越しに手を触れるって言うのを,僕は一時期,凄くやりたかったんですよ。物語のラストに,テレビの“こっち側”に向かって手を付くキャラクターと,それに手を合わせるプレイヤーっていう絵を凄く作りたかった。あの時代の(ブラウン管)テレビって,画面の表面が静電気でフワっとする感じがあったじゃないですか。あの“触る感じ”をゲームに盛り込みたいなって思っていたんですけど,チャンスがなかったなぁ。

下倉氏:
 ああ。僕も,マスターアップの直前で,「このエンディングの絵を,こっちの手を出すんじゃなくて,こっちの手を出した絵にすると,ユーザーのマウスクリックと手をつないでるみたいになるから,ぜひ変えてほしい!」みたいな話をしたことがあります(笑)。でもやっぱり,ゲームって最後は,そういう“手触り”みたいなところに行き着くんですよね。

4Gamer:
 ゲームの外も含めたインタラクティブ性,というんでしょうか。

イシイ氏:
 そう,インタラクティブ。やっぱり,ゲームって“体験”なんですよ。インタラクティブ性だったり,キャラクターとプレイヤーの関係性だったり,そういうものを駆使して,新しい体験を作る――僕らがゲームを作り続けるのも,そこに可能性を感じるからこそなんですよね。

4Gamer:
 しかし,今日のお話を聞いていると,やっぱり,皆さん「ゲームデザイナーなんだな」といいますか。

一同:
 (笑)。

4Gamer:
 いや,シナリオライターっていうと,一般的には「お話を作るだけの人」ってイメージが強いと思うんです。でも,ゲームの仕組みや特性を踏まえたうえで,あるいは踏まえているからこそ「ゲームのシナリオ」なんだなぁと,改めて再認識したというか。

下倉氏:
 なんか,お話を作る人って,「世界観から作っていく人」と「キャラから作る人」,そして「仕掛けから作る人」の3タイプがいるのかなって思うんですけど,ここにいる人達は,仕掛けから考えるタイプですよね。

イシイ氏:
 そうですね。その分類でいうと,奈須きのこさんとかは,僕からすると「TRPG世代」というか。世界観をバーンっと作って,キャラクターを作って,後は自由に遊んでください,みたいな。ゲーム的な物語が作れる人だと思います。この辺は,「ダンガンロンパ」とかも近くて,今の30代後半〜40歳くらいまでのシナリオライターって,TRPG的な作り方だなって感じますね。

下倉氏:
 ウチの虚淵()なんかは,世界観を作るよりストーリーを作る方が得意だから,世界観がガツっとある奈須さんとかとコラボさせてもらうと,凄く良い感じになるんですよね。「Fate/Zero」がそうでしたけど。

※虚淵玄(うろぶちげん):ニトロプラス所属のシナリオライター。ニトロプラス取締役。「Phantom -PHANTOM OF INFERNO-」「鬼哭街」「沙耶の唄」などのシナリオを担当。近年は,アニメのシナリオにも関わるようになっており,「魔法少女まどか☆マギカ」で一躍その名を世に知らしめることになった

4Gamer:
 なるほど。

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イシイ氏:
 ともあれ,今日ここに集まった人達は,まだ誰も登ったことがない山に登って,白骨死体になるのが夢!みたいな。そういう人達ですから。今日はそんな人ならではのお話が出来たんじゃないでしょうか。

一同:
 (爆笑)。

下倉氏:
 白骨死体って(笑)。

イシイ氏:
 「こんなところまで人が来ていたんだ!」「何千年前に!?」みたいな(笑)。

中澤氏:
 アイスマンですか!

イシイ氏:
 でも,みんな,そうなりたいんでしょ?

一同:
 そうですねぇ……。

イシイ氏:
 だからお互い,先を越されないように頑張りましょうということで。まぁ打越さんは,もう「Ever17」でやり遂げてるから,あとは「俺にライセンス料払え!」とか,そういう感じだと思いますけどね!

一同:
 (爆笑)。

午後早くから始まった座談会だったが,終わる頃にはすっかり日が暮れていた
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 アドベンチャーゲームの過去,そして未来を語ってもらった今回の座談会。
 1990年代後半から2000年代前半にかけてのアドベンチャーゲーム界隈の熱気が一体なんであったのか。また,その影響を受けたクリエイター達が何を引き継ぎ,何を考えながら新たな作品づくりへと取り組んでいるのか。今回の話を聞いていて,アドベンチャーゲーム(と,そのクリエイター)が持っている“そこはかとない熱量”の理由の一端が垣間見えたような気がした。彼らの濃さ,熱量の高さに圧倒されっぱなしの5時間であった。

 これは本文中でも触れたことだが,今回,何よりも“実感”させられたのは,彼らが紛れもなく「ゲームデザイナー」だということである。肩書きこそ「シナリオライター」と称されることも多いのだが,その視点や考え方や「ゲームならでは」「ゲームだからこそ」の面白さを追求するストイックな姿勢からは,“ゲームデザイナー”として真摯に物作りに向き合う人間が持つ,独特の空気(オーラ)さえ感じられた。

 大枠のゲームデザインから画面の配置の一つに至るまで,創意工夫と試行錯誤の積み重ねの結果に完成する「ゲーム」という作品で,素晴らしいものが偶然生まれることはあり得ない――これは,幾人ものクリエイターにインタビューを行ってきて,筆者が確信を得たことの一つだが,今回もまた,それを裏付ける取材だったように思う。彼らの更なる挑戦と,それによって生み出されるであろう“新しいゲーム”の登場に期待したい。

イシイジロウ氏ら第一線で活躍するクリエイターがアドベンチャーゲームを語り尽くす!――「弟切草」「かまいたちの夜」から始まった僕らのアドベンチャーゲーム開発史(前編)


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 ■テキスト系アドベンチャーゲーム年表
月日タイトル
1980年「Zork I: The Great Underground Empire」(PC)
1981年「Zork II: The Wizard of Frobozz」(PC)
1982年「Zork III: The Dungeon Master」(PC)
「ミステリーハウス」(PC※MZ-2000)
1983年7月15日ファミリーコンピュータ(FC)発売
8月「ポートピア連続殺人事件」(PC)※堀井雄二 三部作
1984年7月「サラダの国のトマト姫」(PC)
12月12日「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」(PC)※堀井雄二 三部作
1985年5月「軽井沢誘拐案内」(PC)※堀井雄二 三部作
1986年2月21日ファミリーコンピュータ ディスクシステム(FCD)発売
8月「殺人倶楽部(マーダークラブ)」(PC)
1987年4月2日「さんまの名探偵」(FC)
4月24日「探偵 神宮寺三郎 新宿中央公園殺人事件」(FC)
4月28日「ジーザス」(PC)
9月「ふぁみこんむかし話 新・鬼ヶ島(前編/後編)」(FCD)
10月30日PCエンジン発売
1988年4月27日「ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者」(FCD)
10月29日メガドライブ発売
11月26日「スナッチャー」(PC)
「琥珀色の遺言〜西洋骨牌連続殺人事件〜」(PC)
1989年4月21日ゲームボーイ(GB)発売
1990年「SPACESHIP WARLOCK」(PC)
10月6日ゲームギア発売
11月21日スーパーファミコン(SFC)発売
1991年8月30日「メタルスレイダーグローリー」(FC)
12月20日「ノスタルジア1907」(MEGACD)
1992年3月7日「弟切草」(SFC)
12月17日「同級生」(PC)
1993年「ミスト(MYST)」(Mac/PC)
1994年5月27日「ときめきメモリアル」(PCエンジン)
7月29日「ポリスノーツ」(PC)
11月22日セガサターン(SS)発売
11月25日「かまいたちの夜」(SFC)
12月3日PlayStation(PS)発売
1995年4月サテラビュー発売
6月16日「夜光虫」(SFC)
8月4日「学校であった怖い話」(SFC)
11月22日「EVE burst error」(PC)※18禁
11月23日Windows95発売
11月24日「魔女たちの眠り」(SFC)
12月22日「ざくろの味」(SFC)
1996年1月26日「雫」(PC)※18禁
2月3日「ラジカル・ドリーマーズ -盗めない宝石-」(SFCサテラビュー)
3月1日「トワイライトシンドローム 探索偏」
6月23日NINTENDO64発売
7月26日「痕」(PC)※18禁
7月26日「NOëL NOT DiGITAL」(PS)
12月26日「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」(PC)※18禁
1997年5月23日「To Heart」(PC)※18禁
1998年1月22日「街 〜運命の交差点〜」(SS)
5月29日「ONE 〜輝く季節へ〜」(PC)※18禁
6月25日「やるドラ ダブルキャスト」(PS)
6月25日「クロス探偵物語」(SS)
7月16日「夜想曲」(PS)
7月25日Windows98発売
11月27日ドリームキャスト(DC)発売
12月3日「久遠の絆」(PS)
1999年1月22日「センチメンタルグラフティ」(SS)
6月4日「Kanon」(PC)※18禁
8月5日「Lの季節 〜A piece of memories〜」(PS)
10月28日「Prismaticallization」(PS)
2000年2月25日「Phantom -PHANTOM OF INFERNO-」(PC)※18禁
3月4日PlayStation 2(PS2)発売
3月23日「infinity」(PS)
9月8日「AIR」(PC)※18禁
12月「月姫」(PC)※18禁
2001年2月22日「シャドウ オブ メモリーズ」(PS2)
3月21日ゲームボーイアドバンス(GBA)発売
5月2日「花と太陽と雨と」(PS2)
7月26日「Missing Blue」(PS2)
9月14日ニンテンドーゲームキューブ発売
10月12日「逆転裁判」(GBA)
2002年1月17日「MISSING PARTS the TANTEI STORIES」(DC)
2月22日Xbox発売
3月22日「あの、素晴らしい をもう一度」(PC)
7月18日「かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄」(PS2)
8月29日「Ever17 -the out of infinity-」(PS2/DC)
2003年9月26日「CROSS†CHANNEL」(PC)※18禁
2004年1月30日「Fate/stay night」(PC)
3月18日「Remember11 -the age of infinity-」(PS2)
4月28日「CLANNAD」(PC)
5月「ひぐらしのなく頃に」(PC)
6月24日「3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!」(PS2)
8月5日「流行り神 警視庁怪異事件ファイル」(PS2)
12月2日ニンテンドーDS発売
12月12日プレイステーション・ポータブル(PSP)発売
2005年2月24日「アナザーコード 2つの記憶」(DS)
10月28日「Fate/hollow ataraxia」(PC)※18禁
12月10日Xbox 360発売
2006年7月27日「かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相」(PS2)
8月31日「EVE new generation」(PS2)
11月11日PlayStation 3(PS3)発売
12月2日Wii発売
2007年1月25日「ウィッシュルーム 天使の記憶」(DS)
2月15日「レイトン教授と不思議な町」(DS)
7月27日「リトルバスターズ!」(PC)
8月17日「うみねこのなく頃に」(PC)
10月25日「忌火起草(いまびきそう)」(PS3)
2008年4月25日「CHAOS;HEAD NOAH」(PC)
7月3日「ナナシ ノ ゲエム」(DS)
8月21日「シークレットゲーム -KILLER QUEEN-」(PS2)
9月26日「スマガ」(PC)※18禁
12月4日「428 〜封鎖された渋谷で〜」(Wii)
2009年2月5日「遠隔捜査 -真実への23日間-」(PSP)
6月18日「銃声とダイヤモンド」(PSP)
9月3日「ラブプラス」(DS)
10月15日「STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)」(Xbox 360)
12月10日「極限脱出 9時間9人9の扉」(DS)
2010年6月19日「ゴースト トリック」(DS)
7月22日「TRICK×LOGIC」(PSP)
11月25日「ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生」(PSP)
2011年2月26日ニンテンドー3DS発売
6月24日「Rewrite」(PC)
12月17日PlayStation Vita(PS Vita)発売
12月17日「真かまいたちの夜 11人目の訪問者(サスペクト)」(PS3/PS Vita)
2012年2月16日「極限脱出ADV 善人シボウデス」(PS Vita/3DS)
4月12日「魔法使いの夜」(PC)
6月14日「ルートダブル Before Crime After Days」(Xbox 360)
6月28日「ROBOTICS;NOTES」(PS3/Xbox 360)
7月12日「タイムトラベラーズ」(PS Vita/3DS)
7月26日「スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園」(PSP)
12月8日Wii U発売
2013年6月28日「君と彼女と彼女の恋。」(PC)※18禁
 
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