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[GDC 2009#05]Windows 7はゲーマー用OSとして定着するか? ゲーム視点で見るその特徴
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印刷2009/03/26 16:51

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[GDC 2009#05]Windows 7はゲーマー用OSとして定着するか? ゲーム視点で見るその特徴

 北米時間2009年3月25日,MicrosoftはGDC09で,Windows 7関係のセッションをいくつか連続して行った。ここでは,概要の語られた「Windows 7 Overview for Game Publishers & Developers」の内容を基に,「結局のところ,ゲームで使えそうなのか」という観点から,Windows 7を紹介してみたい。

Drew Johnson氏(Program Manager, Windows Gameing Platform Group, Microsoft Live Engagement, Microsoft)
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 まず,MicrosoftのDrew Johnson氏による本セッションでは,Windowsプラットフォームにおける最近のゲーム動向が示された。
 これによると,Windowsでのゲーム人口は約3億人。そのうち18%はカジュアルゲームしかやらない層,4%はカジュアルゲームをまったくやらない層だ。77%のユーザーは,カジュアルゲームもプレイすれば,カジュアルでないゲームもプレイしている。伸びているのはオンラインゲームで,とくにMMOゲームが圧倒的だという。

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“Windowsゲーマー”の総人口と構成
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オンラインゲームの成長が著しい

「64bit革命はいまここにある」と謳うスライド
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 続いて,64bit OSの動向。ここ1年ほど,北米市場では64bit版Windows Vistaが伸びていると言われていたが,Johnson氏によると,北米市場での伸びは年率30%。6〜12か月後には,64bit OSが主流になるという見通しが示された。

 さて,ゲーム用途では現在でもWindows XPを使う人が多く,Windows Vistaはごく一部のゲームでしかメリットがないというのが現実だ。思い返すと,Windows Vistaが登場した直後は,本当に何をやらせてもWindows XPより遅かった。Service Pack 1にまとめられたパッチ群でようやく相応に高速化を果たしたものの,今なお,パフォーマンスという観点でWindows XPには届いていない状況だ。
 これに対して,Windows 7は――常識的に考えると,まだパフォーマンスが出る時期ではないのだが――「ATI Catalyst 9.3」グラフィックスドライバを使って32bit版のWindows 7とWindows Vistaを比較したところ,すでにWindows 7のほうが速いという結果が出ている(関連記事)。「どれだけWindows Vistaは遅かったのか」という話にもなるのだが,それはそれとして,Windows 7では,パフォーマンス面で多くの改善がなされる見込みである。

 具体的な例としてまず挙げられたのが,OS自体の起動にかかる時間。従来のWindowsでは,インストール直後こそはそこそこ速いものの,使い込んでいるうちに,スタートアップでいっぱいプログラムを組み込むようになって,メモリは食うわ,起動は遅くなるわといった具合になっていたのだが,Windows 7では,先に読み込んでおくのではなく,必要になったら読みに行くという方針に変更される。これにより,OSの起動はそうとう速くなる見込みだ。
 なお,ドライバを並列に読み込むことでも高速化を図るというが,こちらがうまくいくかどうかは状況によるだろう。むしろ遅くなる可能性もあると思う。

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メモリの消費量はWindows 7で下がる
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ウインドウをたくさん開いても必要なメモリ量は増えない
 もう一つ重要な点は,リソースの消費が少なくなるとされたこと。これまでと同じ作業をしていてもメモリの消費量が少なくなるため,結果として高速化につながる可能性は高い。
 また,先ほど述べた,「当面必要とされないドライバは起動時に読み込まない」という仕組みも関連しているのだろうが,右の上段に示したスライドによると,Windows 7では,Windows Vistaと比べて,メモリの消費量が15%程度少なくなるという。

 このほか,カーネルの“省メモリ化”が400か所に亘(わた)って行われていることや,ウインドウ管理方式が変更されていることも,トピックとして示された。
 右の下段に示したスライドは,「ウインドウを50個開いた」ときの例だが,Windows 7では,たくさんウインドウを開いても,メモリの使用量は増加しないという。

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 また,Johnson氏はグラフィックス周りの改善点も示した。
 Windows 7では,DirectX 11関係の拡張を行うとともに,一般のウインドウ描画などで使われるGDIやGDI+の処理をハードウェア描画にして高速化したとのことだ。確か,そのあたりを全部DirectXに置き換えたというのがWindows Vistaのウリだったように記憶していたのだが,実は(全部とは言わないまでも)ソフトウェア処理でしたといわれるのは,なにか釈然としないものがある。
 ……まあ,今回MicrosoftがWindows 7の高速化に自信を持っている理由が少し分かったような気もするが。


新しくなるGame Explorer


ゲームのアップデート情報を告知するシステムが,Game Explorerに搭載される
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 そういえばWindows Vistaにはそんなものがついてたっけと,すっかり忘れられている「Game Explorer」。
 Game Explorerは,「Microsoftとしては,すべてのゲームをこんな感じに管理したい」というビジョンを示すもので,すべてのゲームが対応すれば,それなりに便利かもしれないものである。Windows Vista時代は,一部のゲームがインストール時に追加されるだけの,役に立たないランチャーのようなものだったが,Windows 7で提供される新Game Explorerでは,ゲームのパッチ情報を確認したり,その場でパッチをダウンロードして適用したりできるようになるという。

「何回ゲームをプレイしたか」といった統計の表示,新しいパッチの告知,レーティング情報を基にしたペアレンタルコントロールも行えるようになる
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 また,ゲームごとにプレイヤーの成績なども表示できるAPIが用意されたり,ゲーム会社が製品のプロモートもできるようになったりという機能拡張もあるようだ。
 なお,新Game ExplorerはWindows Vistaには提供されない見込みとのことだった。


64bit OSでの開発


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 Johnson氏は「開発環境を64bit化すると幸せになれる」という話もしていた。ざっくりまとめると,

  • Windows 7に対応したゲームを作るなら,Windows 7と似ているWindows Vistaがお勧めである
  • 64bit環境でメインメモリを多く使えると,大規模なゲーム開発では非常に有効だ

という2本立て。すでに開発環境をほぼ64bit版Windows Vistaへ置き換えているという,EA DICEのJohan Andersson氏,そしてEpic GamesのTim Sweeney氏の談話も紹介されていたが,要は,多くのメモリを使えるというのは素晴らしいという話である。


ゲームのコンパチビリティ


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 Windows 7は,最も安定したゲーム用OSを目指して開発されているという。Windows Vistaでは,互換性が高いとはお世辞にも言い難い部分が多く,とくにオンラインゲームでは,導入にかなり注意が必要な状態が今なお続いている。
 この点,Windows 7の互換性検証では,検証するゲームの生産国を15か国増やし,カジュアルゲームなどについても新たに検証を行うことで,互換性を上げていくという。

 なお,Johnson氏は「Games for Windows準拠のゲームなら大丈夫」としていたが,Games for Windowsに準拠したゲームの数自体が非常に少ないのはちょっと問題である。というのも,オンラインゲームだと,Games for Windowsというプログラムが立ち上がる前に作られ,それがずっとサービスされているという例が当たり前のようにあるからだ。
 逆にいうと,Microsoftが方針を変化させたことが互換性を失わせている根本の原因であり,そのあたりが変わらない限り,Windows 7でも,Windows Vistaにあった問題をそのまま引きずる可能性があることは押さえておきたい。もっとも,ゲーム側がちゃんと対応すれば済む話ではあるのだが。

 全体として,少なくとも,Windows Vistaよりはゲーム向きであると思われるWindows 7。どうやら,MicrosoftもWindowsプラットフォームにおけるオンラインゲームの伸びをちゃんと認識しているようなのだが,果たしてWindows XPから乗り換えて大丈夫なものなのか。今度こそ,ゲーム開発者に対応してもらえる,魅力的なOSに仕上がることを望みたい。
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