![]() |
![]() |
渡し守に賄賂を払うこと。だが手元にあるのはひと組のカードと,まだ顔の見えない対戦相手だけ。
賭けるのは21の数字と,現世へ戻る最後の望みだ。
本日は,Mi'pu'mi Gamesが手掛ける「Black Jacket」を紹介しよう。本作は地獄を舞台にしたローグライト・デッキビルダーだ。プレイヤーは死後の世界で目を覚ました魂となり,さまよえる亡霊たちを相手にブラックジャック勝負を仕掛けていく。
手札を21に近づけるという根っこのルールはそのままに,カードの効果でルールごと書き換えながら勝ち上がっていくゲームだ。
特性の異なるスートたち
![]() |
ランを始めるとき,プレイヤーは8つのスートから3つを選んでデッキを組む。スペードは相手のデッキにマイナスのカードを混ぜたり強引にカードを引かせたりして妨害する。ダイヤは自分が次に引くカードの順番を覗き見たり並べ替えたりできる。クラブは引いたカードの数字そのものをいじって合計値を調整する。ハートはマイナス値のカードを扱う。
組み合わせ次第で「相手の数字を抜き取って自分に足す」「次に来るカードを見てから賭ける」といった動きができるようになり,スートの組み合わせを変えるだけで「もう一回やってみるか」と手が伸びる作りになっている。
カードを「目覚めさせる」
![]() |
デッキのカードはコインを払うと「アウェイクン(覚醒)」して特殊な効果を持つようになる。相手のデッキを覗き見たり,カードを別の場所へ動かしたり,マイナス値のカードを相手の場に押しつけたりと,戦術の幅が大きく広がるわけだ。
さらにジャック・クイーン・キングの絵札は隣り合わせたときに独自の反応を起こす。クイーンの隣にキングを置くとキスして11になり,そこへジャックを挟むと嫉妬と殺意のドラマが始まってデッキ全体が強くなる。
ただのアップグレードではなく,物語性も兼ねた仕組みになっており,こうした組み合わせを探っていくのも醍醐味の1つとなっている。
命を削って勝ちを取る
![]() |
本作のコインは賭け金であり,同時にHPでもある。なくなった時点でゲームオーバーだ。だからコインは守るべきものなのだが,本作には「あえてコインを払って局面をひっくり返す」仕組みがいくつも仕込まれている。
たとえば場には5つのカード置き場があり,そのうち2つはコインを払って使う特別なスロットだ。出したカードの数字を1上げる,相手にコインを追い出させる(エクスプロイト),絵柄カードを引き寄せるなど,効果はラウンドごとに変わる。
さらに「スリーブ」にカードを隠す行為もコインが必要で,引いた強カードを次のラウンドへ持ち越せる代わりに,今のラウンドで使える持ち金が減る。
コインを払って勝ちに行くか,温存して安全策をとるか。21の駆け引きの上に,HPを削って一発逆転を狙うかどうかの駆け引きが乗っかってくる。デッキ作りと心理戦が同じテーブルで動く,これが本作の独特な感触を作っている。
「Black Jacket」は,ブラックジャックの「21を超えずに21に近づける」というシンプルなルールに,スート選び・カードの覚醒・コインを削っての心理戦までを重ねた一作だ。
1回の勝負ごとに駆け引きの引き出しが増えていき,地獄から抜け出すという目的が物語として絡んでくる。21のかけひきが好きな人,デッキを組み替えてあれこれ試すのが好きな人におすすめの一本だ。
























