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食いしん坊で自由奔放な美少女魔法使い,ナタ・デ・コットンが,伝説の美味「WILLOW」を求めて日本に遠征し,跳梁跋扈する妖怪やからくりと戦うというストーリーだ。
シリーズ第1作の「コットン」がアーケード向けにリリースされたのは,「ストリートファイターII」が巻き起こした対戦格闘ブームの真っただ中だった。
言ってみればかなりの“逆風”が吹いていたのだが,「美少女の主人公」「コミカルな世界設定」「キャラクターどうしの幕間劇を描くデモシーン」といった,それまでの“硬派”なシューティングゲームになかった特徴が,当時のプレイヤーに強い印象を残し,ヒット作となった。
それを受けたシリーズ作品は,アーケード版と家庭用ゲーム機版双方で展開された。声優のTARAKOさんがコットン役を務めたPCエンジン版や,主題歌のCDが付属したスーパーファミコン版「コットン100%」のようにキャラクター性を活かしたもの,3Dシューティングとなった「パノラマコットン」「レインボーコットン」,対戦格闘のようなコマンド技や3人チーム制を取り入れた「コットン2」「コットンブーメラン」,大量のWILLOWを集めて敵味方がともにパワーアップする「コットンリブート ハイテンション!」など,作品ごとに異なる趣向が取り入れられてきた。
では,その最新作となる「コットン ロックウィズユー」は,どんなゲームになるのだろうか? 4Gamerは,本作のプロデューサーを務めるサクセスの長友慎也氏と,開発を担当するスタジオ最前線の近藤敏信氏に聞いた。
「シューティングゲーム」と聞いてFPSやTPSを思い浮かべる人が増え,ゲームセンターがプライズ機メインとなった時代に本作をリリースする意味,IPをつなぐことの大切さなどについて語ってもらっている。
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当時の“掟”に逆行した「コットン」
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずはお二人と「コットン」シリーズのかかわりについて教えてください。
長友慎也氏(以下,長友氏):
「コットン」シリーズとの出会いは,上京してセガさんの直営店で働いていたとき,初代「コットン」が入荷したことですね。開発の仕事としては,「海腹川背 Fresh!」(2019年リリース)で近藤さんとご一緒にさせていただいたとき,ゲストキャラとしてコットンを出そうとなったのが最初です。
近藤敏信氏(以下,近藤氏):
プレイヤーとしての自分は,「忍者プリンセス」や「ワルキューレの冒険」といった女の子が主人公のゲームに心を掴まれていたんですが,そこにコットンが尖ったキャラクターで出てきたので強く印象に残っています。
「コットン ロックンロール」や,その続編となる今回の「コットン ロックウィズユー」では,その「コットン」を自分で作ることになったので,嬉しさと責任を感じつつ開発しています。
4Gamer:
お二人とも初代「コットン」はリアルタイムで触れていて,印象深いタイトルのようですね。
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オープニングデモ以外で幕間のドラマを描いたのは,アーケードゲームやシューティングゲームとしては「コットン」が初だと思います。当時のゲームセンターはいかに効率よくプレイヤーを回転させるかが勝負で,“5分で1コインを回収する”(=ゲームオーバーになってもらう)といった方針で開発されることもありましたから。そこへ,プレイ中に長いデモシーン※が入る「コットン」を出してきたわけですから,サクセスはイカれてると思いましたね(笑)。
※初代「コットン」の幕間ドラマは,オープニングからステージ1のスタートまで約46秒,ステージ1クリアからステージ2のスタートまで約36秒という長さだった
4Gamer:
わざわざ稼ぎを悪くするようなものですからね。
長友氏:
初代「コットン」のプロデューサーを務めた吉成(隆杜氏)に聞いたところによると,ほかのメンバー全員が反対するなか,彼の命令一下でドラマシーンを入れたそうです。
4Gamer:
当時の常識からは外れたものであっても,近藤さんをはじめとしたプレイヤーたちの印象に残り,シリーズが35年続いているわけですから,慧眼ですね。
長友氏:
ある開発現場で「3分でワンコインを回収する」となったときは,何を作っていいのか分からなくなりましたよ。そういったところが,アーケードゲームの難度が上がる原因となり,逆に売り上げは落ちていったと思います。
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実際のところ,初代「コットン」のインカム(売上)はどうだったのでしょうか。
長友氏:
私が勤めていたゲームセンターには「インカムが一定以下になった基板(ゲーム)は入れ替える」というルールがありましたが,「コットン」が引っかかったことはありませんでした。
4Gamer:
「ストリートファイターII」で対戦格闘が一大ブームを巻き起こす中でも足切りされず稼働していたんですね。一定のファンがついていたということなんでしょうか。
長友氏:
そうですね。当時はシューティングゲームもまだまだ人気でしたから。「コットン」はセガさんの「システム16B」用だったので,「テトリス」からの差し替えで稼働し,さらに別のゲームに差し替えられて数を減らしていった印象があります。
シューティングゲームの“復興”を後押しする策とは
4Gamer:
「コットン ロックウィズユー」の話に入る前に,現在のシューティングゲームを取り巻く状況について聞かせてください。初代「コットン」がリリースされるくらいまでの時代は,縦スクロールや横スクロールのシューティングゲームが多数リリースされていて,とくにゲームセンターでは主役だったと思います。
ですが現在は,そういったシューティングゲームの数は少ないと感じますし,「シューティング」と聞いてまずFPSやTPSを思い浮かべるプレイヤーも増えているようです。そういった現状についてどう感じていますか。
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一見すると作品が減った印象を受けるかもしれませんが,実際にはSteamやインディーゲームでさまざまな方向性の作品が生まれていると感じています。ディープな人であれば作品数が充実していると感じられる一方で,ライト層にはシューティングゲーム自体が目に入りにくくなっている……という二重構造になっているわけです。
だから「コットン ロックンロール」「コットン ロックウィズユー」は,かつてシューティングゲームを遊んだけれど,しばらく離れてしまっている人に届けばいいなと思って作ったところはあります。
長友氏:
近藤さんと同じく,ここ数年でシューティングゲームの数は増えてきていると思います。KONAMIさんの「グラディウス オリジン コレクション」や,グランゼーラさんの「R-TYPE FINAL 2」,弊社の「サイヴァリア3」もありますし。なので,復興しようとしているジャンルだと思っています。
4Gamer:
タイトルはあるのに認知されていないと。
長友氏:
ただ,認知されてもそういったシューティングゲームが100万本売れるかというと,答えはNOでしょう。現在の若年層は無料でゲームをやるのが当たり前ですし,Steamでも9ドルを超えると「高い」と思われるというのが現状です。一方でメーカーとして発売するのであれば,フルプライスでないと元が取れませんから。
4Gamer:
シューティングゲームに限った話ではありませんが,Steamはタイトルの数が多すぎて,プレイヤーの目に入ることすら難しく,価格面での競争も激しそうです。
そういった状況の中で,シューティングを幅広い層にアピールするには,どうすればいいと思われますか。
長友氏:
個人的には,幅広いプレイヤーがクリアできるような難度のタイトルに,活路があるんじゃないかと思っています。一騎当千の“無双系”のように,派手な大技を撃って楽しめ,ストーリーもあって,クリアできるようになっているなら,面白がってくれるんじゃないでしょうか。
4Gamer:
「1コイン5分」の頃よりもライト層に向けた調整はやりやすそうです。
長友氏:
ゲームセンターを経営されている皆さんには申し訳ないと感じるところがもちろんありますが,誰もプレイせずに筐体の電気代だけが増えていくよりは,30分楽しんでいただいて,ある程度の売り上げがあった方がいいんじゃないかとも思うんです。
なので「コットン ロックンロール」は難度を下げて,クリアしやすく,30分遊べるようにして,それをゲームセンターの皆さんにも受け入れていただけました。リリース後の成功を見て,「シューティングはビジネスになる」と思っていただけたんじゃないでしょうか。
4Gamer:
難度を下げることで,開発に変化はありましたか。
長友氏:
制作がだいぶ楽になりましたね。難度を下げれば,みんなにとってシューティングは楽しい。これまで難度を上げすぎていたんだと痛感しました。
シューティング=高難度という考え方も分かりますが,個人的には易しいシューティングもいいんじゃないかと思います。「コットン ロックンロール」の後に出した弊社のゲームもプレイ時間が長めになりましたし,それでも売り上げがちゃんと出ています。受け入れてくださったセガさんにも,ゲームセンターさんにも感謝ですね。
初代「コットン」の良さを継ぎ,現代のシューティングとして楽しめるものに
4Gamer:
お二人が本格的に「コットン」を手がけることになった「コットン ロックンロール」は,シリーズとしては21年ぶりの完全新作でしたが,かなりの時間が空いている中で新作を作ろうと思った理由は何でしょうか。
長友氏:
せっかくIPを持っているのに活用しないのは,純粋にもったいないと感じたからです。近藤さんと「海腹川背」のIPを復活させようと開発した「海腹川背 Fresh!」や「海腹川背 BaZooKa!」(2020年リリース)が,ある程度の成功を収めました。
その流れで過去IPの新作を現行機種で作るのもアリだろうと,サクセスが持っている権利を確認していったところ,「コットン」を誰も作っていなかったんです。
4Gamer:
それを知って,「作ってないなら作ろう」と。
長友氏:
ゼロから新しいIPを立ち上げるより,「久々の復活」のほうが,話題性は大きいじゃないですか。ちょうど近藤さんの会社に「コットン」シリーズの大ファンがいらっしゃったのも幸運でした。
4Gamer:
久々の新作となった「コットン ロックンロール」を開発するうえで,勝算というか,アピールポイントはどこに設定しましたか。
長友氏:
「プレイアブルキャラによってシステムが変わる」という点です。もちろんシューティングゲームとしての基本的なシステムは同じですから,企画段階では問題ないと思っていたんですが,実際はそうもいかず,後々我々を苦しめることになりましたが(笑)。
4Gamer:
調整が大変でしたか。
近藤氏:
キャラクターが8人いますから,シューティングを8本作っているようなものです。
長友氏:
デバッグの手間も8倍ですからね。でも,それまでの「コットン」シリーズにない方向性でしたし,サクセスのIPをすべてぶち込めば,ファンの皆さんが集まってくれるんじゃないかということで開発を進めていきました。
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4Gamer:
「コットン ロックンロール」もアーケードと家庭用ゲーム機向けにリリースされましたが,アーケード版の稼働状況はいかがですか。
長友氏:
稼働開始から4年半ほどが経っていますが,ここ2年ほどずっと安定したインカムが出ています。
4Gamer:
スコアアタックをやり込むようなファンが定着しているんでしょうね。
近藤氏:
「コットン ロックンロール」のハイスコアはキャラクターごとにかなり差がついてしまったんです。それを踏まえて,「コットン ロックウィズユー」では結構なテコ入れをして,現在のところランキング上位に全キャラクターが入った状態になっています。
長友氏:
そういった調整にあたっては,近藤さんに「弱体化は絶対なし」というお話をさせていただきました。自分が使っているキャラクターが弱くなったら,やる気もなくなるじゃないですか。
対戦格闘ゲームだと弱体化を含む調整も仕方ないのかもしれませんが,シューティングなのでそんなことはない。このあたりはジャンルとしての良さですね。
4Gamer:
「コットン ロックンロール」は海外でも発売されていますが,どんな反応がありましたか?
長友氏:
久々の「コットン」ということで,海外にも狂喜乱舞する方がいらっしゃいました。海外版にも,湯呑みの特典がついたものもありましたしね。
4Gamer:
海外にも湯呑みを欲しがるような熱心なファンが,ずっと新作を待っていたんですね。国内外で好評だった「コットン ロックンロール」を受けて,続編となる「コットン ロックウィズユー」が登場したわけですが,開発の経緯を聞かせてください。
長友氏:
会社的には,前作「コットン ロックンロール」が想定を超えてちゃんと売れたから,です。自分としてはもともと続編の企画を考えていたので,あとはいつ動かすかというタイミングの問題でした。ただ,自分も近藤さんも同じものを作っていると飽きるので,「バッカニヤ」(2023年リリース)の後に開発をスタートさせました。
近藤氏:
「コットン ロックンロール」が好評だっただけに,続編で勢いを削がないようにしつつ,作品の面白さをいかに広げるかが大変でしたし,プレッシャーもありました。
4Gamer:
舞台を日本にした理由は何でしょうか。
長友氏:
王道ではないことをやろうと思ったからです。コットンシリーズの中には,いくつかの“系列”のようなものがありますが,「コットン ロックンロール」の系列としては,開発に初代「コットン」のスタッフが関わっていないこともあって,「王道ではない」という意識を持っています。
4Gamer:
だから,魔法使いであるコットンが本来いるはずの魔法の世界,ファンタジー世界ではないと。
長友氏:
初代のスタッフが王道の「コットン」を再び作るとき,それを邪魔しないような別物にしたい。だから「コットン ロックンロール」では宇宙に行き,「コットン ロックウィズユー」は日本を飛び回って,そのエンディングはコットンが次に現代のアメリカへ行くことを匂わせているんです。
4Gamer:
アメリカで活躍するコットンも早く見たいですね。近藤さんは「和のコットン」というお話を聞いてどう思いましたか。
近藤氏:
和の方向性には大賛成でした。ただ,和をテーマにすると,色彩が地味になりがちなんですよ。画面についても「コットン ロックンロール」よりパワーアップしたことを感じてもらいたかったので,見た目をどう楽しんでいただくかには苦心しました。
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長友氏:
開発中も,ずっと「地味だ」って言ってました(笑)。和風といえば赤系のカラーですが,シューティングゲームとしては背景に使いにくい色なんです。
4Gamer:
それはどういった理由からですか。
長友氏:
赤は敵弾に使いたいんですよ。敵弾が背景と同じ色になってしまうと,見づらくなってゲームプレイに大きく影響してしまいます。加えて「コットン」の場合,「火竜」という赤い竜を放つ魔法があるんですが,背景が赤だとそれも目立たなくなってしまう。
シューティングは背景を青くできる宇宙ものが多くなるよね,と改めて実感しました(笑)。
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4Gamer:
なるほど。そのあたりは,既存のシリーズ作品では問題にならなかったんでしょうか。
長友氏:
「コットン」の世界は西洋風で,大きく分類すれば青系になるので,大きな問題にはならなかったんでしょう。
そういった問題がある赤系が多い和のテイストを取り入れるわけですから,もう近藤さんに無茶ぶりするしかないんですよ(笑)。
4Gamer:
難しい問題ですが,どのように解決したのですか。
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「ピュアな和の世界」を作るのではなく,外国の方が考えるような「エセ日本」だと割り切ることでした。この割り切りで,本当の日本にはないものや色使いを取り入れられるようになって,絵作りが楽になったと思います。
4Gamer:
あぁ,でも「エセ日本」は,正統派の和風よりコットンに合っていますよね。初めて見たとき,何かこれまでと違った「コットン」になりそうだという期待が高まりました。花魁姿のコットンも大きなインパクトがありましたし。
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長友氏:
花魁コットンに前髪を付けるかどうかで,近藤さんと結構やりあいましたね(笑)。
近藤氏:
前髪がなくなると別のキャラクターになると思ったので,私は前髪あり派でした。
長友氏:
大切なのは和風であることですが,前髪があると和風にならないし,なくすとコットンと認識していただけるかどうか……というジレンマがあって,開発中はありとなしの2パターンを用意していたんです。2023年の東京ゲームショウでお披露目したとき,前髪なしでもコットンだと分かっていただけて,これで行こうとなりました。
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4Gamer:
前髪だけでもそこまで突き詰めるんですね。
ところで,さきほど「王道ではない」という話がありましたが,そもそもの王道,「コットンらしさ」とは何になるでしょうか。
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個人的には,「何をしてもいいこと」だと思います。初代「コットン」と「コットン2」からしてシステムが違いますし,「コットンブーメラン」なんかはコマンド入力をするうえに3人のチーム戦ですからね。その後に出す「コットン」はもう何でもアリじゃないですか(笑)。
4Gamer:
それはそうですね(笑)。
長友氏:
そのうえでのコットンらしさとなると,「妖精国が出てくる西洋のファンタジーであること」「ほかのキャラクターもいない,コットンの話であること」だと思います。ここに近藤さんや,同じスタジオ最前線のコットン大好きなプログラマー,リコ・トラスクさんの視点が加わり,開発を進めています。
近藤氏:
いい意味で雑な,精密ではなくラフであることがコットンらしさであり,面白さではないでしょうか。個人的に,現在のシューティングゲームは進化の末端に来ていて,このジャンルを追い続けている人にとっては楽しく思える状態だと思います。
4Gamer:
確かに,まったくの初心者が「自分にもプレイできそう」と思えるシューティングゲームは少ないような気がします。
近藤氏:
初代「コットン」は,いわゆる弾幕系※以前の時代に出た作品ですから,当時のファンが現在のシューティングをいきなりプレイしても,ついていけないところがあるんじゃないかと思います。
とはいえ,初代「コットン」をそのまま再現するわけにもいきません。いい意味でのラフさを現代のシューティングに取り入れ,初心者がプレイしても楽しめる,クリアできるものとするのが,現在における「コットン」らしいシューティングの在り方じゃないかと思います。
※低速で飛んでくる大量の敵弾をギリギリでかわすプレイが要求されるシューティングゲーム
4Gamer:
現代のシューティングゲームとしてのコットンを実現するために,どのように開発を進めたのでしょうか。
近藤氏:
先ほどお話に出たように,リコの視点を加えました。彼はずっとシューティング全般をやり込み続けていて,「シューター目線としての『コットン』」という解釈を持っています。私の「いい意味で雑なシューティング」という方針とぶつかり合うこともありますが,うまく折り合いをつけられた部分をゲームに取り入れました。
4Gamer:
具体的には,どのようなところでしょうか。
近藤氏:
彼から聞いたところによると,現在のシューターは「スコアアタックでどれだけ高得点を取れるか詰めていく」という層が結構いるそうです。私の世代だと,難しいシューティングゲームはワンコインクリアが目標だったので,大きく違っているわけですね。
それなら,初心者にとってはいい意味でラフにクリアはできるけれど,シューター向けにはスコアアタックがしっかりできるという,2つの層をミックスした形に落とし込めるんじゃないかと「コットン ロックンロール」開発中に気付いたんです。
4Gamer:
なるほど。「1コイン5分」の掟がなくなったことでクリアの難度が下がった一方で,スコアアタックは奥深さが出て,初心者とコアプレイヤーの両取りを狙えるようになったわけですね。
ちょっと前のシューティングゲームのイメージで「コットン ロックンロール」や「コットン ロックウィズユー」をプレイして,「意外とサクサク進むじゃないか」と驚く人は多そうです。
プレイヤーが顔を合わせる,ゲームセンターという場所をつなぎたい
4Gamer:
さきほど,現在のシューティングはSteamやインディーゲームのシーンで新作が増えているというお話がありました。そういった流れの中で「コットン ロックンロール」「コットン ロックウィズユー」のアーケード版を展開する理由を教えてください。
長友氏:
単純に,僕がゲームセンターを好きだからです。誰も新作を出していないから,注目度も高い。このままゲームセンターが消えるぐらいなら,僕は新作を出し続けようと思ったんです。
4Gamer:
「コットン」の新作を出そうと思った理由と似ていますね。ゲームセンターとPC/家庭用ゲーム機で,プレイのされ方やプレイヤーの反応が違ったりすることはありますか。
近藤氏:
まったく違いますね。かつてスタジオ最前線では「シャーマンキング 超・占事略決」というカードゲームを作っていたことがあります。私も“博士”として大会に出向いていましたが,生身の人間が対面して遊ぶことの面白さに改めて気づきました。これは開発者として視野が狭くなっていたな,と反省すると同時に,いろいろなことを試してみたいと思ったんです。
4Gamer:
さんざん遊びつくしたゲームでも,誰かと一緒にプレイすると違った面白さを感じることがありますよね。
近藤氏:
セガさんとご一緒させていただいた格闘ゲーム「ブレードアークス from シャイニング」でも,定期的に大会を開いてくださるコミュニティが形成されて,そこでプレイヤーさんに直接お会いできました。ゲームセンターならではのコミュニティの良さや楽しさは確実に存在しています。
長友氏:
不具合報告も,PCや家庭用ゲーム機のプレイヤーからは「クレームのメール」といった感じのものが届きますが,ゲームセンターだと「新作を出してくれてありがとう」から入ってくださるんですよ(笑)。直接顔を合わせるから言えること,合わせないからこそ言えること,両方あると思いますが,なるべくリアル世界での展開もすべきだと思います。
4Gamer:
どちらのつながりも持っておくことがメリットになりそうですね。
長友氏:
サクセスとしても,プレイヤーさんが主催される大会に場所を提供させていただくなど,いろいろとやっていければと思います。
4Gamer:
ゲームセンターでの先行稼働は,やはり開発でもフィードバックの点で役に立つのでしょうか?
長友氏:
ものすごく役に立っています。もちろんこちらでもチェックは行いますが,“本当のプレイヤー”の技術には勝てないと痛感します。あるタイトルでは,想定より半年も早い,ロケテスト初日でのワンコインクリアに遭遇しました。
また,「コットン ロックンロール」でボーナスの存在に気付いていただけなかったため,「コットン ロックウィズユー」では近藤さんがメーターを追加したりもしています。自分は反対だったんですが,実際にプレイされている現場を見ると,遊びやすくなっているようだと思いました。
4Gamer:
PCや家庭用ゲーム機向けに配信する体験版ともやはり違いますか。
長友氏:
どちらも「先行テスト」ではあるんですが,ロケテストではお金をいただいているのが大きな違いになります。サクセスのロケテストではエンディングまでプレイできるようにしていますし,お金を使っていただいているわけですから,プレイヤーさんがゲームオーバーになったときに感じる悔しさや反応も全然違うわけです。
4Gamer:
確かにそこは違いますね。感情というか,1プレイにかける思いのようなものは強くなりそうです。
長友氏:
なので,「コットン ロックンロール」のロケテストにもずっと張り付いていました。あと,最近はロケテスト自体が珍しいので,多くの人が驚いてくれるだろうという狙いもありました。
4Gamer:
そうですね。ちょっと懐かしく感じながらも驚きました。
では,シューティングゲームの初心者や,しばらく離れていた人が,「コットン ロックウィズユー」を楽しめるところを教えてください。
長友氏:
魔法をガンガンぶっ放せるゲームデザインになっているところですね。
近藤氏:
弾が避けられないと思ったら,魔法をぶっ放す。そうすると倒した敵が鈴になってスコアを大きく稼げる。使った魔法もどんどん補給できる……と気軽に遊んでいただけます。
でも,スコアを突き詰めるとなると,かなりしっかり考えて魔法を使わなければなりません。この辺あたりは「いい意味で雑なシューティング」でありつつ「シューター目線を持つ『コットン』」として,意図的に入れた部分なので,気持ちよさを味わってください。
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長友氏:
そのために,シリーズの「魔法=溜め撃ち」という伝統も捨てましたからね。
近藤氏:
リコはすごく嫌がってました(笑)。いろいろ試して,自分たちでプレイしたうえで採用したものなので,最終的には本人も納得していますが。
4Gamer:
お二人が考える,初心者向けキャラクターは誰でしょう?
長友氏:
自分はコットンですね。システムもシンプルですし,魔法を撃つときの溜めをなくしたので,より分かりやすいキャラクターになりました。花魁コットンのセリフも,すべて録り下ろしになっていますので,ご期待ください。
近藤氏:
私もコットンをおすすめします。クリアするだけであれば,魔法をどんどん使って進められるキャラクターですから。
4Gamer:
シューティングプレイヤーに向けてのアドバイスはありますか。
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スコアを稼ぐなら,鈴の倍率がポイントですね。鈴を取り続けると倍率が99倍まで上がるので,その状態を維持すると,スコアが一気に伸びます。「ボスが撤退するまでのタイマー」を追加しましたし,ほかにも新たなボーナスを用意したので,探してみてください。
キャラクターのファンの方には,ボス出現時の掛け合いボイスも見どころになると思います。
4Gamer:
なかなかに見どころの多いゲームですね。
近藤氏:
ほかにもありますよ。特定の条件を満たすと「裏面」が出現します。敵の攻撃が激しくなって,より多くのスコアを稼げますし,表とは違ったからくりロボ系の新ボスが出てくるんです。新ボスはどれもカッコいいので,メカ好きの方はご期待ください。
4Gamer:
まずゲームセンターで「コットン ロックンロール」「コットン ロックウィズユー」をプレイして,それから自宅プレイ用の購入を決めるのもよさそうですね。
長友氏:
もちろんです。そういう意味でも,ゲームセンターで稼働しているのはお客さんにとってすごくいいことだと思いますね。
弊社の宣伝担当は,ロケテストやプレイ動画をYouTubeで見ていただけるようになったのも大きいと話していました。最近はゲームセンターも減ってしまいましたが,本当にゲームを愛しているプレイヤーさんが遊ぶ光景を動画として見られるのがありがたいそうです。
4Gamer:
限られた時間のトレイラーだと,どうしても伝わらないことがあるでしょうしね。ちなみに,ネット配信や実況に,何か制限はありますか。
長友氏:
弊社タイトルはプロデューサーによってガイドラインが異なりますが,「コットン ロックンロール」「コットン ロックウィズユー」の場合,NGは特にありません。
4Gamer:
では最後に,読者にメッセージをお願いできますか?
長友氏:
「IPをつなぐ」という考え方が重要じゃないかと思っています。誰かが復活させたいと思って動けば,そこには絶対ファンがいてくれる。だからこそ,復活させてIPがつながっていくことが大事です。自分は「ソニックウィングス」を復活させましたし,「コットン」シリーズの複雑な権利関係もクリアしましたし,次は「サイヴァリア」※も復活させます。
※2000年のシューティング。シリーズ25周年を記念した最新作「サイヴァリア3」が5月21日に発売される。
近藤氏:
IPをつなぐためには,時勢に合っていてファンが納得するものにしないといけません。だから「『コットン』とは何か?」と考えつつ作ってきましたし,まずはアーケード版がみなさんに受け入れられて,すごく嬉しく思っています。
長友氏:
いいIPであっても,誰かがつなぎ,プレイしていただけなければ残らないんです。「コットン ロックウィズユー」のエンディングが,「2作目のラストで3作目の予告をする」という「バック・トゥ・ザ・フューチャー」式になっているのは,ある種の意思表明でもあるんです。
4Gamer:
その実現にも期待しています。本日はありがとうございました。
ジャンル,IP,文化は,誰かがつながなければ消え去ってしまう。つなぐためにはもともとの良さを受け継ぎつつ,時代に合ったものとしなければならない。そこで必要になるのは,シリーズの立ち位置を見極める目と,ジャンルや文化への理解と愛情だ。「コットン」をはじめとした,サクセスの今後の取り組みに注目したい。
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