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太閤立志伝V
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860人分の戦国ライフが満喫できる夢のゲーム! PSP版「太閤立志伝V」のレビュー記事を掲載
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印刷2009/10/06 10:30

レビュー

戦国ファンならプレイせずにはいられない名作の,PSP版がついに登場!

太閤立志伝V

Text by 川崎政一郎

860人それぞれの立場で立身出世を目指せる

自由度の高い歴史シミュレーションが装いも新たに登場


日本史上最も出世した人物の一人ともいえる豊臣秀吉。「太閤立志伝」は,彼の波乱に満ちた生涯を,“彼と同じ目線で”追体験できるシリーズだ
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 「太閤立志伝V」は,コーエーより9月17日に発売された,PSP用歴史シミュレーションゲームだ。元々はPC版として2004年3月に発売されたタイトルで,それが同年8月に,PlayStation 2へと移植されている。今回紹介するのは,そのPlayStation 2版をベースに,PSP向けに移植されたタイトルである。

 本作は,PC版が最初に登場してから5年以上が経っており,歴史ゲームファンの間ではもはや定番タイトルの一つとなっている。そこで今回はこのタイトルの魅力を,主にシリーズ未経験者に向けて,あらためて紹介していきたい。

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木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)以外でのプレイも可能。各キャラクターの職業は異なるため,当然,ゲーム展開も大きく違ってくる
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最初は1560年でプレイ開始。ゲーム内で特定条件を満たすことで,最終的には戦国時代の初期〜末期にかけて,八つの時代設定がアンロックされる

 まず,“コーエーの歴史物”と聞くと,「信長の野望」「三國志」シリーズが真っ先に思い浮かぶという人が多いだろう。これらシリーズを(やや乱暴だが)一言で説明すると,“国”を育てていく歴史シミュレーションといえる。
 一方,太閤立志伝が上記シリーズと決定的に異なるのは,プレイヤーが育てるのは国ではなく,“個人”だということ。例えば,本作において主人公的な扱いを受ける木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)の場合,配下の兵士を鍛え上げ戦に赴く(=一般的な歴史シミュレーションの展開)だけでなく,自分自身の足で諸国を回って剣の腕を磨いたり,商取引を交わしてお金を稼いだりと,信長/三國志シリーズと比べるとミクロ的なゲーム展開も多く含まれている。

 常に個人の視点でゲームが進んでいくため,例えば「歴史シミュレーションはスケールが大きすぎてちょっと……」というような人でも感情移入しやすいのが,本シリーズの大きな魅力だ。プレイフィールとしては,歴史シミュレーションとRPGをミックスしたものに近く,同社はこれを“リコエイションゲーム”というジャンルとして提唱している。

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戦国時代当時にちなんだエピソードが,イベントシーンを通じてたっぷりと堪能できる。種類が豊富で歴史好きにはたまらない
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マップは日本全土をカバー。軍勢を引き連れずに,一人で歩き回って活動するというのが本シリーズらしいところ

 さらに,プレイヤーは木下藤吉郎のみならず,この時代を生き抜くさまざまな人物で遊ぶことができる。特定条件を満たすことで,新たにプレイできる人物を“札”として獲得し,プレイアブルキャラクターが少しずつアンロックされていく。最終的にはなんと,860人もの中から主人公が選べるようになるのだ。

 それらの中には武将をはじめ,剣豪,忍者,商人,茶人など,さまざまな生業の人物がいる。もちろんプレイする人物によって,ゲーム展開やイベント,最終目的などが大きく違ってくる。すなわち,860人それぞれの立場での立身出世を満喫できるのが,太閤立志伝Vという歴史ゲームなのだ。

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一般庶民から名だたる武将まで,さまざまな人物が登場する。選んだ主人公の職業によって,彼らとの関わり方も違ってくるだろう
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さまざまな出会いが,自分の人生に少しずつ影響を与えていく。史実にとらわれない自由度の高さも魅力だ


日本史史上最大のサクセスストーリーを歩んだ豊臣秀吉

同じ道を辿るかどうかはプレイヤー次第


 本作では,史実どおりのプレイを行う必要性はこれといってなく,自由度はすこぶる高い。ただでさえ使用可能なキャラクター数が膨大なので,ゲームスタイルをすべて紹介するのはさすがにちょっと厳しい。ここでは代表的な例として,木下藤吉郎で始めた場合の,大まかなゲーム展開を追っていこう。

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豊臣秀吉は,日本人なら誰でも知っている人物だろう。今年の大河ドラマにも登場していた(8月末の放映で他界したが)
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自分にとっては主君である,織田信長。主命を達成できないと,「猿!」と容赦ない罵声が飛ぶ

 シナリオが始まるのは1560年(永禄3年)。当時の木下藤吉郎は25歳で,織田信長の草履取りから,足軽組頭へと取り立てられた直後という状況だ。
 そして信長の近況はというと,まだ磐石の体制を整えてはおらず,逆にかなり危うい立場である。今川義元の上洛の邪魔となっており,周囲にはほかにも強豪勢力がひしめいている。信長が掲げる“天下布武”への道のりは険しく,その傘下に名を連ねたばかりの藤吉郎は,これより先の人生のすべてを,信長の野望に捧げていかねばならない。

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織田家の家臣は凄腕の武将が揃っている。新参者の自分にとっては逆境のようだ
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ゲーム開始時は,前田利家からレクチャーを受ける。全体的に情報量の多いゲームだが,チュートリアル関連は充実している

 序盤は主に,奇数月に行われる“評定”を軸にゲームが進んでいく。これは現代のサラリーマン社会でいうところの社内会議に近いもので,2か月間の主命成果の報告を行い,同時にこれからの目標設定を行う場だ。

 評定を通じて信長から受けられる主命の中には,徴兵や城の増築などの重要な仕事もあるが,足軽組頭の身分である藤吉郎にとって,それらはまだ早い。最初は,自分自身の修行や軍馬の購入など,割とささやかな仕事が中心となる。こういった主命を次回の評定までにきっちりこなすことで,“勲功”ポイントを獲得し,少しずつ身分が上がっていくというわけだ。

 ただし主命とは,武将としての最低限のノルマに過ぎない。信長の配下にはすでに,柴田勝家や前田利家をはじめとした有力武将がいる。また,何かにつけてライバル心をむき出しにする佐々成政のような人物もいる。こういった中で新参者の藤吉郎が頭角を表すには,主命以外にも積極的に己を鍛え上げ,さまざまな技能を身につけ,財力を蓄えていく必要がある。

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主命は自分の身分によって,いくつかある中から選べる。そのプロセスを通じて新たな技能も習得し,武将として成長していけるだろう
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初めてのタイプの主命をこなす際は,関連していそうな施設へと向かってみよう。大体の場合,そこでチュートリアルを受けられる

 そうこうしながらゲームプレイを進めていると,ほどなく劇的なイベントがいくつか発生する。織田信長が今川義元を打ち破ったことで知られる“桶狭間の戦い”や,藤吉郎にとっては憧れの存在であった“ねね”との結婚など。これらのイベントに対し,どのように関わっていくかはプレイヤー次第だ。
 ちなみに結婚に関しては,藤吉郎の相手はねねのみだが,ほかのキャラクターでプレイしたときには,結婚相手を自由に選べる。

 藤吉郎は勲功を積み重ねていくことで,次第に城持ち武将,そしてゆくゆくは一国の主となっていく。信長の没後に天下人への道を駆け上がるようになる頃には,評定を通じて,自分が配下の武将へ主命を下す立場となる。ここまで来ると歴史シミュレーションの意味合いも強くなってくるが,その一方で単身ぷらりと街へ繰り出したりすることも依然として行えるのが,本シリーズらしいところだ。

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時は風雲急を告げており,主命をこなすだけでは平凡な人生で終わってしまう。+αをこなして初めて,頭一つ抜けることができるのだ
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妻が迎える我が家にてほっと一息。登場人物の喋り方一つを見ても,時代考証を丁寧に行なっているのが分かる


リプレイアビリティが非常に高く

ライトプレイヤーにもおすすめ


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スキルを身につけるには,優れた人物に“技能師事”を請うのが早道。ある程度の金銭と日数が必要なので,主命を終えたあとがよいだろう
 個人視点でゲームが展開する本作では,例えば剣で試合を行ったり,取引時に値引きを試みたり,薬剤を調合したりといった活動が行える。また,ゲームが進展すると合戦や攻城戦にも関われるようになる。これらの活動が,それぞれ別々のミニゲーム仕立てとなっているのも本作の特徴の一つだ。


 ミニゲームとはいってもなかなか手の込んだ作りとなっている。一例として,剣技を競う個人戦のモードを見ていこう。
 これはターン制の展開となっており,流れとしてはターンが開始する際に「移動方向」と,「その後の攻撃方向」の二つを決め,そのあとに敵と味方が同時に動く。つまり,相手の移動方向/攻撃方向を先読みしたうえで,その死角へと回り込んで攻撃ができればベストというわけだ。
 剣や槍,鎖鎌などといった武器種別によって威力や射程範囲が異なり,また必殺技のスキルも用意されている。このモードにまつわるノウハウだけでも,紹介しだしたらきりがないほどのボリュームだ。

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個人戦モードの画面。ターン制のゲーム展開なので,アクションが苦手な人でも大丈夫
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こちらは医師のもとでスキルを身に付けている場面。決まった量の薬膳を柄杓ですくって集めるというミニゲームだ

 木下藤吉郎でプレイする場合は,親しい武将に手合わせを申し込んだり,居酒屋での労働時に暴漢に絡まれたりしたときに,この個人戦が発生する。
 また,本作のプレイを剣豪の“柳生石舟斎”で行う場合は,この道を極めることが最大の目標の一つとなる。そのプロセスにおいて,大名の兵法指南役となったり,天覧試合に出場したり,自分自身の流派を興して門弟を育成したりといった展開も起こりうるのだ。

 本作の購入直後で“札”が揃っていない状態でも,木下藤吉郎(足軽組頭)のほか,剣豪,海賊,忍者,商人の主人公でのプレイが可能だ。また,医者,茶人,鍛冶屋などを副業または本業にすることもできる。それぞれゲーム展開は全然別物といってよく,リプレイアビリティはかなり高い。

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行動に応じたミニゲームがある。落ち着いて考えればそれほど難しくはないが,制限時間が短いためか意外と緊張する
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自分の能力に応じて,街などで請け負うことのできる仕事の幅も広がっていく。主命を終えたら自分磨きの時間だ

 では,そろそろレビューとしての締めに入ろう。個人的に太閤立志伝シリーズは今回が初プレイで,もっと率直に言うと,歴史は嫌いではないものの,同社の歴史ゲームがそれほど得意ではない。では本作をプレイした感想はどうだったのかというと……これが結構楽しめた。その大きな理由は,やはりゲームプレイが個人視点で行われる,という部分が大きかったように思える。

 あまりにも自由度が高いため,最初は何から手を付ければよいのか若干戸惑ったものの,それも深く考える必要はない。プレイヤーは好きなことを行えばよく,本作のゲームシステムにはそれだけの懐の深さが用意されている。必要なのは,目的のためには具体的に何をすれば良いのか,という知識だけだ。

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柳生宗巌で剣豪プレイ。武士の木下藤吉郎とはまるで違う展開が楽しめ,それぞれの立場で当時の歴史を体験できる
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合戦モードはヘックス状のマップで行われる,おなじみのタイプだ。信長シリーズなどと比べるとシンプルな作りで遊びやすい

 この点についてもゲーム内ヘルプが丁寧に作られており,また登場人物の漢字にルビが振ってあるなど,細かいところも含め初心者への配慮がしっかりしていると感じた。第5作という位置づけではあるが,長期シリーズ物にありがちなハードルの高さが見受けられないのは,さすがコーエーの歴史ゲーム! といったところである。

 本作は今でも名作との誉れが高く,PC版やPlayStation 2版の経験者なら,懐かしさもあって,PSP版に興味を持ちやすいだろう。だが個人的には,そういった熱心なファンだけでなく,最近歴史に興味を持ったようなライトプレイヤーにも,ぜひともプレイしてもらいたい秀作だ。「戦国時代に生きてみたい」と一度でも夢想したことがある人なら,間違いなくハマるはずである。

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目的達成やスキル習得により,「札」を獲得していく。コレクション要素としても楽しめるが,これによって新キャラ等がアンロックされるのが楽しい
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ムービーも含め,移植度は満足のいくレベル。ベースが昔のタイトルなのでやや地味だが,ゲームの魅力は色あせていない
  • 関連タイトル:

    太閤立志伝V

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