インタビュー
「Jリーグファンが盛り上がれるコミュニケーションツールにしたい」。「J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう!ONLINE」が目指すところを開発陣に聞いた
本作は,「プロ野球チームをつくろう!ONLINE 2」(以下,YTO),「プロサッカークラブをつくろう!ONLINE 2」(以下,STO)に続く,PCオンライン版「つくろう」シリーズの第3作という位置づけ。
これらの運営経験を踏まえ,Jリーグを題材として新たに生まれたJサカONLINEが目指すもの,面白さのポイント,そしてちょっとした攻略のヒントまで,プロデューサーの瀬川隆哉氏とディレクターの佐藤高一氏に聞いた。
「J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう!ONLINE」公式サイト
より多くの人が気軽に楽しめることを重視した
男色ディーノ(以下,DD):
瀬川さんには,以前YTOでインタビューをさせていただきましたが,そのときにチラッと教えていただいたのが,JサカONLINEだったんですね。
はい,1日10分のプレイで済む新規コンテンツということで当時お話しさせていただいたのが,実はJサカONLINEでした。
DD:
JサカONLINEも楽しくて,βテスト開始の情報を得て以来,ずっと遊び続けています。1日10分ずつ。
瀬川氏:
ありがとうございます。
正式サービスは4月1日に開始したばかりで,今後もいろいろ要素を追加していく予定ですが,ゲームの基本コンセプトである“1日10分のプレイで楽しめる”という部分は,うまく形にできたかなと思っています。
DD:
STOよりも,手軽さという意味ではYTOに近くなっていますよね。それもあって,凄く遊びやすいなと。
今回は,とにかく軽いものにしようと決めていました。より多くの人が気軽に遊べるようなものじゃないと,時代に合っていないですし。
もちろん,1度のプレイで長時間楽しんでいただける方もたくさんいらっしゃって,それはそれで凄く光栄に思っているんですが。
DD:
最近だと,気軽に遊べるオンラインゲームとしてブラウザゲームが注目されていますが,JサカONLINEをブラウザゲームとして開発しようというお考えはなかったんですか?
瀬川氏:
セガとしてブラウザゲームに興味がないわけではありません。ただ現状,ブラウザゲームだと3Dの描画が難しいことや,そういった部分をクリアしながら新しいものを作るとなると,制作期間も延びてしまうだろう,と。
STOなどで培ったノウハウや,選手のモーションやモデルのデータなどを活用して,できるだけ早く……今年の春にサービス開始を目指そうと考えて,今回はクライアントインストール型を選びました。
DD:
今できることで全力をつくそうということですね。
今回はつくろう!ONLINEシリーズで初めて,最初から月額プレイ料金は無料ということで正式サービスに突入しましたが,プレイヤーからの反応はいかがですか?
瀬川氏:
オープンβテスト時は,正式サービスでいうところのプラチナ会員相当(30日間/税込み980円)の機能を皆さんにお試しいただいていたんですが,そこに対して驚かれた方はいるようです。
実は,自分も気付いたらチームカラーの枠が減っていて,「ああ,正式サービスが始まったのか」と認識したクチです(笑)。まあ,減ったというか,βテスト時が多かったということですよね。
プラチナ会員には,獲得ポイントが1.5倍になるといったメリットがありますが,無料会員のままでもとくに困らないのにも,いい意味で驚かされました。
瀬川氏:
コンシューマのスポーツゲームで得たデータなんですが,サッカーはプロ野球に比べると全体的にファンの年齢層が低いようです。それを考えると,コンスタントにお金を払わなければゲーム的に厳しいという内容にすると,あまり受け入れられないのではないかと考えたんです。
DD:
確かにチャットなどを見ていても,全体的に若い印象はありますね。
日本代表戦の日などは,やっぱりチャットでも盛り上がっていましたし。
瀬川氏:
YTOでも採用しているんですが,ゲーム内に「日刊スポーツ」のニュースが配信される仕組みを入れたりして,同じプロスポーツを好きな方達同士が,チャットで盛り上がれるような場を作りたいという狙いはあります。ゲームの操作をしている時間以外は,サッカーの話題を語り合っていただけるように,と。
DD:
そういえば,YTOのときにはWBCで日本中が盛り上がっていた時期に,会員数が増加したとのことでした。今年はサッカーのワールドカップがありますね。
瀬川氏:
はい。今年は特別な年なので,そこに新しいサッカーのコンテンツを出すというチャレンジをしてみたかったんです。これでサッカー界も,Jリーグも,JサカONLINEも盛り上がってくれると嬉しいですね。
DD:
そのためにも,日本代表頑張れ! と(笑)。
瀬川氏:
ゲームと関係なくても勝ってほしいですけどね,やはり(笑)。
好きな選手を集めて理想のチームを作れるのが面白さの中心
DD:
今回のJサカONLINEの面白さは,どこにあると考えていますか?
やはり自分の好きな選手で,自由にチームを作れるところですね。サッカーが好きな方なら,誰もが一度は理想とするチームを考えたことがあると思うんです。
ただ,欲しい選手のカードを指定して手に入れられるわけではないので,トレードを活用して集めたりする必要はあるんですが,そこもまた面白さの一つだと思っています。
瀬川氏:
最終的に思い描いているチームにするために,何をどうやって積み上げていくかというのも,面白さを考えるうえでは大きいですね。
コストの制限や連携を重視するか,あるいは能力の高い選手を一人入れて,その選手を中心としたチームを作っていくかなど,プレイヤーによってチームの作り方が変わってくると思います。
DD:
そしてチーム作りの中に,選手を育成する要素も入っているということですね。
佐藤氏:
はい。好きな選手をどうやって育てて,どのタイミングで実戦に投入するかといったことも,プレイヤーによって差が出てくるものだと思います。
5シーズンめぐらいになると,それまでやってきたことの成果が目に見えて出てきます。
瀬川氏:
全部の要素が繋がってきますので。
佐藤氏:
そういったことを考えるのも,サッカーの面白さですし,それをJサカONLINEで再現したいと思っています。
DD:
STOと比べると,面白さの核の部分がだいぶ違いますよね。
佐藤氏:
STOは,どちらかというとコンシューマ版の「サカつく」シリーズと,面白味は似ていたと思います。選手を集めてチームを作るというのは共通していますが,いかにして育てていくかという部分を重視していました。
JサカONLINEでは,それよりも編成の面白さに重点を置いています。
つくろうシリーズの基本コンセプトは,自分が監督になれたらどんなチームにするか,というところです。
そのうえで,ほかの人とどう戦っていくかという部分がキモになっています。やはり,コンピュータやNPCに負けたときに比べて,ほかのプレイヤーに負けたときのほうが悔しいですし。
DD:
つくろうシリーズに限らず,オンラインで対戦できるゲームって,本当にそういうところがありますよね。なんでこんなに悔しいんだろう? っていうぐらいに。
瀬川氏:
はい。それにオンラインだと,協力もできますので。つくろうシリーズだと,トレードみたいな形ですが。
そうやって作り上げていくチームって,プレイヤーごとに違うものになっていきますし,それがぶつかり合うという部分が,YTOやJサカONLINEの一番面白い部分かなと。
DD:
さらにいうと,コンシューマ版より,未知のチームを作り上げていくワクワク感も大きいですよね。
瀬川氏:
そうですね。コンシューマだと自分で特定のチームからスタートしたりもできますが,チーム名から自分で作っていけるという部分は,感情移入もしやすいだろうなと思います。
DD:
何から何まで自分だけのチームになっていきますもんね。
YTOとJサカONLINEは,相互に影響し合うタイトルに
DD:
JサカONLINEってSTOというよりは,YTOに近いと思うんですが,YTOにあってJサカONLINEにないものとして,監督がありますよね。これは,あえて外したんでしょうか。
瀬川氏:
監督は現時点ではライセンス上の制限があって実現できていないんですが,それがクリアになれば,いずれ何らかの形で反映していきたいと考えています。
DD:
サイクルの日数は,YTOとJサカONLINEでほぼ同じぐらいですよね。
はい。サイクル自体は,YTOが34日でJサカONLINEが33日と大きく変わりませんが,JサカONLINEの場合,リーグ戦は5日で終わります。
DD:
サイクルの日数がほぼ変わっていないのは,なぜですか?
瀬川氏:
獲得した選手をどれぐらいの期間使えるかという観点で見て行くと,だいたい1か月ぐらいがちょうどいいと考えたからです。
DD:
細かい部分でいうと,選手のパックが入れ替わったりする時間も,YTOとは違いますよね。心なしか早くなっているというか。
瀬川氏:
これも先ほどお話ししたとおり,年齢層が若い方もいるだろうということで,YTOでは24:00更新だったものを22:00更新に変更しています。
DD:
YTOと比べて,選手のパラメータをある程度いじれるようになっているのはなぜですか?
瀬川氏:
まずJリーグの選手数が,プロ野球に比べて倍近く多いというのがあります。
DD:
クラブの数からして違いますもんね。
瀬川氏:
はい。そうなると,一人一人の選手の差別化がしにくい部分が出てきてしまいます。
そこで,選手への思い入れを強くできるような要素を入れたいと考えました。この選手が好きだから,こういう風に成長させよう,というような形で。
ああ,それでトレーニングやスキルなんかも活用すると,同じ選手でもほかのプレイヤーのチームにいる選手とは違うような感じになっていくんですね。
こういうアイデアは,YTOのときにはなかったんですか?
瀬川氏:
実はYTOでも考えてはいました。
ただ,YTOも運営期間が長くなるにしたがって,サポートカードをはじめとしたいろいろな要素が増えてきましたので,これ以上,要素を増やしてしまうと1日10分で気軽に遊べるゲームではなくなってしまうという心配がありました。
DD:
まあ,現状でも長時間遊んでいる人はいるんでしょうけど,誰にとっても重いゲームになってしまうと,最初のコンセプトからもずれてしまいますよね。
瀬川氏:
はい。ただし,JサカONLINEで評判が良かったら,今度はYTOに持って行くような考えはあります。逆に,YTOで評判の良かったものを,JサカONLINEに持って来ることは今後もあります。
DD:
両タイトルで違うものを試しながら,入れ替えたりしていくということですか?
瀬川氏:
詳しくはお話できませんが,そういったことも可能なシステムにはなっています。
DD:
そういえば,選手を留学させるシステムなんかは,YTOでは途中で実装されたものですよね。JサカONLINEでは,初めからありますが。
……留学システムって,使ったほうがいいものなんでしょうか?
佐藤氏:
トレーニングに比べて留学のほうが,アップする能力値の上限値が高いです。あと,留学させた選手が能力爆発をすると,留学をさせない場合の上限値以上に能力値が伸びます。
DD:
えっ,そうなんですか!
能力爆発するかどうかというのは,選手ごとに隠し持っているパラメータなんでしょうか?
佐藤氏:
いえ,ランダムです。
留学させたからといって,必ずしも能力爆発するかというと,そういわけでもなく,なじめずに帰ってきてしまうこともあります。留学は一回しか行かせることができないので,ある意味でギャンブル的な要素となっています。
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