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Thermaltakeのゲーマー向けブランド「Tt eSPORTS」担当者に聞くその戦略〜一般&プロゲーマー用の2ラインナップで勝負
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印刷2010/04/07 19:53

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Thermaltakeのゲーマー向けブランド「Tt eSPORTS」担当者に聞くその戦略〜一般&プロゲーマー用の2ラインナップで勝負

Tt eSPORTSブランドを統括するTony Liu氏に話を聞いた(※写真はCeBIT 2010会場で会ったときのもの)
画像集#019のサムネイル/Thermaltakeのゲーマー向けブランド「Tt eSPORTS」担当者に聞くその戦略〜一般&プロゲーマー用の2ラインナップで勝負
 2010年3月のCeBIT 2010で正式に立ち上げられた,Thermaltake Technology(以下,Thermaltake)のゲーマー向け周辺機器ブランド「Tt eSPORTS」。4Gamerでは,CeBITの会場で,同ブランドを率いるThermaltakeのTony Liu(トニー・リュウ)氏と話をする機会が得られた……というのは3月9日の記事でお伝えしたとおりだが,イベント後しばらくして氏と再会し,さらなる続報を得ることができたので,今回はそれらをまとめてお伝えしたい。


Thermaltakeがゲーマー向けデバイス市場へ

参入した理由


上から順に,「Black」「Challenger Ultimate」「Shock One」の製品イメージ。各製品の概要は後述する
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 Thermaltakeは,CPUクーラーベンダーとして1999年に創業され,その後,PCケースや電源ユニットなどラインナップを拡充してきた。その流れのなかで,PCケースが,トーナメントで活躍するプロゲーマー達から使われるようになってきたのが,ゲーム用デバイス市場との最初の接点だという。そんな同社が,「ゲーマー向けPC周辺機器ブランド」へ取り組むきっかけになったのは,「2008年にドイツでプロゲームチーム『Team Thermaltake』を立ち上げ,ゲーマー達から,より多くのフィードバックを得られるようになったこと」だと,Liu氏は説明する。

 これら大量のフィードバックを受けて,Thermaltake社内に,ゲーマー向け周辺機器ブランドのプロジェクトチームを立ち上げたのが,翌2009年のこと。ほぼ同じタイミングで,台湾でもプロゲームチーム「Thermaltake Apollos」を結成するとともに,製品開発を本格化させたのだそうだ。

 Liu氏によると,Tt eSPORTSブランドの製品開発には,自分達のプロゲームチームだけではなく,Thermaltakeがサポートしているオランダやアメリカ合衆国のチーム,あるいはAbdisamad “SpawN” Mohamed氏など,複数のプロゲーマーから,フィードバックを受けているとのこと。とくにマウスの開発に当たっては,「モールディング(※プラスチック成形のモックアップ)を複数のチームに送り,大きさやボタンの配置,握りやすさなどを評価してもらった」と,Liu氏は強調している。

プロゲーマー向けモデルとして展開予定のメカニカルキーボード
画像集#005のサムネイル/Thermaltakeのゲーマー向けブランド「Tt eSPORTS」担当者に聞くその戦略〜一般&プロゲーマー用の2ラインナップで勝負
 「その割に,第1弾製品は,プロゲーマー向けっぽくないものばかりだ」と記憶していた読者がいるかもしれない。Liu氏はこの点を認めたうえで,「第1弾製品は,広くTt eSPORTSブランドを知ってもらうため,一般ユーザーもターゲットに入れたユニバーサルデザインを採用した。今後,プロゲーマーや,(そこまではいかなくても,ヘビーにゲームをプレイする)ハードコアゲーマー向けの製品も拡充していく。CeBIT 2010で公開したメカニカルキーボードはその尖兵だ」と,製品ラインナップ強化の方向性を示す。


一般ゲーマー向けとプロゲーマー向けの

2ラインナップが用意されるTt eSPORTS


 そう,Tt eSPORTSがターゲットとするユーザーは,大枠で,一般のPCゲーマーと,プロゲーマーの2タイプなのだ。そして,両方に対して,異なるコンセプトの製品を投入していくというのが,Thermaltakeの戦略となる。
 CeBIT 2010の会場で大々的にアナウンスされたマウス製品「Black」やヘッドセット「Shock One」,そしてキーボード製品シリーズ「Challenger」は,一般PCゲーマー向けの製品という位置づけ。3月9日の記事で,これらの概要はお伝えしているが,今回は,Liu氏に聞いた新情報も交え,あらためて紹介してみたい。


●Black


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 Blackは,Royal Philips Electronics製のレーザーセンサーを採用したマウスである。最大加速度は50Gで,トラッキング解像度はスクロールホイール近くのボタンによって,800/1600/3200/4000DPIから選択できる仕様だ。レポートレートは500Hz。重量は「製品化に向けた細部の作り込みによって変わってくる」(Liu氏)として明らかになっていないが,底面には,4.5g重の錘(おもり)を5個搭載できるウエイト調整機能が用意される。

 マウス本体のサイズは70(W)×120(D)×40(H)mm。数字だけ見ると,大柄な印象を受けるかもしれないが,「アジア人でも操作しやすいよう,気持ち小ぶりにデザインしている」(Liu氏)とのことだ。
 マウスの左右メインボタンは,「つまみ持ち」時に操作しやすいよう,軽めのクリック感を持たせているが,同時に「かぶせ持ち」でも違和感がないよう,配慮されているという。

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 なお,プロゲーマー向けとして準備中のマウスは,つまみ持ちとかぶせ持ちにそれぞれ特化した,固有のデザインを持つ製品になる見込み。2010年第3四半期には,お目見えすることになりそうだ。


●Shock One


 Tt eSPORTS第1弾の一般PCゲーマー向けラインナップ中,「ゲーマー達からのフィードバックを最も反映した製品に仕上がっている」とLiu氏が胸を張るのが,USB接続のヘッドセット製品「Shock One」である。

メッシュ加工されたエンクロージャを採用するオープンエアタイプながら,ノイズキャンセリングヘッドフォン機能を搭載するShock One
画像集#009のサムネイル/Thermaltakeのゲーマー向けブランド「Tt eSPORTS」担当者に聞くその戦略〜一般&プロゲーマー用の2ラインナップで勝負
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 Shock Oneでは,周辺の環境音を拾い,逆位相のキャンセリングノイズを生成するノイズキャンセリング機能を実装。オープンエア仕様のエンクロージャを採用し,クリアな音質を実現しつつも,外部ノイズに強い設計になっているという。
 そのサウンドは「銃声や爆発音などのゲーム内の音情報を的確に聞き取れるようチューニングした」とのことだ。

 また,Shock Oneでは,DTSのロゴプログラムに準拠し,左右に1基ずつ搭載する40mm径のフルレンジドライバーユニットによってバーチャル5.1chサラウンド機能を実現するのも大きな特徴となる。
 USB接続のヘッドセットだと,メーカー独自機能でない限りは,Dolby Laboratoriesのバーチャルサラウンド技術を採用する例が多いが,Liu氏は「DTSの『DTS Surround Sensation』のほうが,より自然で,立体感のあるゲーム音場表現ができると判断したため」と,その理由を説明している。

CeBIT 2010の会場で展示されていた,プロゲーマー向けのアナログ接続モデル。こちらの製品名はRound Oneになる
画像集#011のサムネイル/Thermaltakeのゲーマー向けブランド「Tt eSPORTS」担当者に聞くその戦略〜一般&プロゲーマー用の2ラインナップで勝負
 ゲーム用途という観点では,机の縁でこすれたり,鞄へ無造作に突っ込んで持ち歩いたりしたときに断線しないよう,ケーブルを三つ編みにすることで耐久性を高めた点や,長時間のゲームプレイに当たって好みの装着感を得られるよう,合皮とベルベット地,2種類のイヤーパッドを用意して,交換できるようにした点にも,注目してほしいと氏は述べていた。

 なお,CeBIT 2010の会場で公開された「プロゲーマー向けのアナログ接続密閉型ヘッドセット」は,製品名が「Round One」になる予定であることが明らかになったので,この点も付記しておきたい。


●Challenger


Challengerシリーズでは,ソフトウェアマクロ機能が用意される。現在,Thermaltakeでは,マクロの作成や編集を容易にするソフトウェアを開発中だが,「オンラインゲームやトーナメントでマクロを利用できないことは理解している」とLiu氏。オフラインのゲームや,ビジネスソフトウェア用の機能だという見解が示されている
画像集#012のサムネイル/Thermaltakeのゲーマー向けブランド「Tt eSPORTS」担当者に聞くその戦略〜一般&プロゲーマー用の2ラインナップで勝負
 CeBIT 2010の会場で「世界初のファン搭載キーボード」として紹介されたChallengerシリーズは,「日常的にプレイするオンラインゲームで,ほかのプレイヤーに対するアドバンテージを持ちたい」というプレイヤーの声を反映した製品と位置づけられる。
 Challengerシリーズは3モデルが用意される。4月中にも下位2モデルが世界市場へ投入される予定ということもあって,情報はほぼ出きっているため,新味はやや薄いが,ここであらためて,下記のとおり製品情報を整理しておこう。

  • Challenger:マクロは,ファンクションキーに最大六つ割り当て可能。容量32KBの内蔵フラッシュメモリに,3プロファイル,最大18マクロを登録できる
  • Challenger Pro:キーボードの左右両端に5個ずつ,計10個のマクロキーを装備。容量64KBの内蔵フラッシュメモリに,4プロファイル,最大40個のマクロを登録可能。また,赤色のイルミネーションLEDを搭載し,4段階で明るさを調整することもできる
  • Challenger Ultimate:基本デザインはChallenger Proと同じ。ただし,容量64KBの内蔵フラッシュメモリには最大70個のプロファイルを登録できるようになっているほか,LEDイルミネーションの色は256色から選択できる。ヘッドフォン出力とマイク入力の両アナログミニピン端子を搭載する

Challenger UltimateのバックライトLEDカラーを変更した例
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 シリーズに共通して,キーストロークはやや浅めの3mm。20キーの同時押し対応が謳われるが,これは「ファームウェアレベルで実現している機能であり,USBのパフォーマンス制限に影響を受けないよう配慮してある」(Liu氏)という。キースイッチにはメンブレンタイプを採用してコストを抑えつつ,1000万回の打鍵に耐えられるよう,キーの耐久性を確保することで,一部のキーのみ頻繁に押されることになるゲーム用キーボードでも長寿命を確保しているというのがウリだ。

 最大の特徴となる「手を冷却できるファン」には,「Hand Cooling Fan」という,そのままの名称が与えられる。当初,ファンのサイズは30mm角とされていたが,台湾で会ったLiu氏は50mm角と言っていたので,最終製品ではファンのサイズが変更になる可能性もありそうだ。なおLiu氏は,「口径の大きなファンや,高回転数ファンといったオプションも検討している」とも述べていたので,今後,“ゲーマー向け冷却ファン”が登場するかもしれない。

画像集#017のサムネイル/Thermaltakeのゲーマー向けブランド「Tt eSPORTS」担当者に聞くその戦略〜一般&プロゲーマー用の2ラインナップで勝負
 そして,その後に控えるのが,本稿の序盤でも紹介した,プロゲーマー向けのモデルだ。現時点で製品名は明らかになっていないが,いわゆる“Cherry 茶軸”と呼ばれるメカニカルスイッチを採用した,USB接続のモデルとなる予定である。
 本製品では,着脱可能なラバーコーティング済みパームレストが組み合わされる。また,各地を転戦するゲーマーの要望を受け,「ケーブル周りにミリタリークラスの耐久性を持たせる」(Liu氏)べく,PC接続用のUSBケーブルと,アナログ接続ヘッドセット用のサウンド入出力端子をキーボード本体へ引き出すためのケーブルが,メッシュ加工された頑丈なケーブルカバーで覆われているのが,大きな特徴だ。


ゲームコミュニティへの積極的な関与を続ける

Thermaltake,国内の動きも要注目だ


 Thermaltakeは2010年,「WCG」(World Cyber Games)のパートナーとして,同トーナメントをサポートしていくほか,台湾のアマチュアゲームトーナメント「TeSL」(Taiwan eSports League)のオフィシャルスポンサーを務めるなど,Tt eSPORTSをゲームコミュニティに密着したブランドとして定着させるべくプロモーション活動を展開中だ。

Tt eSPORTSの公式サイト
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 同時にLiu氏は,今後の製品開発において,「台湾でプロゲームチームを抱えるメリットを活かし,欧米とは体格が異なるアジア圏のプレイヤーに,広く受け入れられるデザインを積極的に展開していく」と鼻息荒く,さらに「日本市場からもフィードバックを得られるシステムを構築し,製品開発に反映させていきたい」と,日本市場でも本格展開を図る可能性を示唆している。

 Thermaltakeはすでに,Tt eSPORTSの公式Webサイトを立ち上げ済み。今後は,フォーラムやライブチャットを通じて,ユーザーから直接的にフィードバックを得るためのシステムも用意しており,これを軌道に乗せることで,ゲーマー視点での製品展開規模を広げていく腹づもりだ。
 果たして,日本市場へはどのようなカタチで上陸するのか,そして,一般PCゲーマー向け製品と,プロゲーマー向け製品,双方の第1弾製品はそれぞれ,どれだけの完成度を見せてくれるのか。今後の動きに注目していきたい。
  • 関連タイトル:

    Tt eSPORTS

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