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ポータル2【日本語版】公式サイトへ
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  • 発売日:2011/04/22
  • 価格:6090円(税込)
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世界中で大ヒットしている「ポータル2」のレビューを掲載。前作から正統進化を果たし,マルチプレイ実装など大幅パワーアップ
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印刷2011/04/26 00:00

レビュー

世界中で高い評価を獲得したアクションパズルの続編登場

ポータル2【日本語版】

Text by Chihiro


 一人称視点のパズルアクション「ポータル2【日本語版】」PC/Mac。以下,ポータル2)が2011年4月22日,サイバーフロントから発売された。
 ポータル2は2007年に発売された「ハーフライフ2 オレンジボックス」に同梱された「ポータル」の続編で(その後,単体でも発売),ポータルガンを使った斬新な内容と謎めいたストーリーが話題を呼び,欧米の多くのメディアのゲーム・オブ・ザ・イヤーを獲得した(関連記事)。

ポータルは1つでは使えないが,2つ作るとこのように通行が可能になる。入り口に入ろうとしている自分が見えるという,なんとも奇妙な体験が可能だ
画像集#001のサムネイル/世界中で大ヒットしている「ポータル2」のレビューを掲載。前作から正統進化を果たし,マルチプレイ実装など大幅パワーアップ

 前作の内容を簡単に説明すると,プレイヤーは壁や天井などに出入り口となる穴(ポータル)を開けることができる「ポータルガン」と呼ばれるデバイスを持っている。2つのポータルは,どんなに距離が離れていてもつながっており,プレイヤーはそれを使ってショートカットしたり,ジャンプでは届かないような高い壁を乗り越えたり,タレットの待ちかまえる危険な場所をクリアしたりするわけだ。
 ルールは単純明快で,スタート地点からゴール地点にたどり着けばオッケー。とはいえ,どうやって目的地に行けばいいのか頭を悩ます局面も多く,また,タイミングを合わせてポータルに飛び込んだりするようなアクション要素もかなり含まれていた。さらに,プレイヤーやオブジェクトには衝突判定があり,ちゃんと重力も働いているので,その影響も考慮してパズルに挑まなくてはならない。と,文章にするとちょっとややこしく感じるかもしれないが,実際にプレイすれば基本的なルールは誰でもすぐに理解できる。

画像集#002のサムネイル/世界中で大ヒットしている「ポータル2」のレビューを掲載。前作から正統進化を果たし,マルチプレイ実装など大幅パワーアップ
壁や床には,水色のドットが描かれている。仕掛けを作動させたりすると,この色が変化するので,一目で分かる
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 ポータル2でも,基本的なルールは前作同様だ。ストーリーにおいて重要な役割を果たしている(らしい)ハイテク企業,Aperture Scienceや,人工知能GLaDOSなども引き続き登場する。そのうえで,続編として新たな仕掛けがいくつも追加され,さらに協力プレイモード(Co-op)が実装されるなど,大きくパワーアップしているのだ。

 操作は基本的にキーボードとマウスで行うが,マルチプラットフォーム展開ということもあってか,ゲームコントローラーを使ったプレイにも対応しており,コントローラーの設定画面を開くとXbox 360コントローラのボタンレイアウトが確認できる。もちろん,どのデバイスで操作するかはプレイヤーの自由だ。
 注意してほしいのは,デフォルトでは字幕がオフになっているという点だろう。英語に問題がないという人以外は,ゲームを始める前に字幕を有効にしておこう。
 というわけで,さっそくポータル2の紹介にいってみよう。

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「ポータル2【日本語版】」公式サイト



命がけの大脱出が再び始まる

テクニックとひらめきを駆使して難関を突破しよう


 シングルプレイモードの主人公はChellという女性で,彼女がAperture Scienceの実験施設内で目覚めるシーンからゲームは始まる。ここで移動方法やカメラ操作など簡単なチュートリアルになり,それを終えるとChellは再び眠り落ちる。やがて彼女が目覚めると,部屋は荒れ果ててめちゃくちゃな状態だ。
 何が起きたのか把握できずにいると,Wheatleyという名前の,被験者を管理するロボットがやってきて,あまり要領を得ない説明を始める。その直後,施設が崩壊を始めるので,ChellはWheatleyにうながされる形で,施設を脱出を目指す……と,なかなかの急展開を見せるオープニングだ。

Wheatleyはレールに沿って動いており,Chellの近くに現れてはいろいろなことを話しかけてくる。GLaDOSはChellとは因縁ある人物で,かなり早い段階で再会することとなる
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 ゲームは10のチャプターで構成されているが,最後はムービーシーンだけなので,実際にプレイできるのはチャプター9までだ。最初はポータルガンを持っておらず,序盤の数ステージは,操作に慣れさせたり,ポータルの仕組みを理解させるために用意されたチュートリアル色の濃いもので,このへんの構成は,前作と同じだ。

 ポータルガンは,マウスの左ボタンで青色の,右ボタンでオレンジ色のポータルが作れるが,どこにでも穴をあけられるわけではなく,撃っても弾かれてしまうような壁も存在する。水面や金網などに使っても,かき消されるばかりだ。
 チャプターが進むほど,ポータルを作れない壁や場所が増え,どうやって先に進んでいいいのか分からなくなるが,もちろん,一見デッドエンドだろうと思える場所にもちゃんと解答が用意されている。
 序盤のステージはとても易しく,クリアには30秒もあれば十分といった感じだが,ゲームの進行に従って難度が上がり,初回プレイでは大いに頭を悩ませることになるだろう。

ポータルを作り,キューブを投げ込めばこのとおり,出たり入ったりを繰り返す。重力を常に意識して,パズルを解いていこう
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 筆者も謎解きに苦しめられ,立ち往生したまま時間だけがいたずらに経過していくということもあったが,ゲーム中にヒントが出ることはなく,基本的にプレイヤー自身があれこれ試行錯誤して答えを見つけなければならない。ステージ内を細かく調べ,仕掛けらしいものがあったら動かすなど,いろいろやってみることだ。ふと上を見たら,あら,あんなところにあんなものが,という経験はしばしばするだろう。

 動画投稿サイトには,攻略法が分かるプレイ動画がすでに,いくつもアップされているが,自力で問題解決したときの快感はかなりのものなので,ゲームをとことん楽しみたいなら,まずは悩み抜いてみよう。

 個人差の大きいゲーム内容なので,プレイ時間には幅があると思うが,だいたい10時間もあればエンディングを迎えられるのではないだろうか。筆者の場合は,およそ8時間でクリアできた。前作に比べれば,ちょっとボリューム不足という感じだが,そのぶんゲームの密度は濃いという印象だ。

 シングルプレイモードには,「開発者による解説」というオプションがあり,ここでは開発者のコメントを聞きながらプレイできる。開発者がどのような意図でこの仕掛けを作ったのか,キャラクターの役割は何か,ここのステージは何を狙ったのかなど,ゲームのかなり詳しい部分まで解説してくれるので,ゲームの理解が進む。普通のプレイヤーだけでなく,ゲーム開発に従事している人にも役に立ちそうだ。一度クリアしたら,こちらもぜひ遊んでほしい。

スタート地点からゴールまでは,障害だらけ。どんな仕掛けがあるのか,ポータルを作れる壁がどこにあるかなど,あちこち調べる必要がある
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ビームを遮断したり,スイッチを作動させるのに使える金属製のキューブ。ハートマークがついているのが愛すべき「加重コンパニオンキューブ」。Aperture Scienceのロゴが入ったのは「加重配置ボックス」だ。見た目は異なるが,役割は同じ
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 ゲームに登場人物するのは,Chell以外すべてロボットで,最初は無機質な印象を受けるかもしれない。しかし,お調子者っぽいWheatleyや皮肉や毒舌を吐くGLaDOS,幼い声が愛らしいタレットや,ハートマークがオシャレなコンパニオンキューブなど,プレイを進めていくうちに,それらのキャラクターが人間のように思えてくるはずだ。前作と比べると,全体的に可愛さが増したようにも感じる。
 ネタバレになるので詳しくは書けないが,個人的には,あるチャプターで訪れる工場内でのタレットの発言や,GLaDOSとのやりとりに心を奪われており,これはなんなのだろうか。機械萌え?


パワーアップした仕掛けの数々と,苦しくて楽しい謎解き


 ゲームを攻略していくうえで欠かせないテクニックとして,「フリング」がある。これは床のポータルに高い位置から飛び込み,もう一方のポータルから勢いよく飛び出すテクニックだが,飛び出したあと,落下中にポータルガンを撃つなどのバリエーションもあったりして,割と難しかったりするときもある。もっとも,前作に比べてポータル2のアクション性は減っており,前作でたまにあった,解き方は分かるけどタイミングが合わずに失敗,という状況はなくなった。個人的には,これは歓迎すべきことだと思う。

まずは出口を高い位置にある壁に作る(左)。そして入り口は地下に設置(右)。入り口に向けて飛び降りれば,大ジャンプが可能になる。視点がグルグル変わることもあるため,3D酔いを起こす人もいるかもしれない
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 ちなみにChellは,どんな高所から飛び降りても,履いているブーツが衝撃を吸収するようで,転落死はしない。しかし,タレットから一定以上撃たれたり,レーザービームに照射され続けたり,水に落ちたりするとおしまいだ。

 ステージ内には,ポータル2ならではの数多くの仕掛けが登場する。序盤のパズルこそ単純なものだが,チャプターが進むと「空中信頼性プレート」という,踏むと高く跳ね上げられる装置を使って移動したり,猛烈ダッシュが可能になる「推進性ジェル」を利用したり,光のトンネルのような「輸送ファンネル」に飛び込んだりと,用意されたさまざまな仕掛けを使うことになる。複数の仕掛けが同時に登場することもあり,それらをどういう順番で作動させていくか,頭を悩ませるはずだ。
 ステージに新たに何かが登場したら,それを使う必要があるのは100%間違いないので,まずは,あれこれ試してみよう。ポータル2の仕掛けは全体的に洗練されており,演出なども前作よりインパクトがあるので,やり応えは十分。次はどんな仕掛けが出てくるのかと,ワクワクしながらゲームを進められる。

高温阻止ビームを当てると,電気が供給されて仕掛けが動作する。阻止ビーム方向転換キューブを使えば,ビームの照射される場所を変えることも可能だ
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反発性ジェルの上でジャンプをすると,通常の何倍もの高さまで飛べる。これで高い場所に移動し,さらにそこから……といったパズルも豊富にある
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ハードライトブリッジは,太陽光から作られた橋。上に乗って移動できるほか,タレットの攻撃を防ぐので,シールドのような使い方も可能だ
輸送ファンネルは右から左,下から上など特定の方向に強い力が作用しているため,中に入ったら逆走はできない。人間以外にキューブやジェルなども運べる
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オンライン協力プレイを搭載!

2人で協力して難所を突破するのだ


 前作はシングルプレイ専用だったが,本作では2人のプレイヤーによる協力プレイが可能になった。このモードでは,ATLAS,もしくはP-BODYというロボットとして,お互いに協力しながらステージをクリアしていくことになる。一緒にプレイする相手は,Steamのフレンドリストにある友達をゲームに招待できるほか,自動マッチングも可能になっている。

左がP-BODYで,右がATLASだ。なかなか笑わせてくれるコンビで,彼らの様子を見ているだけでなごんでしまう
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 協力プレイ専用のコマンドとしては,「ジェスチャー」と「Pingツール」がある。ジェスチャーは,ステージクリアを祝してハイタッチをしたりなど,気持ちを表すアクションで,Pingツールは仲間に指示を出すときのアクションだ。Pingツールでは,移動してほしい場所や,押してほしいスイッチに照準を合わせ,Fキー(デフォルト)押下で目印をつけ,そのうえで「そこに行って」「スイッチを押して」などの指示を出すことになる。
 本作はボイスチャットおよびテキストチャットに対応しているが,ゲーム内のアクションでも意思疎通ができるのは,あまり例を見ない面白いゲームデザインだ。

ジェスチャーやPingツールを使えば,それなりに意思疎通ができてしまうからすごい。言葉や文字がなくても,これでなんとかなってしまうのだ
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カスタマイズ用のパーツで外見を変え,ほかのプレイヤーとの違いを出そう。オンラインゲームならではの楽しみだ
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 シングルプレイモードとは違って,お互いが協力しないと進めないため,実際にプレイすると,なんともいえない緊張感がある。筆者の場合は,野良プレイでまったく知らないプレイヤーと遊んだのだが,2人とも突破方法が分からず,何度も手詰まり状態に。Pingツールでいろいろ指示を出しつつ,スイッチを押したり,ポータルを作ったりなど試行錯誤を繰り返すうち,なかば偶然にクリアでき,思わず「やった!」と画面の向こうにいるプレイヤーに叫んでしまった。仲間と協力して難所を突破する喜びはオンラインゲームならではであり,FPSのCo-opと違って,アクションに自信がなくても楽しめるところも大きい。
 協力プレイモードをすべてクリアしたわけではないが,ボリュームはそれなりにあるという雰囲気。可能なら,仲の良い友人と一緒に,ああしよう,こうしようとしゃべりながらプレイするのが楽しそうだ。

 協力プレイではATLASかP-BODYのどちらかを使うことになるが,「Robot Enrichment」というメニューから,外見をカスタマイズすることができる。カスタマイズは,ボディのスキンを変えたり,帽子をかぶせたり,ジェスチャーを追加したりなど,多岐にわたっているが,必要なアイテムはSteamストアで販売されている。興味のある方はチェックしてみるといいだろう。

画像集#021のサムネイル/世界中で大ヒットしている「ポータル2」のレビューを掲載。前作から正統進化を果たし,マルチプレイ実装など大幅パワーアップ
1人が仕掛けを作動させ,もう1人がその仕掛けを使って先に進むなど,お互いに力を合わせないとクリアするのは難しい
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前作からの正統進化

今年絶対遊ぶべきタイトルの1つ


 ポータル2はゲームの性質上,答えを見つけてしまえば,すぐにクリアできるのだが,怪しげな世界観やキャラクター達がとても魅力的で,すぐまたプレイしたくなる。

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 ステージのデザインも秀逸で,パッと見には「これ,どうやるの?」と途方にくれても,あたりをいろいろ調べているうちにひらめくものがあり,思ったとおりにやったらクリアできた,なんてことも少なからず経験している。物足りなくなるほど簡単ではなく,投げ出したくなるほど複雑でもなく,難度のバランス調整は本当に感心するほどすばらしい。

 新登場となる協力プレイも,ぜひプレイしてほしい。仲間と協力してパズルを突破していくのはプレイのしがいがあり,シングルプレイモードとは異なるマップが収録されているため,新鮮な気持ちでプレイできるのも嬉しいポイントだ。世界中に数多くのプレイヤーがいるため,マッチングに待たされることもないだろう。

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 前作と比べモードも増え,内容はとても充実しているので楽しく遊べる一本だ。プレイは本当にエキサイティングで,驚きの連続だった。気になるとすれば,上にも書いたようにボリュームがやや不足気味なところだが,このへんは,今後おそらく出てくるであろうダウンロードコンテンツなどを期待したいところだ。

 日本ではPC版が先行して発売され,PlayStation 3/Xbox 360版は2011年5月19日の発売が予定されている。コンシューマ機のユーザーはもうしばらく待たなくてはならないが,いずれにしろ本作は,今年絶対遊ぶべきタイトルの1つだといえそうだ。ストーリーが分かったほうが,さらに楽しめるので,前作を未プレイなら「ポータル1&2パック【日本語版】」関連記事)というお買い得パッケージをオススメしたい。

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