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[CES 2017]VR対応製品を積極的に展開するMSIの新型ノートPCとデスクトップPCをチェック。小型PCは日本展開も期待
基本的には,Skylakeこと第6世代Coreプロセッサを採用した製品をベースに,CPUをKaby Lakeに変更したマイナーチェンジモデルが中心ではある。だが,たとえばノートPCでは,高リフレッシュレート対応の液晶パネルを採用する製品を拡充するといった具合に,CPU変更以外の点でゲームPCとしての魅力を高める工夫も凝らしている。
本稿では,CES 2017のMSIブースに出展されていた新型PCをまとめて紹介したい。なお,会場では詳細なスペックや価格は公表されなかったので,それらについては記載していないことをお断りしておく。
垂直120Hz対応液晶パネルが魅力
MSI製ノートPC
日本でも多くの製品が販売されているMSI製ゲーマー向けノートPCの新製品から始めよう。まず最初に,簡単なシリーズ構成について説明しておく。
MSIでは,ゲーマー向けノートPCとして,「GT」「GS」「GE」「GP」「GL」といったシリーズを展開している。このうち,本稿で取り上げるのは以下の3シリーズだ。
- GT:ハイエンド市場向けのシリーズで,大きめの筐体にアンロック版CPUやハイエンドのGPUを搭載する
- GS:薄型筐体を採用するモバイル用途にも適したシリーズ。GTほどではないが,スペックも高めだ
- GE:エントリ〜メインストリーム市場向けのノートPC。価格対スペック比重視の製品で,スペックはやや低めである
MSIは,今回の新型ノートPCの特徴として,VR対応をまず挙げていた。今回取り上げた製品は,すべてがGeForce GTX 10シリーズのGPUを採用しており,製品名にも対応を示す「VR」が付けられている。
また,すべての機種ではないものの,垂直リフレッシュレート120Hzに対応する液晶パネルを採用する製品が多いことも,特徴に挙げられていた。
ただ,競合のASUSTeK Computerが,120Hz対応に加えて,NVIDIAのディスプレイ同期技術「G-SYNC」にも対応してきたのに対して,MSIの120Hz対応液晶パネルでは,G-SYNCをサポートしない。その理由について,ノートPCの説明担当者に質問してみたところ,「120Hzの高速リフレッシュレートに対応する製品であれば,G-SYNCの効果は限られるので必要ではない」との回答が得られた。
ハイエンド市場向けのGTシリーズでは,「GT83VR 7RF Titan SLI」「GT73VR 7RF Titan Pro」の2製品を出展していた。
まず,GT83VR 7RF Titan SLIは,フルHD解像度の18インチサイズ液晶パネルを採用するノートPCで,名前にあるとおり,ノートPC用GPU「GeForce GTX 1080」を2-way SLI構成で搭載するハイスペックが特徴の製品だ。SteelSeries製のメカニカルキーボードを採用するのもポイントである。
なお,搭載する液晶パネルは,120Hz対応ではない。
薄型筐体が売りのGSシリーズは,「GS73VR 7RF Stealth Pro」「GS63VR 7RF Stealth Pro」「GS43VR 7RE Phantom Pro」の3製品がラインナップされている。
GS73VR 7RF Stealth Proは,17.3インチサイズで120Hz対応の液晶パネルを採用するのが特徴の製品だ。GPUとしては,ノートPC向けの「GeForce GTX 1060」を内蔵している。
15.6インチサイズの液晶パネルを採用するGS63VR 7RF Stealth Proは,120Hz対応の液晶パネルは採用しないものの,GS73VR 7RF Stealth Proより一回り小さい筐体に,同じGPUのGeForce GTX 1060を搭載するのがポイントだ。
GS73VR 7RF Stealth Pro |
GS63VR 7RF Stealth Pro |
GPUにはGeForce GTX 1060を採用するので,スペック的には一回り大きな兄弟機と変わらない点も特徴と言えよう。
最後ののGEシリーズには,「GE72VR 7RE Apache Pro」と「GE62VR 7RF Apache Pro」の2製品がラインナップされている。先に言ってしまうと,どちらも垂直リフレッシュレート120Hzには対応していない。
GE72VR 7RE Apache Proは,GEシリーズでありながら,GPUにGeForce GTX 1080を搭載するかなりハイスペックな製品だ。120Hz対応液晶パネルにこだわらないのであれば,GT73VR 7RF Titan Proよりも価格対スペック比に優れた選択肢となるのではないだろうか。
一方のGE62VR 7RF Apache Proは,今回紹介した新製品では唯一,ノートPC向け「GeForce GTX 1050 Ti」を採用する製品だ。グラフィックスメモリ容量が2GBのモデルと,4GBのモデルがラインナップされているのだが,2GBモデルでVRコンテンツに対応できるのか,疑問が残る。
GE72VR 7RE Apache Pro |
GE62VR 7RF Apache Pro |
マザーボードを斜めに設置する奇抜な製品や,薄型筐体の製品など,一風変わったラインナップのデスクトップPC
MSIがCES 2017で発表した新しいデスクトップPCには,日本市場で見かけることのない,奇抜な形状をしたPCがいくつもラインナップされている。これらの新製品を国内向けに販売するのかは不明だが,なかなか面白い製品が揃っているので,国内販売を期待したいところだ。
まず1つめの「Aegis Ti3」は,筐体内をGPU Chamber(GPU収納部),CPU Chamber(CPU収納部),PSU Chamber(電源収納部)の3つに分割している。本体の台座に当たるPSU Chamber部分が,前方が下がったくさび形になっているので,その上にくるGPU ChamberとCPU Chamberは,前側が下がり,排気を行う後ろ側が上になるという,斜め配置を採用しているのが最大の特徴である。
スペックも高い。標準でGeForce GTX 1080またはGeForce GTX 1070を2-way SLI構成で搭載し,CPUはアンロック版の「Core i7-7700K」を搭載するとのことだ。
「Aegis X3」は,ロボットかサイボーグの顔を思わせるデザインが特徴のデスクトップPCだ。縦に並んだV字形のスリットには,カラーLEDイルミネーションを内蔵。左右側面の前側には,折りたたみ式のヘッドセット用フックがあり,広げるとアンテナのように見える。なかなか面白いデザインだ。
こちらもスペックは高めで,GPUにはGeForce GTX 1080かGeForce GTX 1070を標準搭載,CPUにはCore i7-7700Kを採用するとのことだ。
小型デスクトップPCの「Trident 3」は,国内販売されれば注目を集めそうな製品だ。縦置きが前提の薄型ボディは,実測で高さが約350mm,幅は一番広い部分でも約70mmしかない。
この筐体に,GPUはGeForce GTX 1060,CPUにはCore i7-7700を内蔵し,VRコンテンツにも対応可能なスペックを備えている。適当な価格で日本市場に登場すれば,話題を呼びそうだ。
前面にはVRヘッドマウントディスプレイ接続用のHDMI出力端子を備えたVR用途向けのゲームPCでもある。持ち運びも可能と謳っているので,VRアプリのデモ用に使うのにも適当だろう。
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