インタビュー
鉄拳が目指すアクションゲームの究極とは――本日稼働開始の「鉄拳TAG TOURNAMENT2」。新宿平八こと原田Pが語る格闘ゲーム,その哲学
4キャラクターが入り乱れた,“真のタッグバトル”が実現
4Gamer:
では,キャラクターについてはこれくらいにして,ゲームシステムのほうに話を移していきたいと思います。システム的な見どころというと,やっぱり先ほどのタッグアサルト,ということになるでしょうか。
原田氏:
そうですね。見た目に派手なだけでなく,組み合わせるキャラクターによってコンボがさまざまに変わるので。「このキャラとこのキャラを組み合わせて……」と色々考える楽しみを,12年ぶりに味わってもらいたいと思っています。
新システム「タッグアサルト」
本作より追加された新システム。キャラが入れ替わりながら繋いでいく通常のタッグコンボとは違い,2キャラが画面内に残ったままで,同時にコンボを入れることができる。
一見お手軽にみえるが,タッグアサルトで呼び出した待機キャラクターは,回復可能ゲージ(体力ゲージの赤い部分)を喪失し,またタッグアサルトを決められた相手の待機キャラは,必ずレイジ状態になるというデメリットがある。
(1) バウンド誘発技がヒットする直前にTAGボタンを押すと…… (2) 待機キャラが登場。素早く技を入力してコンボを繋ぐ (3) 待機キャラが帰ると,元のキャラクターが操作可能に。さらに追撃を入れよう
4Gamer:
キャラクターが入り乱れてのアサルトコンボは,初心者にはちょっと難しそうに見えますが……そこはどうお考えですか。
原田氏:
そこもちゃんと考慮してますよ。アサルトコンボ時は一瞬スローになって,考える時間が取れるようになってるし,あとは交代ボタンを押しっぱなしにしていれば,パートナーが自動的にアサルトコンボを入れて帰っていってくれる(オートアシスト)。そこに追撃をあと1発,例えばポールだったら崩拳だけ入れたりとかね。
4Gamer:
なるほど。最初はそれだけでいいんですね。
原田氏:
そう。それでタイミングを覚えてきたら,いろいろとアレンジして好きな技を入れてみる。だから初心者の人も,気軽に触ってみてもらえればと思います。
4Gamer:
そのあたりは,これまでのショウバージョンでも度々変更が加えられていて,苦労されていそうな印象でした。
原田氏:
苦労しましたね。最初はハメや永久コンボが頻発しまして。鉄拳6の頃でさえ,コンボが長くなっていたので,そこのバランスを取るのは,本当に大変でしたね。
4Gamer:
そこはゲームシステムそのものというよりも,バランス調整になるんですね。バランス調整って,具体的にどんな作業なんでしょう。
原田氏:
バランスですね。バランスって,本当は無視したらすごく面白いんですよ。もう相手をボッコボコにできるんで。「うお〜何発入るんだよコレ!」みたいな(笑)。だけどあくまで対戦ゲームなので,相手のことも考えなくちゃいけない。かといって,双方が納得するような,無難なバランスがいいかというと,そうでもない。やる側の充実感は削らずに,やられる側のストレスもなるべく減らす。ここが格闘ゲームを作るうえでのジレンマというか,難しい部分です。
4Gamer:
ゲームのバランスというより,面白さのバランスが重要であると。でも調整をずっと続けていると,自分達でも何が面白いのか分からなくなってきませんか?
原田氏:
なりますよ。その辺を上手くまとめるのが今の自分の仕事ですね。開発中のバージョンを1か月ごとに触ってみると,みんなの迷いや苦悩の跡が見えるわけです。で,あまりにも煮詰まってしまっているときには,「鉄拳の面白さって何よ?」って基本に戻って考える。
それは重い1発であるとか……。
原田氏:
ドカドカ繋がるコンボとかね。でもダメージが減らないからって,あんまりコンボが長くなるのもどうかと思うし。だから「鉄拳3とか今やってみろ。これが大人気だったんだぞ?」って言って(笑)。あれが支持されていたんだから,そりゃそのままはダメだけど,そのキモとなる部分はもってことないと。ビビってちゃダメで,自信を持って調整するべきなんです。もちろん,あまりにも大味な調整になっているときには注意もしますけど。
4Gamer:
個々のキャラクターのバランス調整についてはいかがですか。鉄拳6からキャラクター達がどう変わったのかというのも,気になる部分だと思うんですが。
原田氏:
うーん。ロケテストの段階で,よく皆さんから「このキャラのこれが弱くなったから〜」というような意見をもらうんですが,今回はあくまで,2人の組み合わせで戦うゲームだということを,まず忘れないでほしいんですよ。個々のキャラクターの強さも確かに重要ですが,「タッグとして組み合わせたときにどうか」ということに気を使わないと,全体のバランスが取れない。その辺は,調整スタッフが上手くやってくれているので,そこは信頼してますね。
4Gamer:
なんでも,特定のタッグのみの専用技も用意されているとか。
原田氏:
あります。今回から,4人同時に描画できるようになりましたからね。いくつかのタッグの組み合わせについて「特殊タッグ投げ」を用意しています。ゲームバランスだけを考えるなら,特定タッグだけの専用技を作るのは良くないんですけど,そこは遊びの部分ということで。
4Gamer:
それはキャラごとのストーリーだとか,設定で仲の良い組み合わせとかで?
原田氏:
ですね。そこもタッグ制の面白いところなんで。かなりスペシャルな専用技もあるので,ぜひ探してみてほしいです。
「タッグ投げ」とは
「RP+TAG」で発動する「タッグ投げ」。2人のタッグキャラが連携した投げを繰り出す。タッグ投げは,通常のタッグコンボと同様に相手の回復可能ゲージを削れるほか,安全に交代ができるというメリットもある。
カッコイイ技がそろった「タッグ投げ」。さらに特定のキャラクターの組み合わせでは,さらに特殊なタッグ投げが発動することも
4Gamer:
あとはゲームの周辺部分,段位などのランキングやチームなどについてもお聞きしたいのですが,今回かなり盛りだくさんですよね。
原田氏:
いろいろ入ってますね。チームに関しては,エンブレムや新しいミッションの追加はもちろんありますし,乱入促進イベントの「賞金首」とか。あとチームじゃないですけど,ファイトマネーが筐体に溜まっていく「ジャックポット」とか。
4Gamer:
ジャックポットというのは,ゲームセンターごとに溜まっていくイメージでいいんですか?
原田氏:
そうですね。時間ごとにどんどんファイトマネーが溜まっていき,ときおりそれが放出されて,ジャラジャラ出るという仕組みで。だから「あの店のジャックポットが溜まってるらしいから,今日はそっちに行こうぜ」なんてこともあるかもしれない(笑)。
4Gamer:
つまり,空いてるゲームセンターだと,ジャックポットが狙いやすいだろうとか。それはお店にとってはありがたいシステムですね。
原田氏:
あとは今回から,Webが見られるほとんどの端末に,TEKKEN-NETが対応します。PCはもちろん,iPhoneでもAndroidでもWillcom系でも,どれからでも見られますよ。今まで「TEKKEN-NETのせいで機種変更できない!」と嘆いてた人達も,ようやくスマートフォンに乗り換えられるという(笑)。
「チームシステム」とは
カードを利用している人同士でチームを組める「チームシステム」。いわゆるギルドのようなもので,TEKKEN-NETからメンバーの情報が閲覧できるほか,毎週開催される「チームトライアル」イベントに参加したり,オリジナルのエンブレムで結束を高めたりができる。
また対戦を重ねてチームレベルが上昇すれば,チームメンバーの上限(初期30名)も徐々に増えていくとのこと。なおチーム名は「鉄拳6BR」から引き継ぎも可能だ。
4Gamer:
ああ,いますねそういう人(笑)。それはプレイヤーにとっては大きいです。確かカードも1枚でいけるんですよね。
原田氏:
1枚ですね。だって人によったら20枚とか,普通に持ち歩いてるわけですよ。流石に40枚までは見たことないですけど……
4Gamer:
実は40枚持ってる人,見たことあります(笑)。
原田氏:
ええーっ。だってものすごい厚さになりますよ(笑)。ただ僕もゲームセンターに見に行くんですが,それほどコアな人じゃなくても,結構な枚数を持ってるんですよね。色んなキャラを使う人って,対戦の直前にカードの束から目当てのキャラを探すじゃないですか。それじゃカードは紛失するわ,ゲーセンの回転率は落ちるわで良くないと。今回からは,ID番号さえ控えておけば,瞬時に新しいカードに引き継げるようになっているので,カードを紛失しても困らない。
4Gamer:
いいことづくめですよね。
原田氏:
いや,そう思うじゃないですか。そうしたら今度は「カードのデザインが色々あるのに,1枚しか持てないのは寂しい」という人が出てきて。……いったいどうしろと(笑)。
4Gamer:
逆に今までたくさんカードを持っていた人からすると,物足りなく感じてしまうのかもしれませんね(笑)。ちなみに,カードの使用度数とかはあるんですか?
原田氏:
無制限です。なので,破損しない限りは1つのカードを使い続けられます。あとFelica対応の携帯電話なら,カードを使わなくてもそれでいけますし。だからどうしても違うデザインのカードに変えたいという人は,新しいカードに引き継いでもらうしかないかな……。
4Gamer:
あとはライブモニターの話も少しお聞かせいただきたいと。
原田氏:
ライブモニターは,今回から海外のランキングも見れるようになっています。オーストラリア,ニュージー ランド,韓国,タイ,フィリピン,台湾,中国,シンガポールなど,多くの国をフォローしています。海外の強豪プレ イヤーの対戦リプレイには,皆さんも興味があるでしょうから,注目してもらいたいです。ちなみに,今回から,ゴースト(※プレイヤーの動きを再現したCPU。自分のゴーストが勝利するとファイトマネーが溜まる)も海外出張するようになっています。
4Gamer:
気づいたら,自分のゴーストがオセアニアで出稼ぎしてたみたいな。
原田氏:
そうそう。その結果はちゃんとサイトで見れるようになっています。ゴーストの学習能力も以前より上がっているので,そのあたりも面白くなっていると思いますよ。
世界に広がり続ける「鉄拳」シリーズ。各国での受け止められかたは?
4Gamer:
先ほどのライブモニターのお話でも,本作では「世界との繋がり」を重視されているように感じているんですが,鉄拳というゲームの受け止められ方は,日本と海外で,なにか違いを感じられますか?
原田氏:
そこは家庭用かアーケードかで,事情が異なります。まずアーケードに関して言えば,あまり変わらないですね。今のアーケード市場って,国外だとアジアとオセアニアに集中していて,日本を含め,90%の市場がこの地域なんです。つまり欧米には,もうゲームセンター自体がない。
で,鉄拳の面白いところは,家庭用になったとたん市場が逆転するところ。家庭用だと,今度はセールスの90%が欧州と北米になります。鉄拳シリーズは,シリーズ累計出荷が4000万本って,よくキャッチコピーになってますが,うち2000万本はなんとヨーロッパです。例えば1タイトル400万本売れた場合,250万本がヨーロッパ,100万ちょっとが北米で,残りを日本とアジアで分け合うようなイメージです。アーケード市場と家庭用市場の関連もありますが,地球の東西でこれだけシェアが逆転するタイトルはちょっと珍しいですよ。
4Gamer:
では,ことアーケードに関しては,盛り上がりはどこも一緒だと。
原田氏:
ですね。ああ,でも韓国だけはちょっと異質かもしれない。「鉄拳クラッシュ」という番組があるんですが,それが凄い人気で。番組のトーナメントで,決勝に3回ぐらい行くとプロゲーマーになれて,税金の優遇と兵役の免除がある,みたいな。
4Gamer:
ああ,聞いたことがあります。さすがプロゲーマーの国ですね。韓国の鉄拳人気って,やはり「鉄拳クラッシュ」に負うところが大きいんですか?
原田氏:
その番組というか,ゲームで人生変わるらしいですからね,あそこは。番組を見てる人の8割は,鉄拳をやってない,もしくは昔やっていた人らしく,「K-1」を見るような感覚で観てるんですよ。向こうはゲーマーの地位が高いですね。選手ごとにファンがいたりする。あんまり番組が人気過ぎて,今度は「鉄拳ヒーロー」ってスピンオフ番組までできたくらい。もう何がなんだか。
4Gamer:
それはどんな内容なんです?
原田氏:
これは「鉄拳クラッシュ」で活躍している選手が出てきて対戦したり,上手くなるコツをレクチャーしたり,みたいな90分番組で。僕も一昨年くらいに,カメラに向かって「鉄拳ヒーロー見てね!」って何回も言わされて,なんのこっちゃと思ってたんですよ。それである日韓国行ったら,番組のCMに俺が出てきて,「鉄拳ヒーロー見てね!」とか言ってるの。それで「これか!」と(笑)。
(一同笑い)
4Gamer:
確か「鉄拳クラッシュ」が始まったのは,「鉄拳6BR」になってからですよね。でも,その前から人気はあった?
原田氏:
人気はありました。3あたりから人気が出はじめて,TAG1でブームが来たんですよ。あの当時は「スタークラフトか鉄拳か」って言葉があったくらいで。それで鉄拳6BRになってから実験的にTEKKEN.NETを稼働させたら,受注が2倍,3倍に増えたんです。だからTEKKEN.NETの影響も大きかったと思います。
4Gamer:
個人的には,なぜストリートファイターでもバーチャファイターでもなく,鉄拳だったのか,というところに疑問に感じてるんです。
原田氏:
そうなんですよ。それは僕も知りたくて,いろいろ調査したり,向こうの人に直接聞いたりするんですけど,「面白いからじゃないですか?」とか言われて。いやそれを言ったらほかも面白いだろうと(笑)。その中で一つ共通していたのは,格闘ゲームの中では,比較的早めに勝負が付く,スピーディだからという理由。でもTAGはそうでもないと思うんですよね。
4Gamer:
ということは,原田さんご自身でも理由は謎だと。
原田氏:
謎ですね。これが香港へいくと,鉄拳の人気は下がるんですよ。代わりに「ガンダムVS.」シリーズが大人気で。でも中国本土だと,今度は「ガンダムVS.」がダメで,鉄拳が大人気。面白いんですよね。ただアーケードの盛り上がり,その方向性という意味では,日本とあまり変わらない。これが家庭用になると,まったく違うんですが。
4Gamer:
というと?
海外は自主的に格闘ゲームのイベントを開いてくれることが,すごく多いんですよ。「Evolution」なんかはその最たる例ですが,地方でも5〜600人規模の大会が沢山ある。日本だと,家庭用でファンが自主的に数百〜数千人が集まってイベントするというのはなかなかないですよね。アーケードならありますけど。
4Gamer:
確かに。日本だと,集まって何かやるとなると,どうしてもゲームセンターになってしまいがちです。
原田氏:
あとね,とにかく日本のプレイヤーはシビアなんですよ。これは僕らがアーケードを重視する理由の一つでもあるんですが,日本人は「ここが不快だ」と感じるところを言わせると世界一です(笑)。
(一同笑い)
原田氏:
これは決して悪い意味じゃないんです。ちゃんと「悪い意味じゃない」って書いてくださいね(笑)。日本というかアジア全体の傾向ですけど,悪いところに対してはネガティブな意見がこと細かにあげられてくるんで,開発としても「なるほど,ここが駄目なんだ」というところがすぐに分かる。
これが家庭用になって,ヨーロッパの人やアメリカ人から意見をもらうと,彼らも悪いところはもちろん言うんですけど,もう「最悪の体験だ!」みたいな大雑把なことしか書いてこない(笑)。その代わりに,「ここが最高だぜ!」とか「これが面白んだ!」みたいなポジティブな意見,良いところや伸ばすべきところに関しては欧米から出やすい。つまり日本やアジア,欧米とそれぞれフィードバックに特色がある。それが開発には凄く役立つんですね。
4Gamer:
日本では,開発者は基本的に叩かれる役割,みたいなところがありますものね。
原田氏:
良くあるんですよ。ゲームセンターで「原田さんですよね。ちょっと聞きたいんですけど,レイのあの技ってなんでこうなってるんですか?」ってすごく丁寧に聞かれて,それに答えるとお礼をいって帰っていくんですけど。それで帰ってから掲示板を見ると「原田の野郎,こんなこと言ってやがったぜ,あいつ何も分かってねぇな!」とか書かれてて(笑)。
(一同爆笑)
原田氏:
「いやいや,これ書いたの絶対今日話したあいつだろ! あのとき敬語だったじゃん!」みたいなね(笑)。
ただこういうことは,必要なんですよ。これは小野さん(カプコンの小野義徳プロデューサー)も同じ意見なんですけど,「僕らヨーロッパとかアメリカで仕事してたら,絶対駄目になるよね」って。「超面白いぜ!」「凄いゲームだ!」ばっかり続けてたら格闘ゲームなんて作れない。そういう意味で16年間もプレイヤーに支持されるゲームを作り続けられてきたというのは,アジア,ひいてはアーケードという評価がシビアな市場があったからこそだと感じていますね。
4Gamer:
鉄拳の良い所に気づかせてくれるのは北米/ヨーロッパだし,鉄拳をより良くするための改善点はアジアが教えてくれると。確かに全然違う反応ですね。
原田氏:
あとアジアの人からは,自分が攻撃しているときも「やりすぎてるから嫌だ」と感じるようなフィードバックが多いです。北米/ヨーロッパでは自分が楽しければ,そこは不満に繋がりにくいという調査結果があるんですけど。「楽しいけど相手には申し訳ない」って意見を言ってくるのは,アジアだけってのが面白い。これはプレイヤーだけじゃなくて,開発者も含めてですね。
4Gamer:
え,開発側もですか。
原田氏:
僕らアジア人って,無意識に「面白いけどやり過ぎじゃないラインはどこか」というのを探りながら格闘ゲームを作ってる部分もあるんじゃないかと。だから日本製の格闘ゲームというのは,緻密で面白さのバランスの取れたものが多くなっていると思うんですよね。逆に欧米の人は,一方的に相手をやっつけるようなゲーム,とにかく凄い演出とカメラワーク,臨場感のあるゲームなんかを作らせたら面白い。」まぁこれは極端な話で,事実はそこまで単純ではないとは思いますけど。
4Gamer:
確かに海外のクリエイターさんでも,格闘ゲームは日本人にしか作れないんじゃないか,とおっしゃる方がいますね。あのバランス感覚は,日本人にしか出せない,みたいな。
原田氏:
そのバランス感覚なんですよね。海外の人なんか,これ気持ちいいんだから,壁がボーンって割れたら,一気にKOにすればいいじゃないか,みたいなことを言うんですよ(笑)。あの高さから落ちたら即死でもいいじゃないかとか,この落とし穴はKOでいいと思いますとか。いやいや,そりゃ極端だろ(笑)。
4Gamer:
物理的な挙動のリアリティに関する考え方の違いも,あるのかもしれませんね。日本だと漫画的な面白さが共通認識としてありますが,そういう考え方が向こうにはあまりないというか。
原田氏:
ああ,そういうのもあるかもしれないですね。
4Gamer:
キャラクターの人気については,どうですか? 先ほど海外の準人気の話もありましたが。
原田氏:
それはもう国ごとですね。ただアーケードはやっぱり性能重視の人が多くて。よく,ペクとかファランは韓国で人気があるんじゃないかとか言われるんですが,韓国ではまったく人気がない。ファランを使ってる人は「金持ち」ってあだ名がついちゃうくらいなんですよ。
4Gamer:
えっ,それはすぐ負けてお金を使ってしまうから,ということですか?
原田氏:
そう,頑張ってお金をつぎ込んでるから(笑)。だから韓国では,ちょっと昔なら三島家,今ならスティーブとかが人気があるみたいです。それと比べると,日本人はどちらかというと,いろんなキャラをまんべんなく使う傾向にありますね。ペク使いが多いのも,圧倒的に日本だし。
これが欧米になると,アーケード文化じゃないので自分のインスピレーションでキャラを選んだりしますし,国によってある程度のバラつきがあります。……ただ全世界で唯一共通しているデータに気づいたんですが,どの国を見ても,巌竜が最下位,それもダントツの最下位なんです。
4Gamer:
真実は一つだと(笑)。巌竜の不人気は,なぜなんですかね?
原田氏:
なぜなんでしょう。相撲って海外ではある程度認知があるはずなんだけど……ゲームだとお相撲さんはあまり望まれてないのかな?
4Gamer:
でもストリートファイターのE.本田は人気ありますよね。まあ,彼もあんまり相撲はしてないですが……。
原田氏:
あっ,そういえばそうだ! うーん,なんで巌竜は人気が出ないのかなあ。今回,巌竜にはかなり力を入れてて,巌竜ステージまで用意したくらいなんですよ。ステージの背景に巌竜丸っていう船が浮かんでるんですけど,その先頭で巌竜が旗を振ってるんです。で,巌竜を使用しているときは,その巌竜がいなくなるという細かい芸までやってます。ここまでやって人気が出なかったら,もうそろそろ……。
4Gamer:
ええっ,だって映画にだって出てるのに。
原田氏:
映画にも出てるんですよ。TAG2のオープニングムービーでも,平八がニヤリとするシーンの後ろにちゃんと「CHANKO PARADISE」って書いてあって。あれはちゃんと設定があって,TAG2のスポンサーが「ちゃんこパラダイス」なんですよ。あとこれもあまり知られてないんですけど,TAG1の設定では,あれは全部巌竜の夢なんですよね。
4Gamer:
そうなんですか!?
原田氏:
うん,「こんな大会あったらいいなぁ……」という巌竜の夢なんだけど,外部の人間で知ってるのは,数人しかいないっていう(笑)。実はTAG2のオープニングは,TAG1の夢を見ていた巌竜が夢から覚めて,「ガバッ!」と起き上がるところから始めよう,なんて考えていたんだけど。でも「12年経ってるし,そんな設定誰も知らねえよ」って周りに言われて,結局ボツになりました(笑)。
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