インタビュー
「戦国無双 Chronicle」の鯉沼久史氏と「DEAD OR ALIVE Dimensions」早矢仕洋介氏へのショートインタビューを掲載。3DS初挑戦の開発秘話や新情報も明らかに?
「DEAD OR ALIVE Dimensions」プロデューサー
早矢仕洋介氏インタビュー
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
まずはニンテンドー3DSに合わせ,コーエーテクモゲームスからリリースするタイトルとして,「DEAD OR ALIVE Dimensions」(以下,DOAD)を開発することになったさいのコンセプトを聞かせてください。
僕らは,携帯ゲーム機で据え置き機とは違った格闘ゲームの遊びができる,チャレンジができるのではないかと思い,企画を練っていました。ただ,今まではそれにふさわしいハードがなく,本格的に開発が動くということはなかったんです。
今回,任天堂さんからニンテンドー3DSが発表され,スペック的にもふさわしいですし,携帯ゲーム機でしっかり遊べる格闘ゲームが作れるのではないかと思い,DOADを製作するに至ったわけです。
4Gamer:
実際に開発を始めてから,思っていたとおりに進みましたか?
早矢仕氏:
僕らが思っていた以上に,携帯ゲーム機らしい広がり方を実現できたのではないかと思います。
4Gamer:
具体的には,どのようなところでしょうか?
早矢仕氏:
ニンテンドー3DSでは,ワイヤレス通信で近くの人との対戦ができるだけではなく,インターネット経由で遠く離れた人とも通信対戦ができます。
それだけではなく,ゲームを普通に遊んでいる中でプレイヤーの個性を反映した,ゴーストデータのようなものを作り,それをすれちがい通信で交換して戦えるんです。
すれちがい通信でいろいろな人と気軽に対戦ができるというのは,開発当初は構想がなかったんですが,ニンテンドー3DSの機能を見てからチャレンジしようと思いました。
4Gamer:
すれちがい通信での対戦は,勝敗までつくわけではないんですね。
早矢仕氏:
勝手に戦って勝敗がつくという形では,面白くないだろうと思っていました。格闘ゲームなので,戦って遊ぶというところに落とし込みたかったんです。
やはり格闘ゲームって戦い方に個性が出てきますよね。「よく上段パンチをしてくる」「キックをよく使う」「ホールドが上手い」といった,プレイヤーのクセを反映したキャラクターを作って,すれちがい通信でばらまいたら面白いよね,というアイデアが,この機能を利用するきっかけになりました。
4Gamer:
あまり得意でない人にとっては,自分のゴーストがあちこちにばらまかれるのは,ちょっと恥ずかしい気もしますが。
早矢仕氏:
すれちがい通信では,一期一会で一回戦うだけなんです。
勝つとゲームの中のやりこみ要素を開放したり,ご褒美をもらえたりといったいいことがあって,ゲームを持っている人同士で盛り上がる要素の一つとして使えればいいと思っています。
「携帯ゲーム機で出すなら,勝っても負けても面白いゲームにしなきゃいけない」という考えのもとに制作しているので,得意でなくとも気軽に楽しめるゲームになっていると思いますよ。
4Gamer:
真剣勝負の対戦は,対人の通信対戦でってことですね?
早矢仕氏:
真剣勝負の対戦もできますけど,実はカジュアルにも遊べます。
今回,DOADでは「デジタルインスト」というシステムを入れました。これは,ニンテンドー3DSの下画面で技の一覧を見られるというもので,ゲームセンターにある筐体の技表(インストカード)のデジタル版といったところですね。
また,ただ技表が表示されるだけではなくて,技をタッチすれば実際に技が出せます。「格闘ゲームはコンボを覚えるのが大変」という方でも格闘ゲームの面白さを知ってもらえるんじゃないでしょうか。
4Gamer:
タッチするだけでも対戦に勝てそうですね。
早矢仕氏:
最初のうちはそうかもしれません。でも,そこにはいい意味で壁があるので,「もっと上手くなってやる」とつながって,ボタンでの操作にも挑戦してもらえれば嬉しいですね。
4Gamer:
DOADでは,3D立体視をどのように取り入れているのでしょうか?
早矢仕氏:
「デッド オア アライブ」シリーズでは,ステージを立体的に使うという要素がありますが,そこを3Dにすることで,ステージの実在感が増しました。壁を突き破る,崖に突き落とすといった演出を3D立体視で行うことで,高所の表現であったり,壊れた壁の破片が手前に向かって飛んでくるなど,演出の迫力が強化されました。戦っているテンポを落とさずに,可能な限り実現しています。
4Gamer:
立体視を扱う際,どのような点に配慮して制作したのかを教えてください。
早矢仕氏:
ゲームを長い時間遊ぶとき,飛び出す演出だと目が疲れやすいんです。なので,プレイ中は奥行きを出す演出を中心にして,飛び出す演出はイベントシーンやキャラクターの選択画面など,分かりやすいところに入れるといった使い分けをしています。
4Gamer:
キャラクターのモデリングを気にするファンも多いと思いますが,クオリティはどうでしょうか?
早矢仕氏:
今回トレイラーを公開させてもらいましたが,皆さんに安心していただけるクオリティのものが,ニンテンドー3DSでしっかり出ているのを感じてもらえると思います。トレイラーで見るより,実機で見るとより綺麗なんです。想像しているよりさらに綺麗な画面が実現できていると思います。
4Gamer:
DOADには,キャラクターは何人くらい登場するのでしょうか?
早矢仕氏:
DOADはDOAシリーズの最新作と位置づけていて,今までの歴史をストーリーで体験できるのがコンセプトです。これまでのシリーズでプレイアブルのキャラクターは全員登場しますし,新キャラクターも何人か登場します。ファンの皆さんの期待に応えられるキャラクターがプレイアブルになっていると思いますよ。
4Gamer:
そのストーリーというのが,「クロニクルモード」ですか?
早矢仕氏:
はい。クロニクルモードはDOAシリーズの歴史を体験していただくのと,格闘ゲームをどう遊ぶかということを,一から学べるモードになっています。
格闘ゲームというものは「体で覚える」感覚があったと思いますが,パンチの出し方から始まって,格闘ゲームのイロハをストーリーを進めながら勉強できるようになっています。
格闘ゲームをずっとプレイしていなかったという人でも,格闘ゲームは面白いということを,もう一度思い出せるよう敷居も低くしているので,ぜひ触ってほしいですね。
4Gamer:
現在の完成度はどれくらいでしょうか?
早矢仕氏:
ゲームはほぼできていますが,格闘ゲームはバランスや処理落ち対策,30フレーム,60フレームでしっかり動くものを作らないといけないので,これからもマスターアップ直前まで,頑張って調整していかなければいけないところです。
ちなみにDOADは,ニンテンドー3DSで3D立体視にしたときは30フレームでの動作になるんですが,3D立体視をオフにすると60フレームで動作します。
格闘ゲームを本格的に遊ぶなら60フレーム,迫力ある映像を楽しむなら30フレームという選び方ができるんです。
4Gamer:
なんと。その切り替えの仕組みはどうなっているんですか? 試合ごとに切り替えられる感じですか?
早矢仕氏:
普通に,3DS本体のスライダーで3D立体視をオフにすると,戦っている最中でも好きなタイミングで切り替えられます。
4Gamer:
いつでも,というのは素敵ですね。そのほか,3D立体視や通信対戦以外に,ニンテンドー3DSで使っている機能はありますか?
早矢仕氏:
ニンテンドー3DSはもちろん立体視が目玉ですが,モーションセンサーやジャイロ機能なども備えています。DOADでも,そういった機能を遊びで入れてあるので,楽しみにしていてください。
携帯ゲーム機って,日頃遊ぶおもちゃとして,いろいろな可能性があると思うんです。今後は,それらの機能を本格的に使ってみたいですね。
ゲームは面白ければいいわけですから,ユーザーさんがいい意味でおもちゃとして遊べるものを作りたいですね。
4Gamer:
最後に,DOADの発売を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。
早矢仕氏:
トレイラーにも出させてもらいましたが,DOADは「もう一度,殴り合わないか」というのが開発コンセプトです。「デッド オア アライブ」シリーズ自体が今回久しぶりの登場となりますし,僕らはDOADを最新作,再始動作品だと思っています。
シリーズを支えてくれた皆さんには再出発をぜひ体験してもらいたいですし,今までのファンの方に満足いただける小ネタも入っています。そういうのも触ってもらい,また一緒にシリーズを盛り上げていってもらえたらと思います。
今まで遊んだことがないという方でも,クロニクルモードで,シリーズの歴史をなぞりながら対戦格闘ゲームを楽しめるようにしているので,ぜひ手に取って遊んでいただければと思います。
4Gamer:
ありがとうございました。
「DEAD OR ALIVE Dimensions」公式サイト
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戦国無双 Chronicle
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