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GTC Asia 2011に合わせて公開されたGPU搭載のスーパーコンピュータ「天河一号A」を中国で見てきた
ゲームと一切関係ない話題だが,中国ではこんな風にGPUが使われているのかと思っていただけると幸いだ。
GTC Asia 2011でセッションを行った東京工業大学の青木尊之教授(左から2人目)や松岡聡教授(左から4人目)も参加 |
NVIDIAからはSteave Scott氏を始めGPUコンピューティングの担当者がミーティングに参加していた |
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スーパーコンピュータ天河一号Aで
ゴードン・ベル賞を狙う中国
天河一号Aが運用されているのは,北京から180kmほど離れた天津の「國家超級計算天津中心」(China National Supercomputer Center)。今回行われたミーティングは,ここで開催された。
何度かのリビルドが行われている天河一号Aは,現在,Intel製の「Xeon」プロセッサと独自開発のCPU「FT-1000」,そしてGPU「Tesla」を組み合わせたクラスタとなっている。
クラスタと聞くと「ありモノを組み合わせただけでは?」と思う人もいるかもしれないが,一部のノード用として独自開発のCPU FT-1000を用いており,ノード間の接続にも独自開発のインターコネクトを採用することで,性能を引き出しているという。
そんな天河一号Aは,ピーク性能4.7PFlops,持続性能2.566PFlopsとなっており,気象計算や物理演算,生命科学といった分野で広く応用されており,成果を挙げているとのことだ。
こちらはIntel製のXeonを用いたノードである。チップセットも当然Intel製だ |
Tesla M2050を2基を収容した筐体。電源は別途用意されているとのことだ |
ちなみにゴードン・ベル賞は,スーパーコンピュータの世界におけるノーベル賞のようなものである。
というわけで,実際に稼動している天河一号Aを見学させてもらったのだが,よくあるサーバールーム風の場所に設置されており,意外とこぢんまり印象を受けた。日本に設置されている「地球シミュレータ」や「京」といった大規模なスーパーコンピュータと比べると非常にシンプルなのは,GPUを利用しているからかもしれない。
GPUコンピューティングは,まだ始まったばかりであり,新たに開拓する余地が大きい分野である。少々言葉は悪いかもしれないが,スーパーコンピュータの世界で存在感を示す効率的な手段として,中国はGPUにターゲットを絞り込んでいるように感じられる。GTC Asia 2011に参加していた中国の学生たちも非常に熱心で,セッションで盛んに質問していたのが印象的だった。
スーパーコンピュータの世界において,現時点では,日本が少し先行しているのは確かだが,うかうかしてはいられないようである。
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