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GTC Asia 2011に合わせて公開されたGPU搭載のスーパーコンピュータ「天河一号A」を中国で見てきた
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印刷2011/12/22 00:00

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GTC Asia 2011に合わせて公開されたGPU搭載のスーパーコンピュータ「天河一号A」を中国で見てきた

ミーティングに出席した國家超級計算天津中心の関係者。右から3人目が國家超級計算天津中心の主任を務める劉光明(Guang-Ming Liu)氏だ
画像集#003のサムネイル/GTC Asia 2011に合わせて公開されたGPU搭載のスーパーコンピュータ「天河一号A」を中国で見てきた
 「GPU Technology Conference Asia 2011」(以下,GTC Asia 2011)が終了した翌日,中国時間の2011年12月16日,GTC Asia 2011で講演を行ったスピーカーやNVIDIAのGPUコンピューティング担当者たちと,中国が誇るスーパーコンピュータ「天河一号A」(Tianhe-1A,略称TH-1A)関係者とのミーティングが開催された。そのミーティングに筆者も同行し,天河一号Aの見学ができたので,今回は写真中心でその模様をレポートしてみたい。
 ゲームと一切関係ない話題だが,中国ではこんな風にGPUが使われているのかと思っていただけると幸いだ。

画像集#004のサムネイル/GTC Asia 2011に合わせて公開されたGPU搭載のスーパーコンピュータ「天河一号A」を中国で見てきた
GTC Asia 2011でセッションを行った東京工業大学の青木尊之教授(左から2人目)や松岡聡教授(左から4人目)も参加
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NVIDIAからはSteave Scott氏を始めGPUコンピューティングの担当者がミーティングに参加していた

関連記事:NVIDIA,2014年を目処に「Tegra」で64bitアーキテクチャ採用。CUDAのオープン化でエコシステムの拡大を図る

関連記事:「GTC Asia 2011」基調講演レポート。2019年には100Wクラスのゲームコンソールが10TFLOPSを実現する!?



スーパーコンピュータ天河一号Aで

ゴードン・ベル賞を狙う中国


天河一号Aが置かれている國家超級計算天津中心は,北京から180kmほど離れた天津にある
画像集#006のサムネイル/GTC Asia 2011に合わせて公開されたGPU搭載のスーパーコンピュータ「天河一号A」を中国で見てきた
 今回のGTC Asia 2011が中国・北京で開催された理由の1つには,GPUを使用したスーパーコンピュータ天河一号Aの存在が挙げられる。
 天河一号Aが運用されているのは,北京から180kmほど離れた天津の「國家超級計算天津中心」(China National Supercomputer Center)。今回行われたミーティングは,ここで開催された。

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天河一号Aは,Intel製の「Xeon X5670/2.93GHz」×14336基,448基のCUDAコアを備えるNVIDIA製「Tesla M2050」×7168基,そして独自開発のCPU FT-1000×2048基が採用されている
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クラスタの構成を示したスライド。4CPU+2GPUで1ノードとなっており,1つのラックに19ノードが収容されている。そして1キャビネットには,4つのラックが収められている仕様だ
 GTC Asia 2011基調講演では,天河一号Aがどういったスーパーコンピュータであるかを詳しく説明していたが,残念なことに中国語によるものだったため,今回のミーティングに用いられた英語のスライドを基に軽く紹介しておこう。

 何度かのリビルドが行われている天河一号Aは,現在,Intel製の「Xeon」プロセッサと独自開発のCPU「FT-1000」,そしてGPU「Tesla」を組み合わせたクラスタとなっている。
 クラスタと聞くと「ありモノを組み合わせただけでは?」と思う人もいるかもしれないが,一部のノード用として独自開発のCPU FT-1000を用いており,ノード間の接続にも独自開発のインターコネクトを採用することで,性能を引き出しているという。

 そんな天河一号Aは,ピーク性能4.7PFlops,持続性能2.566PFlopsとなっており,気象計算や物理演算,生命科学といった分野で広く応用されており,成果を挙げているとのことだ。

FT-1000プロセッサを用いたノード。FT-1000の詳細なスペックは公開されていないが,動作クロック800〜1GHzの64bit CPUだという
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画像集#011のサムネイル/GTC Asia 2011に合わせて公開されたGPU搭載のスーパーコンピュータ「天河一号A」を中国で見てきた
こちらはIntel製のXeonを用いたノードである。チップセットも当然Intel製だ
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Tesla M2050を2基を収容した筐体。電源は別途用意されているとのことだ

右の写真は独自開発のインターコネクト用ASIC(Application Specific Integrated Circuit)と,それを搭載したボード(写真左)。1チップあたり2.56Tbps,ボード当たり7.68Tbpsという帯域を持つ
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GTC Asia 2011で基調講演を行った朱小謙氏(Xiaoqian Zhu,國家超級計算天津中心副主任)
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 中国ではスーパーコンピュータの性能競争に力を入れているようで,GTC Asia 2011で基調講演を行った朱小謙氏は,「来年にはゴードン・ベル賞(Gordon Bell Prizes)を取る」と宣言していたりする。
 ちなみにゴードン・ベル賞は,スーパーコンピュータの世界におけるノーベル賞のようなものである。

 というわけで,実際に稼動している天河一号Aを見学させてもらったのだが,よくあるサーバールーム風の場所に設置されており,意外とこぢんまり印象を受けた。日本に設置されている「地球シミュレータ」や「京」といった大規模なスーパーコンピュータと比べると非常にシンプルなのは,GPUを利用しているからかもしれない。

天河一号Aが設置されているのは,一見すると普通のサーバールームのようである。過度に冷却されているわけでもなく,室温は15度程度だった
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 GPUコンピューティングは,まだ始まったばかりであり,新たに開拓する余地が大きい分野である。少々言葉は悪いかもしれないが,スーパーコンピュータの世界で存在感を示す効率的な手段として,中国はGPUにターゲットを絞り込んでいるように感じられる。GTC Asia 2011に参加していた中国の学生たちも非常に熱心で,セッションで盛んに質問していたのが印象的だった。
 スーパーコンピュータの世界において,現時点では,日本が少し先行しているのは確かだが,うかうかしてはいられないようである。

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  • 関連タイトル:

    NVIDIA RTX,Quadro,Tesla

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