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ステルス系アクション「Dishonored」のプレス向けデモが「QuakeCon 2011」で行われ,そのゲーム内容が初めて明らかに
テキサス州ダラスで開催中の「QuakeCon 2011」で,Bethesda Softworksがパブリッシングを担当するアクションゲーム「Dishonored」がプレス向けに公開された。フランスのArkane Studiosが開発を進める本作は,ゲーム雑誌としては北米最大の発行部数を誇るGame Informerの2011年8月号で,突然大特集が組まれたことで話題になった作品だ。QuakeConの会場では,すでにゲームが動いているところが確認できた。現在のところ,発売は「2012年内」で,対応機種はPCのほか,PlayStation 3およびXbox 360が予定されている。
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さて,開発スタッフの一人であるハーヴェイ・スミス(Harvey Smith)氏の名前に反応できる人は,かなりの海外ゲーマニアのはず。スミス氏は,名プロデューサとして知られるウォーレン・スペクター(Warren Specter)氏の右腕として,「Thief」や「Deus Ex」シリーズの開発部隊を率いてきた人物だ。Arkane Studiosは2008年にテキサス州オースティンにスタジオを開設したのだが,その際にスタッフとして参加しており,それだけでこのDishonoredの期待値は高くなる。
1999年に設立されたArkane Studiosは,「Arx Fatalis」(2002年)や「Dark Messiah of Might & Magic」(2006年)など,一人称視点にこだわった作品で知られるメーカーだ。ブルガリア出身の工業デザイナーであり,「Half-Life 2」シリーズのCity 17の,東欧風の景観を生み出したことでも有名なビクター・アントノフ(Viktor Antonov)氏もDishonoredの開発スタッフに名を連ねており,なんとも濃いメンバーばかり。
「Dishonored」公式サイト
Dishonoredの世界観は,かなりダークだ。一見,昔のヨーロッパを舞台にしているようだが,公開されたワールドマップには「Gristol」と呼ばれる大陸や巨大な島が描かれており,どうやら地球の話ではなさそうだ。アントノフ氏によれば,コアメンバーでイギリスを旅して,デザインに役立てたとのことで,スミス氏も「18世紀,産業革命時代のイギリス風」と表現している。ともあれ,詳細は今のところハッキリしない。
Gristolの文明の基礎は石炭や石油ではなく,なんと「鯨油」。もっとも,鯨油といっても,魔法のような不思議な力が秘められたものらしく,それが採取できる鯨も,中世の人々が想像で描いた絵に出てくる鯨のように,奇妙な姿をしている。我々の知る鯨とは異なる生き物なのだ。このように,一見すると我々の世界によく似ているが,重要なところがまったく違う世界が背景となる。
ゲームは,Gristolの南端にあるダンウォール(Dunwall)という街を中心に進んでいくようだ。主人公コーヴォ(Corvo)は,ダンウォールの后妃の親衛隊に所属していた兵士だったが,妃殺しの濡れ衣を着せられ,脱走して裏社会に身を隠すことになる。汚名(Dishonored)を着せられた彼は,やがてがアサシンとなって,王家を乗っ取りダンウォールを腐敗させた新政権の転覆を狙うことになるのだ。
コーヴォには,詳しくは分からないものの,「アウトサイダー」と呼ばれる,助言者のような存在がおり,彼に特殊な能力の使い方を教えてもらう。デモでは,時間を止める「Stop Time」,相手を突風で押し返す「Windblast」,ネズミに乗りうつって細くて狭いところを移動できる「Possession」,そしてネズミの集団に敵を襲わせる「Devouring of Swarm」などの特殊能力が紹介された。これらの力は,何らかのルーンを得て利用することになるという。
会場でプレス向けに紹介されたのは,民衆を虐げている悪徳法律家を相手にした暗殺ミッションで,市中にたむろしているガード達を避けつつターゲットに迫っていくわけだが,数は多くないものの,街中には市民の姿も見えた。ミッションは日中に行われていたが,そっと背後から近付いたり,物陰に隠れるとことでガードの視線をかわせるようで,少なくとも今回のデモでは進行はスムーズだった。
まず,港につながる排水溝を通って街の入口へやってきたコーヴォだったが,ガードによってゲートが封鎖されている。そこで,ひそかにガードを始末し,門扉を動かしている電気回路をショートさせて突破。鉄門が開くや否や,ネズミの一団がプレイヤーの目の前を通り,倒した敵の死体に一目散に突撃していくシーンが見られた。
ネズミは一定量の数になると,人間への恐怖感を失って襲い掛かってくることもあるというが,これを利用して,例えば倒した敵の死体を使ってネズミを誘導し,別の敵を襲わせるといったことができるという。
こんなにネズミがはびこっているのは,街に何かの疫病が広がって人々が倒れ,多数の死体が野ざらしになっているからだ。そのため,ダンウォールの街は非常に暗い雰囲であり,石やレンガで作られた5〜6階建てのビルが,陰鬱にひしめいている。
HUDにミニマップはないので,どのように法律家のいる場所を知るのかは分からなかったが,そこに行き着くまでの道筋は自由で,ガードの間を中央突破してもいいし,ビルの外壁からコソコソ目的地に潜入するのもありだ。プレイヤーの遊び方に合わせてなんでもできるのが,Dishonoredの重要な要素であるとスミス氏は話していた。
アクションは,Thiefほどシビアなものではなく,また全体的には,ゲームの軽快さを含めて「Assassin's Creed」を一人称視点でプレイしているような印象を受けた。右手にはデフォルトで短剣を所持しており,左手に銃やクロスボウといったガジェットを装着して戦うスタイルで,特殊能力は別のボタンで発動できるようになっている。
Dishonoredではまた,どのように相手を倒すか,また誰を殺したかで,その後の流れや対人関係が変化していく。今回は,ターゲットに一直線に向かっていったが,ミッションの途中でNPCに出会い,ターゲットを殺さないというオプションが発生することもあるという。驚いたことに,1人も殺さずにエンディングを迎えることもできるらしい。
本作では,特殊能力を組み合わせてさまざまな難局を乗り越えていくことになる。例えば,瞬間移動を繰り返して考えられないほど高い場所に飛び上がったり,Stop Timeで時間を止めてネズミに爆弾を装着し,さらにPossessionによりネズミに憑依して敵の集団の真ん中で爆破させるといったことができるのだ。Arkane Studiosのリードデザイナー,ラファエル・コラントニオ(Raphael Colantonio)氏は特殊能力について,「ゲーマーには,開発者が考えもしなかった組み合わせを編み出して,ゲームを楽しんでほしい」と語っていた。
デモの終盤には,Half-Life 2のストライダーを思わせる二足歩行のロボットも登場した。アントノフ氏の面目躍如といったところだが,実際にはロボットというよりも移動式砲台といったもので,上部にガードが乗っているのが確認できた。
Dishonoredは,これまでのステルス系アクションゲームの,良いところを集めたようなゲームシステムと,個性的な世界観とが大きな特徴となるタイトルだ。アントノフ氏は,「今回は,18世紀のイギリス風の地域を見せましたが,Dishonoredがこれですべてとは思わないでください」と述べているので,さらにいろいろな秘密がありそうだ。
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