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最高峰のeスポーツ環境に圧倒。「CS:GO」の国際大会「Intel Extreme Masters」観戦レポート
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印刷2019/05/09 00:00

イベント

最高峰のeスポーツ環境に圧倒。「CS:GO」の国際大会「Intel Extreme Masters」観戦レポート

画像集#001のサムネイル/最高峰のeスポーツ環境に圧倒。「CS:GO」の国際大会「Intel Extreme Masters」観戦レポート
 2019年5月3日から5日の3日間,オーストラリアのシドニーでeスポーツの一大イベント「Intel Extreme Masters」(以下,IEM)が開催された。4Gamerは一昨年昨年に続き現地取材の機会を得られたので,会場全体の雰囲気などを中心にレポートしよう。


eスポーツの大規模ツアー「Intel Extreme Masters」

3年連続でオーストラリアのシドニーで開催


 IEMは,eスポーツのイベントを展開する「Electronic Sports League」(ESL)が,Intelと組んで世界各地をツアー形式で行うイベントである。2006年にスタートし今年でシーズン14を数えるIEMは,その歴史をはじめ,各地でのツアー規模や賞金額など,どれを見てもeスポーツのイベントとして世界屈指といえるものだ。

 主催のIntelやESLがゲームパブリッシャではないこともあり,IEMの競技タイトルは開催地でのトレンドなどに応じて変わる。近年はPC向けFPS「Counter-Strike: Global Offensive」(以下,CS:GO)がメインに採用されることが多く,今回のシドニー大会も同様だ。また今回は,サブステージで「Overwatch」のオーストラリア大会も行われていた。

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会場となったQudos Bank Arenaは,オーストラリアで最大級のスタジアム。海外アーティストの公演も多数行われており,年内にはエルトン・ジョンやKISSの引退ツアーなども予定されている
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シドニーの中心街から電車で25分くらいの場所に,オリンピックパークと呼ばれる地域があり,その一角にQudos Bank Arenaがある。この一帯は2000年のシドニーオリンピックに合わせて整備されており,日本でたとえるならば幕張メッセ周辺のスケールを大きくした感じだ
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2019年のIEMはポーランドのカトヴィツェで2月にスタートしており,今回のシドニー大会のあとはシカゴで11月に開催予定だ。ちなみに,シドニーでのIEM開催は3年連続となる
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 Intelの名を冠しているイベントであるため,IEMは同社の最新プロダクトやPCゲームなどをアピールする場でもある。会場内では,Intelの第9世代CPUを搭載したハイスペックなPCでゲームを楽しめるほか,自作PCのパーツやゲーマー向けPCブランドの出展エリアも設けられており,観戦以外でもさまざまな形でゲームを楽しめる。

 IEMの会期中にプレス向けに行われたショーケースでは,4月23日に発表となったノートPC向けの第9世代Coreプロセッサがあらためて紹介された。会場では,同CPUを搭載した各メーカーのノートPCが披露されており,いくつかの製品は国内でも発売となるのではなかろうか。

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Intelはシドニー大会で,VRタイトルとして「Beat Saber」「CREED: Rise to Glory」をプレイアブル出展。VRによるゲーム体験を周知させている段階のように見えた
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VR以外では「フォートナイト」「Ring of Elysium」「Overwatch」「CS:GO」といったFPS系のタイトルが多めの出展。また,「ストリートファイターV」「エースコンバット7」「ソウルキャリバーVI」といった日本製タイトルも見られた
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こちらは関連メーカーによるPCの展示エリア。シドニー大会に出場するCS:GOのチームのなかには,これらのメーカーとスポンサー契約を行っているところも多い。定期的にメンバーのサイン会なども行われ,3日間の会期中は大きく盛り上がっていた
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 IEMシドニーにおけるメイン競技のCS:GOに関しては,各リージョンの予選大会を通過した8チームと,招待された8つのチームの計16チームが出場。8チームずつに分かれてダブルエリミネーション形式によるグループステージステージを行ったあと,その上位6チームが決勝トーナメントでしのぎを削った。

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 決勝戦に駒を進めたのは,Team Liquid(アメリカ)とFnatic(スウェーデン)の2チームで,招待チーム同士の対決となった。Team LiquidはグループステージAを1位通過し,決勝トーナメントの準決勝でMIBR(ブラジル)を下しての決勝進出。そしてFnaticはグループステージBを2位通過し,準々決勝でNinjas in Pyjamas(スウェーデン)を,そして準決勝でNRG Esports(アメリカ)を下しての決勝進出である。

 決勝戦はBO5(3本先取制)で行われ,1マップ目のde_cacheをFnaticが制してから,お互いにポイントを取り合う展開となった。そして2-2で迎えた最終マップのde_infernoは,激戦のすえにTeam Liquidが16-9で勝利。6時間半の長丁場を制したTeam LiquidはIEMのビッグタイトルを手にし,また,賞金100万ドルの「Intel Grand Slam」に向けての第一歩を踏み出した。

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決勝戦の配信アーカイブ(Twitch)



オーストラリアの観客のテンションの高さに脱帽


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 ESLは長年にわたってeスポーツの大会を手がけており,また,IEMも世界屈指のeスポーツのイベントである。筆者はESL(IEM)の観戦は今回が始めてだったのだが,これまで自分が知っていた“eスポーツ”の印象と大きく異なり,取材中はただただ圧倒された。

 まず,観客のテンションが異様なほどに高い。サッカーの国際試合のテレビ中継などで,オーストラリアの観客が「オジオジオジ!」「オイオイオイ!」(Ausie Ausie Ausie,Oi Oi Oi!)と合唱しているのを目にしたことのある人は多いだろう。試合中は,これが延々と繰り返されるのだ。
 もっとも,常に叫んでるわけでもない。イメージとしては,アリーナを中心に多くの観客が「(まだか……,まだか……!)」と待ち構えており,どこからともなくトキの一声で前振りが始まると,見事な一体感で「オジオジオジ!」と大爆発する感じだ。

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 Qudos Bank Arenaの観客席では,酒を含む飲食が禁止されておらず,むしろ推奨されている部分も盛り上がりに拍車をかけてそうだ。多くの観客は試合が始まる前からビールなどをガンガン飲みながら大騒ぎしている。そして試合が盛り上がると怒号や奇声にも似た歓声がそこらじゅうから挙がり,ウェーブが繰り返され,ピザの空箱が(大相撲の座布団のように)空を飛ぶ。
 とくにアリーナ席は興奮の坩堝と化していくが,意外なことに,取材中は彼らに対してガラの悪さや怖さなどを感じなかった。まじまじと観察して分かったのだが,彼らは騒ぐためだけに来ているのではなく,真剣に観戦するゲーマーであることがうかがえるのだ。その証拠に選手がファインプレーを見せたときなど,拍手や歓声が挙がるべきときはしっかり挙がるし,ときには容赦のないブーイングも起こる。

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 今回のCS:GOの大会にオーストラリアのチームは出場していなかったが,たとえ自国の選手でなくとも,ここまで熱狂できるというのは,とても素晴らしいことだと思えた。オーストラリアが多民族かつ多くの文化を受け入れているという土壌もあるのだろう。

販売されている食べ物は冷凍モノなどではなく全体的にウマい(というよりオーストラリアの食べ物が基本的にウマい)。ちなみに会場内にはピザを焼くための本格的な釜もあるのだが,ここの店のピザは,CS:GOの試合が休憩になるたびに飛ぶように売れていた
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試合の合間にVIP席を訪れていたカップルが紹介されたのだが,なんと,その場で男性が婚約指輪を渡してのプロポーズが行われた。スポーツ中継とかでよく見るアレをeスポーツのイベントで目撃することになるとは
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 他方,ESLのイベント運営の手腕の良さも印象に残った。メインステージでの試合は,選手のコンディションなどに配慮をしているのか結構な待ち時間があるのだが,キャスターの解説は「試合に勝った,負けた」では終わらず,参加チームの背景や戦術などをしっかり解説してくれるため,見ていて退屈しない。来場客の年齢層も,日本のeスポーツ系のイベントと比較して明らかに高い。

 また,IEM公式サイトは言うまでもなく,ESLが配信しているイベント用の公式スマートフォン向けアプリも大変充実している。会場マップや試合スケジュール,選手やチームの紹介,さらにはVODや会場内で行えるスタンプラリーなどが確認でき,よくある紙のパンフレットなどはそもそも必要ないのだ。
 このアプリ「ESL Event」iOS / Android)は日本からでもダウンロード可能で,その雰囲気は分かると思うので,興味を持った人は試してほしい。

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来場客にはリストバンドが配られるのだが,これはいわゆるIoTで,点灯色などが制御されている。試合中にファインプレーなどが起こると,一斉にカラフルな色が点灯するのだが,これほどの大規模イベントで行われると壮観
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IEMに招待されるようなプロチームは世界中で人気があるため,試合時間以外に開催されるサイン回は長蛇の列となる。グッズの販売も相当な売上を出していると思われる
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 過去に掲載された4Gamer取材記事を見て,IEMの凄さは頭では理解していたつもりだった。また,日本でもeスポーツ元年と言われたり言われなかったりすることもある昨今,そろそろ海の向こうでの盛り上がりを伝えるだけのフェーズでもあるまい。ゲームメディアの一員としては今回の取材を通じて,IntelおよびESLに日本のeスポーツを牽引するための足がかりのようなものが見られないかと期待していたのだが,実際に目撃したいま,あらゆる面で次元が違うなというのが偽らざる感想だ。
 実際,Intelのeスポーツ担当者に話を聞く機会もあったのだが,日本でIEMのような大型イベントを開催というのは,(少なくとも現段階では)ちょっと現実的ではなさそうである。

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 直近のIntelの日本市場におけるゲーム関連施策としては,4月20日に「INTEL GAMERS WORLD REIWA」が開催され,同社のプロダクトとともに“ゲーム体験”をアピールしている段階のように見える(※関連記事)。一方でCSは,それこそ大昔のCounter-Strike 1.6の頃から,eスポーツの国際大会で当たり前のように採用されており,これらの動きを知るコアなファンにとってはもどかしく思えるのかもしれない。
 ただ,日本でもCS:GOに関しては,サードウェーブによる「GALLERIA GAMEMASTER CUP(GGC)」や,アマチュアリーグの「」が開催されており,関係者の熱量はIEMなどと比べても決して劣るものではないだろう。日本でもいつの日か,大規模なeスポーツイベントの開催が現実的に考えられるようになることに期待したい。

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決勝戦の配信アーカイブ(Twitch)

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