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[TGS 2014]聞けば聞くほどガチな会社だったWargaming Japanインタビュー,「World of Warships」ほか来年にかけての最新情報を聞いてきた
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印刷2014/09/21 20:41

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[TGS 2014]聞けば聞くほどガチな会社だったWargaming Japanインタビュー,「World of Warships」ほか来年にかけての最新情報を聞いてきた

 東京ゲームショウ2014の3日め,Wargaming Japanブースで,Wargaming Japan ウォーゲーミングアジア・プロデューサー Ozan Kocogle(オザン・コチョール)氏,Wargaming Art QZ Specialist Tatiana Sagirova(タチアナ・サギィロワ)氏,Wargaming Japan ウォーゲーミングアジア・プロデューサー Alexandre Leblanc(アレクサンドル・ルブロン)氏,Wargaming Japan ミリタリーアドバイザー 宮永忠将氏の4名にインタビューを行うことができた。
 TGSでは試遊整理券が一瞬でなくなった「World of Warships」,またモバイル向けながらほぼPC版と同等のプレイ体験を構築した「World of Tanks Blitz」,そして噂だけがちらほら見え隠れする「World of Tanks Generals」など,今年のWargaming作品の動向と,来年初頭あたりまでの動きを聞いてみた。

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Alexandre Leblanc氏
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Tatiana Sagirova氏
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Ozan Kocogle氏

「皆さん当然フランスの戦艦は好きですよね?」


 まずは,なんといってもWarshipsだろう。TGSでは「始発に乗って朝の4時に入場列に並んで,真っ先にWargamingブースに来て整理券をゲットした」という来場者すらいたという,注目度満点の作品だ。

 とはいえ,Warshipsについては前日にWargaming CEOであるVictorとSagirova氏へのインタビューで重要なところはあらかた聞いてしまっているので,もうちょっと突っ込んだ部分に絞って話を聞いてみた。

 まず気になるのは,Wargaming Japanに有志から贈られたという,旧海軍の艦艇ブループリント(設計図の写し)についてだろう。届いたブツを見た途端に,ミリタリーアドバイザーの宮永氏が「誰もこれに触るな,開くな!」と叫んで全速力で手袋を取りに行ったという逸話のある超貴重品だが,そもそもこれ,役に立ったのだろうか?
 というストレートな質問をSagirova氏にぶつけてみたところ,「大いに役に立った」と断言された。それまでに作っていた船にあった問題点を大幅に解決でき,ものによっては,この資料をもとにモデルの作り直しをしたのだという。

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 中でも役に立ったのは,このブループリントに記されていた艤装品のデータだそうだ。なるほど,船体や艦橋といった,古い写真から類推可能な部分と異なり,細かな艤装品のディテールは,図面でなくては詳細は分からない。
 また,ブループリントには船体を輪切りにした状態の図もあったということで,これもモデリングにあたって大いに役立ったという。
 とはいえ,これですべての問題が解決したわけではない。船は年を経るに連れて改修されていくので,この年代ごとの差を反映するにはさらなる調査が必要だ,とのこと。

 ちなみに,Wargamingというのは,各種モデルを作成するにあたって,場合によっては潜水艇を出して「実際に見てきた」ことすらあるという,なんというか,ええと,ホンモノさん達が働く会社である。今回のブループリントと合わせて,艦船の再現度という点では現状でこれ以上望めないのではないか,とすら思わされる話ではある。

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 さて,現状のWarshipsには,日本とアメリカの艦艇のみが実装されている。
 となると当然気になるのは,「俺のウォースパイトを無視するつもりか」「私のティルピッツはどうなる」「我がマラートはどこに行ったのかね」「アルペジオもいいけどユリシーズ号とのコラボはないんですか」といった,分かる人には生死に関わるが,分からない人には絶望的なまでにどうでもいい問題についてである。
 これについては,イギリス・ドイツ・ソビエト艦艇について,すでに予定が立てられているとのこと。やはりイギリスはアメリカに並ぶ海軍国であったし,その欧州におけるライバルといえばドイツだ。また,ソビエトも少なからぬ戦艦を保有していたことで知られている。

 ……なお,コチョール氏からは「皆さん第二次大戦中のフランス海軍は当然好きですよね?」という個人の嗜好性を強く感じる質問を受けたので,フランス海軍ファンはWargaming Japanに熱烈なファンレター(ないし実物のブループリント)を送りつけると,将来的に何かが起こるかもしれない。

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 また,Warshipsの古いプロモムービーには潜水艦も登場していたのだが,現状では潜水艦はカットされている。これについても聞いてみたところ,「今はリリース優先で作業を進めているが,検討はしている。普通の艦船と操作が大きく変わってしまうなど問題も多いが,アップデートで実装する可能性がある」とのこと。潜水艦ファンも積極的に声を上げていこう。

 なお「要望を伝えていこう」というのは,こういった記事における決まり文句だが,この件についてはかなり重要だ。というのも,Wargamingは,現在Warshipsのクローズドα(いわゆる初期クローズドβテスト)を実施しているが,ここではプレイヤーからの意見をかなり強く尊重しているという。実際,クローズドα実施中の今もなお,ゲームのバランスは変化し続けている(まもなく新しいパッチが発行されるとのこと)。
 クローズドαのプレイヤー数は全世界で5000人,アジアで800人。うち500人が日本人プレイヤーであり,Wargamingが日本市場を強く意識していることが,この内訳からも分かる(10人に1人が日本人だ)。

 となるといよいよ「自分もテスターになりたい!」という気持ちが高まってくるわけだが,待望のクローズドβテストも日程が見えてきたようで,「この冬」というのがだいたいのラインらしい。具体的に言えば,2014年12月〜2015年2月頃である。気になる読者は,チェックを怠らないようにしたい。

モバイルでコアゲームという挑戦:Blitz


 次なる話題は,「World of Tanks Blitz」である。簡単に言うと,モバイル環境(iOS)でプレイできるWorld of TanksであるBlitzだが,実際のところ,「正気ですか? これをモバイルでやるんですか?」と聞きたくなるくらい,BlitzはPC版に近いゲーム性を有している。
 はたして,このBlitz,セールスのほどはどうなのだろう。

 これについては,まず聞ける限りの具体的な数字を教えてもらったので,それをお伝えしたい。

 まず,全世界でのダウンロード数は700万ダウンロード。アジアで200万DL,日本は世界で2番めにDL数が多い国だという(トップはロシア)。
 そのうえで,アジア地域における売上の半分は日本で発生しており,コアプレイヤーも日本が多いとのこと。
 総体的に見ると,PC版ではロシアとヨーロッパが強いWorld of Tanksだが,モバイルではアジアがそれらの地域と肩を並べる状況になっているという。アジアにおけるモバイルの強さは,Blitzにおいても明確に表れているといえるだろう。

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 さて,ダウンロード数を見ると,例えば「パズル&ドラゴンズ」は累計3000万DLを超えており,Blitzの「全世界で700万DL」という数はそれに比べれば少ないように思える。
 が,いわゆる「リセットマラソン」(ダウンロードする→最初に回せるガチャを回す→良いものが出なかったらアンインストールしてもう一度DL)によって1人のプレイヤーが複数回DLすることがしばしば起こる昨今の日本のゲームに比べ,Blitzにはそういった要素がなく,単純に比較するのは難しい。
 Blitzのアカウントを1人で二つ以上作るメリットはほぼ存在しない(ゲーム的にいうと,むしろ面倒しか増えない)ので,逆に言えばBlitzの700万DLという数は,ほぼそのまま登録プレイヤーの数と考えていいだろう。

 おおむね大成功と言える数字を出したBlitzだが,「BlitzはWargamingにとって勝負だった」と語る言葉からは,本物の安堵感が滲み出ていた。
 確かに,世界的な動向として,ゲームプラットフォームはモバイルに移行してきている。かつては家庭用ゲーム機やPCで遊ばれていたゲームが,モバイルに移植され,それが大いに評価されるケースも増えてはきた。
 だが,PCゲームにおいてすら,相当なコアゲームである「World of Tanks」を,そのゲームの中核となる部分は縮減することなく,モバイルに持ってきたのがBlitzだ。はたしてそれがプレイヤーに受け入れられるのか? これはWargamingにとっても,大きな賭けだったのだ。

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 ともあれ,この成功を受けて,WargamingではBlitzを次のステップに進め始めているという。
 最も大きなステップは,Android版のリリースだ。すでにAndroid版はプレイ可能で,実際に触ってみたところiOS版と違いが感じられない完成度だった。
 こちらのリリースは2014年冬(年内)目標とのこと。遅くとも2015年2月までにはリリースしたい,と語っていた。
 なお,iOS版とAndroid版で,Wargamingアカウントは共有できる(いわゆるクロス・プラットフォーム状態)。なので,家ではiPadでプレイして,出先ではそのアカウントでログインしたままAndroidスマートフォンでプレイ,といったことも可能だ。
 Blitzは本家WoT同様,プレイによって経験点やクレジットを蓄積し,あるいは乗員が成長していくゲームなので,使っている端末によってアカウントが別となると,非常にモチベーションが落ちる。クロス・プラットフォームでプレイできるというのは,多くのプレイヤーにとって朗報だろう。

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 またこれに並行して,iOS版のバージョンアップも進んでいる。1.3アップデートでは,戦車が追加されるだけでなく,グラフィックス表現が改善され,地面に描画される草の動きや,遠くでたなびく煙の表現などが,大幅に強化されている。
 「グラフィックスなんて」と思われるかもしれないが,World of Tanksは地道なグラフィックス強化・サウンド強化によってゲーム体験を大幅に向上させてきた作品であり,Blitzにおいてもこの路線は譲らないようだ。
 さらに,将来的にな予定として,マップやゲームモードの追加も考えているとのこと。このあたりは「想像以上にモバイルプレイヤーがコンテンツを消費する速度が速かった」ためのようだ(とくにアジア地域)。

 Blitzの今後の課題としては,運用の強化が挙げられるという。
 Wargamingスタッフの目から見て,日本のモバイルゲーム会社は「運用に失敗がないのが当たり前」であり,それに比べるとBlitzの運用ではいくつか失敗が発生している,と認めていた。PC版での運用で得てきた経験に比べ,モバイルプレイヤーはゲームに対する期待がまた異なるのだ。
 一方で,その失敗は失敗として無駄にすることなく,発生させてしまったミスは修正し,またそれによって怒らせてしまったプレイヤーとはもう一度コミュニケーションが取れるように努力していきたい,とルブロン氏は語った。
 実際,Wargamingのアジア地域プロデューサーは,みんな前職がモバイルゲーミングの会社だったそうで,このあたりは大いに期待してよさそうだ。

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World of Tanksでマリオカート?


 さて,Warships,Blitzときたところで,World of Tanksにもちょっとしたビッグニュース(?)があった。

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 World of Tanksでは,これまでしばしばジョークコンテンツがイベント的に実装されてきた。
 例えば,ドット絵テクスチャのKarl自走砲を操り,特別マップで戦うイベント(しかもマップは「バトルシティ」のもの)。あるいは,特殊仕様のT-62Aを操り,サッカーボールに体当たりしたり砲撃したりして敵チームのゴールを目指す「サッカー」イベント。
 いずれも「本気で馬鹿をやる」系のイベントであり,プレイヤーの多くはこれらを大いに楽しんでいた。

 そして,こういったよりライトで,カジュアルなプレイモードに対する支持の大きさを反映し,ついにWorld of Tanksに新しいゲームモードが搭載されることになったのだ――それが「Tank Rally」モードつまりレースゲームとしてのWorld of Tanksである。
 はいそこ,「World of Tanksでマリオカートやるの?」とか言わないように。スタッフが自分でそう言ってるんだから。

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 言うまでもなく,これはまったくもってシリアスなゲームモードではなく,サッカー同様,ちょっとした気分転換用のコンテンツである。だが,これまでにもプレイヤーイベントとして,「ヒンメルズドルフを30台のELCAMXで走る」といったものなどが行われており,実装されれば人気が出るだろうな,と思わされるゲームモードである。
 なお,こちらのサービス開始は2014年9月29日とのこと。
 ちなみに,「World of Tanks Generals」についても一応聞いてみたのだが,残念ながら「プラットフォームはPCとモバイルです」以上の情報は出てこなかった。

 Xbox 360版World of Tanksもアップデートを続行している。1.5パッチでイギリスの自走砲が実装されるほか,1.6パッチではテクノロジーツリーに新しい国が追加される予定だそうだ(ちなみに360版でも,日本はプレイヤー数1位だとか)。

 また,最後になったが,最近Wargaming Japanは定期的にオフライン・イベントを開催している。中には秋葉原でメイドカフェと共催でトーナメントといった,いかにもゲーム会社らしいイベントもあるが,一方で「ファンが集って戦車のプラモデルを作る(だけ)」「大和ミュージアムにみんなで旅行する(だけ)」といった,そもそもゲームをしないイベントも複数開催されており,驚くべきことに大人気となっている。
 こういったオフラインイベントの今後については,「評価が高かったものは,さらに強化する形で継続したい」とのこと。また,あまり堅苦しいものではなく,より間口を広げた形のイベントも実施していきたいと語っていた。

 同様に,オフラインイベントというわけではないが,Wargaming本社は「ミリタリーエンターテイメント」というポリシーを掲げ,さまざまな(一種の)文化事業も主導している。
 代表例としては,「ドーバー海峡に沈んでいたドルニエ爆撃機を引き上げてリストアする」「マウスを設計図通りにリストアする」といった,思わずニュースを二度見してしまう系のトンデモ事業が挙げられる。

 これについて,「Warplanesでドルニエ,Tanksでマウスときたからには,Warshipsでも何かやらないんですか?」と聞いてみたところ,「Warshipsが大ヒットしたら,それにふさわしいことをやるかも」と,可能性が示唆された。もちろんリップサービスかもしれないが,いや待って,それ可能性を示唆するだけでも正直いってトンチキだ。
 だが,これまでそういった「レジェンド」を成し遂げてきたのがWargamingである。Warshipsは,それそのものがレジェンドとなりえる作品だが,もしかしたら,その先がさらにあるかもしれない。そういう意味でも,今後のWargamingには注目したいところだ。

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「これをお渡しするということは,どういうことか分かってますよね?」と言い含められて渡された「World of Tanks麻雀」。監修はミリタリーアドバイザーの宮永氏とある。「メディア対抗戦をするので練習しておいてください」だそうで。マジですか? しかも,なんかガチなんですけどコレ。宮永さん,こんなの監修してる暇あったんですか?
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