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次世代APU「Kaveri」は2014年1月14日に正式発表。最上位モデルは856 GFLOPSの「A10-7850K」に
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印刷2013/11/12 19:15

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次世代APU「Kaveri」は2014年1月14日に正式発表。最上位モデルは856 GFLOPSの「A10-7850K」に

11日に開かれたAPU13基調講演の会場
画像集#001のサムネイル/次世代APU「Kaveri」は2014年1月14日に正式発表。最上位モデルは856 GFLOPSの「A10-7850K」に
 北米時間の2013年11月11日から13日まで,AMDは,米国カリフォルニア州サンノゼにて,開発者向けイベント「AMD Developer Summit 2013」(略称,APU13。以下略称表記)を開催中である。略称からも分かるとおり,同イベントのテーマは,グラフィックス統合型プロセッサ「APU」だ。
 初日である11日に開催された基調講演では,開発中の次世代APU「Kaveri」(カヴェリ,開発コードネーム)の概要と性能が公表され,ついに,正式発表が2014年1月14日になると予告されたが,本稿ではそんな期待の次世代APUについて,基調講演から明らかになったことをお伝えしていきたい。

Kaveri搭載製品は北米時間2014年1月14日に登場予定。また,組み込み向けやサーバー向けの次世代APUも2014年中に登場する見込みだ
画像集#012のサムネイル/次世代APU「Kaveri」は2014年1月14日に正式発表。最上位モデルは856 GFLOPSの「A10-7850K」に


Kaveriの理論性能値は856 GFLOPSに。Radeon HD 7750よりパワフル!?


Kaveri搭載ノートPCの試作機を披露する,Lisa Su(Senior Vice President and General Manager,Global Business Units,AMD)氏
画像集#013のサムネイル/次世代APU「Kaveri」は2014年1月14日に正式発表。最上位モデルは856 GFLOPSの「A10-7850K」に
 Kaveriがらみの情報はこれまでも小出しにされてきたが,簡単に振り返っておこう。Kaveriは,第3世代Bulldozerアーキテクチャとなる「Steamroller」(スチームローラー,開発コードネーム)ベースのCPUコアを4基と,Southern Islands世代以降のRadeonで採用された新しいGPUアーキテクチャ「Graphics Core Next」(以下,GCN)ベースのGPUコアを統合するAPUだ。製造プロセス技術は28nmとなる。
 現行世代である「Richland」世代のAPUだと,CPUコアは第2世代Bulldozerアーキテクチャ「Piledriver」ベース,GPUコアはRadeon HD 6000世代のものだったので,いずれも刷新されるわけだ。

KaveriはSteamrollerベースのCPUコアとGCNベースのベースのGPUコアを中心とするAPUだ
画像集#006のサムネイル/次世代APU「Kaveri」は2014年1月14日に正式発表。最上位モデルは856 GFLOPSの「A10-7850K」に

 Kaveriでは,GPUコアの演算ユニットたる「Compute Unit」を最大8基搭載。Compute Unitには,シェーダプロセッサ「Stream Processor」(以下,SP)16基一組の実行ユニットを4基搭載するので,総SP数は最大512基となる。

 デスクトップPC向けKaveriの最上位モデルは,「Socket FM2+」に対応する「A10-7850K」となる予定で,A10-7850Kでは,4基のCPUコアが最大3.7GHz,512基のGPUコアが最大720MHzで動作するとのこと。そして,理論上の単精度浮動小数点演算性能は856 GFLOPSに達するとのことだ。

画像集#007のサムネイル/次世代APU「Kaveri」は2014年1月14日に正式発表。最上位モデルは856 GFLOPSの「A10-7850K」に 画像集#008のサムネイル/次世代APU「Kaveri」は2014年1月14日に正式発表。最上位モデルは856 GFLOPSの「A10-7850K」に
A10-7850Kの性能を示したスライド(左)。右写真はKaveriのGPUコアとIntel CPUの統合グラフィックス機能がダイサイズに占める面積を比較したスライドで,Kaveriではダイの約47%をGPU関連が占めるという

 この理論値がどういう計算で出てきたものかを押さえておこう。
 まずSteamrollerコアのCPUは「1モジュールで2コア」という構成になっている。ここは現行世代の「Piledriver Module」と同じで,A10-7850Kも2モジュール4コア構成ということになる。そして,1基のモジュールは128bitの積和算ベクトルユニットを2基有しており,これらは1クロックで32bit浮動小数点の積和算を8個同時に処理できるので,CPUのFLOPS値は,以下の計算で118.4 GFLOPSと求められる。

8way×2ops×2モジュール×3.7GHz=118.4 GFLOPS

 次にGPUのほうだが,1基のSPが32bit浮動小数点の積和算を1つこなせるので,512基のSPが720MHzで動作するとした場合,FLOPS値は737.28 GFLOPSになるわけだ。

2ops×512SP×720MHz=737.28 GFLOPS

 CPUとGPUを合計すれば855.68 GFLOPSで,四捨五入すると856 GFLOPSというわけである。Southern Islands世代の「Radeon HD 7750」が819 GFLOPSと説明すれば,その強力さは想像できるのではなかろうか。
 もちろんこれはあくまでも理論値だが,それでも,「統合型GPU」として,相当な性能を持っていることは疑いようがない。


Kaveriの高い性能をBattlefield 4でアピール


 Keveriでは,AMD独自のグラフィックスAPI「Mantle」と,プログラマブルサウンドエンジン「TrueAudio」を搭載することも,APU13では明らかになった。

画像集#010のサムネイル/次世代APU「Kaveri」は2014年1月14日に正式発表。最上位モデルは856 GFLOPSの「A10-7850K」に 画像集#011のサムネイル/次世代APU「Kaveri」は2014年1月14日に正式発表。最上位モデルは856 GFLOPSの「A10-7850K」に
KaveriはMantleとTrueAudioに対応する。ゲーマーとしては重要なポイントになるかもしれない

 基調講演では,A10-7850KとCore i7-4770K+GeForce GT 630のシステムで,「Battlefield 4」を同一グラフィックス設定で動かして,そのフレームレートを比較するデモが行われた。下にそのムービーを掲載しておこう。右側がA10-7850Kで,左がCore i7-4770K+GeForce GT 630。グラフィックス設定は「MEDIUM」とのことだ。
 ムービーの中央に,「Fraps」によるフレームレートの表示が見えるが,比較対象は10fps代前半をうろうろしているのに対し,A10-7850Kは30fps前後に達しているのが分かる。滑らかさの違いも一目見て分かるほどだ。


Kaveriの目玉フィーチャーはやはりHSAがらみのハードウェア支援機能
画像集#009のサムネイル/次世代APU「Kaveri」は2014年1月14日に正式発表。最上位モデルは856 GFLOPSの「A10-7850K」に
 さてKaveriでは,AMDが精力を傾けている「HSA」(Heterogeneous System Architecture)に対応するための,さまざまな機能も導入されている。HSAとは,GPUコンピューティングを使いやすくするために,GPUとCPUで同じプログラムを扱えるようにしようというフレームワークのことだ。
 まずメモリシステムには,HSAに対応する統合型メモリシステム「hUMA」(heterogeneous Uniform Memory Access)を搭載。さらに,CPUとGPUを効率よく使用して,データ並列演算を可能とするための仕組み「hQ」(heterogeneous Queueing)も利用できる。これらはいずれも,HSAが目指すCPUとGPUの統合運用を支援するための,ハードウェアによる機能だ。
 なお,これらについての細かい説明は割愛するので,それぞれのリンク先を参照してほしい。

 なお,今回はKaveriのリリース予定と概要が発表されただけで,技術情報の開示は,2014年1月7日に米ネバダ州ラスベガスで開幕する展示会「2014 International CES」直前の5日になるとのこと。Kaveriの詳細が明らかになるのは,もう少し先になりそうだ。


躍進するAPUに賭けるAMD


 基調講演で語られたのは,Kaveriの話だけではない。講演を担当したAMD上級副社長兼グローバル事業部担当ジェネラルマネージャーのLisa Su氏は,2011年から2013年までにわたるAPUの躍進ぶりと,HSAの広がりを説明した。
 2011年に登場したAPUは,現在までに約1億個を出荷。採用する製品は,デスクトップPCやノートPCだけでなく,ゲーム機やサーバーにまで広がりを見せていると,Su氏は誇らしげに語る。

 とくに躍進が著しいのが,「PC以外の分野」(non-PCs)だとSu氏は述べる。2014年には1億5000万台以上のAPU搭載システムの出荷を見込んでいるというが,その40%が,タブレットやゲーム機,サーバー分野といった「PC以外の分野」となるであろうとAMDは予測している。2015年以降には,PC以外の分野がAPU搭載システムの過半数を超えるだろうとのことだ。

画像集#003のサムネイル/次世代APU「Kaveri」は2014年1月14日に正式発表。最上位モデルは856 GFLOPSの「A10-7850K」に
2011年の登場以来,APUは1億台以上の搭載システムを出荷したという
画像集#004のサムネイル/次世代APU「Kaveri」は2014年1月14日に正式発表。最上位モデルは856 GFLOPSの「A10-7850K」に
APUの採用分野はパソコンに限らず,他の多様な分野に採用が拡大している

 そして2014年以降,AMDはHSAによって,APUに大きなソフトウェアのパラダイムシフトを持ち込む。HSAを提唱したのはAMDだが,現在では同社のAPUに限らず,この枠組みを他社のSoC(System-on-a-Chip)などにも広げていくための業界団体「HSA Foundation」が,AMDの音頭で設立されている。

HSAの発想は,競合メーカーをも巻き込んで発展しつつあるという説明スライド
画像集#005のサムネイル/次世代APU「Kaveri」は2014年1月14日に正式発表。最上位モデルは856 GFLOPSの「A10-7850K」に
 この団体には,CPUやGPUを設計するARM,SoCベンダーのQualcomm,「PowerVR」シリーズで名高いGPUメーカーImagination Technologiesなども加盟しているという,メーカーの垣根を越えた団体となりつつある。「HSAの発想をあらゆるプラットフォームに広げていくことが,ソフトウェアを進化させる手立てとして有力である」ことで各社が一致しているため,部分的には競合するメーカー同士でも手を結んでいるわけなのだ。

 2014年1月にKaveriが登場することで,HSAも構想や利点を語る段階から,実際のシステムで性能と有用性を評価される段階に進むことになる。はたしてKaveriはGPUコンピューティングを利用するユーザーから,どのような評価を得ることになるのだろうか。期待を込めて見守りたい。

AMD Developer Summit 2013 公式Webサイト(英語)


  • 関連タイトル:

    AMD A-Series(Kaveri)

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