紹介記事
往年のタクティカルRPGをブラウザゲームに落とし込んだ「Jagged Alliance Online」。その魅力をデベロッパとライセンサーに聞いてみた
本作は,欧米で評価の高いタクティカルRPG「Jagged Alliance」シリーズの最新作にあたり,シリーズの特徴をそのままにオンラインゲーム化したという作品だ。
「Jagged Alliance」シリーズは,ターン制のタクティカルRPGで,プレイヤーが傭兵ユニットを雇い,ミッションを通じて彼らを育成しながら進行していく。1作目の「Jagged Alliance」(1994年)および続編の「Jagged Alliance 2」(1999年)は,欧米各国でリリースされ,2012年には「Jagged Alliance: Back in Action」としてリメイクされている。
本稿では,オンラインゲーム化されたJAOがどのようなゲームなのか,その概要を紹介していこう。また記事の後半には,来日中だった本作のライセンサーおよび,デベロッパのスタッフへのショートインタビューを掲載しているので,ぜひご一読を。
「Jagged Alliance Online」公式サイト
シリーズの持ち味をそのままブラウザゲーム化した本格派のタクティカルRPG
「Jagged Alliance」のストーリーは,国際傭兵協会「A.I.M」に所属する傭兵達による活躍を描いたもので,JAOのストーリーも同様に,「A.I.M」の傭兵達が主役となる。
1999年,「Jagged Alliance 2」および,そのリメイク版「Jagged Alliance: Back in Action」にて,国家「アルルコ」を暴虐な独裁者「デイルドンナ女王」から解放したA.I.M。
彼らはその後,アルルコに基地を築き滞在していたのだが,1年後にA.I.Mは謎の部隊の襲撃を受け,事実上壊滅してしまう。混乱のなかで世界中に散り散りとなった傭兵達は,10年のあいだ潜伏し,彼らを襲った敵に復讐する機会を虎視眈々と狙っていた。そして今,指導者「ガス・ターボールス」の指揮のもと,再びA.I.Mとして集結し,謎の敵に挑むというのが本作のストーリーとなる。
ゲームの基本進行は,傭兵を雇って部隊を編成し,受諾したミッションをクリアしていくという形式だ。サービス開始当初は,傭兵は40人以上,ミッションは100種類以上が用意され,傭兵はミッションでの戦闘で経験値を得て成長していく。スキルは身体能力に関わる5種類と,武器種に応じた7種類が用意されており,例えばスナイパーなら高精度のエイミングや遠くの敵を発見する能力など,適性に応じたものが伸ばせる。
また,敵がドロップする武器などのアイテムを入手したり,ミッションクリア報酬のゲーム内通貨を使って新たな装備アイテムを購入することも可能だ。武器には命中率/威力/射程などのパラメータが,防具には前/横/後ろの防御値と耐久力,そしてマップに応じた迷彩効果などが設定されている。
戦闘は,シンプルで分かりやすい操作体系になっている一方で,「アクションポイントシステム」を採用した奥深いものとなっている。アクションポイントは,傭兵の行動に応じて消費するポイントで,ターンごとに上限が定められている。
例えばアクションポイントの範囲内であれば,見つからないようしゃがんで移動し,照準を定め,ヘッドショットで敵を倒すといった流れを1ターンで実行することが可能だ。1ターン目で遮蔽物に隠れ(カバーリング),次のターンでヘッドショットを決めるという感じだろうか。
またドラム缶を撃ってその爆発に敵を巻き込んだり,あえて自分のターンではアクションポイントを使わず,次の敵ターンで妨害行動を起こしたりすることもできる。
その一方で,敵も仲間の援護射撃をしたり,遮蔽物に隠れたり,あるいは側面攻撃を仕掛けてきたりといった行動を取ってくる。これらは最適化されたAIシステムによって実現しているとのことで,プレイヤーの行動タイミングや,昼夜の違いといった細かい条件によって,敵の行動が変わるそうだ。
さらにミッションで入手した資源などを消費して,A.I.Mの拠点となる司令部をアップグレードすることも可能だ。司令部には「作業場」「病院」「保管倉庫」の3つの施設があり,アップグレードによって,それぞれ外観と機能を5段階に強化できる。また,将来的には傭兵をトレーニングする施設も追加される予定だという。
PvPモードでは,自分の育てた部隊を,ほかのプレイヤーの部隊と競わせることができる。自分のレベルに応じたマッチング機能と,ランキング機能が用意されているので,参戦のモチベーションを維持しやすいだろう。
なおPvP時の戦闘では,各ターンに制限時間が設けられ,短い時間でターンを終えるとボーナスが与えられるシステムとなっている。
本作は基本プレイ無料のアイテム課金制となるのだが,有料サービスとしては,弾丸や回復アイテムなどの消耗品の販売に加え,傭兵の永久雇用(ゲーム内通貨で雇用した場合はレンタル扱いで,解雇するとレベルなどがリセットされてしまう),装備アイテムの販売がある。
装備アイテムの中でも銃はタイプ別に7種類が用意されており,ミリタリーFPSでお馴染みのものから一風変わったモノまで,バラエティに富んでいる。これらをコレクションしてみるのも楽しみの一つになるだろう。
さて,こうして概要を紹介していくと,JAOは非常にシリアスなゲームだと思うかもしれないが,実はそれだけではない。傭兵のプロフィールやミッションに内容には,コミカルなものや世相を皮肉ったような内容も多く,読んでいてニヤリとさせられることも頻繁にあるという印象だ。
また正式サービス開始後には,マップやミッション,装備の追加はもちろん,プレイヤー同士の協力プレイシステムや,武器の生産システムなどが導入されるとのことである。こうした情報は,公式サイトなどで随時公開されるので,興味ある人はチェックをお忘れなく。
ドイツとのバージョン差はおよそ2〜3か月程度に
現地の開発/運営スタッフにショートインタビュー
今回,JAOのライセンサーとなる独gamigo AGにて,海外ライセンスのコーディネーターを務めるMaximilian Albrecht氏と,デベロッパのCliffhanger Productions Softwareでアソシエイトプロデューサーを務めるChristian Gutjahr氏に話を聞く機会を得たので,以下に掲載しよう。
4Gamer:
よろしくお願いします。ますは,Cliffhangerとgamigoがどういう会社なのかを教えてください。
Cliffhangerは2006年にオーストリアで創業したゲームパブリッシャで,2009年から開発スタジオとしても活動しています。JAOは初めてとなる自社開発タイトルで,現在は「Shadowrun Online」の開発も手がけています。
Maximilian Albrecht氏(以下,Albrecht氏):
gamigoは,主に北米と欧州に集中していますが,オンラインゲームのパブリッシングを世界中で行っています。JAOの海外向けライセンスアウトは日本が初めてとなります。
4Gamer:
往年のPCゲームタイトルをオンラインゲーム化するにあたり,留意した点はありますか?
Gutjahr氏:
もともと欧米で人気の高いシリーズということもあって,オンライン化するということ自体の話はすんなりと決まりました。その一方で,PvPやマルチプレイで,シリーズの雰囲気を崩さないように再現することに細心の注意を払いました。
4Gamer:
「Jagged Alliance」のオンラインゲームを遊びたいファンにとっては,その方向性が嬉しいだろうなと思えます。ところで,ドイツではすでに正式サービスも行われているんですよね。
Gutjahr氏:
ええ。ドイツでは,2012年2月から9月まで長期にわたってクローズドβテストを実施し,その期間中,シリーズのファンから寄せられた意見をもとに,慎重に調整を繰り返しました。その結果,多くの人が納得できる内容となり,9月にサービスインしてからも非常に好調です。とくに,遊びやすいという感想が多く,PvPも盛り上がっています。
4Gamer:
往年のストラテジーゲームをいまの時代にオンライン化するにあたり,ジャンルをRTSにするという選択肢もあったかと思うのですが。
Gutjahr氏:
そういったアイデアも当然出ました。ですが,やはりシリーズがもともと持っていた,ターン制ゲームの魅力を再現しようと考えました。
Albrecht氏:
実は,gamigoはターン制ゲームに注力しているパブリッシャでして,その意味でもこのスタイルを採用しているんですよ。
4Gamer:
パブリッシャと開発元で方向性が一致していたわけですね。ところで,日本でのJAOのサービスインが2012年秋とのことで,ドイツでのサービスインから2〜3か月遅れの予定になるわけですが,ドイツとのバージョンの差はどうなるのでしょう?
Gutjahr氏:
ローカライズの期間が必要なので,その分の遅れはあります。ですが,できるだけ同じバージョンで展開していくつもりです。
4Gamer:
分かりました。では,JAOで今後どんなアップデートが予定されていますか。
Gutjahr氏:
アップデートの全体的な方針としては,プレイヤーの傾向を分析して,求められるコンテンツの追加とバランスの調整を図っていく予定でして,いま挙がっている具体的な機能としては,武器の生産/カスタマイズシステムがあります。
4Gamer:
ちなみに,今後モバイル端末で展開,もしくはモバイル端末との連携機能を実装する予定はあるのでしょうか。
まだ決定ではありませんが,当然,時流を踏まえて検討しています。
4Gamer:
gamigoは今後,日本でJAO以外のタイトルを展開する予定はありますか?
Albrecht氏:
まずはJAOを戦略的タイトルとして,重点的に展開して行きます。将来的な展開については,「UFO Online」(公式サイト[英語])のように,タクティカルゲームのさまざまな可能性を検討しています。ドイツ同様,シンプルで奥深いゲームを軸としたコミュニティを育てたいですね。
4Gamer:
それでは最後に,JAOに期待する読者に向けて,メッセージをお願いします。
Gutjahr氏:
ぜひ日本の皆さんにJAOの戦いに参加していただき,海外のファンと共通の話題で,一緒に盛り上がれる日を楽しみにしています。
エンタークルーズ JAO運営プロデューサーどらんく氏:
JAOは海外初のタイトルですが,ゲーム自体の面白さは全世界共通です。戦争をモチーフにしているとはいえ,システムはターン制ですから肩肘張らずに楽しめます。ストーリーもシリアス一辺倒ではなく,おちゃらけた部分がたくさんあります。もともとの「Jagged Alliance」にあった,さまざまなエッセンスを大事にし,一人でも複数プレイヤーでも進められるよう丁寧に作られたゲームですので,ぜひプレイしてみてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「Jagged Alliance Online」公式サイト
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