インタビュー
F.A.T.E.システムで世界は動く――「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」クローズドβテスト・フェーズ1開始直前,吉田直樹氏インタビュー
ベンチマークソフトは本日公開!
トレイラームービーに見る“新生”された世界
4Gamer:
では次に,ベンチマークトレイラーの内容に関して,教えていただければと思います。このトレイラーは,文字どおり「ベンチマーク」の内容を切り出したものですよね。
吉田氏:
そうです。ベンチマークは,2月22日中に公式サイトでダウンロードできるようになる予定です。PCでプレイされる方は試してみてください。
4Gamer:
ベンチマーク内容がトレイラーとして公開されるというのも,あまり例がない気がしますが。
吉田氏:
ベンチマークの内容は,PC環境がある人しかご覧いただけないじゃないですか。ですから,PlayStation 3版をお待ちの方は,その内容を知ることができません。なので,公式にトレイラーを出すことにしたんです。
まず細かく見ていくと,今回のトレイラーには,3つのリージョン「荒野」「海」「森」が登場しています。
4Gamer:
なるほど,ウルダハ,リムサ・ロミンサ,グリダニアを意味してるんですね。
吉田氏:
さらに見ていくと,このムービーでF.A.T.E.をイメージしたシーンが入っています。分かりやすいところだと,3:00あたりでは,チョコボで走っている周りでバトルが発生しています。そこで,巨大なトレントに向かって走って,そのまま戦闘に参加しているキャラクターがいるんですよ。これが,F.A.T.E.のイメージです。
4Gamer:
ああ,確かに! そうか旧FFXIVのイメージだと,横からの参加はありえないですから。
吉田氏:
ええ。このようにF.A.T.E.が発生していたら,いつ参加してもいいですし,パーティを組む必要もありません。自由に輪の中に入っていって,ダメージを与えたり,回復をすることで個人の貢献度が測られ,報酬が割り振られます。ですから,終盤に参加してもいいし,序盤からでもいい。その気軽さを表現しています。
4Gamer:
イフリートと外のフィールドで戦っているシーンもありますよね。かなり驚いたんですが……。
吉田氏:
あれもF.A.T.E.のイメージです。プレイヤーがワラワラと途中で参加して,次々と倒されていくんですよ(笑)。では,イフリートが最初から外をうろついているかというと,そうではなくて,これはあくまでプロモーション的に出しているものなんです。
4Gamer:
そうですよね。フィールドを走っていたら,イフリートに突撃していたとか,ちょっと怖いですし。
吉田氏:
ただ,イフリートは新生FFXIVのメインストーリー上でも,重要な役割を果たしています。それが終わってしばらくしたあとであれば,F.A.T.E.として普通に発生してもいいね,という話はしています。
4Gamer:
ああ,やっぱりオートランで飛び込まないように注意しないと(笑)。
このように,今回のトレイラーの内容は結構こだわっています。ほかにもチョコボで合流するシーンは,フリーカンパニー,いわゆるギルドのイメージです。
なかでもジョブAF装備のキャラクター達は,ずっと同じパーティを組んでいて,イフリートのシーンもよく見ると分かりますが,周りはバタバタと倒れているのに,あの8人だけ最後まで戦っていて,ナイトのリミットブレイクで防御してたりですね……。細かく見ていただくと,ちゃんとストーリーのようになっているんですよ。
4Gamer:
聞いてから見直すと,最初とは違った印象を持ちますね。あと,森で乱戦をしているシーンで,手前を走るサボテンダーに目を奪われましたが,その奥にめちゃくちゃデカい亀がいますよね。
吉田氏:
いますね(笑)。
4Gamer:
あれと戦うことになるんですか……。楽しみではありますが,怖いですね(笑)。
吉田氏:
楽しみになりますよね。β1ではお話しているように,F.A.T.E.を数多く実装しています。いわゆるNM(ノートリアスモンスター)と戦うものもあるんですが,最初プレイしていて「これ小さいよ……」と開発に言ったんですよ。遠くから見て「なんだあれ!?」とプレイヤーに思わせないと参加してくれいないぞ,と。
4Gamer:
確かに小さいモンスターだと,そのままスルーしてしまいそうです。誰かが戦っていればなおさらですし。
吉田氏:
ええ,ポツンと沸いててどうするんだよと。
とは言っても,あそこまでのアダマンがいきなりフィールドにいるのかというと,それも違います。極端な話,高レベル帯になってきたら,あれぐらいの巨大なモンスターがいてもいいと思っていますけど。でかいというのはそれだけですごく見えますし(笑)。
4Gamer:
ムービーでもそうですが,圧倒されますね。
吉田氏:
そう。しかも,それに耐えられるモデルクオリティがあるんですから。
4Gamer:
あのサイズだと,全体像が画面に入りきらないかも知れません(笑)。
エオルゼアという世界に動きを与える「F.A.T.E.」システム
4Gamer:
では,この流れでF.A.T.E.システムについて聞いていきたいのですが,ベンチマークトレイラーでは,あちこちでモンスターとの戦いが展開されていました。実際に一つのゾーンのなかで,F.A.T.E.が複数発生することはあるんですか。
あります。とくにゾーン内で数の制限はしていないので,タイミングが合えば,一つのゾーンで同時に7〜8個くらいのF.A.T.E.が起きます。内容は大小さまざまですが,だいたい1ゾーンに10個,多いゾーンで12〜13個はありますね。
4Gamer:
もっと,ポツポツと発生するようなものだと思ってました。内容は,どんなものが?
吉田氏:
単純に,モンスターが大量に沸いたから駆除してくれというものから,盗賊の砦を落とそうとする鬼哭隊(きこくたい)のNPC達から助けを求められるという大きなものまで,いろいろです。
盗賊の砦は,砦を占拠するというものなんですが,無事にボスが倒せると砦に鬼哭隊のNPCがポップして占拠完了になります。
4Gamer:
モンスターか盗賊かの違いで,討伐という感じですが。
吉田氏:
盗賊の砦を落とすというF.A.T.E.は,そこでクリアになりますが,実はそのあと一定時間が経つと,今度は盗賊が砦を奪い返しに襲ってくるという防衛戦のF.A.T.E.が始まるんですよ。
4Gamer:
なるほど。時間が経ったら,盗賊がリポップするだけといったわけじゃないんですね。
吉田氏:
そうです。このように,1〜2人で遊べるF.A.T.E.から,例えばこの砦のF.A.T.E.のように8人くらいで戦うようなものまであります。ちなみに,砦ではNPCが援護してくれるので,うまくNPCを使って戦えば少数でも落とせると思います。ただ調子にのって突出したり,ケアルでヘイトを一気に取ってしまうと死ぬかもしれません(笑)。
4Gamer:
ありがちですね(笑)。
吉田氏:
とは言っても,αテストをプレイした方であれば,ご存じかと思いますが,基本的に新生FFXIVでは,同レベルの敵に対して,2/3くらいのHPを残して勝てるようなバランスになっています。F.A.T.E.は,パーティもケアルも必要ないというコンセプトで作っているので,突出せずに盗賊を倒したら休憩してと,慎重に戦えば大丈夫だと思います。
4Gamer:
ちなみに,F.A.T.E.発生の間隔はどれくらいになっているんですか。
吉田氏:
それはF.A.T.E.によります。あと,そのゾーンに人が少ないとあまり起きませんし,前回発生したF.A.T.E.が失敗した場合,参加者がいて失敗したのか,放置されて失敗したのかをチェックしていて,放置されていた場合は次回発生までの時間が長くなります。逆に,誰かが参加して失敗した場合は,再発生までの時間が短くなります。
4Gamer:
再挑戦は早めにできるという感じなんですね。
吉田氏:
そうです。人数を集めてもう1度やろうと思えるように,わりとすぐに発生します。やはり,失敗したらもう一回チャレンジしたいはずですから。そのバランスは,β1で遊んでもらって,僕らもチェックさせていただこうと思います。
4Gamer:
再挑戦が容易というのは,嬉しいですね。ところで,砦を取ったら奪い返しにくるという流れがありますが,例えばF.A.T.E.に失敗することで分岐が発生したりといったことはありますか。
吉田氏:
その意味だと,砦の防衛に失敗すると,今度は盗賊の砦を落とせというF.A.T.E.になりますね。一方で,防衛に成功すると2回目の防衛F.A.T.E.が発生しますから,それが分岐と言えるでしょう。
4Gamer:
なるほど。防衛に成功して終わりじゃなくて,その状況がそのまま続くんですね。
吉田氏:
ほかにも,「ミコッテ族の密猟団」と「ゴブリン族」が密猟品の売買をめぐって対立し,乱闘。これを両方成敗するというF.A.T.E.もあります。クローズドβの範囲では,このように50数個のF.A.T.E.を入れようと思っていましたが,いくつかはまだ調整不足なので,間引いているものもあります。それでも,大小さまざまなF.A.T.E.が楽しめますよ。
4Gamer:
しかし,それだけいろいろあると,アチーブメントの取得もあるのかな……なんて気になりますが。
吉田氏:
あります。ただ,参加したF.A.T.E.の種類にしてしまうと,プレイヤーにやらなきゃという強迫観念が生まれるので,F.A.T.E.に50回参加したといった軽いものにしようと思っています。
4Gamer:
回数なら,無理をして参加する必要はないですね。
参加するために,キャンプするというのも違いますからね。F.A.T.E.は,たまたまそこで狩りを始めたら突然出現して「え,何か始まった!?」という感じになるかもしれないですし,通りがかったプレイヤーが「お,なにやってるの?」という感じで参加するかもしれない。そんな,いろいろなシチュエーションで遭遇するものになると思っています。
とくにNPCが絡んでいるF.A.T.E.は,凝っているものが多いので,遊んでみてください。酒場で暴れているNPCのF.A.T.E.などもありますよ。
4Gamer:
拠点でも普通に起こるんですか?
吉田氏:
ええ,起こりますね。なかなか発生しないですが,そのF.A.T.E.が始まるとNPCが出てきて,話しかけると「この酒場で唯一手が付けられない暴れん坊がいて……ひー,あいつだぁ!」みたいな感じで始まります。そして,プレイヤーキャラクターと殴り合いをして……あとはお楽しみにということで。
4Gamer:
殴り合い……町中ですし,斬り合いにはならないとかですか。
吉田氏:
プレイヤーが素手になれば(笑)。集団でボコることもできますが……,そこはやってみてのお楽しみです。
4Gamer:
大小のF.A.T.E.が,あちらこちらで起こることは分かりましたが,確かF.A.T.E.が発生すると,アナウンスが出るんですよね?
吉田氏:
ええ。「近くでFull Active Time Evetが発生しました」というアナウンスが出ます。
4Gamer:
アナウンスは広範囲なものですか。
吉田氏:
そうですね。広範囲なので,すぐ分かると思います。またマップにも,発生しているF.A.T.E.のサークルが表示され,そのサークル内に入ると自動的にF.A.T.E. JOINという文字が表示が出ます。マップを開きっぱなしにしていれば,発生したらすぐ画面に反映されますし,そのサークルにカーソルを持っていくと,F.A.T.E.のタイトルもわかります。
4Gamer:
なるほど,自動的にJOINするんですね。では,サークル(範囲)外に出るとどうなるのでしょう?
吉田氏:
そのF.A.T.E.からは外れますが,与えたダメージなどのカウントは残っています。例えば,100のダメージを入れると終わるF.A.T.E.があり,30までダメージを入れて,急用ができたからとサークル外に出たとしても,F.A.T.E.が終了した時点で,その貢献分に対する報酬が反映されます。
ただ,ゾーンを移動してしまうと権利を失いますし,そもそもF.A.T.E.自体が失敗してしまうと,報酬はゼロになります。
いずれにしても,サークルの境界には神経質になることはなく,気軽に参加すればいいと思います。
4Gamer:
うっかりサークル外に出て「しょぼーん」ということはないのは助かります(笑)。ちなみに,このF.A.T.E.だったり,レベル限定があるコンテンツでレベルシンク(※)が発動するときに,装備の性能はどうなりますか?
※コンテンツで決められたレベル制限に合わせて,そのレベルを上回っているプレイヤーのステータスを,一時的に制限値まで引き下げる機能
吉田氏:
レベルシンクが入るのはオープンβテストからになりますが,「ファイナルファンタジーXI」(以下,FFXI)と同様に,装備のパラメーターもシンクします。ですので,参加するときに装備を付け替えるなどの心配はいりません。
ただ,これも「FFXI」と同じですが,例えばレベル50のフル装備でレベル35にシンクした場合,レベル35でぴったり最適な性能の装備になるかというと,それよりちょっと下がります。
4Gamer:
つまり,本気で行こうとするなら,揃えて着替えたほうがいいわけですか。
吉田氏:
そうなりますが,レベル35帯のコンテンツだと,そこまで装備性能を極端に重視したバランスではないので,あまり気にしなくていいと思います。
4Gamer:
まあ,レベル50を目指すプレイヤーにとっては,通過ポイントですよね。とくに難しく考えなくてもいいわけですね。
吉田氏:
はい。レベルシンクの発動時には「レベルシンクしますが,よろしいですか」といったように一声掛けますが,毎回これを聞かされるのも面倒なので,コンフィグでオートでレベルシンクする設定を用意します。
ですので,オートにしておけば,コンテンツに入ったらすぐにレベルシンクされて,コンテンツから出るか,終わるかしたら,もとに戻るという感じで本当に気軽に楽しめます。
4Gamer:
強さをそのまま維持しておく理由がなければ,オートが楽ですね。ところで,例えばF.A.T.E.が始まったのを確認して,LSの仲間を呼んでから向かっても間に合うんでしょうか。
吉田氏:
始まってから終了するまで,誰も参加していなければ15分くらいでしょうか。ただ,特定の大きなF.A.T.E.になってくると,終了までの猶予は何時間とかにしますので,LSのメンバーを呼ぶといったことも可能になると思います。
4Gamer:
なるほど。大きなものはともかく,ほとんどはプレイヤーが冒険の中で“出会う”というイメージになりそうです。それにしても,なんというか「世界が動いている」という感じがすごく強いですね。
吉田氏:
まさにその感じです。β1では間に合わないかもしれませんが,キャンプにオポオポが集団で豆を奪いにきたり,ウォーレン牢獄からインプが大脱走するのを阻止したりと,どこかで何かが動いています。なので,クエストに立ち寄ったときに発生していると,けっこうギョッとすると思いますよ(笑)。そして,プレイヤー間で「あれ見た?」という会話につながってくれればと思っています。
4Gamer:
エオルゼアという世界で起こる事件に,本当の意味で巻き込まれるんですね。
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