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ここまでやるか? AIカスタマイズゲームとしても成立しそうな「UNAC」システムなど,「ARMORED CORE VERDICT DAY」の新要素について聞いてきた
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印刷2013/08/03 00:00

インタビュー

ここまでやるか? AIカスタマイズゲームとしても成立しそうな「UNAC」システムなど,「ARMORED CORE VERDICT DAY」の新要素について聞いてきた

UNACは,1人で遊びやすくするためにディープに作った


4Gamer:
 先ほど,AIはフォーミュラフロント以上のものが入っていると言われていましたが,比喩でもなんでもなく,本当にあれ以上に細かい設定ができるんですね。言ってみれば,アクションのアーマード・コアとAIカスタマイズのアーマード・コアが同じパッケージに入っている状態です。UNACがここまで手の込んだ新要素になっているというのは,前作のプレイヤーであっても,予想すらしなかったのではないでしょうか。

鍋島氏:
 逆に言うと,フォーミュラフロントを過去に出している以上,それを超えないと「チョイ足し」でしかなくなってしまいますから。これから皆さんに手に取っていただくのが楽しみです。

4Gamer:
 チョイ足しどころか,もはやメインコンテンツの1つですよね。

鍋島氏:
 確かに,おまけと言うには,作るのが大変すぎました。

高橋氏:
 アーマード・コアのアクション部分や,アセンブルの仕組みと同じぐらいの労力を掛けて開発しましたから。

4Gamer:
 そこまで大掛かりにUNACを実装しようとした意図というのは,どういったものでしょう。

鍋島氏:
 前作が1人でチーム戦を遊びにくかったので,そこをどうにかしたかったんです。僕達は,なんとしても皆さんにチーム戦を遊んでほしいんです。ほかのプレイヤーと協力しての対戦や,オペレータのような従来のシリーズになかった遊びは,絶対に面白いものだと信じています。だから,どうしても5vs5で対戦するという形は変えたくない。

4Gamer:
 いや,でも,そこからAIの導入というのも,すごく変わった発想に聞こえるのですが……。

鍋島氏:
 え,なぜでしょう。

4Gamer:
 普通なら,チームを組みやすくするとか,1人で参加した人限定のチーム戦が行えるモードを用意するとか,ライトな方向にシステムを変えると思うんです。でもフロム・ソフトウェアさんは,そこをもっとAIを作り込める方向にしている。要するに,「遊びやすくすること」が目的なのに,よりコアで難しくしているわけですよね。

鍋島氏:
 確かに(苦笑)。
 でも,仮にライトな方向で無理やり対戦の場に立てるようにしたところで,うまい人達にボコボコにされるだけでしょう。それではうまくいかない。あくまで「1人でも本気で遊び込める」ことが前提で,その上で,5vs5のフルメンバーで対戦に参加できるような仕組みでないと,意味がないんです。そう考えたら,AIを充実させるしかないという発想になりました。
 まあ,AIのカスタマイズがここまでディープになったのは,ほぼ100%高橋のせいですけど。

高橋氏:
 やっちゃいました(笑)。

画像集#018のサムネイル/ここまでやるか? AIカスタマイズゲームとしても成立しそうな「UNAC」システムなど,「ARMORED CORE VERDICT DAY」の新要素について聞いてきた

4Gamer:
 アーマード・コアにはアセンブルの要素がありますから,これに例えば「攻撃型」「防御型」みたいな性格付けを組み合わせるだけでも,かなりのバリエーションにはなりますよね。そうではなく,思考を細かく設定ができるようにしてあるのは,なぜでしょう。高橋さんが細かなデータをいじるのが好きだから,みたいな理由ですか?

高橋氏:
 自分の好みはもちろんありますけど,何よりも,AIを連れて1人で遊んだときに,「勝って嬉しい,負けて悔しい」という気持ちを大事にできるような仕組みにしたかったんです。開発中に,もっと簡単にしたほうがいいんじゃないかという話はあったんですが,AIをプリセットから選んでなんとなく連れて行けるようなシステムだけにしてしまうと,1人でチーム戦に参加したとしても,あまり勝ち負けを実感できないと思うんですよね。

4Gamer:
 ああ,分かります。ただ連れて行くだけのAIだと,思い入れが薄いと言いますか。

画像集#011のサムネイル/ここまでやるか? AIカスタマイズゲームとしても成立しそうな「UNAC」システムなど,「ARMORED CORE VERDICT DAY」の新要素について聞いてきた
高橋氏:
 ええ。思い入れがないと,「じゃあ次どうしよう?」と試行錯誤する気もなくなってしまいます。大切なのは,「今回負けたのは,自分がこう設定してしまったせいだから」と思えることなんですね。これがないと,本当の意味で1人でチーム戦は楽めない。だから,深い部分に関しては,どこまでも深くやり込めるようにしているんです。

4Gamer:
 なるほど。でも,私はカルネージハートを遊んでいたり,そもそもRTSが好きだったりするので,ものすごく興味があるんですが,ディープすぎて,逆に「アクションが遊びたいのに,この部分に力を入れられても」という反応をする人はいそうですね。

鍋島氏:
 ものすごく盛り上がる人と,面白さがまったく分からない人で,二極化はするでしょうね。だからと言って,従来のアクションゲームとしての要素をないがしろにしたということはまったくなく,同じ熱量で遊び込めるほどのものを用意したかったということです。

高橋氏:
 社内で企画を出した時ですら唖然とされてましたからね。

4Gamer:
 そうなんですか?

鍋島氏:
 社内の役員達に見せた時に,ポカーンとされました。でも,神(代表取締役社長 神 直利氏)だけは,元々プログラマーですし,開発にも口を出す人間なので,すごい食いついてきて。「何が何だか分からない! アリ!」とか言って大絶賛でした(笑)。

4Gamer:
 刺さる層には,本当に刺さるんですねえ(笑)。

鍋島氏:
 ACVDは,それでいいと思うんですよ。お話したとおり,UNACの遊び方には3段階あって,必ずしもディープなところまでやらなければならないわけではありませんから。むしろまったく触らなくても,これまで通りアクションゲームとして遊べる。その上で,UNACにハマれるコアな人は,違うゲームを丸々1本遊ぶような感じで楽しんでもらえれば,成功だと思っています。

高橋氏:
 それと,アーマード・コアは初代が発売されてからもう16年経っていて,好きだけどアクションについていけなくなったという人もいると思うんです。そういった人達に,また遊んでほしいという想いもあります。

4Gamer:
 シリーズを最初からずっと遊んでいる場合,当時中学生でも今は30歳ですからね。私も,前作をマルチプレイで遊んでいて,周りについていくのが大変だった覚えが……。

鍋島氏:
 アーマード・コアのプレイヤーの年齢層って,割と入れ替わりがあるんです。中心は高校生や大学生で,新しく入ってきてくれる人は大勢いるんですが,一方で歳を取るにつれて卒業してしまう人もいます。ハードなアクションゲームなので,それは仕方がないことなのかもしれませんが,ACVDにはUNACがあるので,アクションが厳しくなったという人も,もう一度遊びこんでもらえると嬉しいです。

4Gamer:
 私はたぶん,UNACを中心に遊んで,自分では操作しないと思います。

鍋島氏:
 あはは。それはそれで十分遊べるように作っていますから,こちらとしても,そういうプレイヤーに出てきてもらえると嬉しいです。
 夢はやっぱり,プレイヤーより強いUNACが現れることですね。ACVDには,敵のACを撃破した数などのランキングがあるんですけど,そこの上位にUNACが入ってきてほしいです。

4Gamer:
 それは面白いですね。すごい強いプレイヤーだと思っていたら実はUNACだったりすると,衝撃を受けそうです。

鍋島氏:
 そこまで実現できると,苦労してUNACシステムを作った甲斐があります。でも,UNACはやっぱりAIなので,人間の強さとは違ってくると思いますよ。UNACの動きはある種個性的で,戦うとなんとなく怖いんです。動きに迷いがないというか,撃たれていても躊躇せずに突っ込んできたりするので,人間じゃないのが分かるかと思います。

4Gamer:
 それはそれで,ロボットモノらしいシチュエーションですね。「奴の動きは人間じゃない!」みたいな。夢が広がります。

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大きくゲームバランスが変化するやり込み要素「ハードコアモード」


4Gamer:
 ここまで主にマルチプレイの話を聞いてきましたが,ソロプレイはどうなるのでしょう? ACVでは,これまでのアーマード・コアファンから,1人用のモードをもっと遊びたいという声も挙がっていたかと思うのですが。

高橋氏:
 そうですね。やはりストーリーモードのミッションを1人で遊びたいという人が多いということも痛感しています。
 そこで,ACVDでは,ストーリーミッションの形式を,従来のアーマード・コアのような形でクリアしていくようにしました。アリーナ形式のミッションも含めると,60ミッションあります。

4Gamer:
 ACVの長いストーリーミッションは,あれはあれで面白かったと思うのですが,なぜ戻すことになったのでしょう?

高橋氏:
 簡単に言ってしまうと,よりアセンブルを楽しんでもらえる内容にしたかったんです。ACVは,ミッションの途中でアセンブルを変更できましたが,今回はアセンブルを決めて出撃して,失敗したら次のアセンブルを考えてすぐに再出撃できる,テンポ良く楽しめる形にしています。

鍋島氏:
 それと,ACVは新しい人にも触ってもらいたかったので,意図的に若干難度を下げていた部分もあったんです。ミッション中にアセンブルが変更できるので,敵の対処法を理解していて適切な方法を取れば,あまり操作のうまくない人でもクリアできるバランスにしていました。

4Gamer:
 言われてみると,ACVで「これはきつい!」というのはあまりなかった気が……。

鍋島氏:
 ですから,ACVDは難度を上げて,しっかりアセンブルを決めて挑戦する形にしています。今回は難しめですよ。

高橋氏:
 しかもACVDには,頑張ってラスボスを倒してストーリーをクリアしても「ハードコアモード」があります。

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4Gamer:
 周回プレイ用のモードですよね。さまざまな条件で最初からストーリーミッションを楽しめるとのことですが。

高橋氏:
 はい。ACVDのミッションを作るにあたって,開発当初から「ミッションって何が面白いんだろう」という部分を見直しているのですが,それでも足りないという人のために,繰り返し遊びたくなるような仕組みも用意しなければならないと考えたんです。アーマード・コアのもともとの魅力って,パーツを集めて,機体を組んで,それをやりくりしてミッションをクリアしていくことですよね。

4Gamer:
 ええ。

高橋氏:
 でも,一度パーツを揃えてしまうと,また最初からやり直そうという気にはなかなかならない。しかもACVやACVDの場合,オンラインでデータがセーブされてしまうので,最初からのやり直しができない仕様になっています。ここをなんとかしたかったので,ハードコアモードではセーブデータが新しく別に用意され,しかもさらに手応えのあるミッションにチャレンジできるという内容にしています。

4Gamer:
 具体的には,どう難しくなるんですか?

高橋氏:
 何種類かコースが用意されていて,それぞれレギュレーションが異なっています。その内容によって,ミッションで必要になるパーツが変わってくるので,同じミッションでもまったく異なる感覚でプレイできるんです。例えば,獲得できるお金が少ないコースであれば,パーツが思うように買えません。なので,ミッションの報酬で手に入るパーツを駆使したり,エネルギー武器を使って弾薬費を節約したりする必要がでてきて,使えるパーツがかなり制限されるんですよ。

4Gamer:
 なるほど。それは切実な問題ですね。

鍋島氏:
 あとは受けるダメージが5倍のコースとかね。

4Gamer:
 5倍!?

高橋氏:
 跳弾によって,貫通しなければ0.2倍,貫通した途端5倍という極端な状態になります。そのため,出現する敵を完全に覚えて,必要な防御力をきっちり高めておくみたいな戦い方が必要になるでしょう。
 しかも,食らうダメージが5倍になるコースでは,こちらが与えられるダメージは10倍になるんですよ。

4Gamer:
 それはまったく別のゲームみたいなバランスになってしまうのでは?

鍋島氏:
 ええ。パーツが持つパラメータの意味が,まったく違うものになります。跳弾さえなければ,装甲の効果がほとんどなくってしまいますし,一発一発の火力が向上するぶん,ガトリングやマシンガンがかなり強力になりますから。

4Gamer:
 パズルのような,緻密な計算をした上でのアセンブルが必要になりそうですね。
 それにしても,お話を聞くと,マルチプレイ,シングルプレイどちらについても,前作と比べてかなりパワーアップしている印象を受けます。

高橋氏:
 ACVDは,先にもお話したとおり,前作よりも1人で遊び込めるようなゲームにするということを意識して作っています。UNACもそうですし,ハードコアモードもそうですね。最初に鍋島が述べたとおり,ACVではみなさんが望んでいる遊び方を我々が提供しきれず,ガッカリさせてしまった人も多いと思っていたので。

鍋島氏:
 ACVでは良かったと思う部分がある一方で,それ以上に反省点や,難しかったと感じている部分が多々あるので,今回はそれを踏まえて,皆さんに楽しんでもらえるようなものを目指しています。今後も,いろいろと触れる機会を用意したり,情報を出したりしていくので,それらを見ていただいて,本当に面白いものになっているのかを判断していただき,また手に取ってもらえることができれば,非常に嬉しいです。

4Gamer:
 分かりました。ありがとうございました。

画像集#014のサムネイル/ここまでやるか? AIカスタマイズゲームとしても成立しそうな「UNAC」システムなど,「ARMORED CORE VERDICT DAY」の新要素について聞いてきた


 対戦中心のマッチングシステムとUNACを主軸に,ソロプレイもさらに強化し,全体的に大きく遊びの幅が広がりそうなACVD。今回は,お披露目直前のUNACについての話が中心だが,聞けば聞くほどこちらの想定を大きく上回っており,本当にメインコンテンツとして作り込んでいるようである。ここまで複雑な仕組みとして実装されるということは,アーマード・コアファンであっても想像できなかったのではないだろうか。カルネージハートを遊んできた身としては,数少ないAIカスタマイズシミュレーションとしても,期待が高まるところである。

 最後に,インタビュー中に宣伝部の小倉康敬氏から余談として聞いた話なのだが,本作の限定版である「ARMORED CORE VERDICT DAY コレクターズエディション」は,特典のフィギュアの作り込みにこだわりすぎて,通常版よりも利幅が削られてしまったらしい。「そこまでして限定版を作るのか!?」と思ってしまうが,これはこれで,どこかフロム・ソフトウェアらしい面白い話だ。コレクターズエディションは数量限定となるので,こだわりの特典を確実に入手しておきたいという人は,予約を済ませておいたほうがいいだろう。

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