インタビュー
[インタビュー]「ハースストーン」,音楽をテーマとした次期拡張版“集え!レジェンド・フェス”のコンセプトを開発陣に聞いた
「ハースストーン」,最新拡張セット“集え!レジェンド・フェス”を4月中にリリース。音楽フェスをテーマにした新能力やカードが登場
Blizzard Entertainmentは2023年3月15日,デジタルカードゲーム「ハースストーン」で,4月中に配信を予定しているパッチ“パッチ26.0”で,最新拡張セット「集え!レジェンド・フェス」を実装すると発表した。E.T.C.が開催するアゼロス史上最大の音楽フェスティバルがテーマの拡張セットだ。
本稿では,ゲームデザイナーのLeo Robles Gonzalez氏(以下,Gonzalez氏)と,シニアゲームプロデューサーのAlicia Cornelia氏(以下,Cornelia氏)に,次期拡張版のコンセプトを聞いた合同インタビューの模様をお届けしよう。
「E.T.C.」が音楽フェスを開催。クラスごとの音楽や,ミュージシャン・歌・楽器に注目
――「集え!レジェンド・フェス」はどのようなストーリーですか。
アゼロスで音楽といえば「E.T.C.(Elite Tauren Chieftain)」です。彼は,ほかのミュージシャンにもスポットライトを当てるため,音楽フェスを開催しました。ミュージシャンたちは,誰が一番ファンの歓声をもらえるか競い合っています。
――各クラスにレジェンドミュージシャン・歌・楽器武器を与えた経緯を教えてください。
Gonzalez氏:
まずは,開発陣がわくわくすることから始まります。音楽をテーマにすることを前提として,ほかのデザイナーと話しているうちに,いろいろな音楽の要素を取り入れるアイデアが出てきました。そのうちの1つが,楽器を武器として使うことです。また,それぞれのクラスをユニークにするため,音楽のジャンルを各クラスに振り分けました。
Cornelia氏:
そして,各クラスのビジュアルをそれぞれ異なったテイストにしていきました。例えば,ドルイドは自然や花といった可愛らしいイメージです。また,R&Bやヒップホップが,この世界でどういう立ち位置かということも探索しました。視覚的にも楽しめるものになっていると思います。
――音楽のジャンルはどのように決めましたか。また,候補にはあったけれど使わなかったものはありますか。
Gonzalez氏:
音楽のジャンルは,ほぼ皆さんが聞いているものだと思います。以前,プレイヤーが好きな音楽のアンケートをとったので,選びやすかったです。ディスコは,プレイヤーからの人気はあまり高くないですが,聞いていて分かりやすく,ゲームに取り入れやすい要素があるので採用しました。使わなかった音楽は,カントリー・ミュージックです。アメリカでは人気がありますが,世界ではそれほど知られていないと判断したからです。
――お二人はどのジャンルの音楽を聞いていますか。
Gonzalez氏:
私は,エレクトロから枝分かれしたサブジャンルをよく聞くので,メイジということになりますね。でも,普段は聞かないジャンルですが,イチオシはハンターのフォークです。おそらく想像のつかないミュージシャンが,レジェンダリーカードのモデルになっています。
Cornelia氏:
私は,パワーリフティングをやっていて,デスメタルを普段は聞くので,デスナイトのジャンルに決まった時は興奮しました。また,エレクトロジャンルのチップチューンもよく聞くので,イベント「ヘッドライナー・ツアー」で選択肢として用意できて嬉しいです。今回の拡張は,いろいろな音楽のジャンルに触れ合えることが魅力だと思います。
――今回のシネマティックトレイラーのコンセプトを教えてください。
Gonzalez氏:
私は,直接制作していないですが,シネマティックチームとの会議に出席していました。シネマティックチームは優秀なので,基本的には任せています。今回のトレイラーでは,音楽の多様さを表現しましたが,尺の問題もあるので,ローグのヒップホップ,デスナイトのデスメタル,プリーストのポップといった大きく違うジャンルに焦点をあてました。
Cornelia氏:
シネマティックチームとの作業は緻密なプロセスで,キャラクターや世界観,開発陣の遊び方などを共有しています。ゲームプレイの要素をきちんと表現するため,打ち合わせを重ねています。また,「深淵に眠る海底都市」のトレイラーでは,「超大型」ミニオンを背景でちょっと見せていたのですが,それ以降のトレイラーでは似たようなことをしています。
――「フィナーレ」や「ソリスト」などの音楽的なメカニズムは,この拡張限定ですか。
Gonzalez氏:
音楽的なメカニズムは,この拡張に沿った内容なので,今後の拡張で使用する予定はありません。「過回復」は,たまたまタイミングが同じになりましたが,今後もプリーストが使えるツールとして実装しました。
――プリーストの新キーワード「過回復」はパラディンなどほかの回復クラスにも実装されますか。
Gonzalez氏:
絶対にないとは言い切れませんが,今のところ考えていません。プリーストは回復がコンセプトのクラスですが,ハースストーンではあまり機能していないです。勝っている時は必要ありませんし,負けている時は焼け石に水なので。そこで,「過回復」によって回復要素を強化して,ファンタジー的なプリーストのイメージに近づけるようにしました。
――プリーストは難しいクラスという個人的な印象がありますが,「過回復」によって初心者にも使いやすくなりますか。
そうなればいいと思っています。「過回復」は,初心者から上級者まで誰もが楽しめる要素としてデザインしました。上級者に人気があるデッキを弱体化しても,初心者には関係ないことが多く,逆もまた然りです。カードバランスは,ファイナルバランスチームに任せていますが,すべてのプレイヤーの期待に応えたいです。
くわえて,「フィナーレ」にも注目してください。このキーワードは幅広いプレイヤーにアピールするため開発しました。初心者にはマナを使い切ることの大切さを教え,上級者には「フィナーレ」を無視するタイミングを考えさせます。「発見」カードはターンの最初にプレイするのが定石ですが,「ゴーストライター」は最後に使うと追加で1枚発見できるので,戦略性が生まれています。
――シャーマンは拡張ごとのメカニズムが,以前のものとシナジーに欠けていると思います。このクラスをどうしたいのですか。
Gonzalez氏:
過去1年のハースストーンに対する意見としては,厳しいですが妥当だと思います。その拡張でしか使えないものがあることを,開発陣も肝に銘じるようになりました。ほかのクラスも同様ですが,新しいデッキを作る楽しさと,前のデッキに新しいカードを入れて改善する楽しさのバランスを取りたいと思っています。デザインの目標としては,シナジーをゆるめに設定しつつ,各拡張のテーマにあわせた要素でワクワクさせたいです。
――今年はハースストーンをどのようなゲームにしたいですか。
Gonzalez氏:
一言では,“楽しい”です。ハースストーンはけっこう古いタイトルで,すばらしいコミュニティに愛されています。そして,コミュニティは新しいものを求めているという面白いポジションにあります。今回は,「E.T.C.」でサイドボードという新要素に取り組み,おおむね受け入れられていると感じています。今後も,このような効果を有効活用する方法を考えつつ,新しいものを提供していきたいです。
Cornelia氏:
古参のゲームとして,システムを改善する立場になってきました。ユーザーインタフェースを初心者にとって使いやすくしたり,カードコレクションの管理やフレンドとの対戦を分かりやすくしたりといったことです。できるだけ多くの人に遊んでもらうため,調整を行うので期待してください。
――Gonzalezさんは発表動画でコスプレを披露していましたね。撮影のエピソードを教えてください。
Gonzalez氏:
撮影はとても楽しかったです。ビデオチームが情報を盛り込みつつ,ハースストーンらしさを追求してくれました。すばらしいものを提供したいと思っているので,デスメタル風の衣装もノリノリで着ました。でも,あの動画の衣装については,今でもいじられることが多いです(笑)。
――最後に,日本のコミュニティに向けてメッセージをお願いします。
Gonzalez氏:
ハースストーンをプレイしてくれて,ありがとうございます。今回の拡張がすべてのプレイヤーにとって良いものになることを願っています。
Cornelia氏:
コミュニティの皆さんがワクワクしている姿を見れて嬉しいです。トレイラーに登場するキャラクターのコスプレを見てみたいので,コスプレイヤーの友達がいたらおすすめしてください。
「ハースストーン」公式サイト
「ハースストーン」ダウンロードページ
「ハースストーン」ダウンロードページ
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(C)2017 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC.
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