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[GDC 2015]愛するモノであるからこそ,自由にしてあげる。「UE4」の無料化を発表したEpic Gamesのティム・スウィーニー氏がその意図を語る
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印刷2015/03/05 17:52

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[GDC 2015]愛するモノであるからこそ,自由にしてあげる。「UE4」の無料化を発表したEpic Gamesのティム・スウィーニー氏がその意図を語る

Epic Gamesの設立者であるCEOのTim Sweeney氏
画像集 No.002のサムネイル画像 / [GDC 2015]愛するモノであるからこそ,自由にしてあげる。「UE4」の無料化を発表したEpic Gamesのティム・スウィーニー氏がその意図を語る
 Epic Gamesの創設者兼CEOであり,現在もチーフアーキテクトとして第一線で活躍し続けるTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は,北米時間の2015年3月4日,GDC 2015にて「The State of Unreal Engine」(Unreal Engineの現状)という題の基調講演を実施。使用料の無料化をアナウンスしたばかりの「Unreal Engine 4」に絡んだ,現在の状況やその意図について語った。

 スウィーニー氏は,そもそも2014年に月額制を発表したときにも,ライセンスビジネスの崩壊を危惧していたそうだ。そして,この一年で開発者コミュニティが25倍にも増えたことから,ゲーム業界の発展をサポートすることでビジネスとして成立させていくという手法を選んだらしい。
 その決定にあたって,すでにEpic Gamesを離れた初期メンバーと会合を開いたのだが,そのときに集まった1人が発した,「愛するモノであるからこそ,自由にしてあげよう」という言葉で背中を押されたという。
 これは,娘や息子が巣立ちしていくときに,親が自分に言い聞かせるような,英語圏では良く使われる常套句である。スウィーニー氏らにとっては,過去20年近くにわたって育ててきた子供のようなものだったわけだ。

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 ライセンス無料化にあたっては,ソースコードなどもすべてオープン化されており,今後は開発ノウハウも利用者に平等に共有されていくことになる。このコンセプトを最も早い段階から体現していたのが,Unreal Engine 4を利用して開発が進められている新世代「Unreal Tournament」PC / Mac)だという。
 本作では,アメリカ内外のアマチュアクリエイターやゲーマーたちの意見を取り入れ,「完全にオープンな状態で,その進行状況もすべて開示している。コミュニティにより,コミュニティとともに,そしてコミュニティのために作り出されているゲームなのだ」とスウィーニー氏は話す。

 氏は,そんな新しい開発プロセスの一部として,MODクリエイターが自分の作ったアートやマップを販売できる「Unreal Tournament Marketplace」についても言及し,これがValveの「Steam Workshop」の成功に多大な影響を受けたものであること認めている。
 いまのところ,ゲーム価格以上の値段で販売されているアセットもあったりするが,Unreal Tournamentの完成する頃には落ち着き,合わせてMODコミュニティがさらに活性化することを期待しているようだ。

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 さらにスウィーニー氏は,今回のGDC 2015においてホットトピックになっているVR(仮想現実,バーチャルリアリティ)やAR(拡張現実,オーグメンテッドリアリティ)についても触れ,Oculus VRの「Rift」,Steamの「SteamVR」,ソニー・コンピュータエンタテインメントの「Project Morpheus」,そしてMicrosoftの「HoloLens」などを「非常に尊敬している」と話す。
 続けて,「(この分野は)過去何十年にもわたって,挑戦しては失敗することを繰り返してきたが,いま彼らがやっていることは革命的で,利用者がリアルな体験を得られるだけの品質になってきているようだ」と語り,「これからはすべてVR/ARを使った3D環境の中でインタラクトすることになり,次の世代の子供たちは,我々とはまったく異なるテクノロジーとともに成長していく」という未来像にも言及していた。

 つまるところ,スウィーニー氏が言いたいのは,こうした最新技術をソフトウェア面で支えるのが,Epic GamesのUnreal Engineであり続けるということだ。映画「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズをはじめとして,3DCGを多用する娯楽映画で知られるWETA Digitalは,映画のホビットシリーズに登場した巨竜「スマウグ」が,Unreal Engine 4を使って作成されたものであったことに言及し,「もはやリアルタイムレンダリングの技術は,映画表現にもしっかりと対応できるほどフォトリアリスティックなものになった」と語っている。

これまでリアルタイム3Dレンダラーが映画のCGに採用されることはほとんどなかったが,ホビットシリーズに登場した竜「スマウグ」にはUnreal Engine 4が利用された
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 このあと,スウィーニー氏は唐突に「でも,こうしたフォトリアルなレンダリングには,それなりのパワーを持つハードウェアが必要です」と切り出し,その直後,NVIDIAのJen-Hsun Huang(ジェンスン・フアン)氏が,何かが包まれたジャケットを脇に抱えて颯爽と登壇する。そして「この中にトップシークレットなものがあるんだけど,これを見せると2週間後に開催する自社イベント(GPU Technology Conference 2015)で発表するものがなくなっちゃうんだよ」と笑いを取りつつ,「GeForce GTX TITAN X」を披露した。

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 このGeForce GTX TITAN Xについては本誌でも既報どおりだが,トランジスタ数が80億に達し,組み合わせられるグラフィックスメモリ容量も12GBになるという,「この業界では,ときどきクレイジーなことをしなくてはいけない」とHuang氏が話すように,モンスター級のグラフィックスカードだ。その詳細はGTC 2015で公表されることになるのだが,その一号機として披露されたものが,会場でスウィーニー氏に贈られ,今回の公演を大きく盛り上げた。

「Epic Games」公式サイト


GDC公式Webサイト

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