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改良版id Tech 5によって演出されるオールドスクールなゲーム性が魅力。「Wolfenstein: The New Order」が「E3 Preview Event」でプレイアブル公開
Wolfenstein(ウルフェンシュタイン)は,id Softwareが1992年にリリースした「Wolfenstein 3D」を第1作とするFPSシリーズ。同社の「DOOM」に先駆けて発売されたことから“FPSの元祖”などとも呼ばれており,古参ゲーマーなら一度はその名前を耳にしたことがあるのではないだろうか。
「Wolfenstein: The New Order」公式サイト
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「Wolfenstein」シリーズは,その姉妹作とも言える「Rise of the Triad」ならApogee Software,「Return to Castle Wolfenstein」ならGray Matter Studios / Nerve Software,そして「Wolfenstein」ならRaven Softwareといった具合に,id Softwareから委託される形でさまざまなデベロッパが制作してきた。今回,「Wolfenstein: The New Order」の制作を担当するのは,スウェーデンのMachineGamesというゼニマックス傘下のスタジオだ。
MachineGamesは2010年に,ZeniMax Mediaの傘下企業になったのだが,それより一年ほど前に,(同じくZeniMaxに買収されていた)id Softwareと友好関係を築いており,WolfensteinのIPを利用しやすい環境が整っていた。MachineGamesのメンバーはStarbreeze時代に,「原作映画よりも良い出来だ」と絶賛された「The Chronicles of Riddick: Escape From Butcher Bay」や,同タイトルのアメリカンコミックを題材としたホラーFPS「The Darkness」など,良質なアクションゲームを開発していたチームだったので,ZeniMaxやid Softwareだけでなく,ゲーマーからの信頼も厚い。
シリーズの伝統を受け継いだストーリーや世界観
本作の主人公は,ファンにはお馴染みのB.J. Blazkowicz(ビージェイ・ブラスコヴィッチ)。フルネームはBilly Joseph Blaskowiczというのだが,Billyは「ウィリアム」のニックネームでもあり,本作では他のキャラクターからウィリアムと呼ばれている。
これまで,ナチス・ドイツの中枢に潜り込んでは様々な難関を突破してきたウィリアムだが,彼の奮闘空しく,第2次世界大戦に勝利したナチス・ドイツが世界の覇権を握ってしまった。アフリカの一部はまだ完全に支配されてはいないようだが,同盟国であった日本まで併合されている様子だ。
そんな中,ウィリアムはヨーロッパを拠点とするレジスタンスグループ「クライザウ・サークル(Kreisau Circle)」に所属し,さまざまなミッションをこなしていくことになる。クライザウ・サークルとは,実在した反ナチス組織の名称だが,シリーズファンであれば「Wolfenstein」にも登場していたことを覚えているのではないだろうか。
二丁拳銃なんてもう古い。男なら二丁マシンガンだ!
今回プレイアブルで公開されたロンドンでのミッションは,車の窓越しにロボット軍用犬に吠え立てられるシーンから始まった。ウィリアムは車の助手席に座っており,イギリス人のドライバーが検問所で通行手形のようなものを提示している。検問所を通過した直後から,このドライバーはナチス・ドイツに対する不満を漏らし,車は陰鬱なロンドンの街を進んでいく。
しばらくして到着したのは,ロンドンの中央部に建設されたLondon Nauticaと呼ばれる,まるで宗教施設のような巨大な研究所だ。傍らにはビッグベンも見えるので,バッキンガム宮殿の跡地に建設されているのだろう。
ドライバーはLondon Nauticaの敷地内でウィリアムを下ろして一丁のピストルを渡し,「世界を変えてくれ」というような一言を残して,施設に車ごと突っ込み爆散した。
このレジスタンスの自己犠牲により,London Nauticaへの侵入に成功したウィリアム。しかし近くにはロボット軍用犬がおり,プレイヤーはウィリアムを操作して,周囲の瓦礫を利用しロボット軍用犬を足止めする必要があった。ちなみに筆者は,ロボット軍用犬を仕留めることにもチャレンジしたのだが,ピストル一丁ではまったく歯が立たなかった。
その後,車の爆発によって傷ついた敵兵を始末しながら進んでいくと,今度は二足歩行型のロボットが登場。片方の腕はチェーンガンになっており,もう片方にはビーム系の兵器が装着されていて手強そうだ。しかしこいつも,先ほどの爆発でダメージを受けていたため,思いの外ラクに倒すことができた。
London Nautica内部に潜入すると,目の前に大ホールが広がっていた。もたもたしていると敵兵が猛攻撃をしかけてきそうなので,武器庫に逃げ込み,弾薬やアーマー,ヘルスパックを回収したのち,猛反撃に転じた。
武器庫では二丁拳銃が入手できたのだが,インベントリには一丁拳銃と二丁拳銃が上下に配置されており,マシンガンなども両手で持てるようになっていた。そのほかの武器としては,金網なども焼き切れるレーザーガンや,背後から敵に近付いて静かに仕留めるナイフも確認できた。面白いのは,要所に設置されているタレット。台座から取り外して,手持ちで使用することもできるのだ。
なお,「Wolfenstein 3D」といえば火炎放射器を連想するゲーマーもいるだろうが,マティス氏によると「オリジナル版の思い出深い要素は大抵フィーチャーしている」そうなので,期待してもよさそうだ。
ただ,すべての銃器は第二次世界大戦当時から進化しており,ナチス・ドイツの謎の科学力によって大きくパワーアップしている。SFっぽさよりも,重量感や錆色のアートワークが強調されており,派手なサウンド効果とも相まって,本作のアピールポイントである「激しいゲーム体験」が見事に表現されている印象を受けた。
昨今のFPSは,じっとしているとヘルスが自動的に回復する仕様が採用されているものが多い。そのため,物陰に隠れて休憩しつつ,スキを見てヘッドショットを狙うというスタイルが一般的になりつつある。前作「Wolfenstein」も,同様にヘルスが自動回復するゲームだった。
しかし本作では,同じところにジッとしていると,かなりの確率でやられてしまう。ヘルスは一応自動回復するものの,20ポイントまでしか回復しない。本作では,なるべく動き回りながら敵を倒していき,倒した相手からヘルスパックや弾薬を回収しつつ,常に前進していかなければならないのだ。
ただし,二足歩行型ロボットなどの強敵と戦う場合は,カバーポジションが重要な意味を持つ。物陰に隠れている状況でアナログスティックを倒せば,隠れたまま攻撃できるので,戦況を見極めつつ臨機応変に戦いたいところ。
大ホールでの激戦のあと,ナチス・ドイツが月面歩行に成功したことを記念する写真が飾られているのを確認できた。それを見たウィリアムは悪態をつくが,その次の戦場は,巨大な月のモデルを正面にすえたプラネタリウムのような施設。ここでは,通常の敵兵のほかに,飛行型ドローンとの戦闘も楽しめた。
そのあとは,ナチスが発掘したと思われる古代の遺物から,ヘブライ語で書かれた資料を盗み出し,エレベーターを利用しつつ研究施設や最新鋭ヘリコプターの製造工場などを転戦。行く先々で敵兵やロボットと銃撃戦を繰り広げるというのが,ロンドンミッションの内容だった。
オールドスクールなゲーム性と最新技術の融合
プレイフィールやゲームの雰囲気は,オールドスクールなFPSを強く意識させる内容になっているが,「The Chronicles of Riddick: Escape from Butcher Bay」のようにストーリーでも魅せてくれるのがMachineGamesの開発スタイル。デモで確認できた,第3チャプターのエンディングシーンでは,これまでのシリーズにはないタッチで列車内での移動シーンが描かれていた。
デモは,トレイに載せた2つのカップにコーヒーが注がれる場面からスタート。舞台は,アガサ・クリスティ原作の映画に出てくるような,落ち着いた雰囲気の列車食堂である。カップが二つあるのは,客室にパートナーであるアーニャが待っているからだ。
車内にはナチス・ドイツの党旗が掲げられているので,ウィリアムは敵の懐に潜り込んでいるんだなぁなどと考えていると,ドアが開き,フラウ・エンゲル(Frau Engel)という名の女性将校と,ブビーと呼ばれる長髪の優男が入ってきた。彼らはウィリアムを見つめるようにしながら通り過ぎて行ったが,その後二足歩行型ロボットまで登場し,エンゲルの親衛隊のような体で直立した。
この時点でウィリアムの素性が怪しまれているのかどうかは定かではないが,トレイを手に素通りしようとするウィリアムに対し,エンゲルは高圧的な態度で着席を指示。その後,二つの写真を目の前に並べ,どちらかを選ばせるという心理テストのようなものを行うのだが,ウィリアムが写真を指し示す際,位置をちょっとずらせば銃を手にできるという緊迫感のある状況が描かれていた。マティス氏が本作を,「シューターではなくアクションアドベンチャー」と語っていたのも納得のシーンである。
「Wolfenstein: The New Order」は,オールドスクールなFPSに最大限のリスペクトを払いながらも,MachineGamesらしいキャラクター性/ストーリー性や,id Tech 5の表現力を前面に押し出し,独特のゲーム世界を作り上げている。古参ゲーマーはもちろん,本作で初めてWolfensteinシリーズに触れるという人にとっても,注目の1本と言えるだろう。
「Wolfenstein: The New Order」公式サイト
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Wolfenstein(R): The New Order™ (C) 2013 ZeniMax Media Inc. Developed in association with MachineGames. MachineGames, Bethesda, Bethesda Softworks, ZeniMax and related logos are registered trademarks or trademarks of ZeniMax Media Inc. in the U.S. and/or other countries. Wolfenstein, the W (stylized) and related logos are registered trademarks or trademarks of id Software LLC in the U.S. and/or other countries. All other trademarks or trade names are the property of their respective owners. All Rights Reserved.
Wolfenstein(R): The New Order™は1960年代の仮想世界に基づくフィクションです。各名称、登場人物、団体、場所、事象は架空のもの、またはフィクションに基づく描写によるものです。本作品のストーリーとコンテンツはナチス政権の信念、イデオロギー、事象、行動、党員、行為を解釈、称賛、是認を意図するものではなく、またナチス政権による戦争犯罪や虐殺、その他人権に反する犯罪を矮小化する事を容認するものではありません。