インタビュー
[E3 2013]台風の目となった「Titanfall」のリードアーティストにインタビュー。Call of Dutyを成功させた開発者達が次に目指すゲームの正体とは
Respawn Entertainmentのリードアーティスト,Joel Emslie氏。以前,ナムコ(現バンダイナムコゲームス)で働いた経験もあるという |
実際,Electronic Artsのブースに用意された専用シアターには,20分ほどのデモを一目見ようと,多くの来場者が詰めかけて列を作っていた。
今回4Gamerでは,Respawn Entertainmentでリードアーティストを務めるJoel Emslie(ジョエル・エムズリー)氏に,そんなTitanfallについてインタビューする機会が得られた。4GamerのE3 2013レポートでは,先行してゲームの概要をお伝えしているが,それと合わせて読んでもらえると,Titanfallというタイトルの輪郭は,かなりはっきりしてくるだろう。
太陽系外の“地球に似た”惑星が舞台。Titanのデザインは,SFに寄りすぎない,ミリタリー色を持った形に
4Gamer:
よろしくお願いします。
さっそくですが,今回のE3でTitanfallは大きく注目されているようです。その反響をどのように感じていらっしゃいますか?
Joel Emslie氏(以下,エムズリー氏):
デモを見たみなさんが笑顔になるのが,本当に嬉しいですね。E3 2013の開催直前に存在がバレてしまったのはご存じだと思いますが(関連記事),それでも,我々が数年間にわたって開発を続けてきたものをようやく発表できたことにホッとしていますし,これからだという思いも強まりました。
4Gamer:
クローズドブースでのプレゼンテーションで使われたデモは,Microsoftの「Xbox E3 2013 Media Briefing」(関連記事)で披露していたものを,より長く見せたという理解でいいのでしょうか。できれば,内容を詳しく解説していただけますか?
エムズリー氏:
今回のデモは,「Militia」(民兵)のパイロットとなったプレイヤーのグループが,「IMC」(Interstellar Manufacturing Corporation,ゲーム内に登場する企業)の侵攻から拠点を守るために派遣されるという内容になっています。冒頭で,兵士が輸送ヘリから降下したのをご覧になったと思いますが,プレゼンテーションでは,MilitiaとIMCによる7対7の戦いを,ブースのカーテンの後ろにいた開発メンバーが実演していたのです。
4Gamer:
ゲームモードはどういったタイプのものだったのしょう?
エムズリー氏:
今回のデモで見せた部分をあえて表現するなら「防衛ミッション」ということになります。でも実のところ,Titanfallには「ゲームモード」という概念がないんですよ。
ご存じのように,本作ではシングルとマルチの境界線が曖昧になるよう開発されています。MilitiaとIMCの戦いは,ストーリーの進行に合わせて,ソロプレイだったり協力プレイだったり,もしくはAI勢力を含めた大規模戦闘になったりするという仕組みなんです。
4Gamer:
モードがないとは,それはまた……。
そういえば,そもそもゲームの舞台は地球なのですか?
エムズリー氏:
いいえ。太陽系外の惑星という設定です。
まだストーリーなどは詳しく発表していませんが,世界設定を築くにあたっては,なるべくプレイヤーの想像からかけ離れないようにと考えています。なので,生態系も含めて,地球の環境に似た惑星が舞台になると考えてください。
4Gamer:
覚えておきます。
今回のデモでは,コマンダーやサポートキャラクター達がコミュニケーターでせわしなくプレイヤーに話しかけてきていましたね。それもあって,個人的にはCall of Dutyライクに戦場での臨場感を演出しているな,という印象を受けました。
エムズリー氏:
そうですね。我々は元々ミリタリーアクションに特化したデベロッパでしたから,その遺伝子はTitanfallに受け継がれていると思います。
4Gamer:
エムズリーさんご自身は本作でリードアーティストを務めていますが,Titanのデザインはどのような発想から生まれたのでしょうか。
エムズリー氏:
ああ,よく聞いてくれました(笑)。
私自身は「攻殻機動隊」や「アップルシード」で知られる,士郎正宗さんの大ファンなんです。だから,「ロボットを使ったスピーディなアクションシューティング」という企画が持ち上がった時は,はっきり言って大喜びでしたね。
ただ,我々のチームにはかつて軍人だった人もいるほどで,先ほども言いましたがミリタリーのバックグラウンドを大切にしています。TitanをSFチックにし過ぎず,ある意味でアメリカ的な,重厚なデザインにするよう心掛けました。
でもまあ,デザインのどこかに,私個人が先の作品から受けた影響を感じ取ってもらえると嬉しいですね。
TitanでもPilotでも楽しめるよう,2つの層を重ね合わせたようなレベルデザインに
4Gamer:
そのTitanですが,一定の間隔で,拠点となるマザーシップから撃ち込まれるように登場していましたね。
エムズリー氏:
はい。ミッションにもよりますが,最初のTitanが投入されるのに1分,そのTitanが破壊されてから新しいものが補充されるまでに2分かかる,といった形で調整しています。といっても,ゲーム中にTitanを使うか否かは,プレイヤーの選択次第なんですけどね。
4Gamer:
そういえば,着陸したばかりのTitanが,パイロットを乗せないまま動き出したように見えたときがありました。気のせいかもしれませんが……。
エムズリー氏:
そうなんです。Titanはプレイヤーが搭乗しなくても,自らの動き回って相手を撃ったり,踏みつけたりするんですよ。繰り返しになりますが,そんなTitanに搭乗するかどうかは,局面によって,プレイヤー側でしっかりと選ぶ必要があるんです。
4Gamer:
つまり,Titanを使わないことのメリットもあるわけですか。
エムズリー氏:
というより,Pilotを(歩兵として)そのまま使うことのメリットをちゃんと考える必要がある,といった感じでしょうか。
細かい部分ではいろいろとありますが,Pilotの大きな特徴として,「建物の中に入って戦える」点が挙げられます。我々は,これを「キャット&マウス戦法」なんて呼んでいるのですが,PilotはロケットランチャーなどでTitanを攻撃した直後,素早く建物の中に潜り込んで姿を消したかと思いきや,今後は高層ビルの上からジェットパックで飛び出してくる,といった感じで,高い機動力があるんです。
4Gamer:
ああ,なるほど。
エムズリー氏:
それにPilotは,建物から敵のTitanに飛び移って,Titanの死角となる頭上から破壊を試みたり,コクピットに銃をねじ込んでパイロットを銃撃したりできます。味方が操縦するTitanに乗って,一緒に移動することもできますね。
4Gamer:
生身(?)のPilotも,やりようによってはTitanと互角に近い感じで戦えるわけですね。
エムズリー氏:
ちなみにTitanから緊急脱出して,パイロットが空中浮遊しながら敵を狙撃する,とったことも可能です。
そもそもTitanfallは,Titanが多く稼働しているチームが勝つわけではなく,プレイヤーそれぞれのプレイスタイルが生かせるようなゲームにしたいんです。PilotでもTitanでも楽しくプレイできるよう,2つのレイヤーを重ね合わせたイメージで,レベルデザインも行っているんですよ。
Titanfallをできるだけ早くファンに届けたい。そして新IPで成功できるメーカーであることを証明したい
4Gamer:
ところで,Titanはカスタマイズできたりするのでしょうか。
エムズリー氏:
うーん,いろいろ仕掛けも用意しているのですが,そういったことに関してはまだお話しできません。
ただ,今回のデモを何回か見てもらえると,Titan達の仕様が少しずつ異なっているのに気付かれると思いますよ。
4Gamer:
きっとできるに違いない,と期待しておきます。
さて,Titanfallの対応プラットフォームはPCとXbox One,Xbox 360とされていますが,クラウドサーバーは使用する予定ですか。
エムズリー氏:
ええ,クラウドは大いに活用することになると思います。Xbox Oneだけでなく,PCでもXbox 360でも同じシステムになるでしょう。
4Gamer:
Kinect対応はどうでしょう。
エムズリー氏:
こちらもまだ公式にはお話しできませんが,Xboxプラットフォームを選んだ以上は,Kinectを利用する方向でデザインが進められていると考えてもらって間違いありません。
4Gamer:
そして今回のE3では,もう嫌と言うほどこの質問を受けてらっしゃると思いますが,PlayStationプラットフォームでTitanfallをリリースする可能性はあるんでしょうか?
エムズリー氏:
うーん,可能性という意味ではもちろんゼロではないですが……。
今のところはできるだけ早くファンのみなさんに遊んでいただけるようにとだけ考えています。
我々がかつてCall of Dutyシリーズに携わったことは知られていますが,今はある意味で「スタート地点に戻ってしまった」と考えているんです。だから,まずはCall of Dutyとは異なるIPでも成功できるメーカーであることを証明したい。そんな思いで,このTitanfallを作っているんですよ。
4Gamer:
では,その成功の証として,本作が楽しいゲームに仕上がることを心から楽しみにしています。
本日はありがとうございました。
「なんと気合いの入った髪型!」と思っていたら,Respawnの開発メンバーだった |
「Titanfall」公式サイト
4GamerのE3 2013特設ページ
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(C) 2013 ELECTRONIC ARTS INC. TRADEMARKS BELONG TO THEIR RESPECTIVE OWNER. ALL RIGHTS RESERVED
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