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鉄拳レボリューション
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F2P化を果たした「鉄拳レボリューション」の真の狙いとは。サンディエゴの空の下で新作の構想も飛び出した,原田Pへのインタビューをお届け
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印刷2013/08/03 00:00

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F2P化を果たした「鉄拳レボリューション」の真の狙いとは。サンディエゴの空の下で新作の構想も飛び出した,原田Pへのインタビューをお届け

画像集#005のサムネイル/F2P化を果たした「鉄拳レボリューション」の真の狙いとは。サンディエゴの空の下で新作の構想も飛び出した,原田Pへのインタビューをお届け
 人気格闘ゲーム・鉄拳シリーズの最新作「鉄拳レボリューション」の配信が,バンダイナムコゲームスよりPlayStation 3向けに開始されている。同作はシリーズ初の,そしてコンシューマゲーム機向けの格闘ゲームとしても初の試みとなる,F2P(Free to Play,基本プレイ無料)モデルを採用したタイトルとして,鉄拳ファンはもちろん,多くの格闘ゲームファンから注目を集めている。

 2013年7月16日には初のタイトルアップデートが実施され,またアメリカ・サンディエゴで開催されたComc-con International 2013内のパネルセッションで追加キャラクターの発表も行われた同作が,いったいどういう経緯で生まれ,そして何を目指しているのか。Comc-con会場近くのカフェにて,プロデューサーの原田勝弘氏に話を聞いてみた。F2P化の理由から格闘ゲームの未来,さらには鉄拳シリーズの新作構想(!)まで,さまざまな話題について語ってもらったので,シリーズのファンはぜひご一読いただきたい。

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鉄拳シリーズ総合プロデューサー 原田勝弘氏(右)と,鉄拳開発チームのMichael Murray(マイケル・ムレイ)氏(左)
画像集#001のサムネイル/F2P化を果たした「鉄拳レボリューション」の真の狙いとは。サンディエゴの空の下で新作の構想も飛び出した,原田Pへのインタビューをお届け

「鉄拳レボリューション」公式サイト



「鉄拳レボリューション」が生まれたワケ


4Gamer:
 パネルセッション,お疲れ様でした。「鉄拳レボリューション」の追加キャラクターが,投票によって「女バンパイア / Female Vampire」になることが発表されたわけですが(関連記事)……これって本当に,1位になったキャラクターを追加するつもりだったんですか?

原田勝弘氏(以下,原田P):
 いや,本当にそのつもりでしたよ。だから,投票期間の途中まで「鮭 / Salmon」が票を伸ばしていたのを見て,「まいったなあ」 って(笑)。

(一同笑)

原田P:
 まあ,女バンパイアは最初から圧倒的な票が入っていましたし,順当と言えば順当ですけどね。日本のプレイヤーも,やっぱり可愛い系とかセクシー系には弱いみたいで,「エロチックな女性鉄拳衆 / Sexy Female Tekken Force」と女バンパイアへの投票がすごく多かったです。

パネルセッションで発表された新キャラクター「女バンパイア / Female Vampire」
画像集#003のサムネイル/F2P化を果たした「鉄拳レボリューション」の真の狙いとは。サンディエゴの空の下で新作の構想も飛び出した,原田Pへのインタビューをお届け

4Gamer:
 件の女バンパイアは,格闘スタイル的にはどんなキャラクターになるんですか?

原田P:
 それはまだ言えない……というか,これから開発スタッフに電話して,結果を報告するんだから(笑)。

4Gamer:
 ああ,なるほど(笑)。では,そのシリーズ最新作「鉄拳レボリューション」について,改めてお話をお聞きしたいと思います。6月に配信がスタートしたばかりの本作ですが,そもそもどういう経緯で生まれたタイトルなのでしょうか。

原田P:
 経緯ということなら,まず一つに,ネットワーク上で仮想のゲームセンターを作りたかったというのがあります。バンダイナムコゲームスのゲームって,アーケード発祥のタイトルが多いんだけど,とくに欧米には,ゲームセンターってもうほとんど残ってなくて。

4Gamer:
 ゲームセンターがこれだけ残っているのは,世界でも日本だけと聞きます。といっても,日本のアーケードも決して順風満帆というわけではなさそうですが。

原田P:
 そう。個人的な想いとして,まずそんなアーケード文化というのを,どうしても残しておきたかった。そしてもう一つが……「鉄拳タッグトーナメント2」AC / PS3 / Xbox 360 / Wii U)(以下,鉄拳TT2)の評価が,大きく割れてしまったということ。

4Gamer:
 自由度の高さがコアなプレイヤーに高く評価される一方で,初心者には難しすぎたのではないか,というお話ですね。タッグである以上,基本的には2キャラを使いこなさなければならないわけですし。

原田P:
 ええ。鉄拳シリーズって,絶賛されるにせよお叱りをうけるにせよ,これまではどちらか一方だったんです。にもかかわらず,今回は評価が二分してしまった。そこで,もう一度新規層や復帰組に向けた鉄拳を作ろうと思った。この2つの理由が,タイミング的にうまくぶつかったのが,鉄拳レボリューションが生まれた主な理由です。

4Gamer:
 その新規層や復帰組のために生まれた新システムが,クリティカルアーツ(一定の確率でダメージが大幅にアップする技)とスペシャルアーツ(技の出始めに無敵がある技)だと。

クリティカルアーツ
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原田P:
 鉄拳って,技が少ないって言われているカズヤでも,全部で100個ぐらいあるじゃないですか。

4Gamer:
 ええ。レイや吉光など,技の多いキャラクターになると,300個近くありますよね。

原田P:
 技が多いということは,自由度が高いってことでもあるんだけど,一般の人はそんなに覚えられないんですよね。だから,技を厳選する必要があったんです。2D格闘ゲームのようにね。

4Gamer:
 ソニックブームとサマーソルトキックだけ覚えておけばいい,みたいな?

原田P:
 そうそう。2D格闘ゲームって,キャラクターによっては技が2つ3つしかなかったりする。多くても5〜6個くらいじゃないですか。鉄拳も,クリティカルアーツ4つとスペシャルアーツ1つの,合計5個の技を覚えれば遊べるようにしたかった。それらを主軸に戦いを組み立てていけば,駆け引きがグッと分かりやすくなるんです。

4Gamer:
 なるほど。とくにスペシャルアーツは,今までの鉄拳シリーズにはなかった“無敵技”でもあるわけですし。

スペシャルアーツ
画像集#008のサムネイル/F2P化を果たした「鉄拳レボリューション」の真の狙いとは。サンディエゴの空の下で新作の構想も飛び出した,原田Pへのインタビューをお届け

原田P:
 新しく始めた人の中には,壁ぎわに追い詰められたとき,抜け出せなくてそのままやられてしまう人がいるんです。そんなときに,これを使えば脱出できるという技を,1つ用意しておきたかった。で,みんな最初はとにかくスペシャルアーツに頼るんだけど,途中で「ガードされたら手痛いしっぺ返しが来る」ってことに気付く。そうなると,今度は相手にスペシャルアーツを出させるという戦略に変わってくる。

4Gamer:
 対戦レベルに応じて,使い方や戦略が変わってくる,まさに昇龍拳のような技だと。

原田P:
 そう。とにかく入り口になる仕組みを用意してあげたかったんです。とはいえ,鉄拳が今後ずっとこの形になる,というわけではありません。あくまで,鉄拳レボリューションではこの形,というだけでね。


F2P化する格闘ゲーム――鉄拳の場合


4Gamer:
 鉄拳レボリューションといえば,ゲームそのものだけでなく,基本プレイ無料のF2Pモデルを採用したことでも話題になりましたね。しかも,発表から3日後には配信がスタートするというスピードリリースで,とても驚かされました。

画像集#002のサムネイル/F2P化を果たした「鉄拳レボリューション」の真の狙いとは。サンディエゴの空の下で新作の構想も飛び出した,原田Pへのインタビューをお届け
原田P:
 それはね……「DEAD OR ALIVE Ultimate」PS3 / Xbox 360 / AC)よりも早くリリースしたかったからなんです。やっぱり,一番乗りしたいじゃないですか。

4Gamer:
 ええっ。そんな理由なんですか!?

原田P:
 まあ,もちろんそれだけじゃないけど(笑)。マジメな話をすると,ここ最近のアメリカのデータで,パッケージモデルのゲームセールスが大きく落ち込んでいるという話があるんです。ヨーロッパでも同様に。

4Gamer:
 それは……マズイですね。

原田P:
 つまり軒並みほとんどのタイトルが,計画どおりの売れ方をしていないわけで。これが意味するところは,パッケージビジネスに対する消費者の考え方の変化なのかなと。昔は,コンソールでしかゲームを遊べなかったから,迷ったって買わざるを得なかったじゃないですか。

4Gamer:
 ええ。

原田P:
 でも,今のスマートフォン向けのゲームって,どれも買う前に体験版が遊べて,自分に合うか合わないか購入前に分かるじゃないですか。しかも安い。そういう状況が普通になってきたので,みんなが迷ったら買わないという選択をするようになってきた。

4Gamer:
 そこでF2Pモデルだと。

原田P:
 うん。F2Pだったら,ハードディスクの容量さえあれば,すぐに始められるわけで,友達も誘いやすいですよね。おかげでコミュニティも広がりやすい。PCやモバイル系のタイトルは,先んじてこれをやってきたわけだけど,その波がいよいよコンソールにもやって来た,という感じです。

4Gamer:
 なるほど。しかし一口にF2Pといっても,その実装の仕方にはいろいろあると思うんです。実際,キャラクターやゲームモードなどをバラ売りする形の「DEAD OR ALIVE Ultimate」に対し,鉄拳レボリューションの場合は,ワンプレイ毎に仮想コインを消費するというアーケードゲームライクなつくりになっていて,かなり違いますよね。

原田P:
 そうそう。そこは結構,驚かされたんですよ。早矢仕君(コーエーテクモゲームス「DEAD OR ALIVE」シリーズプロデューサー・早矢仕洋介氏)とも話したけど,こんなに違うものかってね。鉄拳レボリューションが仮想コイン方式を選択したのは,ごく単純な理由で,鉄拳がもともとアーケード発祥のタイトルだからです。

4Gamer:
 先ほどおっしゃっていた,ネットワーク上に仮想ゲームセンターを作りたかったというお話でしょうか。

原田P:
 それも理由の一つですが,鉄拳はゲーセンで生まれたゲームである以上,ゲームシステムがコインオペレーションに最適化されてしまっているわけで。そもそも,課金システムとゲームデザインは不可分であるべきなんですよ。

4Gamer:
 ああ,その話はカプコンの小野さん(ストリートファイターシリーズプロデューサー・小野義徳氏)もおっしゃってました。ただ小野さんの場合は,負けた方がお金を払い続けるアーケード式のモデルには,若干懐疑的なようでしたが(関連記事)。

原田P:
 うん。一般論で言えば,小野さんのその考え方は正しいと思う。ただ鉄拳の場合には,幸いにもアーケード発祥のタイトルということもあり,日本の多くの人にとって馴染みがある方式です。だから,納得してもらえるんじゃないかな,と。それに格闘ゲームって,ワンコインがかかっているからこそ,勝ち負けにシビアになれるところがあるでしょう?

4Gamer:
 アーケードのプレイヤーにとっては,間違いなくそのとおりですね(笑)。

鉄拳レボリューションでは,対戦に勝利することで得られるプレミアムチケットを消費することで,コインを消費せずにプレイを継続することが可能
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原田P:
 とはいえ,今回の仮想コイン方式が,格闘ゲームのF2Pモデルの正解とは思っていませんので。考えるべきことは色々ありますよ。事実,若い層の中には,違和感を覚える人も多いみたいだし。

4Gamer:
 では,F2Pモデルでちゃんと開発コストを回収できるのか,という視点ではいかがでしょうか。小野さんの話では,そこが一番の懸念を感じているようでしたが。曰く「原田さんや早矢仕さんの動向を見つつ,考えたい」とか。

原田P:
 小野さんらしいな! 前にも言いましたけど,あの人やってることハチャメチャに見えて,その実ものすごく慎重派だからね。行き当たりばったりな僕と比べて(笑)。

(一同笑)

原田P:
 ええとね,その問題については,僕は二つの視点があると思っているんですよ。一つは,まずタイトルごとのビジネスとして,きちんと成立させること。小野さんが言っているのはこちらの話で,まさに僕等が克服すべき課題です。そしてもう一つが,鉄拳シリーズ,ひいては格闘ゲームというジャンルを,外に広げて行くということ。例えばこの間,アニメの「新劇場版ヱヴァンゲリヲン:Q」が劇場公開されて,大ヒットしましたよね。

4Gamer:
 ええ。

原田P:
 あの映画をやる前に,テレビで1作目,2作目の再放送をやったじゃないですか。それだけでなく,最初の5分までテレビで流しちゃった。それによって,多くの人が3作目の「Q」に強い興味を持った。

4Gamer:
 確かに,大きな話題になりましたね。

原田P:
 結果,ものすごい大ヒットにつながったという。言ってみれば,これがF2Pの力だと思うんです。鉄拳レボリューションは,この短期間で150〜160万回ほどダウンロードされていて,それだけでも,かなりの人が鉄拳を体験したことになります。じゃあそこに,次の新作をドーンって出したら? 「俺1キャラは覚えてるし,ちょっと試してみてもいいかな」って思う人がいるはずです。これをね,僕は狙ってるんですよ。 ……ほら,それなりに考えてるでしょ?

(一同笑)

4Gamer:
 なるほど。でもそれって,つまり新作の予定があるってことですよね?

原田P:
 そりゃあそうですよ! 鉄拳レボリューションで集めた人を次につなげていかないと意味がないので,そこはちゃんと考えてます。

4Gamer:
 おお!

原田P:
 詳しい話はまだできないけど,僕らはアーケードを見捨てることだけはしないので。構想としては,TEKKEN-NETを完全無料にしたうえで,情報を見るだけじゃなく,自分からも発信できるような……もっとコミュニティを重視したものにしたいと思ってます。

4Gamer:
 ああ,コンソール版のWorld Tekken Federationが,アーケードと連動したりすると面白そうですよね。

原田P:
 そうそう。次はアーケードとコンソールのプレイヤーが,分け隔てなく集まれるような場を作りたいなと。もちろん,格闘ゲームのシステムをどうするかというのが一番重要ではありますけど。

4Gamer:
 なるほど。ちなみに,次は「7」ってことでいいですか?

原田P:
 おっと。それは……どうだろうね(笑)。

画像集#004のサムネイル/F2P化を果たした「鉄拳レボリューション」の真の狙いとは。サンディエゴの空の下で新作の構想も飛び出した,原田Pへのインタビューをお届け


次世代で格闘ゲームはどう進化するのか


4Gamer:
 ではちょっと聞き方を変えてみたいと思います(笑)。ちょうどPlayStation 4とXbox Oneが登場するタイミングなわけで,次世代機向けタイトルに期待している人が多いと思いますが,格闘ゲームは次世代機でどう変わるでしょうか。

原田P:
 次世代機の分かりやすい恩恵といえば,やっぱりグラフィックスの進化ですよね。その進化自体には,もちろん僕もすごくポジティブではありますが,こと格闘ゲームに限って言うと,それ以上に達成すべき課題があると思ってもいて。例えば,日本とブラジルでちゃんと対戦できる格闘ゲームって,世の中にはまだ存在してないじゃないですか。

4Gamer:
 物理的な距離がありますから,今のゲームシステムである限り,快適に遊ぶのは難しそうです。

原田P:
 うん。でもこれって,実は結構大きな問題で。これを解決するための手段の一つとして,もっとAIを進化させたらどうだろうって考えているんですよ。つまり,疑似的に対戦できるような。

4Gamer:
 鉄拳のゴーストシステムの進化系,ということでしょうか。

原田P:
 現状のゴーストシステムでも,プレイヤーの操作データ――開幕の行動から空中コンボの失敗癖まで,かなりの部分を記録して,そこから人間らしい動きを再現させるということはやっているんです。でも,人間の動きそのものには,まだまだほど遠い。

4Gamer:
 次世代機になれば,それが変わるかもしれない?

原田P:
 検証したわけではないので,次の世代でできると断言するわけではないですが,AIにリソースを多く割けるようになれば,CPU戦と対人戦の差が縮まっていくのは確かです。いつしか実際のプレイヤーと対戦するのと変わらないというレベルまで到達できれば,格闘ゲームにとって,それは革命だと思うんですよ。

4Gamer:
 確かにマッチングの問題は,コンソールの格闘ゲームにおける一番の課題ですし,それが実現すれば,格闘ゲームの遊び方は大きく変わるかもしれません。最初に「仮想のゲームセンター」というお話がありましたが,鉄拳レボリューションにおいても,一番欠けているのはマッチングの自由度なのかなと。

原田P:
 それはその通りで,ゲームセンターと呼ぶには,まだまだ機能が足りていないのは確かです。そもそも,今のところ鉄拳しか遊べないわけで(笑)。でも自分の実力にあった対戦相手といつでも戦えるというのは,ある意味ゲームセンター以上の理想の環境じゃないですか。

4Gamer:
 ええ,すごく面白そうです(笑)。ただちょっと話がズレるのですが,ゲームセンターが果たしてきた役割って,それだけじゃないと思うんです。トーナメントコミュニティに属するプレイヤーはもちろんですが,それこそ初心者を中級者に引っ張り上げるような役割を,小さな店舗の小さなコミュニティが担ってきた。それもゲームセンターの大事な機能ですよね。

原田P:
 うん。コミュニティ機能に関しては,鉄拳レボリューションにとっても今後の課題だと思ってます。今みたいなテキスト情報による対戦ルームではなくて,もっとビジュアル化された形にできれば,かなり面白くなるんじゃないかって。

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4Gamer:
 仮想空間に置かれた筐体の周りを,観戦者のアバターが取り囲んでいるような(笑)。

原田P:
 そうそう,そういうの。プレイはあまりうまくないけど,アバターにやたらお金かけてる常連がいたり(笑)。コインが尽きてしまった対戦相手に,1プレイ奢ってあげられたりね。

4Gamer:
 そこまで実現できれば,まさに仮想ゲーセンと呼べそうです(笑)。ではそろそろお時間のようですので,最後に読者に向けたメッセージを……。

原田P:
 あれ,「鉄拳 X ストリートファイター」(以下,鉄クロ)のことは聞かなくて良いの? 海外メディアにはだいたい聞かれるんだけどなあ(笑)。

4Gamer:
 あー……確かに(笑)。では鉄クロについてもコメントをいただけますか。

原田P:
 まずね,キャンセルになったみたいな噂が流れてますけど,そんなことは全然ないですから。水面下では,キャラクターのラインナップももう決まってて,キャラクターモデルも結構できているんです。

4Gamer:
 おお。でも,その割りには続報を聞かないのですが,なぜなのでしょうか。

原田P:
 実はちょっと間を開けた方がいいかな,と思っているんですよ。ちょうど今,「ストリートファイター X 鉄拳」PS3 / Xbox 360)(以下,ストクロ)のコミュニティが立ち上がりつつある時期なので。

4Gamer:
 EVO2013にも,ストクロのためだけに参加したプレイヤーが少ないながらいたようです。つまりストリートファイターのプレイヤーでも,鉄拳のプレイヤーでもない,いわゆる“ストクロ勢”が生まれつつあると。

原田P:
 うん。そんな中で,じゃあ次は鉄クロですって出しても,コミュニティの成長を阻害してしまうだけじゃないですか。なので,もう少し時間をかけようかなと。

4Gamer:
 ということは,プラットフォームも次世代機向けになる可能性が?

原田P:
 そこなんですよね。まだ決めかねているんですが,さっきの話にもあったとおり,時期が時期なのでどうしよう,っていう。ただ,次世代機向けに出したとして,それってプレイヤーにとって嬉しいことなのかな,という懸念もあって。

4Gamer:
 小野さんも,そこはプレイヤーの負担が大きくなるだけでは,という話をされていました。

原田P:
 仮に「ウルトラストリートファイターIV」AC / PS3 / Xbox 360 / PC)を次世代機のグラフィックスで遊んだとしても,本質的な面白さは変わらないだろうしね。格闘ゲームの場合,少なくとも現世代機のサポートを残す形であるべきなのかもしれない。あくまで一般論としてですけど。

4Gamer:
 個人的には,それでも次世代機向けであったほうが,喜ぶ人は多いような気がしますが……。では改めて,読者に向けたメッセージをいただければと。

原田P:
 はい。おかげさまで,鉄拳レボリューションは予想よりも1.5倍近いペースでダウンロードされているようで,とてもありがたく思っています。ただ,未だに「いくらなんですか?」と聞かれることもあって,無料で遊べるということを伝えきれていないのかなと。なので,この記事を読んだ人には,とにかく一回トライしてもらいたい。

4Gamer:
 今後のアップデートで「女バンパイア」も登場することですし。今からプレイしておけば,“次”が出たときにも,より楽しめるかもしれない。

原田P:
 そう! それです。将来さらに面白い遊びが待っているので,ぜひご期待ください。

4Gamer:
 期待させていただきます。本日はありがとうございました!

――2013年7月19日収録

パネルセッション後のフォトセッションにて,現地のコスプレイヤーとポーズを取る原田氏
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