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「KINGDOM HEARTS」シリーズ初のオフィシャルコンサートをレポート。名曲のブラスバンドアレンジに2000人が酔いしれた
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印刷2016/08/13 14:06

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「KINGDOM HEARTS」シリーズ初のオフィシャルコンサートをレポート。名曲のブラスバンドアレンジに2000人が酔いしれた

画像集 No.001のサムネイル画像 / 「KINGDOM HEARTS」シリーズ初のオフィシャルコンサートをレポート。名曲のブラスバンドアレンジに2000人が酔いしれた
 スクウェア・エニックスの人気アクションRPG「KINGDOM HEARTS」(以下,KH)シリーズの初となるオフィシャルコンサート「KINGDOM HEARTS Concert -First Breath-」の東京公演が,2016年8月11と12日に開催された。

 作曲家の和田 薫氏がブラスバンドアレンジしたKHシリーズの楽曲が演奏される今回のコンサート。本稿でその初日となった2016年8月11日夜の部の模様をレポートしよう。

 なお,8月27日の愛知公演と28日の大阪公演の内容は基本的に東京公演と同じものとなるので,演奏曲や演出など,一部ネタバレが含まれることをご了承いただきたい。

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「KINGDOM HEARTS Concert -First Breath-」セットリスト

<第1部>
1.Destati
2.Dearly Beloved
3.Traverse Town
4.Hand in Hand
5.Journey of KINGDOM HEARTS ※KINGDOM HEARTS フィールドメドレー
6.Lazy Afternoons
7.The Other Promise
8.Another Side

<第2部>
9.Gearing Up〜Shipmeisters' Shanty〜Blast Off!
10.Destiny's Union
11.The Unknown ※メドレー
12.Musique pour la Tristesse de Xion
13.The Power of Darkness ※ボスバトルメドレー
14.March Caprice For Piano & Orchestra

 コンサートは「Destati」「Dearly Beloved」の2曲でスタート。ともにKHシリーズを代表する楽曲で,来場者は一気にKHの世界に引き込まれた。

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 続く3曲目の「Dearly Beloved」では,ステージにKHシリーズでナミネの声を担当している中原 郁さんが登場し,朗読劇を演じた。シナリオは,野村哲也氏がこのコンサートのために書き下ろしたもので,後の楽曲ではテラ役の置鮎龍太郎さんも登場し,ナミネとテラの掛け合いのシーンなども楽しめた。

 そのストーリーは,12月に発売される「KINGDOM HEARTS HD 2.8 Final Chapter Prologue」に収録の「KINGDOM HEARTS 0.2 Birth by Sleep - A Fragmentary Passage-」へとつながるもの。来場したファンだけが楽しめるので,この記事を読んでから愛知や大阪公演に行く人は,聞き漏らさないようにしてほしい。

ナミネ役の中原 郁さん
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 4曲目の「Hand in Hand」演奏後,ステージにはKHシリーズの作曲を手がける下村陽子氏が登場。下村氏は「シリーズ15年を迎えるための晴れやかな舞台を迎えられて本当に幸せです」と,喜びの声を客席に伝えた。

KHシリーズサウンドクリエイターの下村陽子氏(手前右)と指揮者の和田 薫氏(指揮台上)
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 ブラスバンドアレンジだけでなく,コンサートでの指揮も担当した和田氏は,下村氏が高校時代に吹奏楽部で活動していた頃から音楽家として活躍しており,下村氏にとっては憧れの存在だったという。
 和田氏は今回の楽曲について,原曲の興奮をそのままに,吹奏楽を生かせるアレンジを心がけたと語った。

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 その後,プレイヤーに馴染み深いフィールド曲メドレー「Journey of KINGDOM HEARTS」から,テラ役の置鮎さんによる朗読劇が挿入された「Another Side」まで,各シリーズの名曲が続き,第1部が終了となった。

テラ役 置鮎龍太郎さん
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 休憩時間を挟んで始まった第2部は,明るくテンポのいい「Gearing Up〜Shipmeisters' Shanty〜Blast Off!」でスタート。続く「Destiny's Union」と「The Unknown」の間には,中原さんと置鮎さんの掛け合いによる朗読も挿入された。物語では一度もふれ合う機会のなかった2人の会話は,客席のファンにも新鮮だったのではないだろうか。

 ちなみに中原さんと置鮎さんは後のトークで,今回が初対面であることも告白。さらに中原さんはナミネを演じるのも7年ぶりだそうで,「あの頃の気持ちに寄せるように朗読しましたが,大丈夫でしたか?」と客席に訪ねると,温かな拍手が贈られた。一方の置鮎さんは「いつもの」と前置きして「アクア! ヴェーン!」と絶叫し,客席からは再び大きな拍手が湧き起こった。

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 ステージには野村哲也氏も登場し,前述の書き下ろしシナリオについて解説。そして「来年の15周年に向けて,このコンサートからいろいろなイベントが始まります。年末には「HD 2.8」も発売になります。ぜひ一緒に盛り上がりましょう」と客席のファンに向けて挨拶した。

KHシリーズディレクター 野村哲也氏(左から2番目)
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 そんなコンサート本編ラストでは,初代KHのエンディング曲「March Caprice For Piano & Orchestra」が演奏され,会場を感動の嵐が包んだ。
 そしてアンコールでは,下村氏がピアノで演奏に参加。ここで演奏された曲が何だったのかは,コンサートへ行った人にぜひ直接尋ねてねてみてほしい。

 全ての楽曲の演奏が終了し,出演者全員がステージに登場すると,会場は割れんばかりの拍手。客席にはスタンディングオベーションをする人の姿も目立った。

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 演奏を聴きながら目を閉じると,KHシリーズの世界が目の前に浮かんでくるような気分になった今回のコンサート。
 来年3月からは全世界を回るフルオーケストラコンサート「KINGDOM HEARTS Orchestra -World Tour-」も控えている。今回会場に行けなかった人も,ぜひ楽しみにしていてほしい。

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 記事の最後に,公演終了後に行われた下村氏と和田氏への合同インタビューの模様と,野村哲也氏からのメッセージをお届けしよう。

――本日はおつかれさまでした。まずはこの公演を終えての感想をお聞かせください。

下村陽子氏(以下,下村氏):
 本当に嬉しい公演でした。いろいろ大変なこともありましたが,それらが全て昇華されました。今はただただ,喜びと幸せを噛みしめています。私一人ではできることではなく,たくさんの方に協力いただいて,私が作った音楽にこれだけの人が関わって,たくさんの方が聴きに来てくださったのは,最高の幸せでした。

和田 薫氏(以下,和田氏):
 お客様には本当に喜んでいただいたようで,聞くところによれば泣いている方もいらっしゃったそうです。嬉しいかぎりです。KHの音楽にこれだけたっぷり浸れたというのは,指揮者冥利に尽きます。下村さんとはかれこれ15年近くになりますが,今日指揮棒を振りながら,思い出が走馬燈のように蘇ってきました(笑)。

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――和田さんがKHの曲を今回のために編曲されるうえで意識されたことはありますか。

和田氏:
 オリジナルのオーケストレーションをやったときもそうでしたが,やっぱりゲームのイメージは大切にしたいので,あくまで原曲には忠実にしつつ,生の演奏で味わうとこうなる,という方向にしました。吹奏楽ならではの迫力や音圧感が伝わるように頑張りました。

――それを聴かれて,下村さんはどういう感想を持たれましたか。

下村氏:
 アレンジについては,和田さんから簡易的なデモ音源を送っていただき,私は完成した状態を想像してOKさせていただくんです。ですが,リハーサルで実際の演奏を聴いたら,想像以上のもので,「これが和田さんの頭の中で鳴ってるんだ!」と驚愕しましたね。

和田氏:
 デモが下手なんです(笑)。

下村氏:
 そんなことないです(笑)! 「想像を超えてくる」っていうのはこういうことなんだなと実感しましたね。とくに今回のブラスバンドアレンジは初めてでしたので,実のところ私自身も泣きそうになったぐらいでした。本当にありがとうございます。

――演奏楽曲は,何を基準に選ばれたのでしょうか。

下村氏:
 ゲームを遊ばれた方がそのときのことを思い出して,プレイの流れを追体験できるような構成にしたいと考えていました。
 例えば今回「Traverse Town」を2回演奏するという,普通のコンサートではやらない構成になっていますが,「必要な流れなら2回演奏してもいい」という決まりを自分の中に作ったんです。そこに哲さん(野村哲也氏)のアドバイスなども入って,今回の選曲となりました。

――野村さんは朗読のシナリオも執筆されたとのことですが,あの演出は野村さんのアイデアですか。

下村氏:
 はい,朗読を入れたいというのは哲さんの案です。それによってイントロの調整などが必要になって,和田さんにもご協力いただきました。
 ゲームのディレクターがコンサートにここまで関わってくださるという経験はなかったので,本当に恵まれているタイトルなんだと実感しましたね。

――KHの楽曲の中で,今回のようなブラスバンドと相性のいい曲などはありますか。

和田氏:
 「Hand in Hand」のように吹奏楽に向いた曲はありますし,吹奏楽にアレンジしたことで面白くなった曲もあります。まあ,そもそも吹奏楽に向いていなければ,吹奏楽のコンサートはやりませんよね,きっと(笑)。

下村氏:
 でもやっぱり,アコギがなくても,コーラスがなくても成り立っているのは,和田さんのマジックだと思います(笑)。

――下村さんから見て,和田さんの魅力はどこでしょうか。

下村氏:
 とにかく曲が熱いんですよ。初めて聴いた曲が凄く耳に残っていて,また聴きたい,飽きないという魅力がありますね。

和田氏:
 巨匠にそう言われると恐縮ですね(笑)。

下村氏:
 ステージに続いて私の「告白タイム」になってしまいましたね。また和田さんにドン引きされちゃう(笑)。

――逆に和田さんから見た下村さんの印象はいかがですか。

和田氏:
 アレンジというのは料理のようなものです。どんな素材が来ても料理はできますが,やっぱり素材が良くないといいものは作れません。
 そういう意味では,下村さんの楽曲はピカイチの素材なんです。独特の世界観がありつつも,キャパシティは広くて,KHという作品の曲はやっぱり下村さんにしか書けないと思いました。

下村氏:
 ありがとうございます。明日から私,自信を持って生きていけます(笑)。

――曲作りに関して,和田さんから影響を受けたよところはありますか。

下村氏:
 和田さんも含めて,好きな音楽家のことを細かく分析したうえで曲を作るということは,今までしたことがないんです。ですが,和田さんの曲を耳で聴いて今もそれが頭に残っているということは,絶対にどこかで影響は受けていると思います。「影響を受けてこれかよ!」って思わないでくださいね(笑)。

――演奏者のみなさんは,吹奏楽としてアレンジされたKHの楽曲をどう感じられていたでしょうか。

和田氏:
 このコンサートは体力的にも大変だったのですが,その部分を超えてでも音楽を表現したいという気持ちが演奏者からも感じていて,一緒に作っていて楽しかったですね。
 確かに吹奏楽ではあまりないような楽曲が多くて,「こういうタイプの曲なんですか!?」みたいな反応もありましたが,演奏されたシエナ・ウインド・オーケストラさんにも,それがいい刺激になったのではないでしょうか。

下村氏:
 バイオリンの早弾きをサックスで演奏するといったことがありましたからね。大変だったと思います。

――アンコールで演奏した気分はいかがでしたか。

下村氏:
 枯れ木も山の賑わいとでも言いますか(笑),ピアノで戯れさせていただきましたが,いい思い出になりました。和田さんが下手な私でも弾けるようにアレンジしてくれましたので,次も間違えないように頑張ります。

――次回公演と,来年のワールドツアー,そしてKH15周年に向けての展望をお聞かせください。

下村氏:
 長くこの仕事をしてきた中で,シリーズものを続けて作らせていただく機会はあまりなかったので,凄く思い入れもありますし,特別なタイトルだと思っています。今後もファンの皆さんの期待を裏切らずに喜んでいただけるような,曲を作っていければいいなと思っております。
 ワールドツアーもまた和田さんにも依頼させていただこうと思っていますが,次も最初のリハで泣いちゃうんじゃないかと今から心配しています(笑)。今回とは違う気持ちで楽しんでいただけると思いますので,ぜひ聴きに来ていただいて,ゲームも遊んでいただいて,いつ発売になるかわかりませんがサントラも買っていただいて,KHの世界をこれからも堪能してください。

――ありがとうございました。

KHシリーズディレクター 野村哲也氏からのメッセージ

東京の昼・夜公演に出演しましたが,
残念ながら私は全公演に出演するわけではありませんので,
どこに出てどこに出ないのか,それもサプライズです……。

実は,今回のコンサートのセットリストや内容は,
来年のワールドツアーのセットリストと同時並行で考えたもので,
個人的には今回のブラスコンサートとワールドツアーで
前後編のような構成で考えました。

今回楽しめた方はまた次回もお越しいただいて
来られなかった方は次回こそ参加していただければと思います。

「KINGDOM HEARTS Concert -First Breath-」公式サイト

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