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印刷2015/10/26 12:32

インタビュー

まずは「サモンズボード」「ディバインゲート」で台湾に参入するガンホーの森下一喜氏へのインタビューと,ガンホー×Gamaniaの合弁会社設立発表会のレポートを掲載

森下氏が語るガンホーの海外戦略。「ラグナロクオンライン」をスマホで提供する可能性も?


画像集 No.013のサムネイル画像 / まずは「サモンズボード」「ディバインゲート」で台湾に参入するガンホーの森下一喜氏へのインタビューと,ガンホー×Gamaniaの合弁会社設立発表会のレポートを掲載
4Gamer:
 発表会お疲れ様でした。本日はよろしくお願いします。
 まずは,数ある台湾パブリッシャの中で,Gamania IHをパートナーに選んだ理由をあらためて教えてください。

森下氏:
 ガンホーのタイトルは運営面が非常に重要なので,長期にわたってサービスできるという点を重視してパブリッシャを探しました。
 「リネージュ」の頃から運営面を見ていてたので,数ある台湾パブリッシャの中でもGamaniaさんには絶対的な信頼がありました。また,Gamaniaさんは「Gash」という独自決済手段を持っています。サードパーティを引き込むという点を考えても,非常に大きな強みだと思いますね。

4Gamer:
 劉氏との付き合いも決断に影響しているのでしょうか。

森下氏:
 そうですね。アルバートとの付き合いが10年以上あるという点も,やはり要因として大きいです。うまくいくときもいかないときも信頼し続けられるかどうかは,いざというときに大きな影響が出ると思います。

4Gamer:
 成功する見込みがあるからジョイントベンチャーを設立することになったのだとは思いますが,今回,なぜ台湾に目を向けたのでしょう。

森下氏:
 もともと,日本だけで配信しているタイトルであっても,台湾からのアクセスがかなり多かったんです。ポテンシャルを知るためにまずは自社パブリッシングで進めてみたのですが,思った以上に反響があってびっくりしました。
 期待しているところはありましたが,関心を持ってもらえてすごく嬉しかったですね。

4Gamer:
 となると,台湾での第1弾となる「サモンズボード」も,すでに日本語版で遊んでいる人が多そうですね。台湾版が配信されたら,日本語版とのバージョン違いにやきもきする人も出てくるのではないでしょうか。

森下氏:
 そうですね。ただ,最新のコンテンツをすべて開放するかどうかは悩ましいところです。コンテンツをどう開放していくかは,プレイヤーの動向などを日々考えながら検討していきたいと思います。
 もちろん,システム自体はいつでも実装できるようにゲーム内に入れておくと思いますが,いきなり日本に歩調を合わせても意味のないコンテンツが増えてしまう可能性もあります。まずは運営のマイルストーンを設置して,順次開放していくのがいいかなと。

4Gamer:
 ちなみに,日本では最近,「サモンズボード」がApp StoreやGoogle Playでセールスランキングのかなり上位に位置していますよね。TVCMもよく見るようになりましたし,業績は好調なんですか?

森下氏:
 正直,4Gamerさんで継続的に紹介してもらうようになってから,すごく伸びていると思います。TVCMのタイミングとも近かったですし。
 「サモンズボード」って,ぱっと見はすごく地味なんですよね。ある程度進めれば,戦略の重要性などシミュレーションゲームのいいところが分かってくるのですが,そこに行きつくまでが大変という。それもあって,じっくり育てていきたいと考えていたタイトルだったんです。
 そんな中,「実は戦略性があるんじゃない?」「面白いかも」みたいな話がチラホラと聞こえ始めたので,TVCMを打ち出すことにしたんです。つまり,タイミングを作ってくれたのは,4Gamerさんと言ってもいいかもしれませんね。

4Gamer:
 おお,それはすごく嬉しいです! 
 話を戻しますが,今後は,展開する国や地域を増やす際,今回のようにジョイントベンチャーを立ち上げるというケースが増えていくのでしょうか。

森下氏:
 GungHo Gamaniaとしては,台湾以外の地域にもパブリッシングするなど,順を追って展開していきたいと考えていますが,必ずしもジョイントベンチャーでやるというわけではありません。
 ガンホーアメリカなど子会社を通した自社パブリッシングやTencentとの事業提携など,さまざまな方法があるので,その国に合う一番いいやり方で進めたいと思います。ただ,先ほどもお話ししたように,ガンホーのタイトルは運営が非常に重要なので,パートナーの検討は大事にしていきます。

4Gamer:
 そういえば,Tencentと「パズドラ」の中国展開で事業提携を発表したのは2014年12月でしたよね。発表から10か月ほど経っていますが,現在はどのような状態なのでしょうか。

森下氏:
 中国での展開についてですが,現在はβテストを進めており,開発自体は順調です。

4Gamer:
 「パズドラ」と言えば,国内で累計3800万ダウンロードと日本人口の3分の1近い数字に達しています。日本でこれ以上普及率を上げるのは限界に近いのか,森下さんの考えを聞かせてもらえますか?

森下氏:
 日本では今やほとんどの人がスマホを使っていて,普及台数は年々増加が鈍化してきています。たとえば「パズドラ」なら,単純計算でスマホ2台に1台の割合で入っていることになりますから,「パズドラ」は日本人にすごく浸透していると言えますよね。

4Gamer:
 そうですね。あとはフィーチャーフォンを使っているユーザー層の機種変更なり,新規契約の若年層なりに期待するしかないようにも思えます。

森下氏:
 ですから近頃の「パズドラ」では,既存のプレイヤーにどれだけ長く遊んでもらえるかを重要視しているんです。
 たとえば,少し前にランキングダンジョンを実装しましたが,ランクの高いプレイヤーを筆頭にたくさんのプレイヤーが参加してくれていて,好評を博しています。その次にマルチプレイが控えていますが,マルチ用のステージやモンスターなどを追加することで,また新しい遊びが提供できると思っています。
 現役のプレイヤーに新たな遊びを提供しつつ,それが休止中のプレイヤーがまた遊ぶきっかけになってくれたら嬉しいですね。

4Gamer:
 なるほど。完全な新規層を狙うよりは,休止プレイヤーの復帰や継続率を高める方向にシフトしているんですね。
 スマートフォンの機種変更をしたときなどに遊ばなくなったアプリの整理をしたり,データの引き継ぎがうまくできなくてそのまま止めてしまったり,という話を聞くことがあります。そのあたりも課題に感じているのでしょうか。

森下氏:
 そう! 最近,機種変更時のデータ移行の失敗が多いようなので,機種変更時の注意喚起の優先度を一気に上げたんです。
 万が一,データ移行に失敗した場合,問い合わせてもらえれば対応もできるのですが,問い合わせずにそのままやめてしまう人もいます。不本意にやめてしまうような嫌な思いをする人を減らしたいので,最近はTVCMでも機種変更に関するお知らせを入れているんです。

4Gamer:
 さきほどの合同インタビューで話題に上がりましたが,GungHo Gamaniaでは,自社以外のタイトルも取り扱っていくのでしょうか。

森下氏:
 そうですね。ガンホーのゲームだけを提供していくわけではなく,ほかに良いタイトルが見つかれば,それも提供していきたいです。

4Gamer:
 少し話が逸れてしまうのですが聞かせてください。最近は,MMORPGなどPCオンラインゲームがスマホ向けにリニューアルされて展開するケースが増えています。「ラグナロクオンライン」や「ECO」など,ガンホーさんのタイトルを,Gungho Gamaniaでスマホ向けに展開する予定はあるのでしょうか。

森下氏:
 「ラグナロクオンライン」などは台湾でもすごく人気なので,可能性はあると思います。ただ正直な話,MMORPGを作るのは大変なんですよね(笑)。
 技術的な部分というよりは,開発に非常に体力がいるといいますか。
 とはいえ,「ラグナロクオンライン」はガンホーにとって非常に大事なIPなので,次世代の展開として考えていきたいです。

4Gamer:
 残念ながら時間が迫っているようですので,最後に日本の読者に向けてメッセージをお願いします。

森下氏:
 今後,グローバルな展開が増えていくかもしれませんが,日本のプレイヤーの方々にも満足してもらえるよう,日々努力していきます。これからのガンホーにもご期待ください。

4Gamer:
 まずは11月の合弁会社設立を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

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